音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
SokolovのMozart Rachmaninov Concertos
2017-03-17-Fri  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
随分間が空いてしまった。



年度末で忙しいのと、村上春樹を読んでいたせいだ。私は本を読むのがとても速いのだが(家人には「読み飛ばしている」とよく言われる。実際あまり頭に入っていない)、今回は珍しくじっくり味わうように読んだ。


そしてここにようやく、皆さんお待ちかね??の大物ピアニスト3人のラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番の感想三連発をお届けする。実はHMVで注文したら、アムランの発売が1日延びたせいで配達が遅れ、到着したのはつい一昨日である。まずはソコロフのラフ3から。1995年7月27日録音で、随分と前の演奏である。指揮はYan Pascal Tortelier、オケはBBCフィル、ライヴ録音。


再生し始めてまず気になるのがホールのザワザワしたノイズ。これからコンサートが始まるかと思うと胸が高鳴る。音密度というか、解像度は高そうである。以前の録音と同様、出だしはノッソリ始まるが、その後すぐの細かい音型からは人が変わったかのように走り出す。かなりの快速テンポ。タッチが力強い。両手交差部分は相変わらず巧みで、展開部の和音連打は相当なスピードでやや音が荒れ気味なものの、迫力十分。カデンツァは言うことなし。深々とした重低音の響かせ方など、この辺りはロシア正統派という感じ(何でも無さそうなところでちょっとミスっているが)。第2楽章も実に手慣れていて素晴らしい。最近は横山盤やヴォンドラチェク盤など名演揃いだったのでどうかなと思っていたが、負けていない。というか、それらのどれとも違う。奏でられている音楽に余裕があるというか、懐が深い感じ。単に水平方向に濃ゆいだけでなく、垂直方向にも深い説得力を感じる。終楽章、出だしが速い!彼としてはミスが多めながら、同音連打の攻めっぷりが爽快。例の重音上がりの部分は以前の盤ではモゴモゴとしていて気付かなかったが、明らかに他盤と違うソコロフヴァージョンとでも呼ぶべきフレーズを弾いている。口で言うのは難しいが、重音ではなく左手で対旋律を加える感じで、華やかかつセンスの良さを感じる。この楽章はテンポが速めなこともあって、第1楽章と比べると結構ミスは増えてきている。曲の終わりの箇所は前半を8分音符で下降して途中で2拍3連に戻す以前と同様のもの。演奏時間は17:28/11:29/15:01で、ライヴのため終楽章は14分半ほどで終わる。前回の海賊盤??らしきCDでは第1楽章が18分を大きく超えていたので、テンポが速い方が好きな私には嬉しい違いである。ちなみに、オケの出来はイマイチ。ところどころでピッチが外れているのが残念。


トータルとしては前録音を優に超え、十分に4つ星を付けられる素晴らしい演奏なのだが、実はこのCD、私にとっては見過ごせない重大な欠陥がある



音が変なのだ。



音がごくわずかにズレてダブリングして聴こえる。最初はピアノだけかと思ったが、部分的にオケもおかしい。エレキギターを弾く人には、エフェクターで『コーラス』をかけた時のような音と言えば分かって頂けると思う。私はこのコーラスをかけた楽器の音色が大嫌いで、コーラスがビンビンにかかったギターサウンドのフュージョンがジャンルごと嫌いになるくらい苦手なのだ。はっきり言って気持ち悪くて船酔いしそうである。イヤホンでは1回通して聴くのがやっとだ。スピーカーで鳴らすとイヤホンよりはマシだが、第2楽章の緩徐部分などはとても聴いていられない。今のところネットを検索してみても「音が変」と書いているレビュワーはいない。私の耳がおかしいのだろうか?


CDケースの裏面左下には小さく「Live radio recordings by ORF and BBC」と書かれている。私の持つディスコグラフィー情報によると、どうやらこの録音は海外のエアチェックとしてラジオ放送されたもののようだ。おそらくその権利をDGがBBCから買ったのだと考えられる。


兎も角、こんな変な音のするピアノをソコロフが弾いていて気が付かないわけはないので、明らかに録音上あるいは編集上の瑕疵だろう。天下のDGがこのような音質のCDを出すということが驚きである。はっきり言ってしまえば、不良品として回収されて然るべきCDだ。これをお読みの関係者の方には、名演を台無しにしているこの音質について説明して頂きたいものである。総合評価としては怒りを込めて2つ星☆☆としたい。というわけで、私のように音に神経質な方は、購入される前に店頭でじっくり試聴するなりして、よく検討したほうがよいと思われる。




(頭に来てモーツァルトの方は聴いていない)

※後日談

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Kurt Rosenwinkel 『Caipi』
2017-02-25-Sat  CATEGORY: ギター作品
ジャズギターは私の準専門分野(??)だ。



語るとピアノ並みかそれ以上に長くなるのでこれまでブログに書くのを控えてきたが、そろそろガマンできなくなって来たのでいよいよ書く。


現代ジャズギター界の皇帝こと、カート・ローゼンウィンケルのニューアルバム、『Caipi』である。





フィジカルCDの発売日は昨日だったが、先行発売のハイレゾに手を出して聴き込んでいた(危うくハイレゾに気付かずCDを買うところだった)。家ではMac+Audirvana or VLCで鳴らし、通勤ではハイレゾのポータブル再生機を持っていないのでスマホとハイレゾ対応のイヤホンで聴いた。しかし、こないだの記事ではないが、ネット購入はなんとも味気ない。。。


カートの作品について、リーダー作は全部愛聴してきたし、彼の楽曲集のスコアを買ってにわか研究したこともある(生半可に奏法分析などをするとジャズギターマニアの方に怒られるのでやらない(苦笑))。彼の『Remedy』というヴィレッジ・ヴァンガードでのライヴ盤は私の無人島行きスーツケースに収められる最高に好きな作品だ(いつかこの盤についても書きたい)。


カートのリーダー作は2012年の『Star of Jupiter』以来、5年ぶりである。この前作『スター・オブ・ジュピター』は今をときめく凄腕ミュージシャンによる超コンテンポラリーなジャズカルテット。特にリードトラック『Gamma Band』では、もはやジャズでもロックでもプログレでもない、近未来の音楽セッションという感じの曲。ギターはリングモジュレーターを同時に鳴らしたかのような不可思議で宇宙的なサウンドで、強烈なコード進行の上を縦横無尽に未だかつて聴いたことのないソロをカートは弾きまくる。若き天才ピアニストとの誉れ高いアーロン・パークスも、ここでのソロは流石に苦しそうである(ちなみに私は同じアーロンでもゴールドバーグの方が好きだ)。



さて、話を『Caipi』に戻す。これはカート自らほとんどすべての楽器を演奏し、10年の歳月をかけて完成させたという驚きの作品である。いわゆる普通のコンテンポラリー・ジャズを期待すると肩すかしを喰う。ネット上ではライナーノーツの翻訳が読める。全曲のレビューを書きたかったのだが、こんなに立派な文章があるので書くのを止めた。しかし、ちょっとだけ語るなら、これほどまでに鮮やかな色彩を感じる音楽は初めてだ。このアルバムの美しいジャケットそのままの、実にカラフルなサウンドに満ちている。ジャズとボサノヴァを基調として、ブラジル音楽、ブルース、ソウルを織り交ぜ、さらにはテクノやポストロック、音響系への漸近までもが見てとれる(ライナーでエイフェックス・ツインが何度も引用されてるのにはビックリ)。何より驚くのは、歌入りだということだ(正しくは「声入り」かもしれないが)。声入りと言っても、ポップソングのようなAメロBメロサビの繰り返しとは違う。メロディは今までのカートの曲のテーマ調ではあるが、より取っ付きやすくそして美しい。曲によっては不可逆的な進行を見せ、プログレ的でさえある。


カートの略歴はこちらが詳しい(なぜかファーストアルバム『East Coast Love Affair』や2nd『Intuit』発売の経緯が書かれていないのが怪しいけれど)。これを読むと、カートが実は相当な宅録オタクだったことがわかるが、このアルバムはまさにそんな彼の本質が全面に出ている。彼の演奏するベースやドラム、そして以前から聴けていたピアノも上手く(当たり前と言えば当たり前だが、そのグルーヴは面白いことにギターの時とほとんど同じ!!)、多彩なゲストの起用も当たっている(目玉のはずのクラプトンの演奏だけは「?!?」と思わざるを得ない笑)。マーク・ターナーは相変わらずマーク・ターナーだし(J・レッドマンのように自己主張が強いわけでなく、C・ポッターのように先鋭的でもなく、M・ストリックランドやE・アレキサンダーのようにストレート・アヘッドでもない。要するに丁度良い)、「voice」担当のペドロ・マルティンズは、元パット・メセニー・グループのペドロ・アズナールかリチャード・ボナのようだ。声を楽器のようにジャズに用いるミュージシャンと言えばメセニーがいるわけだが、数百年後のクラシックとなりうるポピュラリティを備えつつ壮大で映画音楽的でさえあるメセニーに比べ、カートは自己の先鋭的な音楽性そのままに現代の音楽シーンに切り込んでいる気がする。それを理解する(できる)リスナーの醸成に時代の変遷を感じるのは私だけだろうか。


眼前に立ちはだかるようなコンプの効いたスネアやバスドラの音、ややラウドなベース(嫁は「床が揺れる」と)、(クラプトンに限らず)時折埋もれがちになるエフェクトかかりまくりのギター、細部までこだわったアレンジのシンセの入れ方など、宅録的に煮詰めまくった音楽である。はっきり言ってジャズの伝統的なフォーマットとは全く違うし、「ラテンジャズ」のコーナーに置くのが正しい分類だろう。手を入れ込み過ぎと感じる向きもあるに違いない。今までの彼のような、脱バップ・非ロックなジャズギターを期待していたギター小僧はガッカリするかもしれないが、私は本当に素晴らしい作品だと思う。ここには私の好きなジャンルが目一杯詰まっている。まさに、カートの新たな代表作と呼ぶに相応しい必聴の名盤である。ハイレゾはキメ細かすぎて聴き疲れするので、別ミックスによるマイルドなアナログレコードで出して欲しいが、まあ不可能だろう。


カートはこの4月に来日公演を行う。早速私はチケットを予約した。彼の実演は2010年と2011年にどちらも新宿ピットインで観た。2010年の公演では、演奏終了後にドラムのロドニー・グリーンが客席を歩いてきてある男性客の前で立ち止まり、周囲は何事かと思っていると、客の胸ポケットからICレコーダーを取り出し「これは何だ!」と怒鳴ったことを思い出す(笑)



ともあれ、現代ジャズギターの皇帝が、実は宅録オタクだったというのは私にとって嬉しすぎる驚きである。けれども最も驚くべきは、この作品の制作に「10年かかった」ということだ。これが10年前に彼の頭の中で鳴っていた音楽ならば、今の彼にはどんな音楽が聴こえているのだろう?

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ウィウコミルスカ&バルボーザのベートーヴェン・ヴァイオリンソナタ第5番「春」〜
2017-02-19-Sun  CATEGORY: お気に入りピアニストの紹介
長年欲しかったレコードを手に入れた。



barbeet



これはワンダ・ウィウコミルスカのブラームスのヴァイオリンソナタ第3番、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番「春」である。ブラームスの方は第1・2番とカップリングされてCD化されており(ヤフオクでとんでもない値段で出ているが吉祥寺ユニオンでは7000円弱で1ヶ月ほど売れずに残っていた)、ベートーヴェンの方は適当な併録が見付からなかったのだろう、おそらく未CD化でTAPE化のみされていて、それを例の図書館行脚(笑)で私は音源だけ入手していた。案の定、テープが伸び伸びで聴けたものではなかった。


これはウィウコミルスカの人気も手伝って、非常に入手が困難なレコードだ。年に数枚出るのだが、足が速い。CD&LPでは送料込みで2万円overで長いこと売られていたり(送料の値下げを業者にメールでお願いしたが「一度出品すると変えられない。申し訳ない」と丁寧かつ残念な返事が来た)、何度も見送ってきた(ちなみに、そのレコードが売れたちょっと後に日本でブログで話題にされている方がいた。お金持ちはいるものである笑)。邦盤もあり、ユニオンで出るとそれほど高くないようだ。兎も角今回、ようやくebayで比較的納得できる価格で入手できた。


入手したのは実はかなり前なのだが、あまりにショックでずっと書かなかった。それと言うのも、例に寄って盤質がNMとあったのに、重大な瑕疵があったからだ。春ソナタの冒頭でわずかに盤の山折れがあり、周期的にチックノイズが入るのだ!・・・これには本当に凹んだ。。何度か盤のその膨らみを直そうと試みてるが、勿論うまく行かない。


さらに肝心の演奏が酷い。ヴァイオリンの良し悪しなど私にはよくわからないが、それでもこの演奏はイマイチだと分かる。ピッチが不安定なのだ。バルボーザの伴奏は勿論素晴らしいのだが、ブラームスよりは目立たない感じで、とにかく残念である。唯一の慰めは、ブラームスの3番がCDよりも味わい深い音質に感じることだろうか。しかし、入手した価格を考えると失敗だっと言わざるを得ない。ベートーヴェンのみ(おそらく)CD化されていないのも無理はない、という出来である。


というわけで、私のようなバルボーザ好きの方でも無理に入手される必要はないかと思う。
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最近聴いている音楽 vol.51〜ブニアティシヴィリとクリッヒェル〜
2017-02-18-Sat  CATEGORY: 雑多な話題
忙しくて間が空いてしまった。



何故忙しいのか、4月以降に書こうと思う。まあヒマそうに見える私だがたまには忙しくなるのだ。


さて、通勤中にやっつけた2枚を。カティア・ブニアティシヴィリの『カレイドスコープ』(展覧会の絵とラ・ヴァルス、ペトリューシュカ)と、アレクサンダー・クリッヒェルのラフマニノフのコンチェルト2番。さらっと書いてしまう。


何度か書いているように、私はムソルグスキーの『展覧会の絵』が苦手である。大体、あの旋律でなぜタイトルが「展覧会の絵」なのか?私的には雄大な山々を眺めてるような感じだ(観ていた絵が山の絵だったのかもしれないが)。上手く説明できないが、嫌いとまではいかないけれど好んで聴くことはない。おまけに、kyushimaさんに(ペトリューシュカも)「△」評価を付けられている。だから今回も買おうかどうか迷ったのが安かったので聴いてみた。


最初に聴いた時は「意外にいいかも」と思った。苦手な曲なので、彼女のもはや隠しきれないオテンバ感が予想外の面白さを生んでいると感じたのだ。しかし、2回目には「やはり気ままにすぎる」と思った。部分部分は面白くても、全体のつながりというかなんというか変な感じで、おまけに技のキレも?苦手曲だから他盤との比較もする気はないのだが・・・少なくてもティエンポ盤とはかなりの完成度の差がある気がする。

ラ・ヴァルスは予想通りvirtuosity溢れる演奏で、音の五月雨という感じ。ライバル?のユジャ・ワンよりかなりテンポが速いのだが、曲に合っているのかどうか(この曲は私の好きなババヤンも演奏を残しているので久々に聴き直してみよう)。

最後のペトリューシュカからの3楽章、これは最初に聴いた時からイカンなぁとわかった。第1楽章は予想外の内声の強調や、急加減速がまだ面白いのだが、終楽章はあまりにも恣意的すぎるというか、コロコロと変わるテンポに付いて行けない。アルゲリッチはこの曲の録音を残していない(と思う)が、彼女が演奏したらこんな感じだろう。細身の女性が力任せにエキスパンダーをグイグイ引っ張ってるようなテンポ感だ。というわけで、ラ・ヴァルスはなかなかだったものの、メインの2曲はkyushimaさんの評価通りである。


続いてKrichelのラフ2。これも1回聴いて「もういいかな」と思ったが、頑張って2周した(率直に言えば、そのような評価だ)。とにかくテンポが遅い。じっくりと歌っているのだが、いわゆる勿体ぶったロシア流ではなく、いかにも生真面目なドイツ人が歌っていますという感じで、しゃくり上げたり慟哭したりというのがない。全体的にノッペリとテンポが遅い感じ。それに加えて録音がよくない。ピアノが遠く、モヤッとしていて「ホールの客席で聴いている」かのようなタイプの音質である。音像もボヤけてヌケが悪い。第2楽章など、ピアノの陰が薄過ぎてまるで「ピアノ入りシンフォニー」のようだ。急速部分のメカニックも(解釈かもしれないが)物足りない。あまりにガッカリして耳直しにツィメルマンの2番の演奏を聴いて上書きした(が、これも昔聴いたほどの感銘は受けなかった。歳を取ると変わるのだなぁ・・・それでもやはり良い演奏だけど)。


他に楽興の時の6曲。第2番のアレグロは以前書いたようにアムラン、ヴォロドス、ルガンスキー、ギンジンらテクニシャンが録音を残して私がピアニストのメカニック能力のベンチマークとしている曲だが、想像よりかなりいい。彼らトップ層よりは1.5段階ほど落ちるがそれでも相当巧い。他のリリカルな曲はようやく彼の本領発揮と言う感じで、やはり繊細で音の響かせ方に良いモノを感じる彼はコンチェルト向きではないのかもしれない(彼の既発のショパンのコンチェルトに手を出さなくてよかったかも??)。最後の自作だという「子守唄」は、辻井君のデビュー盤に収録されている絶句する名曲よりは出来がいい・・・という程度(演奏はとてもいい)。響きが現代の映画音楽的なところがあって、やはり作曲は誰でも出来るわけではないなと感じた次第。


というわけで、私と同じ嗜好をお持ちの方は、この2枚はスルーされるのが良いと思う。


それと前回、大事なことを書き忘れたが、図書館でCDを借りる際は東京の図書館横断検索カーリルローカルを利用されると良いと思う(前回の記事にも追記しておこう)。バルボーザのレア盤やその他の廃盤を探しに東京を小旅行するのも面白い。

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音楽の仕入れ方
2017-02-13-Mon  CATEGORY: コラム
今日は切り口を変えて、私の音楽の仕入れ方について。


庶民日本代表を自負するところの私のみならず、なるべくお金をかけずに様々色々良質大量な音楽を聴きたいのはみな同じだと思う。だから、ネット上の玉石混淆の情報を信じてチャレンジするわけだ。私は毎月給与明細とともに給料の全額を嫁に手渡している。支給される私の月の純小遣いは○万△千円である(悲劇的な数値なので自粛)。今日はそんな私の安くより良く大量に音楽を楽しむ方法を惜しげも無く(??)ご紹介したい(などと偉そうに書くが、きっとこのくらいのことはネットの海のどこかにすでに書かれているだろうけれど)。


①プロパーで買わずできるだけ中古で購入する

新品をタワレコ・HMVその他で買うと高い。メチャ高い。だから私の音盤購入の7割はディスクユニオンである。大体平均購入価格はクラシックが1000円〜1500円、レコードはモノにもよるが1200円程度、ロックのCDだと300円〜1500円位である(ジャズのレコードは音質や盤質にもコダワるせいか、やや高くなりがちかな・・・)。Amazonやヤフオク等では高値の廃盤でも、ユニオンなら3000円ほどの良心的(?)価格で買える(勿論逆もある)。ただし、ユニオンのない地方の方は難しい。欲しいもの、探している盤が分かっている場合は、以前書いたように在庫検索でメールを送れば通販してもらえる。この場合は送料分高くなってしまうが、一度に複数購入すればそれほどの割高感はない(都内でも自宅近くにないユニオンに行くには往復で交通費が結局400円くらいかかる)。ヤフオクなどで探している盤が出たときも、ユニオンで在庫検索をして問い合わせ、比較するようにしている(最近は問い合わせしやすくなった。店員さんは大変だろうと思う)。


ただし、ユニオンに最新の盤が安く落ちてくるまでは数年単位の時間がかかる。すぐに買わなくてもいいかなと思う盤はユニオン待ちすることにしているが、気になるアーティストの盤はやはり新品プロパーで購入する。タワレコよりもHMVの方がまとめ買い購入すると安いようだ。尤も、高い新品で買いたいと思う盤が複数同時に溜まることはあまりないのだが・・・。


②オークションとAmazon・海外通販は猜疑心を持ちつつ使う

私が主に利用するのはAmazon、ヤフオク、ebay、Discogs、CD&LPである。その他に稀に海外の老舗レコード通販も利用するが、主にはこの5つで、挙げた順によく利用する。Amazonは個人業者の売り上げの2割近くを手数料で持って行くので中古は意外に割高である。ただし、たまに1円とか数百円とか意味不明な価格で買える盤があるので、これを利用しない手は無い(おそらく固定料金の送料で利益を上げているのではないか)。海外Amazonはアメリカ、UK、ドイツ、フランスなどを利用。送料がやはり高いので、欲しいもの狙いの時に限る。はっきり言って、モノが$10以下くらいでないと送料込みで3000円を超えてしまうためなかなか手が出ない。よほどの欲しいものが、タイミング良く見付かった時にだけ利用している。


ヤフオクは価値を知らない業者がレコードを出品する時などに美味しく購入できる。先日の岡田盤などがそうである。ただし、ジャズやロックなど、リスナーが多く競争率の高いジャンルは値が高くなりがちなので利用しない方がよい。そう言う意味でクラシックのレコードは非常に狙い目である(有名な廃盤CDは概して高いのでユニオンで気長に探した方が良い)。また、ヤフオクはTポイントカードと紐付けが可能なので、(Amazonとは違い)ポイントで結構安く買えることもある。


ebayは長年の探しものに利用する。主にレコードが多い。以前書いたように海外のレコ屋の盤質は日本に比べて極めて甘く、EX程度では手を出さない方が無難。最低でもNMやM-程度から購入を検討した方がよいと思う。これもクラシック(Melodiya盤など)は恐ろしく安く出ることがある。未CD化の盤かどうか調べ、開拓者精神で買ってみるということを個人的な楽しみとして続けている。10年以上前はほとんどebayで買っていて、毎週毎週海外から届くレコードの入った四角く薄い段ボールに、郵便配達の方は怪訝な顔をされていた。


今、急速に勢力を伸ばしていると思われるのがDiscogsである。オークションの、落札までの入札の応酬による値段釣り上げがかったるい利用者が(ヤフオク利用者がメルカリに流れつつあるように)ebayなどから移ってきたのではないかと考えている(販売する方も早く在庫が捌けるというメリットがあるのだろう。ただし、メルカリで音盤などを買ってはいけない)。ロックリスナーにはすでに国際最大手(?)通販としての地位を確立しつつあるが、はっきり言って、クラシックはまだまだお話にならない(例えばBarbosaで検索してもらえればわかるがまだまだ情報が薄すぎる)。ロックなどリスナーの多いジャンルは非常に強いのだが・・・。しかし、これの良いところは、アーティスト情報の蓄積が単調増加であることだ(レア盤情報が登録されれば、その盤が売り出されるのをひたすら待てばいい)。世界中に広まりつつあるためどんどん出品されるのも強みだ。私は欲しいものをリストに登録しているので、ひっきりなしに出品を知らせるメールが来る。今後はDiscogsが主流となることだろう(しかし、ロックやジャズはすでに高値安定で、私からすれば面白みがない)。


CD&LPは立ち上げ時には伸びるかと思ったのだが、そうでもなかった。とにかく、サイトが重いし、検索も使いづらい。レコードの情報なども業者によってマチマチでその上、曖昧である。たまにebayやDiscogsでも見ないレア盤がドンと出品されていることがあるが、高い!お金持ち向けかもしれない。フランスやイタリアなどの、英米以外の国のレコードは意外に良いものが売りに出ている(MAGMAのオリジナル盤もここで買った)。


ともかく、海外通販系は価格を比較し、盤質等も疑いの目を持って利用することが(庶民には)大事だと思う。最後は「当たればラッキー」くらいの気持ちで利用するようにしている。


③NMLを利用する

先日、ナクソス・ミュージック・ライブラリについにMelodiyaが参加した。私はジュスマルダホスさんのつぶやきで知ったが、それこそ眠れないくらい興奮したものだ。月額1,850円(+税)で極めて大量のクラシックを聴けるのは素晴らしい。これからはこのようなストリーミングが主流になっていくのかもしれない。我が家はPTNAの指導者登録経由でNMLを利用しているので年額1500円で利用している(勿論、それ以上の額をPTNAに払っているわけだが・・・それでも幾分お得なのかな??)。


NMLは利用者の状況で音が途切れたりする場合がある(特に開始初期は酷かった覚えがある)。また、昔はNMLの音源を聴くプレーヤーでmp3化がそのままできたのだが、すぐに出来ないものに取って代わってしまった。そのため、音源を外で聴くにはいちいち外部媒体(PCやICレコーダー)で録音しなければならない。この手間は相当なもので、おまけに(デジタルでなければ)音質も劣化する。

また、PCでのストリーミング再生はスタジオK'sの山本さんなども書いていたような気がするが、再生に使用するソフトでも、さらに言えばWinかMacでも音が違う(私は一時期Macのデジタルパフォーマーを使って再生していたが、面倒過ぎて止めた)。良い音で再生するにはそれなりの投資が必要だと思うし、音楽ソフトを購入するだけで精一杯の私はオーディオ機器の拡充にまで手が回らない。PCでのリスニングについては次項でも考えたい。



④ハイレゾ音源を購入する

ハイレゾが本当に音が良いかは、平凡な耳の持ち主である私には自信がない。「音源聴き比べ」でも書いているが、「なんとなく」「先入観」が入っている気がしないでもない。ただし、フィジカルメディアであるところのクラシックSACDは廃盤になると非常に高価なため(ESOTERICなど)、ネットのハイレゾの方が安く買えるのは間違いない。スティーリーダンなども、SACDやDVDオーディオはユニオンで4000円近くになるがハイレゾだと定価なまま安く聴ける。ラトル&BPOのブラームスの交響曲全集は、SACDはユニオンでも滅多に出ず高いが、ネットでは常時買える。オーディオユニオン店員さんとも話したが、昔の音源のハイレゾ化は当たり外れが多すぎる。マスタリングエンジニアの腕に依るところが大きい。




しかし、ネット購入は味気ないな。。。




情けない告白だが、モノを所有したいという思いは音質の良し悪し以上に大きくなることがままある。その折り合いの付け方の、私なりの結論はこの項の最後でご紹介する。



⑤図書館でCDを借りる

東京都在住の方限定のお話。とにかく文京区立図書館が最強である。オススメは、小石川・本駒込・目白台の3館。ジャズ好きなら、この3つを回れば一通り名盤は揃えることができる。学生の頃はバイクで図書館を幾つもハシゴし、文京区(ではないが)周辺に住んでいた頃はチャリンコで通って借りまくった。ノートPCを持って図書館に行き、1度に何枚も借りては近くのマックで取り込み、すぐ返却するという涙ぐましい貧乏人テクニークを一日中何度も繰り返した。最盛期は図書館だけでひと月に100枚以上のアルバムを借りて聴いていたと思う(金は無いが時間だけはあった)。私のジャズ仲間達はみな文京区立図書館でCDを借りてからセッションに集合していたことを思い出す。音源の共有も仲間内でしまくっていたのでジャズのスタンダードなCDはほとんどお金がかからず揃った。


クラシックも新譜が頻繁に購入されるので、(大変待たされることもあって近所に住んでいない最近は利用していないが)オススメである。以前書いたが、ツィマーマンのブラームスのピアノソナタはユニオンでも2万円overだが目白台図書館にはフツーにポンと置いてある。ペトロフの最難関、フリエールメモリアルのシチェドリン4番は文京(・中野・港)区立図書館で借りることができる(こんなこと書くとヤバいヤツと思われそうだなぁ……)。大事なことを書き忘れたが、文京区民でなくても借りることができる。ただし、この4月から文京区民優先制度が始まるので少しだけ不便になる。


PCに取り込む時は容量がかさむが出来るだけwav形式で行っていた。イヤホンその他で聴く時はそこまで気にならないが、CDに焼いたりPCからリビングのスピーカーで再生するときなどはさすがにmp3やAACでは音が悪い気がする(嫁も怒る)。最近は2テラのHDDも非常に格安になってきたので、幾つか買って大量の音源を保存している(私がたまに使う「ライブラリ」という言葉は、CD棚・レコード棚だけでなく、このようなHDD棚も指している笑)。


リスナーの数からして当然だが、ジャズやクラシックに比べてロックは競争率が高く、特に新作は図書館予約でかなり待たされる。数十人待ちで数ヶ月かかるのがフツーだ(だから待ちきれず買ってしまう)。それでもロックの基本的な名盤は文京区立図書館でほとんど手に入る。ロックとポップスの品揃え(??)は小石川図書館が素晴らしい(ジャズは目白台、クラシックは本駒込かな)。院生の頃、付き合っていた女性が御茶大の研究者だったため、私はバイクを茗荷谷周辺に停め、せっせと小石川図書館でCDを借りて聴いていたのを思い出す(なんて切ない青春だ)。ちなみに小石川図書館ではレコードも借りることができる(さすがに借りたことないけど)。こんなこと書くと図書館のクラシックCDの競争率が高まってすでにご利用の方に怒られそうだが、所詮私程度のブログだからご容赦願いたい。

※追記※
図書館でCDを借りる際は東京の図書館横断検索カーリルローカルを利用されるとよい。


ただし、図書館で借りると手元にメディアとして残らないのでやはり所有欲が満たされることはない。私にとって図書館でCDを借りるのは、あくまで「一通り聴くための勉強」「(言葉が悪いが)試聴・味見用」として利用しているようなところがある。例えばyoutubeはそのような利用の仕方ができるだろうが、なにか自分で汗をかいていない気がして(ジャズプレーヤーの演奏を勉強する以外)私はそれほど見ない(ハマると一晩見続けてしまうし)。




では、所有欲・音質・予算の三拍子が揃った音楽の仕入れ方は何か?





勿論、結論は出ていない(結局は出来るだけ金を稼ぐしかない??)し、誰もが納得する方法などあり得ない。が、私なりに導いた一つの音楽購入の在り方がある。




それはレコードで聴くということである。




金の無い学生の頃、先輩が「CDが高くて買えないならレコードで聴くと良いよ」とアドバイスしてくれた。20年近く前のまだCD全盛の勢いが残っていた頃、ロックやプログレ、フォーク、ファンクの定番は100〜300円でゴミのようにユニオンに売られていた(ジャズはやや高かった気がする)。その価格は(若干高くなったが)今でもほとんど変わらず、安く買うことができる。しかも最近はご丁寧にダウンロードコード付きのレコードなんかも新譜で売られている(売る方も考えている)。


最近のアナログブームは私からすれば当然のことと思ってしまうが、そんな若輩者の私をアナログ全盛の大先輩方は鼻で笑われることだろう。


やはりアナログは雰囲気が違う。現代の技術の粋を極めてリマスタリングしても、そこに当時のミュージシャン・プロデューサー達が当時の空気感の中で吹き込んだ音質は詰まっていない。特にジャズはレコードで聴いて初めてその良さが分かった。プログレも「CD化の際のリマスタリングが失敗」と話題になることの多いジャンルだ(プログレのガイド本などで私の好きなライター/ディレクターの深民淳氏が「現行CDはゴミ」などとザッパリ切り捨てているのが面白い)。今ハマりつつあるのはHR/HMのアナログだ。加齢と共にメタルが耳にキツくなってきたが、レコードだと実に耳に柔らかくなじむ(年始にスリップノットの持ってなかったのを買ったりしたがまだ聴けてない笑)。


オリジナル盤を購入することは私にとって物欲の究極の消化(昇華??)の方法であるが、再発レコードなら安くリーズナブルに、アナログの音を十分に楽しめる。クラシックで言えば、弦モノはCDでは味わえない重厚で鈍く光るような太い音色が味わえる(内周に近付くにつれて歪みが出るのが残念だが・・・)。さらにジャケも大きく、デザインを楽しめる(私は「花より団子」だけど)。同じアルバムでもレコードによって盤質(キズや歪み、ノイズ)が全然違うから1枚1枚に愛着がある。つまり、極めて大げさに言えば、中古で購入したレコードはその時点で世界に1点モノなのだ。モノを所有する喜びも満たされる。


ジャズに関して個人的なことを言えば、2000〜3000円でハイレゾを買うより、数百円で国内盤LPを買ったほうが断然良い。レコードをかけ替えるのが手間という人には向いていないけれども、音の雰囲気というか力強さが全然違う。以前ロリンズのサキコロのところで書いたように、レコードの音はデフォルメされているのにリアルなハイレゾを上回るのだ。人間の耳なんていい加減なんだろうと思う。



そんなレコードの欠点は、持ち歩けない&場所を取る、ということである。録音してデジタル化するのは手間(と言いつつ頑張ってお年玉化しとるわけです)だし、それならCDを・・・と思って結局二重買いしてしまい、さらなる散在に陥ってしまう。狭い我が家ではレコードの置き場がもうない。売ろうにもユニオンでも捨てるような値段しか付かない。必然的にレコード仲間にプレゼントすることになる。ちなみに、尊敬するいしうら氏のお宅は私の比ではなく、膨大な書物とも相まってレコ部屋に居るとき地震が起きたら命を落とすのではないかと恐怖するレベルだ。音盤道はかくも厳しい。。



さて、この年末年始にユニオンで買ったクラシック以外の中古盤CD(ロック・POPS・ジャズ等)の一部が下である。


rockcd


ほとんどが500円前後、中には5枚で680円などというものもある。実に格安でロック・ポップスの近年の定番を購入できた(文京区立図書館で借りてこの音源を揃えるには5年はかかるだろう笑)。この冬はインディーロックを主に聴いた。これにレコード、図書館、NMLが加わる。一体、自分でもどこに向かっているのかと思う量だ。。



長々と駄文を書いた。まだ感想を書けていない盤があるので、次回から通常運行に戻る予定である。

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