音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
スポンサーサイト
-----------  CATEGORY: スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ページトップへ
岡田博美のデビュー盤
2012-06-04-Mon  CATEGORY: 廃盤再発推進委員会
今回は私が日本のアムランと勝手に思ってる(アムランの方が年下ですが)岡田博美のデビュー盤?のリスト集をご紹介。曲は3つの演奏会用練習曲、ペトラルカのソネット第104番、指摘で宗教的な調べより第3曲孤独の中の神の祝福、2つの演奏会用練習曲です。1988年、ロンドンEMIアビーロードスタジオでの録音で、当時30歳頃の演奏ということになります。


岡田博美


これは岡田博美が最初に出したCDと思われるのですが、本人のホームページのディスコグラフィーには記載がなく(レーベルの問題?)、ヤフオクやAmazonの中古でも見かけない状況が続いています(ちなみに彼の音源としての最初の盤は第2回日本国際音楽コンクールのLPだと思われます)。


内容は彼らしい洗練された技巧が全開で、どこまでもスマート。反面、シリアスさや重厚さに欠けるきらいがあるというか、軽量級というわけではないのですが、もう少し輝かしく力強い和音や音色の変化が欲しいところです。また、音楽性の面でも深みというか、もう1段踏み込んだ表現が足りない感じ。日本人は(例えば横山幸雄もそうですが)テクニックは凄いのに歌心に欠けるテクニシャンが多いような気がします(その意味では、2003年のエリザベート5位の松本和将などは、珍しく非常に音楽性にも優れているタイプで、個人的にお気に入りです)。しかし、(ライナーにも書かれてますが)日本人でこれだけのスマートなリストを弾ける人はそうそういないでしょう。


第1番悲しみは落ち着いた雰囲気の中、甘美な旋律を奏でる部分でも、ややモノクロームなピアノの音色が引き締まった印象を与えています。第2番軽やかさでは絹のヴェールを纏ったかのような滑らかさ極まる指回り。リストというよりショパン的演奏。第3番ため息も同様。ペトラルカのソネットは数多の競合盤と比較して、響きの美しさや力強さには欠けるものの、続く孤独の中の神の祝福では、スタティックとさえ言える表現の中から旋律が静々と湧き出てくるような美しさがあります。このようなヴィルトゥオジティを全く感じさせない洗練されたLisztのアルバムは、ある意味とても貴重かも(個人的にはそこにこの盤の最大の価値を感じています)。


この中で特に素晴らしいのは、トリを飾る小人の踊り。いかにも彼向きの選曲でこれを最後に持ってきたのも納得の出来の極めて鮮やかかつ流麗な指回りで、細部の精緻さではあのクズミンの演奏よりも上かも(単に演奏の方向性の問題かもしれませんが)。個人的に同曲のベストの演奏だと思ってます(ちなみに演奏時間は2:47)。


岡田氏の録音ではアルベニスのイベリア、ベートーヴェンのハンマークラヴィーア、それにシマノフスキのソナタをよく聴きます(録音が悪いのが残念)。前述した第2回の日本国際のLPではブラームスのパガニーニ変奏曲とプロコフィエフのコンチェルト2番を弾いており、長いこと探してるのですが出てきません(この第2回のヴァイオリン部門のLPは先日見かけたのですが・・・)。


最近は年齢からか技巧の衰えも感じさせる彼ですが、テクニック的に全盛期と思われるこの盤は是非再発して欲しいと思います。
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
未CD化のレコードあれこれ~ショパン編~
2012-05-20-Sun  CATEGORY: 廃盤再発推進委員会
ショパンのソナタの聴き比べをしようと思ってフー・ツォン(Fou Ts'ong)の古いレコードを久々に聴いてみたら、未だにCD化されていないと思われる好盤が幾つか出てきたので、それをネタにエントリーを立ててみようと思いました。とりあえず今回はショパンの未CD化LPで気に入っているものをご紹介します。以下でCD化されているレコードがありましたら是非ご一報頂けると幸いです。



まずはそのフー・ツォンのレコードから。この人はショパンのノクターンが名盤として有名(入手困難)ですが、確かに素晴らしい。それを再発してもらうと共に、是非未だCD化されていないレコードも復刻して欲しいと思います。始めはショパンのソナタ第3番。

フー・ツォンソナタ

ネットでほとんど情報を見かけませんが、ebayなどではいつも売りに出ています。録音は59年と古く、小ホールの少し離れた位置で聴いてるような遠い音像でよくないものの、演奏はかなり良いです。骨太でしっかりとした歌い方が印象的です。


続いてエチュード。

フー・ツォンエチュード1

フー・ツォンエチュード2

激レアとして評判らしいですが、ebayではたまに見かけます。入手した時は続けざまに2枚手に入れたので実際にはそこまで入手困難ではないかも。演奏は非常に良いです。やはり線の太い、ガッチリとしたタッチで明晰に弾ききっています。10-1からして意外なほど力強く、10-3など「別れよう!」とサッパリ男らしく健康的に訴えかけてくる感じ。10-5、25-2も安定した羽根のようなタッチが印象的。10-12、25-11、25-12も重量感のある打鍵で迫力があります。10-4、10-6など、解釈なのかもしれませんがやや重いかなと感じます。どちらかと言えば長調の曲のほうが彼の語り口とマッチしてます。テクニック的には全曲を完全に手中にしていて楽々と弾いてる感じで凄まじいです。彼のレコードの中では真っ先にCD化すべき名盤でしょう。


フー・ツォンの最後はプレリュード。

フー・ツォンプレリュード

本当の激レアはこちらの方ではないかと思うのですが、youtubeで親切な人が全曲上げてくれているようです。こちらはけっこう個性的というか止まりそうなルバートなど振幅の大きいロマンティックな演奏。

他にもフー・ツォンのショパンのLPはバラード全曲と前奏曲等の入ったものなどがありますが、未入手。ebayなどではけっこう見かけるのでそのうち入手したいと思ってます。



続いては日本人、山崎孝のショパン・エチュード。



デジタルなショパンのジャケが購買意欲を萎えさせますが、流石エチュードの校訂をしているだけあって演奏はなかなか聴きごたえがあります。10-1は後半疲れてきたのかわずかにテンポが落ちるものの、きっちりしていて明晰。10-2は少し遅め。10-3も情感たっぷり。10-4は最後の最後で一か所左手が抜け落ちてる?…細かく聴けば粗は出てきますが、それでもこの弾きっぷりは是としたい内容。全体的に遅めのテンポで、エチュード的な要素よりも音楽性の面を重視している感じで、Op.25の方が出来がいい。じっくり聴けるタイプの演奏です。



エチュードと言えば、真っ先にCD化しなければならないのがウェルナー・ハース(Werner Haas)のこのLP。

DSCN2283.jpg

「なぜこの素晴らしい演奏がCDになってないの?」というネットの声が多数の超名盤です。ロマンに傾き過ぎず端正にカッチリ弾いた模範的な演奏なので、教育者にもウケが良いとか。特に凄いのがOp.10。洗練された清潔感のあるテクニックが全開(ちなみにOp.10だけを1枚に録音した高音質LPが出ています。素晴らしい)。これは今回紹介したレコードの中でもいの一番にCD化すべき内容でしょう。※2014/12/4追記iTunesでダウンロード販売されているようです。これは朗報!



お次は若かりしダン・タイ・ソンのショパンアルバム。



ソナタ第3番、エチュードと前奏曲が数曲にノクターンOp.27-2が収録されています。このソナタ3番は以前にもちょっと書きましたが、近年出た勿体付け過ぎな新録音よりもストレートでそれでいてテクニックも洗練されていて、正統派の名演だと思います。なぜこのレコードをCD化しなかったのか不思議に思います。



ソナタ第3番では、kyushimaさんがCD化して欲しいレコードとして紹介されているワイセンベルクのこのLP。

DSCN2292.jpg

センチメンタルとは無縁の潔い演奏で、特に終楽章は高速テンポで縦横無尽にザクザクのキレキレ。この曲のベタつき加減と湿っぽさが苦手な方には最高にオススメです。併録のスケルツォも同様の見事な演奏。哀しいことに彼もついに亡くなってしまいました。



こちらは前回の記事で紹介したアントニオ・バルボーザのポロネーズ集。

DSCN2282.jpg

聴き直してみましたが、やはりこのピアニストは凄い。彼の音源は全てCD化すべきです。ebayやCD&LP.comなどでよく見かけるのはワルツ集とスケルツォ集。それに比べてこのポロネーズ集はソナタ集と並んで激レアで、滅多に出てきません(ちょくちょく探してる実感から)。ワルツ集は持ってるはずなのにどこかに行ってしまいました(泣)買い直さねば。彼はソナタ・スケルツォ・ワルツ・マズルカ・ポロネーズと録音してるので、ひょっとしたらバラードやエチュードも録音してないのかなとの淡い期待をしているのですが、全く情報がない。



最後にご紹介するのはアレクサンドル・スロボヂャニク(Alexander Slobodyanik)のショパン・エチュード。



第3回チャイコフスキーコンクール(1966年)で第4位に入っており、EMIからショパンの3番でデビューしたAlexの父親です。これが個人的にかなりイイです。ライヴということもあり、1曲1曲の完成度を聴くのではなく全曲通してひとまとまりに聴かせます。数多のスタジオ録音と比較すれば多少雑なところがありますが、ライヴであることを考えると完成度は高いし、いかにもロシア的な推進力というか迫力ある情緒に溢れています。ショパンらしくはないですが個人的に愛聴しています。全然関係ありませんが、映画俳優並みの相当なイケメンです(息子の方は顔も演奏も父親には勝ててません)。彼は2008年に65歳の若さで不慮の死を遂げたということで、大変残念です。


というわけで、気が向いたら他の作曲家のレコードについても書こうかなと思います。


ページトップへ  トラックバック0 コメント8
ニコライ・トカレフのシェエラザードほか
2007-11-25-Sun  CATEGORY: 廃盤再発推進委員会
気に入ってる盤なのですが、廃盤なのかあまり見かけないのでご紹介します。ロシアの俊英、ニコライ・トカレフによるオムニバス集です。


tokarev.jpg



曲目はベートーヴェンの熱情ソナタ、チャイコフスキー/プレトニョフの『くるみ割り人形』、リムスキー=コルサコフ/クルサーノフ編曲の演奏会用幻想曲「シェエラザード」、それとリストのラ・カンパネラです。ちなみになぜかくるみ割り人形とラ・カンパネラがライブ録音になっています。2006年と比較的最近の録音です。


トカレフと言えば、若い頃(今でも十分若いですが)から若干アイドル的な扱いでデビューして、若さ溢れる思い切りのいいピアニズムを聴かせてくれるピアニストというイメージがあるのですが、これもそんな印象です。


1曲目の熱情ソナタは非常にデッドな録音がベートーヴェン向きで、サクサクバリバリ力強く進みます。第1楽章は低音を轟かせる箇所もあり、このようなベトソナもたまにはアリかなと思いますが、急速部分のツナギ目でタメが入ったり、微妙に雑なタッチが出るところが勿体ないです。終楽章の推進力はなかなかのもの。尚、この曲はスタジオ録音なのですが、一発録りに近い録音だったのか明らかなミスタッチが残っています。


続いて聴かせどころ満載のチャイコフスキー/プレトニョフのくるみ割り人形。この曲はライブ録音だしワディム・ルデンコの名演(これも廃盤・・・超お気に入りのアルバムなのに)があるので、対抗馬足りえないだろうと思っていたのですが、意外にも聴かせる音楽性で攻めてきていて、ロマンチックな弾きっぷりが奏功してます。間奏曲での薄いヴェールをかけたような柔らかいタッチと、その後のトレパックでの歯切れの良い打鍵の対比が面白い。さすがにノーミスというわけには行きませんが、ノリは抜群。アンダンテ・マエストーソはテンポの速さはそれほどでもありませんが(演奏タイムは6:03で、ルデンコは4:56)、盛り上げ方が実にドラマチックでスケールがでかい。ライブ録音が本人にあっているのでしょうか、活き活きとしている様子が伝わってきます。ミスも少なく、完成度も高いと思います。


そして、メインのシェエラザードですが、これは猛演と言ってもよいのではないでしょうか。1曲目のベートーヴェン同様、デッドで歯切れの良い録音に乗せて出だしからバキバキ弾きまくり。それでいてデュナーミクも深みがあり、若い頃の攻め一辺倒から随分進歩したなあと感じます。「海とシンドバッドの船」のところは、巧みなアゴーギクで船に揺られている感じが上手く出ています。「カレンダー王子の物語」は彼らしい思い切りのよい技巧が炸裂しており、打鍵が強すぎてちょいとうるさい感はあります。何より増して凄まじいのは、終楽章の「バグダッドの祭り」。こんな激しいピアノ曲を聴くのは、ヴァインのピアノソナタ以来かも。深甚なカタルシスを感じさせる強烈な打鍵、轟音、指回り。他の録音を聴いたことはありませんが、これは稀有な名演と言って差し支えないと思います。


ラストのラ・カンパネラはアルバムの埋め草という感もありますが、ライブながらミスも少なく、同音連打の粒の揃いも良く、安定しています。この超有名曲はガヴリーロフの真っ向勝負な演奏が好きなのですが、それよりは柔らかく、技巧的にスマートな感じでした。本音を言うと、最後は彼らしく爆発してくれるのかと思いきや、低音の炸裂はまずまず凄いですが、あくまで想定の範囲内(笑)でした。


というわけで、先日ついに大手からメジャーデビューを果たしたトカレフの、その直前に出たと思われるこのCD。何故か手に入りにくいようですが内容は素晴らしいので見つけたら即getをお薦めするとともに、再発を願う次第です。


※追記:シェエラザードはルール・ピアノフェスティバルvol.9というアルバムでライヴで弾いているようです。まだ現役盤のようですから、聴いてみたい方は入手してみてはいかがでしょうか(自分は持っていないのですが・・・)。
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
ニコラ・ホール/ギター・リサイタル
2007-08-11-Sat  CATEGORY: 廃盤再発推進委員会
私事ですがギターという楽器を嗜んでおりまして(注:クラシック・ギターではありません)。普段クラシック・ギター関係のCDはあまり聴かないのですが、その中で聴いて腰が抜けるほど驚いたCDをご紹介します。


イギリスの女流ギタリスト、ニコラ・ホール(Nicola Hall)のギターリサイタルです。






一言で言ってしまえば、『女版山下和仁』でしょうか。実際、世間ではそのように喩えられているようです。ジョン・ウィリアムスにも師事した彼女は多くの国際コンクールで受賞歴があるようです。


とにかく、テクニックが女性とは思えないほど豪放かつ精巧、そして編曲も(山下ほどではないですが)大胆です。収録曲はラフマニノフの前奏曲ト短調、ファリャのスペイン舞曲第1番、アルベニスのグラナダ、サラサーテのサパテアード、パガニーニの奇想曲、バッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番、ヴァイオリンソナタ第2番ほかという、鴨が葱背負って鍋に飛び込んだみたいな、てんこ盛りの2枚組。


ここではラフマニノフのあの有名な前奏曲が、実に魅力的なギター曲として生まれ変わっています。元々この曲は行進曲風の小気味良いリズムが肝の曲だと思っているのですが、それがギターという楽器のリズム的特性(ピッキングで生まれる独特のノリ)にピッタリとハマッているのです。よくもまあこんな編曲を思い付いたなあというのが正直なところ。続いて、ファリャの『はかなき人生』はさらに凄まじいテクニックが垣間見れます。人間一人で弾いているとはとても思えません。アルベニスも実に音楽的な演奏。表情付けが巧みで、サラサーテのサパテアードでも、高音部の細かなトリルを挟んだ装飾音と低音部の弾き分けがとりわけ素晴らしい。パガニーニのカプリース第24番は山下和仁ほどの迫力やスピード感はありませんが(ちなみに山下盤は未だCD化されておらず、LPのみです。併録はあの『ハンガリー狂詩曲第2番』)、右手の表情付けが多彩。ピツィカート奏法を意識したピッキングの完成度には舌を巻きます。


そしてバッハのパルティータ第2番。数多の他盤と比較すると、どちらかと言えばヴァイオリンの原曲を活かした編曲になっていると思います。最後を飾るシャコンヌはヴァイオリン版、ピアノ版、ギター版(さらにはマリンバ版、チェンバロ版)など、色々聴いているので容易には満足出来ないのですが、この演奏は素晴らしい。というか、技巧面では(3種ある)山下盤に次ぐものと言ってよいでしょう。ここでもヴァイオリンを強く意識した音数をあまり増やさない編曲になっており、山下編と比べて多少音圧の面で物足りない部分はあるものの、第Ⅰ部の半ばから後半にかけての急速部分は非常に聴き応えがあります(というか、この部分は山下盤以外はどれもテンポが遅すぎて爽快感に欠けるので、フラストレーションが溜まります)。弟Ⅱ部冒頭の多声部で歌われる箇所は一部がオクターヴ上げた編曲になっているのが面白い。全体的にストレートに誤魔化しなく挑んでいて、それでいて高い完成度を誇っているのが凄いです。


というわけで、長くなったので他の曲についてコメントするのは止めますが、どれもギターという楽器の素晴らしさをアピールするのに十二分なアルバムと言えるでしょう。指の故障や結婚により引退してしまったという情報もあり、実に残念でなりません。そんな彼女の名演に再び注目して頂きたいという思いを込めて、声を大にして再発を求めます。
ページトップへ  トラックバック3 コメント2
アシュケナージ・イン・コンサート/ショパン・リサイタル
2007-07-10-Tue  CATEGORY: 廃盤再発推進委員会
a.jpg



アシュケナージと聞くと皆さんは何を思い浮かべますか。

万人向けの凡庸で平凡な演奏、多すぎる録音数、巧いけど華がない、指揮者としても・・・いやいや、個人的には決してそんなことはないと思います。少なくともこの録音においては。今回はそんな凡庸の天才、ウラディーミル・アシュケナージの若き日のショパンを推薦したいと思います。


ここには1964~72年の、若かりし頃のアシュケナージの演奏が収められています。収録曲はすべてショパンで、ピアノソナタ第2番、ノクターン、マズルカ、ワルツ、スケルツォ第4番、舟歌、3つの新エチュード遺作等です。どの曲も、後年の彼からは想像できないエネルギッシュで推進力に富みニュアンスが豊かで、そして何より「情熱に満ちた」演奏になっております。アルバムの中核をなすソナタ第2番の72年ライヴは、第1楽章冒頭の分散和音の弾き出しがぎこちなくてちょっとガクッとしますが(手が小さいせい?)、第1主題のテンポからして相当に速くて威勢が良く、「これ、ホントにアシュケナージ?」と思うこと間違いなしです。スケルツォの和音連打は迫力十分にたたみかけ、葬送行進曲の切迫した主題も異様なまでにテンションがみなぎっており、フィナーレはタッチが軽めではありますが、地面を低く吹きすさぶような風のごとき勢いに満ちていて、「これ、ホントにアシュケ(ry)」と思うこと間違いなし。よくぞこの演奏をライヴ録音してくれていたものです。


他の収録曲も良いです。録音年が古いことから音質はあまり良くないのですが、それでもアシュケナージのショパンに抱いていたイメージがひっくり返ることでしょう。混み入った和音や細かい装飾音はあまり美しく鳴らしているという感じはしませんが、ストレートな解釈で語り口にも品があります。特に、ノクターン第4番へ長調がメリハリの付いた演奏で二重丸。マズルカ変イ長調は少しやぼったいかな。ワルツもライヴらしくノリのいい佳演。聴衆も熱烈な拍手を送ってます。65年録音のスケルツォ第4番はダイナミックレンジはあまり大きくないものの、急速部分のパッセージの細かさなどにはテクニシャンの彼らしい安定感があります。舟歌は柔らかなタッチで聴かせますが録音レベルが低く、音質も悪いのが惜しい。3つの遺作エチュードはまだ曲への感度が低いのですが、これも悪くない演奏だと思います。


というわけで、手に入らないものは無さそうなアシュケナージの録音の中で、このCDは現在何故か廃盤のようです。アシュケナージにあまり良いイメージを持っていない方に聴いてみて頂きたいと思います。そう言えば、アシュケナージはラフ3の録音を4つも残していますね。そのうち新旧聴き比べに書こうかな。
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
<< 2017/11 >>
S M T W T F S
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -


余白 Copyright © 2005 The melody at night, with you. all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。