音楽好きの世迷い言
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クラシックピアニストの未来〜AIは音楽を奏でるか〜
2017-07-22-Sat  CATEGORY: コラム
最近、次の本を読んだ。

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ルトガー・ブレグマン著『隷属なき道〜AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働〜』

帯が鮮烈である。

「福祉はいらない。お金を直接与えればよい。」

裏帯も衝撃である。

「貧困は個人のIQを13ポイントも低下させる」

「貧困家庭の子どもは、奨学金の制度があってもそもそも申し込まない」

「福祉制度を全てやめて、直接お金を振り込むと、人々は学び働きだす」

「今日では、わずか62人の富豪が35億人の総資産より多い富を有する」

「米国人の仕事の47%、欧州の人々の仕事の54%が20年以内にAI・ロボットに奪われる」


本では、さらに詳しく根拠となる数字を、そのソースと共に説明している(巻末に膨大なリファレンスが載っている)。

「2009年、ロンドンの13人のホームレスに3000ポンドを与えた。見返りどころか紐も何もついていない。自由に使うことができる。一年後、彼らは平均で800ポンドしか使っていなかった。さらにその半年後には13人のうち7人が屋根のある生活をするようになり、他2人もアパートに移ろうとしていた。そして13人全員が、支払い能力や個人的成長へとつながる重要な足がかりを得ていた。ソーシャルワーカーの賃金を節約して、ただ単にお金を与えることが最も効果的であった。」

「貧乏人はお金の扱いが下手だと、我々は思い込んでいる」等々、にわかには信じ難い報告がたくさん書かれている。ベーシックインカムについては漠然とwikiで読んだ知識しか持っていなかったが、とにかくこれには驚いた。著者は「働き過ぎ」についても延々と非難しており、(過労とパワハラとで転職した私も含め)多くの日本人には耳が痛いのではないか。そのような社会構造そのものの改革を著者は主張しており、なるほどと考えさせられること多大であった。しかし、私が書きたいのはこれではない(これは一応音楽系ブログである)。以前も書いたがAIの話である(ちょうど今、マツコが初だというNHKでの司会でAIの番組をやっている。興味深い)。




AIは近いうち人間のピアニストを超えるのではないか?





という危惧が私にはある。近いうち、とは5〜10年を指す。現に、「Band in a box」というバンドマン向けの老舗アプリは確か10年以上前からあるが、ジャズのインプロヴァイズを「誰々風」として指定すればアドリブをとってくれる。哀しい事にその演奏は、私の演奏よりも遥かにジャズでカッコいいのだ(なんてことだ)。


クラシックピアノは楽譜通りが(基本的には)尊ばれるのでMIDI等で対応しやすい。ナナサコフの存在も20年近く前からある。将棋の名人が過去の棋譜を大量に学習したAIに負けたのが話題となったが、同じように有名ピアニストの演奏をAIに何百何千と読み込ませれば大変なことになるのではないだろうか。人間が「感動しやすい」アゴーギクやデュナーミクが解析されれば、ノーミスで楽譜を再現できる自動演奏ピアノに人間は勝てないのではないか。Band in a boxのように「ポリーニ風」や「アルゲリッチ風」などと簡単に名ピアニストの演奏が完璧に再現出来れば、ピアニストや指揮者は失業し、ピアノを習う人は減るのだろうか(そうなると我が家は経済的に困る!!)。極論すれば、音楽産業が衰退するのみならず(すでにしている)、音楽という文化そのものが喪失するのではないか?



しかし、完璧な自動演奏をわざわざ聴きたいと思うかどうかはまた別である。



先日吉祥寺の某電気店で「2台の電子ピアノで自動演奏コンサート!」というのをやっていたが、子どものおもちゃ売り場階にも関わらず、席はガラガラであった。前回の布川先生に関する記事でも書いたが、ハイレゾ隆盛の時代にあってアナログレコードブームが到来、一見時代に逆行するかのような現象が起きている。我々はレコードをかける手間に意味を求め、プラシーボでアナログを良い音と錯覚しているだけかもしれない。人間にとって「良い音」もそのうち科学的に解明されるのだろうが(音だけでなく幸せという点で)、その時まで、レコードは消えることはないだろう。


それでも、過去の演奏を解析することなく、まったく新しい解釈でAIが素晴らしい演奏を奏でるようになったとしたら・・・私は複雑である。ざっくりと言うと、そんな未来が幸せかどうか?についても、冒頭に紹介した本に書かれている。機会があれば是非ご一読されたい。
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最近のレコードブーム〜RADIOHEAD 『OK COMPUTER』 20周年記念盤の発売によせて〜
2017-05-20-Sat  CATEGORY: コラム
以前にも書いたが、ここ2年ほどのレコードの値上がりは異常である。


特に、90年代以降のUKロックや比較的新しいインディ・オルタナティヴ物の価格上昇は著しい。具体例をほんの少し書いてみよう。

RIDE 『Nowhere』(1990) 5000円 → 10000円over
THE VERVE 『Urban Hymns』(1997) 5500円 → 9800円
RADIOHEAD 『OK Computer』(1997) 5500円 → 10000円
DOVES 『Lost Souls』(2000) 7000円 → 12000円

(ユニオンで掘りあさった全くの個人的な印象であることをお断りしておく。また、コンディションはユニオン表記でB表記EX以上のものと思って頂きたい(要は私が買ってもいいかなと思う状態)。勿論、すべてオリジナル盤の価格の変遷である。)

こんな具合で、私の好きな(そして多くの人が同様に好きそうな)アルバムが軒並み値上がりをしている。ここには挙げなかったが、ソニック・ユースやマニック・ストリート・プリーチャーズ、ミューズ、ベック、ヨ・ラ・テンゴ、PJハーヴェイ、スマパン(メロンコリーのミントが4万!)も凄まじい価格の上がりようだ。

思うに、90年代〜00年代にリアルタイムで音楽を聴いていた(私と同)世代がアラフォーとなり経済的な余裕が少しずつ出てきたことと、近年のレコードブームとが相まったのが主な要因ではないだろうか。



ところで、このようなブームに便乗して露骨に金儲けをする業者??が数多く現れたように思う。気のせいだといいのだが、どうやらそうでもなさそうだ。



例えば、車のCMで一気に火が付いたSuchmosの『THE BAY』の限定LPなどは、発売して2週間も経たないうちに入手できなくなった。それと同時に、アマゾンやヤフオクで2倍以上の値付けで売られる始末である。まあサチモスの場合はその音楽性とリスナーがアナログ寄りな人たちなために、極端な例なのかもしれないが(サチモスはデビュー初期からユニオンで騒がれており、私もCDは買っていたがまさかこんなにすぐ大物メジャーになってLPが買えなくなるとは・・・)。ともかく、小銭稼ぎでダフ屋のごとく話題盤を買い占められるのは本当のアナログファンにとっては痛いことだ。



ようやく本題。



レディオヘッドのOKコンピューターが20周年記念で再発売されることになった。ブートでしか聴けなかった幻の名曲『Lift』なども追加で収録されるというのだから、このアルバムを人生でNo.1の1枚に挙げる私にとって心穏やかではない事件である。


この大ニュースはGW中にリリースされたように記憶しているが、限定のブルー・ヴァイナル盤のみが、それから10日と経たないうちにあっという間にタワレコ、HMV、ユニオンで予約完売になった。私は出張に行ったりしてバタバタしており、「レディヘは大物だし、買えるだろう」と高をくくっていたところに予約すらできなくなり、顔面蒼白になった。焦って探すとAmazonのみまだ在庫があるようで、些か拍子抜けをした(しかしまだ買えるとは限らないが・・・)。もし購入を考えている方がいたら、早めにアマゾンで予約注文された方がよいと思う。ちなみに私は4種類のメディアすべてを注文してしまった。。。いずれ音源聴き比べに載せる予定だが、我ながらバカな所業だ。



さて、話のついでにRADIOHEADの『OK COMPUTER』のオリジナル盤レコードについて書きたい。

OK.jpg


厄介なことにこのアルバムはオリジナル盤が出た1997年にすでにリプレスされているので、オリジナル盤と再発盤を見分けるのが非常に難しい。この辺の事情はこちらのブログに詳しく書かれている。以前書いたように、Discogsの隆盛に伴ってどんどん情報が蓄積されていく様が、こちらにはリアルタイムで書かれていて本当に頭が下がる。


このレコードについて私の考えを書いておくと、『OK〜』のオリジナル盤は、Discogsにある通り、マトリックスが

Matrix / Runout (Run-out area A-side [hand-etched]): I Like You, You Are A Wonderful Person
Matrix / Runout (Run-out area A-side [hand-etched]): Vinyl Blair
Matrix / Runout (Run-out area A-side [machine-stamped]): D
Matrix / Runout (Run-out area A-side [machine-stamped]): NODATA 0X2A-1-1-

と表記されているものだと思う。幸いなことに、私の持っている盤がこれである。

1495274218289.jpg

1495275201973.jpg


というのも、ユニオンの買い取り冊子の目録で『OK』のところに「8552291表記無」という説明が近年追加されたのだ(それまではなかったはず・・・)。上記のブログによれば、この表記は「D」の文字の後に続くらしい(最新のDiscogsによるとNODATA 0X2A-1-1-のあとに続くようだが)。どちらにせよ、それはリプレス版になるようである。私のものはマト部分にこの表記が無いので、Discogsに従ってオリジナル盤と判断した(ちなみに重さを測ったところ丁度180gであった)。


1ヶ月先の『OK〜』20周年記念盤発売後には1997年当時のオリジナル盤が再び話題となり、価格が高騰することだろう。ユニオンで「UKオリジナル」と書いてあるものを買えば間違いないと思うが、ヤフオクその他で怪しい業者にリプレス版を掴まされる可能性がある。現に今「UK盤」とのみ書いて8000円を超える価格で出品されているレコードがある。値段だけ見るとオリジナル盤のように思えるが、上述したように1997年にプレスされたものはマトリックスを確認しないとオリジナルと判断できないので、このような商品には手を出さないほうがよいだろう。


騙される方が出ないことを願って、今回の記事を書いた次第である(勿論、私が全面的に間違っている可能性もあるので、詳しい方はご教示ください)。

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廃盤レコードセール顛末記
2017-05-13-Sat  CATEGORY: コラム
以前書いたように、GW中2回ほどディスクユニオンのセールに行ってきた。以下はその顛末であり、セール未体験のレコードファンの方に向けて駄文を書いてみたい。



2回とも新宿ロックレコードストア店に並んだ。まずはUKプレミアム廃盤レコードセール。中古レコードだから廃盤で当たり前だしヘンな呼び名だと思うのだけれど、最近はレコードの新譜も増えてきたからあながち間違ってはいない。この名称の方が客を呼べるのだろう。整理券を配られるちょうどの時間に行ったが9番。先行き不安に思う。ナナメ向かいにあったマックがいつの間にか閉店していたので、仕方なく東南口の方のマックで開店まで時間を潰す。開店5分前、店先に戻っていよいよ突撃準備。集まったのは20人前後か。周囲はベテランばかりで、私が一番若い部類であった(いつもブログを拝見しているgeppamenさんと思われる方の姿も見えるが、人違いだとまずいのでお声をかけられない)。エレベーターで順に案内される。幾ら新宿駅東口近くの好立地とは言え階段のない店舗を選んだのはユニオンのミステイクだろう、店員も常連に「すみません」と漏らしていた。


さて、レコードセールは朝イチで並んだからと言って、お目当ての盤を必ずしもgetできるわけではないことを、セール未経験の方にまずお伝えしたい。有り体に言えば、運が必要なのだ。


開始の合図と同時に、客はレコードの入った箱(以下エサ箱と言う)に突撃する。開店したてのディズニーランドかUSJか年末の福袋商戦みたいな光景で、(私も含め)いい年のオッサンが熱くなって猛ダッシュする姿に一般の方々はドン引きすること間違いなしだ。さて、お目当ての盤がエサ箱の一番手前の見えるところにあったり壁に飾られていれば即getできるのだが、一度に数百枚も出るため大抵はエサ箱に潜んでいる。そこで、次々にエサ箱を漁っては移動し、また漁る・・・を繰り返す。開始30秒ですべてのエサ箱に客が飛び付いているので、エサ箱の数にもよるが整理番号15番くらいまでならその箱の「最初の客」になれる可能性があり、運良く目的のレコードを掴める場合がある(エサ箱が少なめの店舗だとこうはいかない)。その後はうまいことみんな1箱ずつ横にズレてお目当ての盤を探していくわけだ。


ここでひと言物申したいのだが、常連さんの中には「これキープしとこうかな」と思った盤は迷いなく手に取って次々にキープしてしまう方がけっこういらっしゃるのだ。とんでもなく高額なレア盤を一度に10枚近くキープし、おせちの重箱を抱えるようにして盤を漁り続ける御仁がいたりする。そしてその重箱の総額は軽自動車が買えるほどなのである。資産家の方なのかもしれないが、はっきり言ってこれはいかがなものかと思う。手に取った盤を全て買うなら文句はないが、実際には検盤してキャンセルする場合もあるわけで、目についた盤をとにかく多く抱えた人のほうが先手を打てていい思いをするというのはどうなのか。なかには発掘途中に平気で半分以上エサ箱に戻す方がいて、自分でレコードを掘りつつそのような人の動向を目で追うのは大変だ。その後の検盤で何十分もキャンセル待ちするのは、店にも客にもお互い相当な時間の無駄ではないだろうか。


ここは、ユニオンが一度に持てるレコードは3枚までなどとルールを定めるべきだと考える。3枚を選んだら一度カウンターに預けてもらうなどの処置を取るべきではないか。そうすれば、ほんの少しの間の戦線離脱となるがかなり平等性(何のだ)は確保されると思う。私は先日書いたように、私の目当ての盤を抱えている方には積極的に声をかけてキャンセルする時は回してもらうようお願いする(皆さん結構応じてくれる)。また、友人同士で並んでいるグループは明らかに確率的に目当ての盤を捕獲しやすいので、今後は私も数少ないレコードファンを伴って掘りに行こうと考えている(昼飯くらいは奢らねばならないだろう)。


先日書いたように、残念ながら私の一番のお目当ての『ピンク・ムーン』は私が掘ったエサ箱のひとつ隣りの箱から掘り出された。その時の気持ちたるや「俺の人生こんなのばっか」である。運良く掴めて財布がGOサインを出したら買おうと思っていたComusの1stもどなたかに捕獲されたようだ。そんな中、空手で帰るのはイヤだと思い、「買わなきゃ」とセールの熱っぽい雰囲気に飲まれつつ半ば半泣きになりながら焦って買ったのが次の2枚。

Hatfield and the North / THE ROTTERS' CLUB : UK-original mat A-1U/B-1U
hatrotters

学生の頃、この盤はいつかオリジナルで所有したいと思っていた憧れのレコードだったが、近年はジャケ&盤ともにEX以上のコンディションだと1万を超えてしまっていたので手を出さなかった。ところが今回セールで掴んでみると、なんと驚きの4000円台!盤はEX+ながらジャケがかなりイマイチな状態のためか格安で、毎度ながら「花より団子」な私は飛び付いたのだった。しかし、やはりこの盤は内容以上にジャケットの価値が高いのだとわかったのが少し哀しかった(笑)

内容的なことを言うと、巷間よく言われることだがフィル・ミラーのギターがとにかく酷過ぎる。指も回ってない上に、肝心のアドリブがひどい(あれで書きソロだったら泣くしかない)。ギター初心者が難しい音使いを目指して弾こうとするときに陥りがちな「迷い指」とも呼ぶべきフレージングになっている。それでもR・シンクレアをはじめ、独自のポップセンスで牧歌的でさえある魅力的なカンタベリー・ミュッジックを展開する。B面の大曲も好きだ。帰宅して2回ほど聴いたが、A面のコンディションが特に良く、満足であった。


NATIONAL HEALTH / NATIONAL HEALTH : UK-original mat A1/B1
national

これはジャケに魅力が無いせいか(笑)オリジナルでも2000円台で出るが、マトリックスが若くコンディションが良いものを探しており、今回ようやく捕まえた。なんと言っても1曲目がイイ!フィル・ミラーは相変わらずヘタクソだが、前述の盤ほどひどくない(苦笑)それにしてもデイヴ・スチュアートは良い曲書くなあ・・・。

2ndもオリジナルで持っているが、こちらも同じくらい好きな盤だ。初めて検盤したとき、アメコミみたいな漫画風のラベルを見てビックリしたのだが、これで初版だそうだ。



さて翌日、今度はUSプレミアム廃盤セールに並ぶ。UKの時よりも明らかに若者が多く、客層の違いが面白い(昨日、私の目の前で『ピンクムーン』をgetした御仁の姿もまた見える)。今日の私のお目当てはSteely Danの『Aja』テストプレス。もしくはプロモジャケ&両面マト1Aの盤だ。前日同様とにかくエサ箱を光の速さで漁りまくる。まずは早速「PROMO」の金色ステッカーが眩しい両面1A盤を掴む!値段は、げげっっ、、22000円!完全な予算オーバーだが買えないわけではない。とりあえずキープ(笑)そして、引き続きその他の箱も絨毯爆撃。ところがテストプレスはどれだけ漁っても出て来ない。もう掴まれたか?と思いつつ周囲を見渡すが、テストプレス特有のジャケなしレコを抱えてると思われる人はいない。諦めず探し続ける。すると、なぜかセールとは関係ないエサ箱奥の通常の「R」のところにテストプレスが潜んでいたではないか!それは川底に潜む黄金のシャケのごとく、輝いて見えた。私にウインクしているようだった。誰かが開始直後に嫌がらせで隠したのだろうか、兎も角、吃驚してそれを掴んで引き上げる。やった、ついに俺はやったんだ!と手に取って値札を見ると、価格は驚愕の289000円。。うーーーん ごめんなさい 前言撤回、、、とりあえずキープしよう






私は熱気溢れるセールの喧噪をよそに、フロアの片隅で『Aja』2枚を抱えてしばし呆然と立ち尽くしていた。





すでに前の職場から(の手切れ金に等しい)退職金は振り込まれていた。その1/4を嫁にバレないようとある細工をしてコッソリプールしたのは、結婚生活で初めて私が彼女を裏切った瞬間だった。何も酒や女やギャンブルにつぎ込むわけではない、ちょっぴり高いレコードに使うだけだ。可愛いものではないか。それに嫁がカルティエの時計が欲しいというから買ってあげようとさえ思っているんだ(いちばん安いのだけど)。優しい夫ではないか。10円ハゲが出来るくらい身を粉にして働いたのだ、これぐらいやったってバチは当たるまい。ちっとも私は悪くない・・・そう自分に言い聞かせようとした。




俺には買えるッッ



買う金はあるんだッッッ





10分ほどだろうか。地下の工事現場で働くカイジが給料日に悩んだように、私は人生でも稀なほどに悩んだ。その短い間に、あらゆるシミュレーションを行った。幾ら歴史的名盤とは言え30万出せるか?それだけの音質的な価値はあるか?いや、ない。この間Discogsで買ったマトの(RE-3)以降表記無し盤は十分に素晴らしい音質だった。しかしマニアとは不思議なもので、異常に高過ぎる値段ゆえに逆に欲しくなる。なにしろ約30万は強烈だ。そんな価値のあるレコードは早々ない(昨日スパイロジャイラの3rdが28万で茶水に出てるのを見た。チューダー・ロッジは18万)。特にこんな人気盤の極上コンディション、次はいつ出るか分からない(しかし一昨年渋谷でテストプレスが出ている。ひょっとしたらこの盤かもしれない)。出てきたとしてもその時は、今度こそ手の届かない価格になっているに違いない。とすると、投資だと思って買ってしまうのはどうだ?銀行に預けたり株を買うよりよっぽど割がいいだろう。レコードファンという私の専門性が活かせる(Ajaのテストプレスが暴落することは未来永劫あるまい)。嫁だって(ナイショにするけど)賛成してくれるに違いない!そう悪魔が囁いた。

















・・・けれども悩みに悩んだ末、結局私は買わなかった






私は覚悟を決め、長縄跳びの列に戻るようにすすっとレコ掘り爆撃に戦線復帰し、ひっそりとテストプレスをエサ箱に戻した。さようならテストプレス。やはり俺には買えない。それが私の導き出した結論だった。


私は妻を愛している。リビングのレコード棚に、29万のエイジャをしれっと潜ませたままこの先の人生を送ることは不可能だった。それは、すぐ手の届くところに愛人を囲っているようなものだからだ(たぶんこの考えは間違っている)。それに、幾ら値上がりしても私は売らないだろう。それは投資資金の回収を放棄することに等しい。敗北感漂う中、いち早く検盤に並び、手元に残ったプロモの盤質をチェックした。一目見て、それは私の所有する盤より遥かに劣るコンディションと分かった。しかもマトリックスはきっとこちらの方がレイトだろう。プロモステッカーの貼られたジャケットに両面1A盤を入れ替えたものと思われた。つまり、推測するに私の持っている盤と逆の状況だ。プロモジャケのために2万以上出すことはできない。こちらもキャンセルした。



これでいいんだ、、よかったんだ。



そう言い聞かせながら私はセールを後にしてとぼとぼと休日出勤に向かった。西新宿で『Pink Moon』を買って感激の涙を流すのは、その5日後のことだった。



(今回の記事はユニオンからクレームが来たり嫁バレした場合、削除します)
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透明な魂の音楽〜Nick Drake『Pink Moon』〜
2017-05-07-Sun  CATEGORY: コラム
この4月で転職した。




それまでは時折TVを賑わすデカいだけの某組織にいたのだが、所属長から(私を含む十数人が)4年間に渡るパワハラを受け、闘い、そして私は退職した。




以前書いたように、酷いときで週に100時間働き、頭には10円ハゲが出来、心療内科に通い、家庭は崩壊寸前だった。始発で行って終電で帰った。土日も自宅で仕事をこなした。私の両隣りの人間が3ヶ月に渡って来なくなったこともあった(うち1人は1年経った今も戻れていない)。そのような気の狂った上司というものがこの世には存在するのだ。こう見えても私は、出世や名誉のためでなくささやかな気遣いと労いとを欲しながら仕事に誇りをもって働く類いの人間であった。パワハラ吹きすさぶ1年半ほど前、請われて大きなプロジェクトに関わっていたのだが、完遂した直後にその狂った悪魔の所業で魂に一撃を受けた。それは「心ない仕打ち」程度ではおよそ済まされない次元のものだった。これまでのパワハラを遥かに通り越し、常識では考えられない言動であった。そして未だに癒えることのない傷を私は心に負うことになった。



しかしながら、私は諦めの悪い男だった。



自分で言うのもなんだが、ロックンロールな破壊衝動任侠的犠牲精神とを備えていた私は、唾棄すべき権力者に対しみじめなまでに抗った。嫁を説得し、退職して告発すると心に誓い、転職活動と並行して知りうる限りのパワハラの証拠をかき集め、迫害されている同僚を見て観ぬフリの連中を説き伏せた。徐々に仲間を増やし、最終的には実名匿名合わせて10名以上が告発に協力してくれた。私だけでなく複数の人間がICレコーダーで録音した暴言を携え、自分ともう1人が代表して上層部に告発した。そこまでしてようやく、ほぼ毎日TVに顔を出している某氏も介入する事案となり、渋々上層部は重い腰を上げて動き始めた。



けれども、たった2度の事情聴取と、実名で名乗り出て告発した私ともう一人以外の証人を呼ばないというおざなりな調査の末、結局懲戒処分はなく驚愕の文書による“厳重注意”に留まった。本来ならば犯罪レベルのパワハラであり、新聞の紙面を飾っていいはずの出来事だが、当事者にお咎めはなかったのだ。こうして書いているだけで、キーボードを打つ手が怒りで震え、血圧が上昇するのがわかる。重ねて書くが私は諦めの悪い人間である。退職した今も職場の外から闘い続けている。知り合いの伝手を頼って、連休明けには某大手マスコミ関係者と会う予定だ。



今は(これまた)大きい某組織に運良く拾ってもらい、お陰さまで権力におもねることなく働くことが出来ている。期せずしてアカデミックな世界に戻ってきたので、これからは(mustではないが)研究成果も期待されるためプレッシャーはある。このように書くとご大層な人間と思われるかもしれないが、そんなことはない。採用面接では「学部時代の成績が素晴らしいですね(専門科目がオールC)」と皮肉を言われ、さらに「修論は指導教官が書いてくれました」と正直に話したが採用された。なんとも懐の深い組織だと思った。



さて、私の身の上話はこれくらいにして、そんな絶望のどん底にあった自分を支えてくれた音楽について書きたい。



pink_moon

ニック・ドレイク 『ピンク・ムーン』、生前わずか3枚のアルバムを残して26歳でこの世を去ったイギリス人天才シンガーソングライターの最後の一葉である。重度のうつ病のさなかにレコーディングされ、抗鬱剤の過剰摂取で死んだ彼の遺作であることも手伝ってか「アシッド・フォーク」と形容されることが多い(余談だが私はComusのようなバンドこそがAcid Folkだと思っている)。不可思議なイラストのジャケットもたぶんに影響しているだろう。けれども、私にはそのような禍々しい形容に属するような雰囲気をこの作品からは感じない。むしろ、どこまでも透明な魂をむき出しにした1人の青年の痛切な叫びが聴き取れるだけだ。そしてそれは、どこまでも儚く孤独で美しい。


退職金という名の泡銭が出たら、どんなに高くても彼のオリジナル盤を買うと決めていた。それは彼の透明な魂に少しでも近付きたいという、半ば信仰に近い気持ちだった。超極上の1stがユニオン渋谷からヤフオクに超高額で長いこと(3ヶ月位)出品されていてずっと狙っていたが、なんと金の入る1週間前に売れてしまった。GWには、この『ピンク・ムーン』の美盤が出るというので、ユニオン新宿レコードストアのUK廃盤セールに朝から並んだが、私が飛び付いたエサ箱の隣りの御仁に目の前でさらわれた。諦めきれず「検盤してキャンセルされるなら譲ってください」とお声をかけたが、勿論声がかかることはなかった。


それでも諦めの悪い私は、ネット上を探し回った挙げ句、学生時代に1度だけ入ったことのある高めの値付けの某レコ屋でついに購入した。ジャケットはそこそこの状態だが、盤質は一目見ただけで震えが来るような美しいコンディションとわかった。一応試聴してすぐ買うことに決めた。おまけにユニオンで逃した盤の6割弱の価格で買うことが出来、「これが俺の人生だ」などと一人うそぶいた。うちの子を連れて行ったが、店主からアーモンドを1袋貰ってぽりぽり食べてご満悦、カビ臭く狭い店内でyoutubeを見ながら良い子にして待っていた。まさに将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、である。これからこの店で散在することになりそうだ。


pink_rim


UKオリジナルは俗に‘ピンク・リム’アイランド・ラベルと呼ばれる盤で、MATはA-1U/B-1U。自宅でも聴いてみたが、CDとは驚くほど違う。ニックの、ささやくようなヴォーカルがさらに柔らかい。人によっては地味だと言う人がいるかもしれないが、このオリジナル盤を聴くとCDのほうはマスタリングで人工的に声を強調しているように感じてしまう。きらめくようなギターのアルペジオの音色も素晴らしい。ふわっとした空気感が実に心地よい。プチノイズやチリつく箇所は皆無ではないが、盤質にも文句なし。30分に満たないレコードに数万円を出すのは常軌を逸しているに違いないが、紆余曲折を経て良い買い物が出来たと思っている(読者諸兄は絶対にこんなことなされませんように)。



ところで、私が今勤めている職場では個人研究費が出る。



それでこのレコード代が落とせないかと一応領収書を貰ったのだが、研究費執行手順書を確認すると「CD・レコード購入のための支出は基本的に認められない」と書かれてあった。同じことを考える人間が居たのだなと思いつつ、自分を恥じたのであった。
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音楽の仕入れ方
2017-02-13-Mon  CATEGORY: コラム
今日は切り口を変えて、私の音楽の仕入れ方について。


庶民日本代表を自負するところの私のみならず、なるべくお金をかけずに様々色々良質大量な音楽を聴きたいのはみな同じだと思う。だから、ネット上の玉石混淆の情報を信じてチャレンジするわけだ。私は毎月給与明細とともに給料の全額を嫁に手渡している。支給される私の月の純小遣いは○万△千円である(悲劇的な数値なので自粛)。今日はそんな私の安くより良く大量に音楽を楽しむ方法を惜しげも無く(??)ご紹介したい(などと偉そうに書くが、きっとこのくらいのことはネットの海のどこかにすでに書かれているだろうけれど)。


①プロパーで買わずできるだけ中古で購入する

新品をタワレコ・HMVその他で買うと高い。メチャ高い。だから私の音盤購入の7割はディスクユニオンである。大体平均購入価格はクラシックが1000円〜1500円、レコードはモノにもよるが1200円程度、ロックのCDだと300円〜1500円位である(ジャズのレコードは音質や盤質にもコダワるせいか、やや高くなりがちかな・・・)。Amazonやヤフオク等では高値の廃盤でも、ユニオンなら3000円ほどの良心的(?)価格で買える(勿論逆もある)。ただし、ユニオンのない地方の方は難しい。欲しいもの、探している盤が分かっている場合は、以前書いたように在庫検索でメールを送れば通販してもらえる。この場合は送料分高くなってしまうが、一度に複数購入すればそれほどの割高感はない(都内でも自宅近くにないユニオンに行くには往復で交通費が結局400円くらいかかる)。ヤフオクなどで探している盤が出たときも、ユニオンで在庫検索をして問い合わせ、比較するようにしている(最近は問い合わせしやすくなった。店員さんは大変だろうと思う)。


ただし、ユニオンに最新の盤が安く落ちてくるまでは数年単位の時間がかかる。すぐに買わなくてもいいかなと思う盤はユニオン待ちすることにしているが、気になるアーティストの盤はやはり新品プロパーで購入する。タワレコよりもHMVの方がまとめ買い購入すると安いようだ。尤も、高い新品で買いたいと思う盤が複数同時に溜まることはあまりないのだが・・・。


②オークションとAmazon・海外通販は猜疑心を持ちつつ使う

私が主に利用するのはAmazon、ヤフオク、ebay、Discogs、CD&LPである。その他に稀に海外の老舗レコード通販も利用するが、主にはこの5つで、挙げた順によく利用する。Amazonは個人業者の売り上げの2割近くを手数料で持って行くので中古は意外に割高である。ただし、たまに1円とか数百円とか意味不明な価格で買える盤があるので、これを利用しない手は無い(おそらく固定料金の送料で利益を上げているのではないか)。海外Amazonはアメリカ、UK、ドイツ、フランスなどを利用。送料がやはり高いので、欲しいもの狙いの時に限る。はっきり言って、モノが$10以下くらいでないと送料込みで3000円を超えてしまうためなかなか手が出ない。よほどの欲しいものが、タイミング良く見付かった時にだけ利用している。


ヤフオクは価値を知らない業者がレコードを出品する時などに美味しく購入できる。先日の岡田盤などがそうである。ただし、ジャズやロックなど、リスナーが多く競争率の高いジャンルは値が高くなりがちなので利用しない方がよい。そう言う意味でクラシックのレコードは非常に狙い目である(有名な廃盤CDは概して高いのでユニオンで気長に探した方が良い)。また、ヤフオクはTポイントカードと紐付けが可能なので、(Amazonとは違い)ポイントで結構安く買えることもある。


ebayは長年の探しものに利用する。主にレコードが多い。以前書いたように海外のレコ屋の盤質は日本に比べて極めて甘く、EX程度では手を出さない方が無難。最低でもNMやM-程度から購入を検討した方がよいと思う。これもクラシック(Melodiya盤など)は恐ろしく安く出ることがある。未CD化の盤かどうか調べ、開拓者精神で買ってみるということを個人的な楽しみとして続けている。10年以上前はほとんどebayで買っていて、毎週毎週海外から届くレコードの入った四角く薄い段ボールに、郵便配達の方は怪訝な顔をされていた。


今、急速に勢力を伸ばしていると思われるのがDiscogsである。オークションの、落札までの入札の応酬による値段釣り上げがかったるい利用者が(ヤフオク利用者がメルカリに流れつつあるように)ebayなどから移ってきたのではないかと考えている(販売する方も早く在庫が捌けるというメリットがあるのだろう。ただし、メルカリで音盤などを買ってはいけない)。ロックリスナーにはすでに国際最大手(?)通販としての地位を確立しつつあるが、はっきり言って、クラシックはまだまだお話にならない(例えばBarbosaで検索してもらえればわかるがまだまだ情報が薄すぎる)。ロックなどリスナーの多いジャンルは非常に強いのだが・・・。しかし、これの良いところは、アーティスト情報の蓄積が単調増加であることだ(レア盤情報が登録されれば、その盤が売り出されるのをひたすら待てばいい)。世界中に広まりつつあるためどんどん出品されるのも強みだ。私は欲しいものをリストに登録しているので、ひっきりなしに出品を知らせるメールが来る。今後はDiscogsが主流となることだろう(しかし、ロックやジャズはすでに高値安定で、私からすれば面白みがない)。


CD&LPは立ち上げ時には伸びるかと思ったのだが、そうでもなかった。とにかく、サイトが重いし、検索も使いづらい。レコードの情報なども業者によってマチマチでその上、曖昧である。たまにebayやDiscogsでも見ないレア盤がドンと出品されていることがあるが、高い!お金持ち向けかもしれない。フランスやイタリアなどの、英米以外の国のレコードは意外に良いものが売りに出ている(MAGMAのオリジナル盤もここで買った)。


ともかく、海外通販系は価格を比較し、盤質等も疑いの目を持って利用することが(庶民には)大事だと思う。最後は「当たればラッキー」くらいの気持ちで利用するようにしている。


③NMLを利用する

先日、ナクソス・ミュージック・ライブラリについにMelodiyaが参加した。私はジュスマルダホスさんのつぶやきで知ったが、それこそ眠れないくらい興奮したものだ。月額1,850円(+税)で極めて大量のクラシックを聴けるのは素晴らしい。これからはこのようなストリーミングが主流になっていくのかもしれない。我が家はPTNAの指導者登録経由でNMLを利用しているので年額1500円で利用している(勿論、それ以上の額をPTNAに払っているわけだが・・・それでも幾分お得なのかな??)。


NMLは利用者の状況で音が途切れたりする場合がある(特に開始初期は酷かった覚えがある)。また、昔はNMLの音源を聴くプレーヤーでmp3化がそのままできたのだが、すぐに出来ないものに取って代わってしまった。そのため、音源を外で聴くにはいちいち外部媒体(PCやICレコーダー)で録音しなければならない。この手間は相当なもので、おまけに(デジタルでなければ)音質も劣化する。

また、PCでのストリーミング再生はスタジオK'sの山本さんなども書いていたような気がするが、再生に使用するソフトでも、さらに言えばWinかMacでも音が違う(私は一時期Macのデジタルパフォーマーを使って再生していたが、面倒過ぎて止めた)。良い音で再生するにはそれなりの投資が必要だと思うし、音楽ソフトを購入するだけで精一杯の私はオーディオ機器の拡充にまで手が回らない。PCでのリスニングについては次項でも考えたい。



④ハイレゾ音源を購入する

ハイレゾが本当に音が良いかは、平凡な耳の持ち主である私には自信がない。「音源聴き比べ」でも書いているが、「なんとなく」「先入観」が入っている気がしないでもない。ただし、フィジカルメディアであるところのクラシックSACDは廃盤になると非常に高価なため(ESOTERICなど)、ネットのハイレゾの方が安く買えるのは間違いない。スティーリーダンなども、SACDやDVDオーディオはユニオンで4000円近くになるがハイレゾだと定価なまま安く聴ける。ラトル&BPOのブラームスの交響曲全集は、SACDはユニオンでも滅多に出ず高いが、ネットでは常時買える。オーディオユニオン店員さんとも話したが、昔の音源のハイレゾ化は当たり外れが多すぎる。マスタリングエンジニアの腕に依るところが大きい。




しかし、ネット購入は味気ないな。。。




情けない告白だが、モノを所有したいという思いは音質の良し悪し以上に大きくなることがままある。その折り合いの付け方の、私なりの結論はこの項の最後でご紹介する。



⑤図書館でCDを借りる

東京都在住の方限定のお話。とにかく文京区立図書館が最強である。オススメは、小石川・本駒込・目白台の3館。ジャズ好きなら、この3つを回れば一通り名盤は揃えることができる。学生の頃はバイクで図書館を幾つもハシゴし、文京区(ではないが)周辺に住んでいた頃はチャリンコで通って借りまくった。ノートPCを持って図書館に行き、1度に何枚も借りては近くのマックで取り込み、すぐ返却するという涙ぐましい貧乏人テクニークを一日中何度も繰り返した。最盛期は図書館だけでひと月に100枚以上のアルバムを借りて聴いていたと思う(金は無いが時間だけはあった)。私のジャズ仲間達はみな文京区立図書館でCDを借りてからセッションに集合していたことを思い出す。音源の共有も仲間内でしまくっていたのでジャズのスタンダードなCDはほとんどお金がかからず揃った。


クラシックも新譜が頻繁に購入されるので、(大変待たされることもあって近所に住んでいない最近は利用していないが)オススメである。以前書いたが、ツィマーマンのブラームスのピアノソナタはユニオンでも2万円overだが目白台図書館にはフツーにポンと置いてある。ペトロフの最難関、フリエールメモリアルのシチェドリン4番は文京(・中野・港)区立図書館で借りることができる(こんなこと書くとヤバいヤツと思われそうだなぁ……)。大事なことを書き忘れたが、文京区民でなくても借りることができる。ただし、この4月から文京区民優先制度が始まるので少しだけ不便になる。


PCに取り込む時は容量がかさむが出来るだけwav形式で行っていた。イヤホンその他で聴く時はそこまで気にならないが、CDに焼いたりPCからリビングのスピーカーで再生するときなどはさすがにmp3やAACでは音が悪い気がする(嫁も怒る)。最近は2テラのHDDも非常に格安になってきたので、幾つか買って大量の音源を保存している(私がたまに使う「ライブラリ」という言葉は、CD棚・レコード棚だけでなく、このようなHDD棚も指している笑)。


リスナーの数からして当然だが、ジャズやクラシックに比べてロックは競争率が高く、特に新作は図書館予約でかなり待たされる。数十人待ちで数ヶ月かかるのがフツーだ(だから待ちきれず買ってしまう)。それでもロックの基本的な名盤は文京区立図書館でほとんど手に入る。ロックとポップスの品揃え(??)は小石川図書館が素晴らしい(ジャズは目白台、クラシックは本駒込かな)。院生の頃、付き合っていた女性が御茶大の研究者だったため、私はバイクを茗荷谷周辺に停め、せっせと小石川図書館でCDを借りて聴いていたのを思い出す(なんて切ない青春だ)。ちなみに小石川図書館ではレコードも借りることができる(さすがに借りたことないけど)。こんなこと書くと図書館のクラシックCDの競争率が高まってすでにご利用の方に怒られそうだが、所詮私程度のブログだからご容赦願いたい。

※追記※
図書館でCDを借りる際は東京の図書館横断検索カーリルローカルを利用されるとよい。


ただし、図書館で借りると手元にメディアとして残らないのでやはり所有欲が満たされることはない。私にとって図書館でCDを借りるのは、あくまで「一通り聴くための勉強」「(言葉が悪いが)試聴・味見用」として利用しているようなところがある。例えばyoutubeはそのような利用の仕方ができるだろうが、なにか自分で汗をかいていない気がして(ジャズプレーヤーの演奏を勉強する以外)私はそれほど見ない(ハマると一晩見続けてしまうし)。




では、所有欲・音質・予算の三拍子が揃った音楽の仕入れ方は何か?





勿論、結論は出ていない(結局は出来るだけ金を稼ぐしかない??)し、誰もが納得する方法などあり得ない。が、私なりに導いた一つの音楽購入の在り方がある。




それはレコードで聴くということである。




金の無い学生の頃、先輩が「CDが高くて買えないならレコードで聴くと良いよ」とアドバイスしてくれた。20年近く前のまだCD全盛の勢いが残っていた頃、ロックやプログレ、フォーク、ファンクの定番は100〜300円でゴミのようにユニオンに売られていた(ジャズはやや高かった気がする)。その価格は(若干高くなったが)今でもほとんど変わらず、安く買うことができる。しかも最近はご丁寧にダウンロードコード付きのレコードなんかも新譜で売られている(売る方も考えている)。


最近のアナログブームは私からすれば当然のことと思ってしまうが、そんな若輩者の私をアナログ全盛の大先輩方は鼻で笑われることだろう。


やはりアナログは雰囲気が違う。現代の技術の粋を極めてリマスタリングしても、そこに当時のミュージシャン・プロデューサー達が当時の空気感の中で吹き込んだ音質は詰まっていない。特にジャズはレコードで聴いて初めてその良さが分かった。プログレも「CD化の際のリマスタリングが失敗」と話題になることの多いジャンルだ(プログレのガイド本などで私の好きなライター/ディレクターの深民淳氏が「現行CDはゴミ」などとザッパリ切り捨てているのが面白い)。今ハマりつつあるのはHR/HMのアナログだ。加齢と共にメタルが耳にキツくなってきたが、レコードだと実に耳に柔らかくなじむ(年始にスリップノットの持ってなかったのを買ったりしたがまだ聴けてない笑)。


オリジナル盤を購入することは私にとって物欲の究極の消化(昇華??)の方法であるが、再発レコードなら安くリーズナブルに、アナログの音を十分に楽しめる。クラシックで言えば、弦モノはCDでは味わえない重厚で鈍く光るような太い音色が味わえる(内周に近付くにつれて歪みが出るのが残念だが・・・)。さらにジャケも大きく、デザインを楽しめる(私は「花より団子」だけど)。同じアルバムでもレコードによって盤質(キズや歪み、ノイズ)が全然違うから1枚1枚に愛着がある。つまり、極めて大げさに言えば、中古で購入したレコードはその時点で世界に1点モノなのだ。モノを所有する喜びも満たされる。


ジャズに関して個人的なことを言えば、2000〜3000円でハイレゾを買うより、数百円で国内盤LPを買ったほうが断然良い。レコードをかけ替えるのが手間という人には向いていないけれども、音の雰囲気というか力強さが全然違う。以前ロリンズのサキコロのところで書いたように、レコードの音はデフォルメされているのにリアルなハイレゾを上回るのだ。人間の耳なんていい加減なんだろうと思う。



そんなレコードの欠点は、持ち歩けない&場所を取る、ということである。録音してデジタル化するのは手間(と言いつつ頑張ってお年玉化しとるわけです)だし、それならCDを・・・と思って結局二重買いしてしまい、さらなる散在に陥ってしまう。狭い我が家ではレコードの置き場がもうない。売ろうにもユニオンでも捨てるような値段しか付かない。必然的にレコード仲間にプレゼントすることになる。ちなみに、尊敬するいしうら氏のお宅は私の比ではなく、膨大な書物とも相まってレコ部屋に居るとき地震が起きたら命を落とすのではないかと恐怖するレベルだ。音盤道はかくも厳しい。。



さて、この年末年始にユニオンで買ったクラシック以外の中古盤CD(ロック・POPS・ジャズ等)の一部が下である。


rockcd


ほとんどが500円前後、中には5枚で680円などというものもある。実に格安でロック・ポップスの近年の定番を購入できた(文京区立図書館で借りてこの音源を揃えるには5年はかかるだろう笑)。この冬はインディーロックを主に聴いた。これにレコード、図書館、NMLが加わる。一体、自分でもどこに向かっているのかと思う量だ。。



長々と駄文を書いた。まだ感想を書けていない盤があるので、次回から通常運行に戻る予定である。

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