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セザール・フランクの前奏曲、フーガと変奏曲 Op. 18 聴き比べ 2015/1/28更新
2015-01-28-Wed  CATEGORY: フランクの前奏曲、フーガと変奏曲聴き比べ
ワイセンベルク盤、ルバッキーテ盤、デュオ・ピリティス盤、デュメイ&ロルティ盤を追加(2015/1/28)
Viardo盤を追加(7/6)




今日はフランクの前奏曲、フーガと変奏曲について紹介したいと思います。





この曲も最近は色々なところで取り上げられ、また少しずつ著名なピアニストによる録音も増えてきて、愛好者として嬉しいことです(余談ですが、知人が音大時代に弾いてとても良い曲だからと勧められて好きになり、今では海外から取り寄せた楽譜まで持っています。そう言えば一時期、なぜか楽譜が絶版になったのか入手できなかったような。画像はその時に貰った田隅盤のCD。現在廃盤?の模様)。キャッチーでどこまでも物哀しい旋律に、展開がわかりやすく長すぎない3部構成が個人的なツボにハマってます。元々はオルガニストであったフランクのオルガン曲を、後世のピアニストたちが編曲したものが現在よく弾かれていて、代表的なピアノ編曲としては、ハロルド・バウアー、イェルク・デームス、アナトリー・ヴェデルニコフ等が知られています。


例によって、☆◎○△×で手持ちの盤をご紹介します(と言っても、それほど枚数は持ってないのですが)。広瀬盤については以前の記事もご参照下さい。



ピアノ版
ヴェデルニコフ(本人編):☆ 醸し出される崇高さが素晴らしい。思わず跪いて祈りたくなる
クロスリー(バウアー編):◎ 叙情的。残響多めの録音にゆったりとした歌い方がよく映える
デームス(本人編):△ 全体的にサラサラとしててルバートが多めでテンポの揺れが気になる
トカレフ:○ 意外な選曲、予想外に端正。しかし技巧的パッセージの追加は無い方がよかった
田隅靖子(バウアー編):◎ やや速めのテンポだが知情のバランスが良い。フーガが惜しい
広瀬悦子(デームス編):△ アルゲリッチ系テクニシャンの彼女に合わない。でも面白さ有り
永井幸枝(フリードマン編):○ 声高にならず歌うのが良い。幾分ひ弱で音楽的コクが欲しい
アデール:△ サステインが少なくやや明晰にすぎる。いかにもフランス的。語り口は悪くない 
ジューコフ(本人編):× 94年フーズム城音楽祭ライヴ。ちょっとミスが多い。落ち着かない
アンダローロ:× ルール・ピアノフェスティバル・ライヴ。ロマン的演奏でグダグダやりすぎ
ヴィアルド:◎ 録音が素晴らしい。格調高く叙情的。一部の編曲が余計なのが惜しい
ワイセンベルク(バウアー編):△ 録音のせいか音の響きがイマイチ。予想よりは端正だが・・・
ルバッキーテ(バウアー編):○ 前奏曲は柔らかいタッチで聴かせる。フーガの流れがいまひとつ

ヴァイオリン&ピアノデュオ版
デュメイ&ロルティ:△ ヴァイオリンが主旋律、ピアノは普通に伴奏、音の薄さが寒々しい。なぜこんな編曲にしたのか理解に苦しむ

ギター・デュオ版
デュオ・ファンダンゴ:○ まさかのギター2本での演奏。合奏のせいなのかテンポの揺れやアゴーギクが少なく、のっぺりと静的な印象。それでもギターの音色好きにはたまらない1枚

アコーディオン版
エアヴェーズ(Adam Orvad):◎ まさにオルガン風の荘厳な音色で歌い上げる。速めのテンポだがフーガは聴きもの

2台ハープ版
デュオ・ピリティス(オーウェンズ編):○ まさかの2台ハープ。インテンポの速めのテンポでスイスイ進むのが心地良い。低音の音色が美しくないのはこの楽器の特性?


こうして書いてみると、日本人女性ピアニストの録音が多いですね。やはり日本人好みの曲なのでしょうか。個人的にはフーガをポイントにしていて、前奏曲の部分は正直誰のを聴いても楽しめるのですが、フーガで「弾きにくそうだな」と感じてしまう演奏が多いのが残念。

編曲についてですが、よく弾かれているバウアー編が最もオーソドックスに感じます。田隅盤はデュラン版(バウアー編)をさらにピュイグ=ロジェ女史が修正した楽譜に基づいている、とあります。以前広瀬盤のところでも書きましたが、デームス編とヴェデルニコフ編は似ている雰囲気。オクターヴ上げるところが「わかっている」という感じ。ジューコフ編は技巧的な印象。アデール盤はフーガの前に音数の増強をしていて少し違和感。


最初の1枚にはバランスの取れているポール・クロスリー盤が良いと思います。トカレフ盤がいちばん入手しやすいと思いますが、悪くはないものの重低音の増強や急速フレーズを追加していてこの曲にはちょっと似つかわしくない感じで、刷り込みが起きそう。ただ、面白いのでセカンドチョイスにするとよいでしょう。ヴェデルニコフはかなり重い&音質がやや悪いので、この曲にハマった方がさらなる感動を求めたい時に最適。

 ※ちなみに彼はこのアルバムの中で、バッハのクロマチック・ファンタジーやフランス風序曲、プロコフィエフのトッカータ(!)などをアコーディオンに編曲して弾いており、アコーディオンの音色の好きな方には一聴の価値があります。バッハは予想通りのハマりっぷり。まさかまさかのプロコは5分とかなり遅めのテンポながら、アコーディオンの音のサステインがこの曲と超ミスマッチしてて、それが逆に面白い。
 ※※アコーディオンと言えば、日本でも有名な名手シュテファン・フッソングにも是非この曲を録音して欲しいです。


※2013/7/6追記
ウラディミール・ヴィアルド盤を追加。とにかく録音が素晴らしい。このレーベル(ProPiano)はいつも音が良いのですが、このアルバムも明晰さと残響のバランスが秀逸(ややモノクローム調ですが)。演奏も良いです。ヴィアルドというと語り口が上手いのにテクがイマイチという印象があるのですが、これもそんな感じがあるものの、曲の良さが引き立ってます。バウアー=ヴィアルドという編曲で、フーガで装飾音的なものを追加していて、ちょっと技巧の流れが淀む感じが惜しいです。


※2015/1/28追記
アレクシス・ワイセンベルク盤を追加。この曲の最も有名な録音?らしいですが、ようやく聴きました。私はショパンのソナタでもワイセンベルクに厳しいですが、想像していたよりも真面目に弾いてるものの、変奏曲部分が早足になったり、録音のせいか和音が美しくなかったりとちょっと残念。

ムーザ・ルバッキーテ盤を追加。柔らかい音色が良い感じです。フーガ部分がいまひとつスムーズでないのが惜しい感じ。演奏としては悪くないです。

デュオ・ピリティス盤を追加。ハープの演奏なんてほとんど聴いたことありませんが、音色はいい感じ!ぽろんぽろんというよりはナイロン弦ギターのような音も出ており、気に入りました。この楽器はよく知らないのですが、録音する上で仕方ないのか、ピアノやヴァイオリンの録音では聴かれないような変な雑音が時折入ります。また、低音弦の音色がぶぉーんごーんとあまり美しくないので驚きます。そういうものなのでしょうか。サラサラと速めのテンポでスイスイ進む解釈はなかなか曲にハマッてます。この演奏を聴くと、2本のクラシックギターで合奏するのが聴いてみたくなります。この曲にナイロン弦の響きはよく合うことでしょう(デュオ・ファンダンゴはなぜかスティール弦)。自分で編曲して多重録音しようかな。

オーギュスタン・デュメイ&ルイ・ロルティ盤を追加。まだ1月ですが、今年のガッカリ盤に速くもノミネート。相当に期待したのに、ヴァイオリンはそのままメロディをか細く弾いてるだけだし、ピアノの伴奏にもなんの工夫も感じられません。ロルティは大好きなピアニストなのに、ショパンのソナタに続いてなんだか悲しいです。
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コメント

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コメントもみぢ葉 | URL | 2013-03-30-Sat 00:53 [EDIT]
私も大好きな曲です。ワイセンベルク(EMI)の演奏でたまたま知ってそれから幾つかの演奏を聞き比べてみましたが、やはりワイセンベルクに戻ってしまいます。是非聞いてみて下さい。
コメントA太 | URL | 2013-04-06-Sat 08:32 [EDIT]
返信が遅れて申し訳ありません!
ワイセンベルクが録音していたとは全く知らず、お恥ずかしい限りです。
是非聴いてみます。情報ありがとうございます。
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