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ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ~追加レビュー編その2~
2012-10-11-Thu  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
トルプチェスキ盤、ライヴリー盤、アンスネス(&パッパーノ)盤を追加します。



☆☆☆・トルプチェスキ/ペトレンコ/ロイヤル・リヴァプール・フィル/ossia
出だしはまずまず早めですが、モゴモゴしてて明晰さに欠けます。また、心なしかタッチに均一さを感じないかも。情感はこもっていて、第一主題の1回目の再現部前の緩徐部分など語り口が良いです。両手交差はかなり健闘してます。お待ちかねの展開部、盛り上げはいい感じで、スピード感もありますが繰り返す和音連打のタッチが浅いせいか、はじめの音が出きってないのが惜しい。 カデンチァはオッシア。前半の左手がちょっと埋もれ気味。後半の和音部分、音はスムーズですが、緩徐部分で見せた思い入れは感じられません。そのあとのオケが入って静かに続くソロはなかなか良いです。第2楽章、オケがゆっくり奏でるわりにはデュナーミクに工夫があまり感じられません。ピアノが入ってくる直前にオーボエのパートが際立って聴こえるのが珍しい。その後は非常に感じ入った良い雰囲気があり、こういうのが彼らしさなのかも。中盤以降の細かい音型はクリアではないものの丁寧に弾いてる感じ。アタッカで終楽章に行くところの迫力も及第点。出だしの同音連打はやっぱりモチャモチャしてますが、これも平均以上。後半の急速部はそれほど悪くない印象。ラストはオケと共にアッテェレランドして程良い満足感が漂います。全体的に音楽性での筋の良さがあり、テクも十分に平均以上に感じますが、どこか踏み込みが浅いというか微温的な印象で、惜しいです。


☆☆☆・ライヴリー///ossia
 第1楽章第1主題は自然な入り。すぐ後のピアノの上昇からの出だしでテンポを落とすのは腑に落ちない感じ。勢いはありますがややタッチが不明瞭。 緩徐部分の語り口はまずまず良いです。両手交差やその前の部分ではやはりわずかにテンポが落ちるのが気になります。展開部はそれまでの印象を覆す力強いタッチでしかもスピード感も抜群。カデンツァはossia。前半は左手が埋もれているのが惜しいですが、なかなか聴かせ方をわかってる感じ。後半の和音部はなにか突然ヒステリックに走り出す印象でテンポも上げており、打鍵が明らかに乱れる箇所もあります。第2楽章、聴かせ方が上手いですが、フレーズ終わりの弱音を立ち止まって消え入りそうに弾いたり、突然強打でルバートをかけたりするなど、ややあざとさも見受けられます。中盤以降はやっぱり左手がモチャモチャしててよく聞こえず、これは録音のせいもあるのかも。終楽章は同音連打など粒を揃えてますがもう少しテンポを上げて欲しい。その後は勢いがあって結構流麗です。急速部と緩徐部分の対比がかなりあり、静かに奏でる部分はフレーズごとにアゴーギクを変えるのではなく、あくまでマクロでのテンポを保ちながら歌うので抑揚に乏しく、聴かせるタッチの割には胸に迫るものがないです。ラストはかなりアッテェレランドして終わります。
この盤は、門田氏による有名なラフマニノフのコンチェルト2番の聴き比べ本(多分絶版?図書館とかにはあるかも)で、コラムの中で3番の優秀盤に挙げられていた記憶があり、入手にも苦労したのですが個人的にはそれほど心引かれませんでした。あの本が出された後くらいから現代の技巧派による佳演が増えてきたので、仕方ないのかも(あるいは単に筆者との好みが違うだけかもしれませんが)。それを考慮すれば全体的に悪い演奏ではありません(私が贅沢を言いすぎなのは間違いないです)。



☆☆☆☆・アンスネス/パッパーノ/ロンドン響/ossia/2009年
 アンスネスの14年ぶり2度目の録音。ベルグルンドとの旧録音とほぼ同解釈の演奏ですが、手慣れた分だけ瑞々しさや緊張感というものが幾分削がれてしまい、ピアノの演奏自体は個人的に旧録のほうが好きです。例えば、カデンツァの前半出だしや後半の和音部分などは明らかに旧録のほうが気合いが感じられるし、終楽章の中間部で一旦テンポを落とす場面での歌いっぷりなどはやはり新録音を上回ります。しかし、新録音ではオケの出来がかなり良くなっているのと、録音がわずかに(悪名高きEMIなので本当にごくわずかですが)ピアノの音質が向上したような気がするのでトータルでは同評価の4つ星にしたいと思います(なんと言っても、前述の2つの盤と比べても技巧にかなりの余裕が感じられ、解釈にも違和感を感じることが断然少ない!)。
 このレビューを書くにあたって、旧録音も久々に聴き直したのですが、やはりアンスネス旧録はイイです。4つ星盤の中での評価も上げたくなりました。この若い時期のアンスネスの感性は素晴らしい(ショパンのソナタとか、グリーグ集とか、ちょっと後のリスト集とか、スゴい)。近年、アンスネスのアシュケナージ化が進んでいるような気がしているのですが(2人に失礼)、ことラフ3に関してはそこまで劣化した感じはありませんでした。去年、NHKでアンスネス&ブロムシュテット&N響によるラフ3の演奏会が放映されましたが、そこで観た演奏はこのパッパーノ盤に近く、少しタッチが硬めで潤いに欠ける感じがして、ちょっとだけ残念だった気がします(普通は映像付きだと感銘度が断然高くなるものなので…)。





以上、一覧表の方にもそのうち評価を反映させておきます。

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