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ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ~3つ星編その4~
2012-08-12-Sun  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
☆☆☆・ブロンフマン/サロネン/
近年ベルリン・フィルやウィーン・フィルとコンチェルトで共演するなど、大物ピアニストの仲間入りを果たしているブロンフマンの旧録音。実力派だけあって、現代的な解釈、確かな技巧、ストレートな名演です。打鍵の明晰さにはわずかな澱みも濁りもありません。ピアノ・オケともにスケールが大きく、力強さに満ちています。第1楽章の出だしなど、ややアゴーギクが杓子定規かなと思う箇所もなくはないのですが、和音の響きが深々としていて実にラフマニノフらしい(粒の揃い方が良すぎて違和感を覚えるくらい)。そしてossiaのカデンツァも十分にタメがついていて、個人的にガヴリーロフ旧盤とベストを争う素晴らしい出来。録音もオケとのバランスが取れていてなかなか良く、もっと高く評価したい演奏ではあるのですが、ただ一カ所だけ(アンスネス盤などと同じ箇所)第3楽章のエンディング直前の所で管楽器が無様な音を出すので、聴いていてドキッとしてしまい萎えるのが非常に残念です(スタジオ録音なのに何故?それとも私の耳がおかしい?)。個人的にはここを外されると非常に気になります。


☆☆☆・グレムザー/ヴィット/ossia/
再録音。ややピアノの音が小さく、第3楽章などではかき消され気味ですが、残響が適度で、音質的には旧盤よりも改善されています。そのせいかオケの印象も悪くありません(細かく聴くと金管が幾分弱いけど)。ピアノは模範演技のような前回よりも、よりコクを出そうとしている感じで、特に緩徐部分は意欲的に奏でられています。第1楽章は、展開部の和音連打がスピードは十分なのですが、タッチがやや軽めな感じで少々もの足りません。カデンツァは他のossiaに比べるとかなり良いです。演奏のタイプとしてはアンスネスと似たような感じを受けます。佳演が増えてきた近年の中では個性という点で存在感に欠けるかもしれませんが、完成度は高いです。変な癖が無く、廉価レーベルからの盤なので最初の一枚に十分お薦め出来ます。この盤を基準にして聴き比べてみると面白いのではないでしょうか。


☆☆☆・ガヴリーロフ/ムーティ/フィラデルフィア・フィル・86年
旧録音から10年後の録音。持ち前の技巧はさらに冴えを見せ、圧倒的な迫力で弾き進む所では余裕すら感じさせます。しかしその分、勢いに任せて弾き飛ばしている印象を受ける箇所がなくもないです。演奏時間が前よりも全体で2分近く遅いので、少し弛緩した演奏になっている感じがします(部分的には前回より速いテンポで弾きこなしている場面もあり、テンポの揺れが結構ある)。第1楽章中盤の和音連打のスピードはハフ盤と並んで手持ちの中でおそらく最速。カデンツァは旧録よりさらにじっくりとタメを効かせていて迫力がありますが、和音部分などで大胆なアゴーギクをここまで露骨にやられると流石にくどいかも。また、大事な所でわずかに音を引っかけることがあって少々ドキッとします。良くも悪くも彼らしい豪快さが前面に出ている演奏と言えると思います。ゆったりとしたテンポのおかげで、ムーティ率いるオケの素晴らしさを十分に味わうことが出来るのは良いです。特に弦楽器の膨らみのある美しさは筆舌に尽くし難いものがあります。録音は音に艶があるのは良いのですが、ふくらみがありすぎてやや大味な印象。しかし、全体としてはピアノ・オケともに完成度が高く、バランスの良さでは突出した出来です。


☆☆☆・アシュケナージ/フィストゥラーリ//63年・original
アシュケナージ第1回目の録音。音質は年代を考えるとなかなか良い方で、かなりピアノが強調されていますが、オケの音色もそこなりに色彩豊かに聞こえます(金管の元気が良すぎる気もするが)。ピアノの演奏解釈は極めてオーソドックスで、すでに王道を行く大家の風格が漂っています。彼らしい美音はこの頃から健在で、歌い所ではそれが顕著(曲中で時折入るトリルが几帳面でとても綺麗)。ただ全体を通して少々タッチに力強さがなく微温的な印象も受けます。また手が大きくないせいか、和音も少々底が浅く感じることも。彼の録音中唯一originalのカデンツァは、出だしをそろそろと始め、段々とクレッシェンドさせて行く所など表現意欲に溢れていて良いです(ossiaの前半部分のような重々しさがあって面白い)。第2楽章の前半の緩徐部分は流石に良く聴かせてくれます(個人的にここがしっくり来ないと聴く気がしなくなる)。第3楽章ではオケと一体となって迫力ある演奏を繰り広げていて、後年と違って若さゆえの(?)熱演。彼の一連の録音の中ではこの最初の盤が一番好きです。


☆☆☆・グティエレス/マゼール/ピッツバーグ交響楽団/90年
 技巧のキレが素晴らしく、自在な指回りが堪能出来る盤。第1楽章から急速部分がどこまでもクリアで、明晰な録音と相まってスポーツ的な爽快感があります。ただ、最初から飛ばし気味なので、展開部の和音連打で少しテンポが落ち着いてしまう感じがするのが惜しい(決して遅いテンポではないのですが)。カデンツも旧盤同様に流麗です。第2楽章はピアノが強調され気味のバランスゆえか、ちょっと騒々しい箇所があるかも(高音がキンキンする)。第3楽章は冒頭が凄い。同音連打の粒が揃っていて、かつ凄まじいスピード。ドノホーやハフ、アルフィディ、カツァリスなどと遜色ない勢いがあります(途中で若干テンポが落ちていく気もしますが)。オケの出来も良いのですが、アタッカで第3楽章に行く時に音価を伸ばすのは個人的に好みではありません(細かいところですが、いつもここが気になるのです)。


☆☆☆・ルガンスキー(新)/オラモ/03年/orginal
新録音。この曲を完全に手中にしたのか、難所も守りに入ることなく鮮やかなまでに弾ききっていてメカニカルな指回りは爽快なことこの上ありません。カデンツァの後半終わり部分におけるトリルの粒の揃いがとても綺麗で印象的。硬質系の音色のせいか聴いていて少しトゲトゲしさを感じるところがありますが、オケのまったりとした音色とのバランスは取れています。細かい指使いの名技的なoriginalのカデンツァは彼に良く合っていると言えます。ただもう少しスピード感を出して畳みかけても良い気はするかも。また、再現部のカデンツは少し野暮ったいです。第2楽章も自然にゆったりと歌えていて、旧録よりも成長の跡が伺えます。第3楽章の急速部分における滑らかさは凄い。ただ、思ったほどテンポが速くなくて、彼一流のキレキレのテクニックを見せつけるというほどでもないのが惜しい。音像がやや遠めの録音のせいなのか、明晰さはシチェルバコフなど同タイプ(?)の技巧派の演奏に比べて多少あいまいな気もします。総合的にはとてもスマートで洗練された演奏。


☆☆☆・ギレリス/コンドラシン/USSR state orchestra/49年/original
 ギレリスらしい技巧が冴え渡った演奏。解釈に変な癖が無く、現代のものと殆ど変わりがないです(ほぼ同時期のホロヴィッツ盤より万人向けかも)。存在感のあるタッチが素晴らしくどんな難所も澱みなく弾き鳴らして行きます。第1楽章は自作自演を思い起こさせる、快速なテンポ。安定した音運びが小気味良い。迫力満点の和音連打の直前で、何故か音像が小さくなるのが迫力を減退してしまっていて残念(そのような箇所は他にもある)。その後持ち直すが、カデンツァが終わった辺りで今度はマスターテープの捩れか何かで音がゆがむ。他にもピッチが揺れる所があって音質は年代相応に悪く、緩徐部分などで細かなニュアンスを聴き取るのが難しいです。。それでも第2楽章は十分歌えてます。第3楽章に入る直前で、アタッカで突入して行くはずなのに大きな空白がトラック間に存在するのが残念(ホロヴィッツ&コーツ盤と同様の編集の仕方と思われる)。ちなみにそこの部分があまりにも気になるので、MDでつなげて編集して聴いています。第3楽章は緩急のメリハリが付いていてこれまた良い出来。この時代では珍しく、演奏にカットが無いのがとても嬉しい所。コンドラシン率いるオケも例によって素晴らしい。とにかく、もっと音が良ければ・・・。


☆☆☆・ペナリオ/サスキンド/フィルハーモニア/59年
 タッチが非常に安定していて、細かい音色の変化は少ないものの安心して聴くことができます。第1楽章の緩徐部分から歌い方が上手く、思わず聴き入ってしまうほど。展開部の和音連打もスムーズ。カデンツァはoriginalで、煽り方が巧み。再現部でのカデンツはもう少し工夫が欲しいかも。第2楽章もとにかく詩情溢れる感じで、細かいトリルなども丁寧なのが印象に残ります。和音も深々としていて綺麗に響いています。第3楽章も全体的に丁寧で、弾き飛ばすところが皆無。アゴーギクが模範的と言ってよく、是非この盤を参考にして欲しいピアニストがたくさんいるかも(苦笑)左手の細かなパッセージも粒が揃っていて爽快感があります。ピアノの音がオケよりも大きめに録られていてピアノ好きには嬉しい。年代を考えると録音は悪くありませんが、若干サーフィスノイズが載っているのでオケの音色も美しくなく、ボヤけ気味なのが残念。近年ではあまり注目されていない演奏のようですが、隠れた名盤と言ってよいと思います(音質さえよければ四つ星!)。
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