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ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ~3つ星編その3~
2012-07-28-Sat  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
☆☆☆・ボレット/Charele Webb/インディアナ州立大学オーケストラ/(69年)
第1楽章は自作自演の解釈を踏襲するような快速テンポ。指回りも良く、打鍵が明晰で力強いです。後年の録音とは一線を画した迫力を感じます。Piu(`) vivoの和音連打は直前で若干テンポが落ちて噛みしめるように弾ききります。カデンツァは比較的オーソドックスですが、とにかく力強いです(2小節をカット)。第2楽章はうねるようなリズムとやや語気の荒いロマンティシズムが同居しており、多少声高なきらいはありますがボレットらしい歌い方が素晴らしい(残念ながらカットあり)。第3楽章は出だしの同音連打が混じる3連符の所が少々ぎこちないのが惜しいです。ただ、後年の演奏よりも推進力十分。急速部分でも新録音のようなけだるさを感じることはありません。この楽章のテンポだけ見れば、手持ちの中でも速い方に入ります。録音は悪く、強奏部分では音が割れてしまっています(ボレット得意の美音が聴けないのが痛い…)。また、第1楽章の開始1分くらいで、小さい子ども(?)が「キャオ!」と叫ぶ声が入っていて少々気味が悪いです。オケは音色が固めで魅力が見いだせません。全体としてミスは少なく熱気に満ちていて良い演奏ですが、後年の円熟味ある録音には及ばないように思います。


☆☆☆・スグロス/シモノフ/ベルリン・フィル/(84年ossia)
 録音当時若干14歳、最年少録音。しかし、演奏の方は年齢のハンデを全く感じさせない驚異的な内容です。指回りは鮮やか、表現力もあり、オケ共々勢いに満ちています。第1楽章の出だしからテンポが速く、打鍵にも力があります。ただ、全体的に語尾が曖昧で、音価もちょっと長く伸ばし気味かも。展開部はオケの音量がデカ過ぎて埋もれがち。カデンツァは前半部分が相当飛ばし気味で、左手に明晰を欠きますがなかなか良いでしょう。後半部分の和音が怒涛のスピードで凄まじい。ここをタメなく弾かれるのは個人的には好きでないのですが、ここまでやられると圧巻という他ないです。ただ、もう少し音を美しく響かせて欲しいかな。終わりの部分など、迫力はありますがいくらなんでも荒っぽい。第2楽章は叙情的。終楽章の急速部分は現代の技巧派ピアニストと遜色ない出来。シモノフ率いるオケも素晴らしく、あまりにも出来すぎた演奏で恐ろしくなるくらいです。もう少しの個性や味わいが欲しい気もしますが、それをこの年齢のピアニストに望むのは贅沢なのかもしれません。


☆☆☆・フェルツマン/メータ/イスラエル・フィル/original・88年
 やや硬めのピアノの音色ですが、張りがあって適度な残響が心地よいです。ライヴにしては良い音質かもしれません。第1楽章はキビキビとした指回りが印象的。良い意味で機械のように精確なタッチという感じです。技巧を全面に出した感じではなく、あくまで奥ゆかしい。和音連打の直前でルバートをかける感じがホロヴィッツに似ている気がしないでもありません(個人的にはインテンポのままが断然良かった)。緩徐部分は詩情豊かで聴かせてくれます。カデンツァの解釈は実に自然。第2楽章はこの演奏のハイライトと言ってよく、穏やかな叙情に満ちています。興奮や熱気とは無縁ですが、思わず聴き入ってしまいます。これほどの出来の盤はなかなかありません。第3楽章は随所で鐘のように響く和音が印象的。遠目の録音と相まって非常に幻想的。ここでも俊敏な指回りが素晴らしい。ともするとスケールがどこか小さめで、ラフマニノフというよりはショパンを聴いているような繊細さを感じますが、この盤にしかない魅力が詰まっているのは確かです。ただオケの出来は他盤に比べてかなり聴き劣りするのが残念(低音が軽めで、ピッチも合ってない所が散見される)。
 

☆☆☆・L.ラン/テミルカーノフ/サンクトペテルブルグ・フィル/01年・ossia
 ライヴなので若干潤いに欠ける音質なのが気になりますが、全体的に演奏はかなり良いです。第1楽章から語り口が上手く、センスを感じます。ただ、ちょっと音が出きっていないというか、幾分力強さに欠ける箇所も。和音連打はテンポが落ちず、なかなかの迫力。カデンツァも手堅くまとめてます。第2・3楽章も勿論悪くないです。後半は打鍵が微温的になるのが惜しい(マイク入りのライヴなので安全運転に徹したのかな)。弱音を使いすぎのような気もします(小さすぎてよく聴こえないところが多い)。しかし、演奏には迷いがなく、確固とした音楽性が感じられると言ってよいでしょう。聴く前は爆演系かと思ってましたが、むしろ叙情的な美しさに惹かれました。爽やかで好感の持てる佳演です。


☆☆☆・コミナティ///96年
(16:42/10:35/13:25)
 ‘96年シドニー・コンクールライヴ(彼が第2位で、第1位はセルゲイ・タラソフ。ちなみにタラソフはチャイコンの1番を弾いた)。第1楽章の前半はオケの様子を見ているのか、意外と足取りが重い。しかも浅いタッチでそろそろと弾く感じで、やや音抜けの悪いところが気になります。カデンツァ前の和音連打はライヴながらかなりのスピード。ossiaのカデンツァからテンポを速め、強弱のつけ方が非常に上手く、聴かせてくれます。しかし、まだエンジンはかかりきってない様子。第2楽章の緩徐部分は慈しむような歌い方が素晴らしい。第3楽章は相当な勢いですっ飛んでいくのですが(拍手入りでこの演奏時間はかなり速い)、大体弾けているのが凄いです。ライヴらしい盛り上がりが感じられるし、技巧派らしく内容に見合った完成度の高さが感じられる演奏です。ただ、テンポの揺れが結構多くて、もう一つ演奏に締まりが欲しいところです。オケも弦楽器の音色がいまひとつ美しく感じられません(録音のせいかも)。


☆☆☆・ホロヴィッツ/ライナー/original
テンポは速め、解釈は至って自然で狙いすぎという感じを受けることはないです。金板を叩くようなドタバタとした打鍵は落ち着きがないが、とにかく強力な重量感があります。第1楽章展開部の和音連打で若干テンポが落ちるのが残念。第3楽章における急速部分では怒濤の攻めを見せ、見事な指回り弾きこなしています。緩徐部分は録音のためか全体的にピアノの音色がイマイチなこともあってもうひとつしっくり来ないのですが、歌いっぷり自体は相当に素晴らしい。メリハリの付け方や聴かせる演奏という点で流石です。勇猛果敢に畳みかけるような迫力のある演奏としては代表的な盤と言えるでしょう。モノラルなので音質がそれほど良くないことと、やはりカットが残念。演奏はバルビローリとの盤の方が断然良いですが、総合的にはこちらが勝っている感じ。


☆☆☆・マツーエフ/サッカーニ/ブダペストフィル/ossia
旧録音。爆演系かと期待していましたが、ライヴながら思ったより意外に冷静です。悪く言えば期待に反して行儀がよい感じ(普通の演奏に比べれば相当派手ですが)。勿論技巧は達者で、タッチも力強く勢いがあります。緩徐部分ではテンポを落として濃密に歌う所がロシア的(ただしあまり胸に迫ってくるものはないです)。もう少し細部で色気を見せて欲しいというか、繊細さがあってもよい気がします。迫力はあるのですが、残響が多めで録音レベルも小さいことから、同系統の演奏であるベルマン盤やガヴリーロフ盤などに比べると少々分が悪いです(その上、意外にもあまり個性を感じない)。完成度は高く、贅沢を言わなければ相当に良い録音と言えるのですが。


☆☆☆・ティボーデ/アシュケナージ/クリーヴランド・オーケストラ/94年/ossia
技巧に優れ、音色も美しく、実に見事な演奏です。第1楽章は快速テンポで粘らずサッパリ駆け抜けます。急速部分も相当速いのですが、少々音型が団子気味なのが気になるところ。展開部分はなかなかのスピード。カデンツァも前半部分が良くて期待させますが、後半の和音部分が噛みしめるように足取りが重く、ちょっとリズムが停滞してしまっている感があります。若干アゴーギクが硬いのかも。しかし、第2楽章は切々と歌い、耽美的な美しさがあって素晴らしい。歌に難ありと思っていた彼にしては予想外の好演です。流れるようなフレーズも緩急が見事で、幅の広いアルペジオなども凄い滑らかさ。オケも図太い弦の響きを聴かせ、おおいに盛り上げます。この楽章がこれほど良い出来の録音は他になかなか見当たらなく(ボレット新盤、フェルツマン旧盤といい勝負)、この演奏の白眉と言えるでしょう。第3楽章はオケの管楽器が少々うるさめで、ほどよい甘さに浸っていた第2楽章とは違って引き締まった印象を与えてます。ピアノはやはり申し分の無い技巧で、完成度が高いです。ただ、前半部分でのグリッサンドが丁寧ではないのが少し気になります。


☆☆☆・ロドリゲス/タバコフ/ソフィアpo/89年
 ロドリゲスの旧盤スタジオ録音。入手したのはライヴの新盤の後ですが、期待通りピアノはよいです。第1楽章、展開部の和音連打がライヴほど速くないのが残念ですが、それ以外はほぼ同様の素晴らしい演奏。第2楽章の緩徐部分もやはり味わい深い。本当に彼は歌のセンスがあると思います。根がロマンティックなのでしょう。ただ、第3楽章は精確だけれどライヴ盤のような活きの良さが若干薄めで惜しい(それでも、数多のスタジオ盤よりは断然元気ですが)。音質もピアノの音が大きめに録られていて個人的には好ましいです。なのに三ツ星なのはオケが酷すぎること!第1楽章から覇気がないし、第2楽章はソロの部分を間違えてるし、第3楽章に至っては演奏にまったく華がありません。一体どうしたことでしょうか。でもまあ再録音してあの名盤を残してくれたわけですから、ELANレーベルとロドリゲスには感謝。
 ※併録のプロコフィエフのピアノコンチェルト第3番はかなり良いです。打鍵に気迫があって、技巧的にも豪快さが随所に感じられます。ただ、終楽章のグリッサンドが続く箇所などでタッチが軽めなのが惜しい。それでもブロンフマンやバルト盤に次ぐ位置に入ります。
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