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ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ~1つ星編~
2012-07-14-Sat  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
☆・ホロヴィッツ/オーマンディ//original
評論家には評判の良い盤らしいですが、個人的には同意出来ません。全盛期の技巧は衰え、その上ライヴということもあって演奏精度に欠けるので、繰り返し聴くのは辛いです。急速部分というか、和音連打の箇所などであからさまにテンポが落ちるのも痛い。音質は(手持ちの彼の盤では)一番良いので、変幻自在のピアノの音色が楽しめるのは良いです(ダイナミックレンジの広さが凄く、弱音の使い方が非常に巧み)。この曲に対する内なる思いをなんとか表現しようとする意志は感じられるのですが…。

☆・ホロヴィッツ/コウゼヴィツキー//50年・original
曲の始まりでの音質の悪さに先行き不安に思いますが、その後はなんとか持ち直します(それでも酷いけど)。オケが出過ぎでピアノがかき消されてしまう場面もあります。第1楽章の和音連打直前でオケと思いきりズレてしまって、混乱をきたしているのは大きな疵(なんとかピアノがフォローしている?!)。カデンツァはレガートで滑らかな印象。第2楽章での緩徐部分の語り口も上手い。全体的にライヴなわりに演奏の精度は立派な部類で、オケも悪くないです。例によってカットが少々気になります。ほぼ同時期のライナー盤と比べると非常に音質が悪く、ピアノの音色を十分に楽しめるほどではありません。総合的に見ると彼の他の盤の方が個人的には魅力を感じます。

☆・Orlovetsky/Titov/
廉価盤ですが、安かろう悪かろうという感じ。技術的に苦しく、テンポは全体的に遅めなのに、難所ではさらにルバートをかけるので心証が悪いです。オケにもあまり美点は見いだせません。

☆・マルクジンスキ/クレツキ/フィルハーモニア49年
カペルほど極端ではないですが、テンポが結構揺れます。SP時代の名残なのか収録時間に配慮した(?)カットが存在して、全体の演奏時間は35分ほど。ミスタッチも結構あって次々と弾き飛ばして行く印象を受けるところがありますが、歌い所ではそれなりに気配りを利かせたメリハリもあって、演奏としてはそこまで悪くないです。録音は時代を考慮すると酷過ぎるとまでは言えないと思うけれど、やや音のピッチが揺れるところがあり、魅力に乏しいのが残念。

☆・チェルカスキー(旧)
再録音から遡ること37年前の録音。若いだけあって(それでも40代だけど)後年の録音よりも覇気というか勢いがあります。第1楽章の出だしなど、勢いが良くこちらの気分も高揚します。ただ、ライヴなのでかなりの疵やオケとの協調性が崩れる場面があるのが残念。緩徐部分では持ち前の絶妙な弱音の使い方で歌い方の巧さを見せますが、やはり技巧的な難所では苦しさが出てしまっています。その意味では再録音の方が完成度は高く、味わいも深いように思います。

☆・K.Leimer/Zsolt Deaky/Nurnberger Symphoniker/?/LP

ライマー

 第1楽章出だしからブツブツと途切れるようなスタッカート気味のタッチが気になります。内声の浮き立たせ方も少し変。テンポは素っ気無いほどに速く、思い入れがまるで感じられません。カットもかなりあり、オケとの協調性もイマイチ。ただ、細部までキッチリ弾いているのだけは好感が持てます(いかにもドイツ人らしい感じ)。カデンツァもなんだかコミカルなまでにポツポツと弾いていて思わず苦笑してしまいます。第2楽章でも大いに歌うべきところもスッと流れて面白くありません(多分手持ちの盤の中で一番素速く緩徐部分を通り過ぎてると言う意味で、この盤の存在価値がありそう)。はっきり言ってロマンのロの字もありません。第3楽章の急速部分でもやや苦しさが見えてます。ポコルナ盤はまだ個性が面白い部分がありましたが、これはちょっとやりすぎ。生真面目な辺境の地で純粋培養されたかのような変な演奏です。オケも全くと言っていいほど存在感がありません。録音年は不明ですが(どうやら1968年以降らしい)、音質も悪いです。CD化されてませんが、コレクターでなければわざわざLPを探すほどの演奏でないでしょう。
※全然知らないピアニストですが、自作のコンチェルトやスクリャービン、ショパンのエチュード、ブラームスのパガニーニ変奏曲、コンチェルト2番などを録音しているらしく、一応(?)技巧派のようです。恐いもの見たさで聴いてみたい気はします。

☆・リンパニー/コリンズ/ニュー・シンフォニー・52年
女流ピアニストの録音としては手持ちの中でもっとも古い録音です。気になるミスは少ないですが、オケと合わない所があったり旋律の流れが澱む所があったりと、かなりたどたどしいです。打鍵に力強さが感じられず技巧的に厳しいことが伝わってきます。タッチの柔らかさを味わえるのは良いのですが、ラフマニノフらしい雄大さに欠けています。録音も年代を感じさせるもので弦楽器の音の響きが痩せており痛々しいです。とにかく、もう少し音が良ければまた印象は変わると思うのですが。

☆・ポストニコワ/ロジェストヴェンスキ/91年
おそらく修正なしのライヴ盤のせいか、演奏精度は手持ちの中で最低に近いです。第1楽章の前半は比較的健闘していますが、段々とボロが出てきてミスが頻発。この曲の難しさを実によく感じさせてくれます。女流ピアニストですが、カデンツァではossiaの方を弾き始め、一瞬期待するのですが…。ライヴの生々しさを楽しむには良いかもしれません。

☆・ホロヴィッツ/コーツ/30年/
この曲の記念すべき世界初録音。当然ながら音質は悪く、それを覆すだけの魅力が演奏にあるとは言えないです。歴史的な価値はあると思われますが、繰り返し聴くのはちょっと辛いです。第2楽章から第3楽章に行く時のトラックの切り方が随分間を空けていてドキッとします。

☆・ヘルフゴッド/Horvat/コペンハーゲン・フィル/95年/ossia
 映画『シャイン』でこの曲を2番よりも有名にした(かもしれない)ヘルフゴッドの自演。多少のミスが残るライヴということもありますが、他のピアニストの録音に比べて技巧的にはかなり聴き劣りする感があるのは否めません。タッチがスタッカート気味というか、Leimer同様にブツブツとフレーズが途切れるのも気になります(流麗さがない)。それでも第1楽章は歌い方がそこそこ上手く、意外に悪くないです。和音連打の箇所もあからさまにルバートをかけるという感じではなく、勢いはギリギリ保っているのが好印象。まずいのがカデンツァ。前半部分は弾くのがやっとなのか、演奏に表情が感じられません。後半の和音部分はドタバタと急に走り出す感じで、ミスも相まって音の響きがとても濁っています。解釈もかなりとんでもない部類に入るでしょう。第2楽章は緩徐部分に関してはそこまで悪くないように思います(映画での場面を思い出してしまうので、多少ひいき目もあるかも)。第3楽章は、指回りはなんとか持ちこたえているのですが、小気味良いリズム感に欠けます。全体的な評価としては、繰り返し聴くのは辛いというところ。映画によってラフマニノフのファンを増やしたということは高く評価したいです。

☆・ギーゼキング/メンゲルベルク/コンセルトヘボウ/40年/ossia
 手持ちで最も古いossiaの演奏。とにかく音が悪いです。演奏は異常な熱気に溢れていますが、言い換えるとかなり粗く、悪く言えば雑。カットも信じられないものがかなりあります(ossiaなのに33分弱で曲が終わってしまう!)。テンションの高さで言えば手持ちの盤の中でも最上位に来ますが、個人的にはもう少しきちんと弾いて欲しい。第3楽章などは少々崩壊気味のところもあり、ヤケになっているのかと思うほど。繰り返し聴くには辛いです。


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コメント

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こんばんは
コメントさんずき | URL | 2012-10-29-Mon 21:35 [EDIT]
K.Leimerの演奏がCDで復刻しています。ttp://tower.jp/item/3094770/Rachmaninov:-Piano-Concerto-No-3,-Prelude-Op-23-5;-K-Leimer:-Piano-Concerto-No-2
聴いてみましたが、最後まで聴くのは苦しかったです。
コメントA太 | URL | 2012-10-30-Tue 04:02 [EDIT]
情報ありがとうございます。

やはり私と同様な感想を抱かれたようで、CDで買いなおすのはやめておきます(苦笑)
しかしまさか、この妙な演奏がCDになるとは・・・。
「買ってはいけない」盤だと思います。
ポコルナ盤のCD化に続き、驚きです。
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