音楽好きの世迷い言
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エフゲニー・モギレフスキーのラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番新旧聴き比べ
2007-06-29-Fri  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
またまた同じネタで、エフゲニー・モギレフスキーの新旧ラフ3聴き比べを。


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モギレフスキーのラフ3の録音は2種類あって、最初の録音は彼が優勝して一躍話題となったエリーザベト・コンクールの実況録音(1951年から2001年までのコンクールから選んだ音源がBOXに収録されています。まだ手に入ります)、続いて世評で名高いメロディアから出たコンドラシンとのスタジオ録音です。ともに1964年の演奏。



まずはメロディア盤の感想です。


世評で名高いだけあって、この時代としては非常に完成度の高い演奏です。打鍵は力強く、明晰さも十分。歌いどころでは柔らかなタッチを見せ、繊細なピアニッシモを聴かせる場面も多々。勢いの良さからか所々隣りの音を引っかけることもありますが、若さが良い方に作用していて(?)、(スタジオ録音ですが)ライヴ感があります。第1楽章は出だしから叙情性に溢れており、録音当時若干18歳とは思えないほど。速いパッセージもなかなかのテンポで手堅くまとめます。ossiaのカデンツもスケール感たっぷりに弾き切っていて、構えが大きいです(カデンツだけで言えば、個人的に最上位に入る出来!)。第2楽章も朗々と歌いに歌って、しかも弱音が実に美しい。第3楽章は、もう少しスピード感が欲しい感じもしますが、1音たりともゆるがせにしない気迫があります(さすがに現代の技巧派と比べると流麗さで劣る感は否めませんが)。

オケもコンドラシンらしい線の太さと深い響きが魅力で、聴きどころのひとつでしょう。残念なのが音質です。いかにもこの時代のメロディアの録音というような、マイクがオン過ぎて硬くドライな感じで、残響も少ないためにカンカン鳴っていてかなり聴き疲れします。実はその音の間近さが迫力を演出しているというのもありますが・・・。リヒテルがこの演奏(とクライバーンの演奏)を気に入っていたために、同曲の録音を残さなかったというのも頷ける演奏です。




続いて、エリーザベト・コンでの演奏の感想を。

コンクール後のスタジオ録音よりもテンポはかなり遅めで、じっくりと歌い上げてます。やはりと言うべきか、極めて叙情性豊かで、この若さで(しかもライヴで)ここまで聴かせる音楽性は驚異的です。第1楽章前半のオケと掛け合う場面で一瞬音を忘れたのか、ドキッとする箇所がありますが、目立った大きなキズはそこくらいでしょうか。展開部の和音連打では力強くたたみかけます。ossiaのカデンツァも迫力十分で、力強いタッチには爽快感があります。第2楽章は彼の本領が発揮。ロマン溢れる演奏でこの盤の一番の聴き所と言えるかも。第3楽章では多少疲れてきたのか、急速部分などで少々指がもつれることもありますが、丁寧に弾き通そうという姿勢は伝わってきます。音質はかなり悪く、途中で一瞬音が小さくなる箇所もあります。終演後はブラヴォの嵐ですが、この演奏では優勝も当然かなという印象。


両方の盤に共通して言えることですが、彼のラフ3の演奏に関してよく言われるデモーニッシュな瞬間が多々あります。例えば、第2楽章のピアノの入りは、もはや何かが取り憑いたとしか思えないほど堂に入っています。エリコン・ライヴの方は緊張感がみなぎっていて、手に汗握るスリリングさが全開。しかし、メロディア盤の方が完成度も高く、彼の豊かな音楽性がコンドラシンという素晴らしい指揮者によって引き出されており個人的には魅力を感じます。このメロディア盤は長らく廃盤が続いて入手困難でしたが、近年再発されてプロコフィフのピアノソナタ第8番とのカップリングで聴くことが出来ます。


というわけで、演奏タイム比較ですが、前者が18:02、10:25、14:08(拍手あり)で、後者が17:29、10:35、14:04と、殆ど差がありません。


次回は、僕が手持ちのラフ3の録音の中で最もカデンツァが気に入っている演奏をご紹介したいと思います。
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