音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
グリゴリー・ソコロフのラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番ほか
2012-03-25-Sun  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
ひっそりと久しぶりの更新はやはりラフマニノフのピアノ協奏曲第3番でいきたいと思います。それも、グリゴリー・ソコロフというロシアの超大物の演奏です。


sokolov

ソコロフのラフ3の正規録音?は今までに出ておらず、しかもカップリングは故ペトロフということで(なぜかラヴェルだけど)、ロシアを代表する2大重戦車ピアニストの演奏ということで大変期待してディスクを聴きました。ジャケットは大部分がロシア語で、録音年の記載等は伺えません。

最初の数秒を聴いて、異常に悪い音質に先行き不安になります。マイクに布団を被せて録音したかのようなボワボワして輪郭が無く、ノイズが載ってる上に音像も遠い感じ。ところが途中で急に明晰な音色に持ち直して「?」と思っていると、第1楽章のカデンツァの途中でなんとガチャンとスイッチを押したかのように録音レベルが急激に上がるとともに、解像度が変わります(そしてまた曲の冒頭のような酷い音質に戻ってしまう)。まるで録音機器のスイッチを押し忘れたかのようです。そんなわけで、自分の中でこれは正規盤ではなく、海賊盤だと言い聞かせながら聴き進めていきました。

第1楽章の出だしから、腰を落ち着けてどっしりとした弾きっぷり。テンポを落としまくっての語り口は素晴らしいものがあります。再現部前の両手交差もスムーズ。見せ場である展開部の和音連打はスピードを上げてかなりの迫力。Ossiaのカデンツァも和音が深々としてとてもよいです。第2楽章もかなり濃いめの味付けながら、このような恰幅の良い歌いっぷりはロシア人にしかできないのではと思うほど説得力があります(歌上手のボレット新録音やヴィノグレード、チェルカスキーとも違う)。後半の細かい音型も明晰に弾ききっています。アタッカで終楽章に行く際のキメの和音が思い切りオケとズレているのはちょっとカッコ悪い。その終楽章は冒頭の和音連打はまずまずのテンポ。標準的だとは思いますが、ソコロフに怒涛の攻めを期待している向きには物足りないかも。しかしながら、緩徐部分の終わりの上昇フレーズを、カツァリスやドノホーと同様に重音上がりで弾いてるように聴こえます(多少明晰さに欠けてモゴモゴしてて分かりにくい?)。ラストの下降する和音部分は8分音符で弾いた後、2拍3連に切り替えてます(こうされると寸詰まりのような感じがして好きでないのですが)。どうでもいいことですが、拍手のフェイドアウトが早すぎて少し興ざめ。

全体的にライブながらミスは少なく相当に良い演奏だと思いますが、音質が酷いのが何より残念。youtubeか何かから落とした音源じゃないの?と変に勘繰ってしまいます。ちなみに演奏時間は18:10/12:03/15:10と相当遅め。実際、手持ちのラフ3ディスコグラフィー(というか演奏記録?)によると、ソコロフは90年代にキタエンコ&モスクワ・フィルハーモニックとラフ3を録音しているようなので、その頃の音源を売り出したものと思われます。


併録のニコライ・ペトロフによる高雅で感傷的なワルツは、彼の明晰かつ重量感のあるタッチが曲想とまったくマッチしておらず、単に聴き疲れのする録音になってしまっている気がします(こちらの方もyoutubeに落ちてそう)。


というわけで、ジャケットの装丁こそ良さげですが、音質を考えるととても正規盤とは思えず、ソコロフのラフ3ということで大きく期待をすると痛い目に遭ってしまうかも。ヤフオクなどで「入手困難」と謳って販売されてますが、ebayなどではまだ現役盤のようなのでご注意ください。音質の悪さに目をつぶれるこの曲のマニアの方なら、ソコロフのコダワリを楽しめると思います。


※ 余談ですが、ブロンフマン&ラトル&ベルリンフィルという考えうる限り最強のメンバーがこの曲を2009年のライブDVD(輸入盤)で出しましたが、伝説の2004年サントリーホールライブよりかなりテンポが遅めな上に、野外ホールで赤ん坊の泣き声?が無視できないほど思い切り入っていて、そちらも期待すると音質面でかなりガッカリされると思うので買われるかどうか検討されている方は要注意です。
スポンサーサイト
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
TB*URL
<< 2017/06 >>
S M T W T F S
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -


余白 Copyright © 2005 The melody at night, with you. all rights reserved.