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Oleg VolkovのA&E盤2枚
2010-01-21-Thu  CATEGORY: 音盤紹介
Oleg Volkovは1989年の日本国際音楽コンクールピアノ部門で3位に入賞しており、ラフマニノフのピアノ・コンチェルト2番などを始めとして、いくつかの録音を残しているロシアの中堅ピアニストです。


今回ご紹介するCDはソヴィエトとアメリカが協同で立ち上げたA&Eというレーベルのものです。ペトロフの幻想曲集や以前ご紹介したタラソフの名盤など、貴重かつ質の高い演奏家の録音を高音質で世に送り出してきた素晴らしいレーベルだったのですが、ソ連の崩壊とともに消滅してしまいました。そのため、数々の貴重な録音すべてが現在廃盤となってしまっています(米Amazonのマーケットプレイスなどではまだ幾つか手に入ります)。


1枚目の収録曲はハイドンのピアノソナタ第38番、ベートーヴェンの12の変奏曲、ラフマニノフの前奏曲の抜粋にピアノソナタ第2番という、古典派からロマン派まで大きく一掴みにしたようなオムニバス。リサイタルというタイトルですが、ライヴ録音ではないようです。録音年月の記載はないものの、おそらく91年以前と思われます(確か、同じようなジャケットのレコードがメロディアから出ていたので、その音源をCD化した可能性もあります)。


20100121022844.jpg


彼の演奏の特徴は、ロシア系ピアニストとしては珍しく丁寧に弾き進めるタイプと言えそうです。最初のハイドンも深刻になりすぎず、声高に叫ぶこともなくあくまで淡々と弾かれています。ベートーヴェンも朗らかとはいかないまでもしみじみとした味わいのある渋い演奏。


メインのラフマニノフですが、前奏曲は比較的バキバキ弾いているものの技巧のキレはいまひとつ。スピード感がなく、爽快さに欠けます。ソナタ第2番(通常の改訂版)はクズミン新旧やホロヴィッツなど、数多の名演があるのでそれらと比べるとどう考えても分悪い感じ(1989年の日本国際音楽コンクールライヴCDで同曲の録音が残っているそうですが未聴)。同じタラソフの浜コンライヴでの演奏と比較すると、歌でもテクニックでも2段階ほど落ちる感じです。特に急速部分はヌルいです。それでも実直な演奏には幾ばくかの好感が持てます。このソナタはえてして弾いている本人だけが曲想に浸って満足してしまっているような演奏が多いですが、ヴォルコフはあくまで朴訥と弾いている印象です。



続いて、同じくヴォルコフのA&E盤で、『Personal Favorites』というアルバムをご紹介。1990年の録音で、収録曲はベートーヴェンのピアノソナタ第3番、プロコフィエフのサルカスム、リストの小人の踊り、ショスタコーヴィチのピアノソナタ第1番という、メインストリームを微妙に外した選曲に彼のコダワリが感じられる1枚。収録曲が少なめなのがちょっと残念です。





こちらも彼の演奏の特徴に大きな違いは見られないのですが、「Favorites」と銘打つだけあって、演奏に気合いが感じられます。ベートーヴェンのスケルツォでの目の覚めるようなアルペジオや、プロコフィエフでのカッチリした打鍵などが印象に残ります。彼の得意曲なのでしょう、リストも「意外に上手いじゃん」(失礼!)と思わせる指回り(タッチは軽め)。フレーズのつなぎ目で間が空くのがちょっと惜しい。


個人的に一番興味があったのがトリを飾るショスタコのソナタ1番。これは晩年のヴェデルニコフによる壮絶な名演があるのですが、そもそもあまり他に録音が見当たらないので気になってました。果たして、彼らしく大きく息を吸いこんで肩に力の入った演奏でした。どこまでも骨太で厚ぼったいタッチは、この力強い曲想にマッチしているのではないでしょうか。緩徐部分はさらに繊細なタッチでの語り口を見せてくれるとなお良かったかな。


それでも最後の盛り上がりと迫力には素晴らしいものがあり、ゾクゾクしてしまいました。タコソナ1番のファンとしてはこの曲が聴けただけで買ったかいがあったというもの。ちなみにヴォルコフは1987年にこの曲をメロディアで録音しているそうです(LPのみ、未聴)。それだけこの曲に思い入れがあるのでしょう、名演と呼んで差し支えないと思います。このショスタコ自身はこの曲を否定したそうですが、一種独特の面白さもあると思うので是非色々なピアニストに録音して欲しいです。



というわけで、どちらも各曲のベストの演奏を探す向きには物足りないかもしれませんが、丁寧で生真面目な演奏を好む方にオススメです。どこかのレーベルがA&Eの音源の権利をすべて買い取って是非再発してもらいたいものです。今後も機会があればこのレーベルのCDを紹介したいと思います。
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コメント

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コメントMangogul | URL | 2010-01-21-Thu 22:27 [EDIT]
ショスタコの一番!!

自分もこの曲は大好きです。上原彩子のチャイコンライブが意外や意外の大名演で愛聴しています。自分以外に誉めている人を見たことがないですが^^; 拍手込みで12:36、キレキレです。未聴でしたらばぜひ。

A&Eの復刻はペトロフのフランス名曲集を出したYEDANG classicsに期待していたのですが、全然話を聞かないですね…。
コメントA太 | URL | 2010-01-22-Fri 02:18 [EDIT]
>Mangogulさん
タコ1いいですよね!!
僕も初めて同志に出会った気がします。
上原さんのタコ1は2000年シドニー国際コンでの演奏を持っているのですが、
チャイコンの優勝録音にも入ってたんですね、知りませんでした!
早速チェックしてみます!

ちなみにシドニーでは12:58で、速めのテンポでキレのある感じが
気に入っておりました。
拍手込みで12:36ということは相当なキレキレですね!
聴くのが楽しみです。情報ありがとうございました!


イエダンはペトロフに狙いを定めて復刻してた時は
結構いい線行ってたと思うのですが… 尻すぼみな印象ですね。
ムソルグスキーの展覧会の絵を聴いてみたいです。
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コメント | | 2010-01-22-Fri 23:23 [EDIT]
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