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The melody at night, with you

音楽好きの世迷い言

Sergei Babayan ピアノリサイタル 2019年12月10日@武蔵野文化会館

超絶技巧ピアノファンには有名な、セルゲイ・ババヤンのピアノリサイタルに行ってきた。

2019年12月10日(火) 武蔵野市民文化会館 小ホール
プログラム
ショパン:ポロネーズ 嬰ハ短調 Op.26-1
ショパン:ワルツ嬰ハ短調Op.64-2
ショパン:舟歌 嬰へ長調 Op.60
ショパン:ワルツ ロ短調 Op69-2
ショパン:ノクターン ロ長調 Op.9-3
ショパン:幻想ポロネーズ 変イ長調
ショパン:即興曲 第1番 変イ長調 Op.29
ショパン:前奏曲 変イ長調 B.86
ショパン:ワルツ変イ長調Op.34-1
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ショパン:マズルカ
 嬰ハ短調Op.6-2
 嬰ハ短調Op.63-3
 ヘ短調Op.63-2
 へ短調Op.7-3
 変ロ短調Op.24-4
 変ロ長調Op.7-1
 ト短調Op.67-2
 ハ長調Op.67-3
 イ短調Op.67-4
 イ短調Op.68-2
 ヘ長調Op.68-3
 変ロ長調(遺作)
 変ホ短調Op.6-4
 変イ短調Op.41-4
 ハ短調Op.30-1
 ロ短調Op.30-2
 ロ短調Op.33-4
 ハ長調Op.56-2
 ヘ長調Op.34-3
サイトより引用

ババヤンと言えば、私は記事には書いていないがkyushimaさんのババヤンによるヴァインのピアノソナタ第1番のレビューがピアノオタクの間では有名である。私もこの記事で彼を知り、演奏を聴いてブッ飛んで、その後何度かババヤンについてこのブログでも書いていた。

20年以上前のPro Pianoから出たこのアルバムは私にとって思い出の1枚であり、ババヤンはいつか生で聴きたいと思っていたピアニストの1人だった。その彼は最近アルゲリッチとのデュオ作品を大手レーベルから出すなど、遅ればせながらようやくその実力が周知されてきたところだと思う(トリフォノフの先生ということもあるのかもしれない)。

さて、十数年越しの夢が叶った今回のリサイタル。いつもの友人と現地で合流。ここでのコンサートはいつも年齢層が激高で、年齢の中央値は間違いなく70歳overであろう。私のようなコアなピアノファンと思しきおっさんと、ピアノを弾くに違いない(神経質そうな)若い男女がチラホラ。演奏を聴く前は、「指回りは凄いけどミスもそれなりで、(元)技巧派なので歌はちょっと微妙だろうから後半のマズルカは退屈」と予想していたのだが、その9割は間違っていた。


・・・私が体験したすべてのピアノコンサートの中で最も「精確な」演奏だった!


本当に明らかなミスが1音も無い(そりゃ細かく聴けばあるんだろうけど)。完成度だけで言えば、ヴォンドラチェクを上回る。「ショパンなんて余裕」と言わんばかりにスイスイと速めのテンポで(ヴァインのソナタを思い出す(笑))曲間もほとんど取らず、あたかも一つのアルバムを聴かせるかのように弾き進める。最初はまだ緊張してエンジンがかかりきらないのか、大きく苦しそうな呼吸をしたり(前から2列目中央をget)、ペダルを踏むときの靴の「キュッキュッ」というノイズが気になる。プログラムには「演奏がすべて終わるまで拍手はお控えください」との記載があるにも関わらず拍手した御仁がいて、それを片腕を上げて制止し、すぐさま2曲目に弾きかかるババヤン。Pro Pianoの例のアルバムの印象通り、明らかに「段違いの技巧派」であり、テクニックの衰えは微塵も感じられない。音色はモノクロームで硬質、歌い方も硬めだが、ショパンの比較的甘ったるい曲のせいかライヴのせいか、それほど気にならない。最初に書いたようにプログラム前半を通してひとつのストーリーになるよう曲順を計算しているようで、個人的に一番注目していた幻想ポロネーズも、単品として聴かせる演奏ではなく、前後の曲とのつながりを重視したテンポで弾き進む。「コンサート体験史上マイベストの幻ポロ」とはならなかったが(ちなみにベストはブレハッチ)、それでも素晴らしかった。


休憩。友人と「この完成度はヤバい」と話しつつ、カフェで一息。


そして後半。歌が硬いババヤンのマズルカということで心配だったのだが、前半を聴いてこれはもしやと思っていたら良い意味で期待を裏切ってくれた。演奏の完成度はやはりとんでもないのだが、ババヤンは完全に演奏に張り込んでいて、物凄い集中力で1音のミスも無く弾いていく。前半同様に、1曲ずつではなくプログラム全体で聴かせる曲配置となっており、山あり谷ありの起伏が付いていて飽きさせない。素晴らしかった・・・!

盛大な拍手。対応は淡泊だが、深々と膝につきそうなくらい礼をして、アンコールはラモーの鳥のさえずり。彼らしい指回りが堪能できる(スカルラッティの快速な演奏を思い出す)ピースで大満足。繰り返される拍手に嫌気?が指したのか、ニヤリとして最後はピアノの蓋を閉めて去って笑いを取る。コンサートピアニストとして振る舞い慣れてるなぁという感じ。終演後のサイン会では例のProPianoのアルバムにサインをしてもらおうと思ったのだが、翌日の仕事に響くと困るので泣く泣く後にする。


というわけで、大満足だった。こんな凄いリサイタルが5000円もせずに聴けることに、改めて武蔵野文化会館に感謝(駅から遠いのだけが不満だが、駐車場が安いので許す)。今度はスカルラッティとかバッハとかで来日してくれると嬉しい。
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