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The melody at night, with you

音楽好きの世迷い言

F・ルイージ&デンマーク国立交響楽団来日講演 2019/3/19 サントリ―・ホール

最近はジャズの更新が続いているのだが、もちろんこのブログは元々クラシック音楽がメイン(のつもり)。我が最も敬愛する指揮者、ファビオ・ルイージが、手兵であるデンマーク国立交響楽団を率いて来日したので喜びいさんで聴きに行った。

東芝グランドコンサート2019
2019年3月19日(火) サントリー・ホール
管弦楽:デンマーク国立交響楽団
指揮:ファビオ・ルイージ
ソリスト:アラベラ・美歩・シュタインバッハー(ヴァイオリン)

<プログラムB>
ソレンセン:Evening Land(日本初演)
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番 ト短調 Op.26
(ヴァイオリン:アラベラ・美歩・シュタインバッハー)
アンコール:クライスラー『レチタティーヴォとスケルツォ』
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 Op.92
アンコール:ゲーゼ『タンゴ・ジェラシー』

彼の観るのは結構久しぶりなこともあり、気合いを入れてチケット発売日当日にPCの前で待ち構え、速攻でルイージの飛び散る汗を浴びられるようなど真ん中を確保。こんなに高いチケ代は久しぶりだが、些かも購入を躊躇せず。

さて、公演のレビューを手短にいい加減に書く。プロの文章はこちらを参照してほしい(小泉元首相が来ていたとは気が付かなかった)。

オケが出てきて、コンマスが日本人と思しき比較的若いアジア系女性なことに、明らかに観客はちょっとどよめいた。私はほぼ眼前で目にできる席だったのだが、とても綺麗な方だった(オケの公式サイトを見たりちょっと調べたが彼女が日本人かどうかはわからなかった)。

そのコンマスの彼女のソロでソレンセンが静かに厳かに始まる。出だしはリリカルで長閑な旋律で涙が出そうになる(幼い頃見たデンマークの田園風景だとか)。オケが入ってくるとタケミツ的な現代曲っぽさが顔を出す。ドロドロした重低音とマーラーの9番の終楽章とショスタコーヴィチのピアノ四重奏を足して3で割ったような、移ろいやすく儚い、しかし時折弦楽器や打楽器がドンドンと強く自己主張をするような(少なくとも田園風ではない)感じ。擬音で表現するならヒュンヒュン、ドンドン、、そこにコンマスのソロが点描的に登場する(彼女は大活躍であった)。とにかく、意外に私には聴きやすく感じられた。終曲後は観客席にライトが当たり、ルイージの手招きで作曲者のソレンセンが登場。ひげ面で不愛想で不機嫌な感じ。しつこい拍手にウンザリした感じで両手を挙げて観客が笑う。

続いて、協奏曲。ブルッフのヴァイオリンコンチェルトでソリストはアラベラさん。クラシカルCD~の加藤さんが2014年のベストCDのNo.1に彼女の弾くモーツァルトの協奏曲を選んでおり、モツ嫌いな私も聴いてビックリする名演だったので、注目していた。ヴァイオリンのコンチェルトをこんなに前で聴いたのは記憶にないが、私のために弾いてくれているのかと錯覚するような「音のぶつかり具合」である。音色は黒光りするような低音の美しさには欠けるが、艶っぽく渋みの無いオーソドックスな感じ。私の好きな久保田巧さんのバッハ無伴奏の音に似ている気がした。聴き慣れない曲なのでアレなんだけども、エネルギッシュでいて雑味がなく、ルイージもオケをグイグイ引っ張っていく。「競争曲」と言うほどでないが、非常に力強さに満ちた演奏。盛大な拍手。アンコールはクライスラーの無伴奏。もう人間技とは思えないピッチの正確さ、ミスの少なさ!実は最近知人にチェロを借りて触って(まさに)遊んでいるのだが、どれだけの才能と努力を費やせばこのような演奏ができるのか?素晴らしかった。

休憩をはさんで、メインのベト7。大好きな曲であり、ウイーン国立響とのライヴ自主製作盤が出ているわけだが、それと比較するととにかく快速で、エンターテインメントな、要するに私がルイージに期待するすべてが凝縮された、円舞的な名演!!!第1楽章はやや管楽器のピッチが気になったが、しなやかでかつテンポが速く、縦の揃いもバッチリなヴァイオリンが素晴らしい。第2楽章のくらーい感じもしつこくなく描く。予想よりも細部の彫りにはこだわってない感じ。第3・4楽章は、もうルイージの独壇場というかなんというか、ただただ自分にぶつかってくる音の洪水に酔いしれた。。終楽章は管のピッチも気にならず、オケ全員が躍るようなルイージの指揮に追随しながら爆走。思わず終演後、人生初のブラヴォーをでかい声で飛ばしてしまったのだが、叫んだのは勿論私だけではなかった。興奮冷めやらぬ中でのアンコールも一切手を抜いた感がなく、大汗をかきながら指揮するルイージに感涙。生きてて良かった…。観客はみなお世辞のような拍手ではなく、対面の2階席のお客さんなども物凄い笑顔で拍手してて、なんだか私まで嬉しくなってしまった。正直、砂被りの前方席は管楽器が頭上を通過する感じがして、音的には良くない気がする(オケの最前列は他に1回しか経験がないのだが)。音のシャワーを浴びれつつ、各楽器のバランスを考えると前から7~10番目の真ん中が個人的には良いのかなと思う。

繰り返される拍手が終わり、団員が立ち上がった時にペア同士で一斉に抱き合ったのには驚いた(初めて見た)。とにかく団員同士の中が良さそうというか、演奏中も能面でなく、周囲と目くばせして笑顔になったりとルイージを中心としたオケのケミストリーを感じる場面が何度もあった。女性の団員が多かった気もする。オケの技量や音色は世界に名だたる有名メジャーオケと比較するとさすがに遜色はあるが、ルイージの出したい音の具現化にはこれくらいの身の軽さが合ってるのかも(それでもやはりRCOを率いて欲しかったが・・・)。コンサート後はなんとルイージのサイン会があったのだが、おそらく長時間並ぶであろうことと翌日の仕事を勘案して、今回は泣く泣く見送ることに。

帰りは同行した友人と渋谷の昭和な焼き鳥屋で軽く打ち上げ。彼とはこの20年近く、あらゆるライヴを一緒に観に行ったが、なんともうすぐパパになるらしい。とっても目出度い気分で帰宅した。ロックやPOPS、ジャズのライヴは出かけるが、クラシックは行かないという人も多いと思う。普段聴かない方にとってハードルが高いのは承知の上なんだけれども、咳払いもグッと堪えて我慢し、椅子に座り直すことすら憚られるような緊張感の中で、「静寂」という形で観客に「音楽への参加」を要請するクラシックのコンサートに、是非一度足を運んでみて頂きたい(まずは年末の第九とか)。ロックとはまた違った演奏者と観客の一体感が味わえると思う。
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