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The melody at night, with you

音楽好きの世迷い言

Vic Juris / Roadsong

最近レコードについて書いてない気がしたので、ジャズ絡みの盤を。

vic

ヴィック・ジュリス / ロードソング

1977年/MUSE/MR-5150
Vic Juris(g)
Barry Miles(key)
Terry Silverlight(ds)
Rick Laird(b)
Jon Budsrr(b) ※A3
Richie Cole(as) ※B1,B4

1953年生まれのジャズギタリスト、ヴィック・ジュリスのデビュー盤である。もうそろそろおじいちゃんな歳だが、近年もバリバリSteepleChaseから作品を出している(全然チェックしてないけど…)。

このレコードは私のバイブルであるTHE DIGによるディスクガイド、『JAZZ Guitar』で「未CD化のアナログ」ということで知った覚えがある。Discogsを見てみると、残念ながら今に至ってもCD化はされていないようだ(ジョン・ストーウェルのデビュー盤とかは確かCDになってるのに・・・)。最近、数年ぶりにジャズのセッションに出かけたこともあってギターづいていることもあり、久々に取り出して聴いてみた。

うーん何度聴いてもポップ。キャッチーなメロディのテーマとAOR風なカッティング、そしてギターはマルティーノライクな16分の直線的ラインとポキポキした音色で弾きまくる弾きまくる。当時24歳だが曲の分かりやすさとよく回る左手のテクニックが凄い。すでに完成されている感がある。

A1「Roadsong」は勿論ウェス。オクターヴを交えるギターのリズムの締まりが凄い。ドタバタしたドラムのコンプが効いたバスドラはジム・ホール『アランフェス~』のスティーヴ・ガッドみたいだ。ソロはどこまでもマルティーノ感満載で弾きまくり。A2、ジュリスのオリジナルですんごいポップ。野原で子どもが駆けてるような、昭和の終わり~平成初期のNHKの天気予報のバックで流れてそうな曲。A3、ジュリス作。さらにバラード的でギターのナチュラルハーモニクスとシンセが美しく絡み合う。テーマも実に分かりやすい。チョーキングも織り交ぜるが、そのタイム感・ピッチ感は只者ではない。ラリー・コリエルっぽさも漂う。A4はシルヴァーライトの曲で短いがジュリスの派手なソロが聴ける。

B面はすべてジュリスのオリジナル。スピードはマルティーノを超え、J・ウィルキンス的でさえある(なお、ライナーによると1曲だけ参加のジョン・バーはウィルキンスのアルバムへの参加経験があるらしい)。B1はキレのあるカッティングにアルト・マッドネスことリッチー・コールが混ざってきて、よりAOR的というかフュージョン的。ただし、私の苦手な「コーラスびんびんギター&細かすぎるキメ」はないのでとても聴きやすい。B2はこのアルバムの中でも最もキャッチーなテーマ。正直恥ずかしくなるくらい。ドラムのビートが心地良い。ギターの音のコモりがやや強いのが惜しい。ソロは教科書的で分かりやすいが、やっぱりところどころで一瞬マルティーノが顔を出す。トライアド+αな手グセのアルペジオを繰り返しつつ、フェイドアウトで終わる。B3はテンポが速く、さらに途中でチェンジする。テーマは直線的でスピーディ。バリー・マイルズが切り込んで来てシンセのソロが始まる辺りなんかは、ナショナル・ヘルスのデイヴ・スチュアートみたいだ。ラストのB4、リッチー・コールとのユニゾンでちょっとフュージョンにありがちなテーマを奏でる。まずジュリスがバリバリ弾きまくり、その後コールがテーマの崩し風な出だしから控え目で短めのメロディックなソロを取る。アウトロでもジュリスは弾きまくってアルバムは幕を閉じる。

もう42年も前の作品だが、当時としても非常に分かりやすくて「バリバリのジャズギター作品」ぽさは薄いかも。プレイもメジャーペンタ率が思いのほか高いというか、急速フレーズもクロマチックを織り交ぜたシンプルなラインに聴こえる。ただし、キャッチーなテーマ連発ながらイージーリスニングな印象がないのはやはり高いテクニックによるものだろう。むしろこの演奏の「分かりやすさ」は、ジャズギター聴き始めのギター小僧にイチオシできる快作だと思う。

それにしても・・・ダグ・レイニー(1956)、メセニー、ディ・メオラ(1954)、リー・リトナー(1952)、ロベン・フォード、ジョンスコ(1951)という同年代の充実ぶりは凄い(ジュリスは渡辺香津美と同い年)。

「アナログレコード」カテゴリの記事であるから音質についても書いておこう。残念ながら、音質はそれほど良くなくて、オーディオ的な楽しみは少ない。録音エンジニアはかのR・ヴァン・ゲルダーだが、ジュリスの趣味でギターの音がコモリがちなのもあるし、前述したドラムのコンプ感に時代を感じるし、全く存在感のないベース、シンセの音量のバラつきなど、もう少しなんとかして欲しかったと思う。尤も、私の持ってるのは邦盤なので、USオリジナルはもっと良い音なのかもしれない。気長に探してみようと思う。
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