FC2ブログ

The melody at night, with you

音楽好きの世迷い言

福間洸太朗のショパン・ピアノソナタ第3番ほか

以前、読者の方に「福間さんのショパンのソナタ3番は良いですよ」とオススメ頂いて早速NMLで聴き、今回改めて聴き直したのでざっくりと感想を書きたい。

まず録音が良い。音像への距離、明晰さ、残響、どれも申し分ない。そして際立つ技巧の高さ。以前、NHKの超絶技巧のピアノ曲紹介の番組で知ったが、この人の(少なくともメカニカルな面での)テクニック力は本当に高いと思う。解釈はオーソドックスで整いすぎていると言えばそうなのだが、「決して優等生的にはなりませんよ」という決意表明のようなアツい瞬間がどの楽章にもあるのがニクい(単に私の思い過ごしかもしれないが(笑))。

演奏時間は13:06/2:49/9:23/5:11で、全体的に私の苦手な遅めなのだが、細部の完成度、全体のバランスと説得力が素晴らしい。特に第3楽章は飽きさせず、極めて美しい音色で歌っており、単なる技巧派ではないことが分かる。それでも、評価一覧の方にも書いたが、終楽章のテンポが標準的なのだけが惜しい。惜しすぎる(まあ楽譜の指定に従ったのだろうけど・・・)。コンサートではまた違うのだろうか?ショパンのソナタ第3番は是非今後、熱く飛ばしたライヴ盤を発売して欲しい。

そんなわけで、引き続いてNMLで彼の他のアルバムもつまみ食いしてみた。

まずはリストのパガニーニ大練習曲。過去のテクニシャンの名演と技巧では一歩も引けを取らない。ラ・カンパネラも、トータルの感銘度はともかく技巧的にはガヴリーロフよりもずっと精密。やはり優等生で終わらないのもイイ(尤も、ガヴリーロフのように最後で爆発というほどではないけれど)。M・レカリオ(ラエカリオ)のようなブッ飛んだテンポではないが、あの盤はちょっと向こう見ずのギャンブラーの為せる技というか、ミスはないもののどこか綱渡り的な危うさを感じるところも無きにしも非ずなのに比べ、この人には安心感がある。第5番はちょっと誠実に過ぎるかなとは思うが・・・しかし、音色もメチャクチャ明晰で綺麗である。第6番だけは、ところどころでタメがあるのが惜しいものの、勿論最後のアルペジオは凄まじいスピードで攻めまくる。聴き込み次第では、レカリオ盤やフィリペツ盤の比較対象に・・・?と思わせるほどの印象。

続いて、トッパンホールでのリサイタルライヴがあったのでスクリャービンのソナタ3番を聴いてみた。出だしからほんのちょっと音を引っかけるが、途方もなく和音がよく響く。スタジオ録音同様、音が濁りなく鳴る。ただ、全体的にタッチが明晰なので(意図的とは思うのだけれど)、曲想的にもう少しくぐもったような、霧がかった音色も織り交ぜてもらえるとよかったかも。

そしてイベリア第1巻。じっくり、かなり遅いテンポの箇所もあるが、急速部分との繋がりも自然で、さほど違和感はない。やはりタッチは明晰で、どこまでもビシッと和音が響く。セビリアの聖体祭の例の箇所も鮮やか!1回しか聴いていないので、アローチャ盤、岡田盤、アムラン盤、アンウィン盤と比較してどうなのかまでは言えないが、抜き出して聴いたラバピエスを聴く限りは相当イイ線言ってると思う。

・・・日本人男性ピアニストでテクニシャン系というと、岡田博美氏、横山幸雄氏などのレジェンドがいるが、勝るとも劣らない技巧の持ち主だと感じた。とにかく明晰な打鍵と正統派な解釈が印象に残る。演奏がストレートなだけに技巧の高さが際立つ。今後もウォッチしつつ、是非コンサートにも行ってみたい。
スポンサーサイト

音盤紹介 | コメント:0 | トラックバック:0 |
<<Alexej Gorlatch / Chopin Etude Op.10 ほか | ホーム | コルスティックとアイモンチェのラフ3 >>

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

| ホーム |