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The melody at night, with you

音楽好きの世迷い言

最近聴いている音楽 vol.69〜バッハ平均率第1巻2種

「私たちが習った頃と解釈が全然違う・・・」と嫁が最近嘆いている。



80〜90年代は、バッハを弾くときに身体を揺らして感情を込めて歌うなんてありえないという風潮で教わってきたそうだ。それが今では180度近く違うらしい。私にはよくわからない。日本のピアノ教育も世界に開かれて解釈が変わってきているのだろうか。



憂鬱な朝の通勤はバッハに限る。以前書いたように、10年かかって入手したトッコのバッハ・オルガン編曲集の次もやはりバッハ。iTunesの古いライブラリから未聴の平均率第1巻を2種類発見した。シュタットフェルトポリーニである。


シュタットフェルトが2007年、ポリーニが2008〜9年の録音。発売してすぐに図書館か何かで音源を入手し、ろくに聴きもせずハードディスクにwav形式で埋もれていたものだ(ひょっとしたらユニオンでCDを売ったのかもしれない)。ざっくりと感想を書いてみる。


まずはシュタットフェルト。高身長のイケメン、グールドの再来と華々しくソニーからデビューしたが、ゴルトベルクもその他のバッハも聴いたが私は好きでない。今回の平均率第1巻も、一言で表すなら「鼻持ちならない」演奏だ。水準以上のテクも歌も備え、それをひけらかさない加減も分かっているのだが、「俺ってば分かってるでしょ?」と本音がダダ漏れの底の浅さを感じてしまう。近く指揮者として来日予定のGreilsammerだと、極めて高い知性と深読みを感じさせる超然とした解釈がこちらにスッと入ってくるのだが、シュタットフェルトにはそれがない。巻を通して一貫性の無いテンポ、たまに「こんくらいは余裕です」とメカニカルに見せ付ける残念な色気、ソニーお決まりの不自然な残響と音色、すべてが残念である。申し訳ないが聴き通すのが苦痛だった(言葉がキツめで申し訳ない)。


続いてポリーニ。枯山水のような侘び寂びの境地のバッハを予想したが、案の定昔のウイスキーのCMのように「何も足さない何も引かない」ある意味ストレートな小細工なしのバッハだ。タッチや音色の変化はほとんど感じられず、昔の強靭なメカニックの名残りは一本気に突っ走る曲で時折聴かれるのみ(9番前奏曲など)。しかし、シュタットフェルトの後では意外にその陰影と曇りの少ないバッハが寒空の朝に意外にマッチして、思いのほか気持ちよく聴けた(ちょうど少し前に聴き込んだトッコのバッハと演奏の路線がとても似ていた)。グールドの旧約聖書やフェルナー盤に遠く及ばないのは当然としても、こちらも薄味ストレートなジャレット盤とはまた違った味わいがある(ムストネン盤は実はそれほど楽しめない保守的な私・・・)。ただし、時折聞こえるポリーニの鼻息というか呼吸音がイヤホンで聴くときは気になるし、やはりトータルでは高い位置に付かないが。


kyushimaさんがフェルナーの第2巻を切望して何年も経っているが、今の私は大好きなメルニコフにバッハの平均率かゴルトベルクの録音を切望してしまう。彼なら、この時代のバッハをどう料理するのだろう?そして嫁がその昔習ったバッハの演奏解釈は、きっと今回聴いたポリーニの平均率のようだったのだろうなとふと思うのだった。
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コメント

あけましておめでとうございます.
平均律,アシュケナージのは聞かれたことがありますでしょうか.
ショパンのエチュードでよく比較されるアシュケナージとポリーニですが,個人的にはアシュケナージのバッハは結構好きで,ポリーニは聞いてなかったので聞いてみようかと思います
2018-01-22 Mon 01:14 | URL | シグレイン [ 編集 ]
コメントありがとうございます。今年もよろしくお願いします。

アシュケナージの平均律はCCRの加藤さんが高評価されているので気になっていました。
多分、音源は持っていないと思うので今度聴いてみます。ありがとうございました。
2018-01-22 Mon 07:31 | URL | A太 [ 編集 ]

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