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The melody at night, with you

音楽好きの世迷い言

ルカーシュ・ヴォンドラーチェク / プロディジー

去年の今頃、ラフマニノフのコンチェルト3番のエリザベート国際コンクールでのライヴを聴いて感激したLukáš Vondráčekの邦盤が実は10年以上前に発売されていたことをひょんなことから知り、ヤフオクで安くgetした。そちらではルカーシュ・ヴォンドラーチェクと表記されているので、そちらにしたがって書くことにする。


ヴォンドラ


31歳の貫禄ある現在からするとその童顔に驚くが、ともかくこれがデビュー盤。収録曲はAmazonから引いた。

1. メンデルスゾーン:厳格な変奏曲ニ短調 作品54
2. メンデルスゾーン:ロンド・カプリッチョーソ・ホ長調 作品14
3. リスト:超絶技巧練習曲集第8番ハ短調「狩」
4. リスト:超絶技巧練習曲集第9番イ長調「回想」
5. リスト:超絶技巧練習曲集第10番へ短調
6. メフィスト・ワルツ第1番
7. ヤナーチェク:霧の中で
8. ドホナーニ:「4つのピアノ曲」より“カプリッチョ” 作品2-4


録音はメフィストワルツが18歳、それ以外は16歳だった2002年の録音。リスト以外はあまり普段聴かない曲だが、さて。メンデルスゾーンの変奏曲、出だしは大人しいが、オクターブが入る頃からガンガン弾きまくる。連打の速いこと速いこと。タッチの確実性、明晰さはあるが、強弱がフォルテッシモとピアノしかないのかという感もある。強靭な打鍵が凄まじいを通り越してヒステリックですらある。若い頃のトカレフを思い起こす。曲への感度が高くないので、面白みは少ない。ロンカプはよく歌う。ラフ3でも聴けた濃厚なロマンが垣間見れるが、それも急速部に入るとやはり硬めのタッチでバキバキ始まる。先入観かもしれないが子どもっぽい。


続いてリストの超絶。狩は予想通りスゴい迫力。テンポもなかなかの速さでイケる。回想は良くない。若いせいか、歌のセンスという点でまだまだで、オフチニコフ新旧盤のような緻密さとエレガントさ、技巧を両立させられてはいない。10番は食い足りなさが残る。冒頭の和音連打は期待に反して覇気がなく、以降も盛り上がりに欠ける。メフィストワルツ第1番は最近聴いたアームストロング盤と比較するとバキバキ弾いているが、それでも部分的にテンポが物足りなく(出だしからして遅めである)、タメがある。急速部分も彼としては守りに入ってるのか、スピード感に欠ける。重音トリルも巧いというほどではない。跳躍部分はごまかしがないが、スムーズではない。その後の右手の長大なアルペジオも大人しく、アームストロングの方が相当凄みがあった。


ヤナーチェクとドホナーニは全く詳しくないのでコメントできないが、他の曲同様に突き抜けた表現は感じられない。ヤナーチェクでは抒情性がいい具合に表出しているように思うが(曲は比較的分かりやすい)、ピアノの音がやたらと近接録音なせいか音が硬く、金属的に過ぎるのが癪に障る。特に終楽章は柔らかいタッチが欲しい感じ。ドホナーニは近現代な雰囲気と分かりやすい映画音楽的な側面とがあり、前半ではアムランのエチュードのラ・カンパネラや前奏曲とフーガみたいなフレーズも出てくる(こちらが先だが)。曲としては悪くないが、音色の種類が少なく、それほど手が伸びなさそう。


というわけで、幾ら若いとは言えデビュー盤としてはちょっとイマイチに感じた。リスト以外の曲目の微妙さからすると70点を切ってしまいそうだ。この後、見事な伸びしろを見せてエリザベートを制するわけだが、ラフ3で聴けた圧倒的な技巧はここには見られない。あの確実性の高い驚異的なテクニックは、ラフ3のように弾き込んだ曲限定なのかもしれない(それでも凄いが)。少なくとも、技のキレはヴォロドス、キーシン、ルガンスキー、ガヴリリュク、グロヴナーレベルにはない。勿論ラフ3に関しては彼らの弾いたものより巧いけど。ともかく、彼はその後も幾つか音源を出しているようなので機会があれば聴いてみようと思う。


本日は大晦日。今年は関西で年越しで、先ほど東名高速の炎上通行止めに危うく出くわすところだった。退職・転職で環境が激変し、あっという間の1年だった。この先、こんなにCD・レコードを買うことはもう無いだろうという位につぎ込んでしまったのでブログのネタはあるのだが、書く時間が取れそうにない。では皆様、良いお年を。
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