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The melody at night, with you

音楽好きの世迷い言

Donald Fagen 『The Nightfly』 LP2種聴き比べ

ここ1年ほどコンスタントに更新していたのだが、随分と間が開いてしまった。


仕事が忙しくなっていたのもあるが、ちょっと自分にポジティブな変化があって、しばらく音楽以外に熱中していたのだ。それについてはまた別なところで書こうと思う。


さて、久々の記事に相応しい内容がないかしらと思っていたところ、ディスクユニオンで6月上旬に予約していたドナルド・フェイゲンの『ナイトフライ』のMOBILE FIDELITYによるULTRADISCがようやく入荷したと連絡があった。本来は8月末の入荷予定だったが、3ヶ月待たされてようやく買うことができた。

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非常に豪華な装丁で45回転の2枚組、お値段税込み15,984円也。。どうせすぐにプレミアが付いて買えなくなるだろうし、気に入らなかったら売ればいいと考え、投資(笑)のつもりで購入した。事前の話では5000枚限定とのことだったが、実際には6000枚の模様。

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この歴史的名盤については、冨田恵一氏が本一冊を費やして凄まじいレビューを書いているので私が述べることはほとんどない。大枚はたいた事だし、気になるのは音質である。比べるのはこちら。

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USプロモ盤として名高い『QUIEXⅡ』である。これは音質に定評のあるこのレコードのアナログの中でも最高峰の音質と評価されているプレスだ。数年前は2万overが当たり前だったが、ここ1年くらいで急激によく見かけるようになり(たぶんDiscogsの影響)、ユニオンでもVG+程度なら1万円台半ばで購入できるほど価格が落ちた珍しいレコードだ(今はMFSL盤の方が高いかもしれない)。ジャケのQUEIXⅡのステッカーが目印である。レコードのラベルは写真のようにクリーム色をしている。以前書いたような気がするが入手先はDiscogsで、運良くミント盤を送料込みで8000円ほどで購入できた(今はあまり売りに出ていないようだが)。

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今回、ハイレゾはさておきこのアナログ2枚を聴き比べてみた。まずはQUIEXⅡ盤から。


・・・何度聴いても素晴らしい音質である。おそらく私の持っているすべてのレコードの中でも、最も心地良い音を出すレコードだろう。何度か書いているが耳馴染みが素晴らしく良いのだ。まるで魔法のようなフィルターがかかっているかのように音のまとまりが良く、すべての楽器がバランス良く響いてくる。数多のエンジニアが機器の音質チェックにこの盤を使用するというのもむべなるかな。ドラムのビシィ!!という絶妙のビート感、フェイゲンの味のあるヴォーカル、ブレッカーの奇跡的なサックスソロ、そして非の打ち所の無い曲目群。あっという間に聴き終え(実際このレコードは短いわけだが)たあとの満足感がハンパない。果たしてこんなスバラシイ音質を上回る盤などあるのか?


ということで、MOBILE FIDELITYのウルトラディスク盤。45回転にしてターンテーブルにセットする。



うーん これもスゴい



・・・正直ビックリした。音の方向性は全然違う。リアルなのである。アナログとしては間違っているのではないかと思うのだが、とにかく生っぽくリアルなのだ。各楽器や声の輪郭がメチャクチャクッキリハッキリしていて、まるで(今回は聴き比べていないが)ハイレゾのようだ。それでいて「リマスタリングで色々いじってみました」という印象を受けないのがいい。その上でレコードらしい温かみのあるプレゼンスが特徴的である。しかし私の安物スピーカーの限界なのか、時折高音がサチってわずかに耳障りな瞬間があった。またそのせいかサックスやゴスペル調のコーラスがやや弱く、カスカスしている気がした。


どちらが良いかと言えば、これは手持ちの機材にかなり依ると思う(そういう感想は意味がないのであまり書きたくないのだが)。QUEIXⅡは極めてまとまりが良く、一体感のある音像だが、その反面スケール感や広がりに乏しく、MOBILE FIDELITY盤を聴いてしまうとどこかウソっぽい箱庭の雰囲気はする。昔の、出来の良い缶詰を食べているような感じ。それに対し、MOBILE FIDELITY盤の方はアナログと思えないリアルな再生音、45回転ならではの音の密度・濃度の濃さが驚異的である。惜しいところとしては高音のパサついた感じにレコードの限界が見えてしまうのでアナログの方向性としてはどうなのかと思うが、今度時間を見つけてハイレゾと比較してみたいところだ。結論として私の環境ではQUEIXⅡがわずかに勝っているだろうか。どちらも聴いた後の満足感が(価格というプラシーボを除いても)ある。興味の有る方は私のナンバーが2000番台だからまだ探せば買えるのではないかと思う。



ところでこの作品が発表された1982年には、もう1枚の歴史的作品が発表されている。


そう、『ナイトフライ』のひと月前に発表されたグレン・グールドのバッハ・ゴルトベルク変奏曲(1981年録音)だ。グールド自身はミニマリズム、そしてロックは否定していたらしいが、私はこの2作品に「音楽の強度」、「リズムの強度」という符合を見る。ビートが刻むリズムの、揺るぎないその音楽の骨格に強度を感じる。蛇足で何が言いたいのかと言うと、思い出したようについでに聴いたゴルトベルク81年盤のSACD、メチャクチャイイ。硬ーいピアノの音に聴き疲れるという私のような人ほどチャレンジしてみるとよいかもしれない(久々の更新を無理矢理クラシックで着地・・・)。


今年も残り一ヶ月、マイペースに更新予定。
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