音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
最近聴いている音楽 Vol.65 〜Gerard Fremy 『John Cage/Sonatas and Interludes』 〜
2017-08-27-Sun  CATEGORY: 雑多な話題
今でも覚えている。大学の時だ。




一緒に組んでたバンドのベーシストが「こないだスゴいライヴ見ちゃってさあ」と興奮しながら話をしてきた。地元のジャズだかなんだかの野外コンサートに出かけたら、彼の妹のピアノの先生の知り合いの知り合いくらいのピアニストが弦にネジとかゴムとか挟んでミュートして音を変えて演奏しており、その発想にビックリしたと言うのだ。




「その発想、天才的だよね!」




と驚嘆する彼に、私はジョン・ケージというアメリカの現代音楽の作曲家が半世紀以上も前に「発明」していることを説明した。「そうなんだ・・・」と落胆する彼を見て、大人げないことをしてしまったと思った。私も若かった。


その時の私はプログレ方面から「どんなヘンテコな音楽でも手を出してやろう」と御茶ノ水のジャニスに通ってはCDを借り、当時出たばかりのCD-Rライティングドライブで数百枚焼いて「勉強」していた(友人とデータをシェアしたので凄い枚数になった)。ケージの有名な「キノコ」のジャケのアルバムには、ジャニスの店員さんが「超名盤!」みたいな文句の帯を書いていたのでこれは!!と思って借りて、例の「4:33」で延々音が鳴らず「これ不良品です」と返却時に文句を言ったのは懐かしい思い出だ(恥)。


さて、ケージの『ソナタとインターリュード』である。例によって、高橋悠治盤を聴いて「なんじゃコリャ」と思ってそれ以来さじを投げていたが、私の大好きなGreilsammerのアルバムで「再び手を出してみようかな」と思った。勿論、これから書くことは伝説的なサイト『惑星、タコ8、我が祖国。』の管理人さんの後追いでしかないのだが、情報の精度が高まるという意味でも、後追い記事にも価値は有るだろうと思い書くことにした。そのサイトでベストに挙げられているジェラール・フレミー盤をようやくユニオンで安く捕獲し、聴く。





うーん やはり私はビートやグルーヴを欲するタイプ





とひと言で書くのもなんなので、少しだけ書くと、演奏自体は全体的に説得力を感じるもので、ソナタ第12番など格調が高く、間と静謐さが強調されていて崇高さが漂う。それに比してグレイルザンマーの演奏はスカルラッティと交互に演奏されているため、ビートの一体感(グールド流に言えばパルス?)を感じさせる解釈になっており、私にはより魅力的に映る。が、これは原曲で求められている演奏ではないのだろう。素人判断だがプリペア度(笑)は断然フレミーの方が複雑で一様でなく巧く聴こえる(近接録音できらめくような密に詰まった音色も素晴らしい)。フレミーの演奏には、私がグレイルザンマーのレビューで書いたようなジャングル感や中世の時計店っぽさは微塵も感じられないので、全く違う曲になっているとさえ言えるかもしれない。クラシックの奥深さというか、本当に解釈芸術というのは素晴らしいなあと思う次第である。


尚、前述の管理人さんが書かれている通り、高橋悠治盤はせせこましく先を急ぎ過ぎである。フレミー盤を聴いた耳からするとむしろ異端な演奏なのかもしれない。兎も角、あの盤を聴いてこの曲に匙を投げた私のような不幸な人が減ることを祈る。
スポンサーサイト
ページトップへ  トラックバック0 コメント0
コメント

管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
TB*URL
<< 2017/09 >>
S M T W T F S
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30


余白 Copyright © 2005 The melody at night, with you. all rights reserved.