音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
アレクサンダー・コブリン~ショパン全集Vol.1
2007-08-07-Tue  CATEGORY: 音盤紹介




このブログの‘音盤紹介’というカテゴリでは、僕のお気に入りの盤だったり、比較的新しめの盤(新譜でないことが多い)を紹介することにしています。今回は後者で、アレクサンダー・コブリンのショパンを。あまりネット上でレビューを見かけないような気がしたので書くことにしました。曲はショパン全集第1弾ということで、ソナタ第2番、24の前奏曲、そして数年前に発見されたというトリル前奏曲変ホ短調の世界初録音です。


彼は数々の国際コンクールに入賞歴があります。1999年のブゾーニでの優勝に始まり、ユンディ・リが優勝した2000年のショパンコンクールでは第3位、2003年の浜松国際ではブレハッチと並んで1位なしの2位、そして2005年のヴァン・クライバーンコンクールで優勝と、実に盛りだくさんです(ただ、ブゾーニの時の審査員を務めた故園田高弘氏のサイトによれば、コブリンの優勝には審査員の恣意的な思惑が働いたようですが)。


彼の録音は今のところ上述した浜コン時のライヴと、クライバーンコンクールのライヴCDがあります。そこではラフマニノフのソナタ第2番、エチュード音の絵、パガニーニラプソディ、ブラームスのパガニーニ変奏曲などを弾いているのですが、どれもライヴのせいかあまり精度が高いとは言えず、それでいて音楽性にも個人的には魅力が持てなかったので、クライバーンライヴの方はヤフオクで売ってしまったのでした(汗)


前置きが長くなりましたが、このアルバムの感想を。上述の2枚で切り捨てるのもなんだろうと思い、このCDを聴きましたが、やはり大きく印象は変わらないという感じです。まず録音が酷い。スタジオ録音とは思えないほどデッドで響きが少ない上に、ピアノの音色に輝きが欠ける感じでかなり不満です。


ソナタ第2番は第1楽章出だしのアルペジオがイマイチで先行き不安になります。その後の第1主題もテンポが遅く、相当に野暮ったい。第2楽章の半音階上昇のあとのオクターヴ連打は噛み締めるような弾きっぷりで、すっきりしません。技巧を見せ付けるようなことはせずに音楽性の深さを目指しているようですが、やはりここぞというところではキレのあるテクを見せて欲しいところ。その肝心の音楽センスも個人的には感心せず、もったいぶったアゴーギクが鼻につきます。しかし第3楽章はアルバム中でも一番ましで、彼の叙情性が発揮されているように思います。終楽章はモゴモゴしていて爽快とは言い難いです。


24の前奏曲も同様の印象です。とにかくテンポがもっさりしている上に、個人的に音楽性の面で合わない感じが強いです。太田胃酸(第7番イ長調)もモタれる味付け。第14番の細かな急速パッセージなどは、スピードはそれなりなのですが滑らかさに欠けます。第24番も勢いのない流しそうめんみたいな演奏です(意味不明)。世界初録音というトリル前奏曲ですが、ショパンのスケッチから再現されたもののようで、純度100%ショパン作というわけではなさそうです。左手の細かなトリルに対して右手で旋律を奏でる31小節ほどの短い曲。確かに前奏曲の中に含まれていても違和感がなさそうです。ちなみに、楽譜にはPrestoの指示があるそうですが、コブリンはLentoで弾いています(確かに、その解釈の方が雰囲気が出ている気がします)。おそらく、この1曲の収録は話題作りのためでしょう。


というわけで、ちょっと今後ともコブリンには興味の持てない結果となってしまいました。技巧も音楽性も中途半端なのかなぁと感じてしまいます。どうでもいいことですが、彼はサッカーを本格的にやるらしく、優男の風貌なのに非常に意外です(笑)
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