音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
最近聴いている音楽 vol.25〜ソヴィエト亡命オーケストラのショスタコーヴィチ弦楽四重奏第8番〜
2016-12-08-Thu  CATEGORY: 雑多な話題
年末の忘年会シーズンに突入、本日も飲み会であった。


新宿に向かう行き帰りの電車内、ハードロックなど色々聴いたが、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏について書く。


ショスタコーヴィチの曲は私も全てが好きというわけでない。よく聴くのは、シンフォニーでは1・5・8・10・13、ピアノソナタ第1番、前奏曲とフーガ、ピアノ五重奏曲、ピアノ協奏曲第1・2番、ヴァイオリン・ヴィオラの各ソナタ、それに弦楽四重奏8・14・15、それに歌曲の一群であろうか。その中でも弦楽四重奏の第8番は、後期の崇高で音数が少なく研ぎすまされた透明な表現へと向かう過渡期にあって、(私にとっては比較的)取っ付きやすい旋律性を残しており、非常に愛聴している。


9月には、知人に誘われて初めてこの曲の実演に触れることができた。オペラシティにハーゲン・クァルテットのコンサートに行ったのだ。曲は、

J. S. バッハ:フーガの技法~ コントラプンクトゥス1~4
ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番 ハ短調 作品110
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第13番 変ロ長調 作品130
ベートーヴェン:大フーガ 作品133

という、普段あまりカルテットを聴かない私でもストライクゾーンに近い、実に親しみやすい選曲だ。音色の種類や響きはそれほど豊かではなく、バッハはまだエンジンがかからない感じがあったが、ショスタコーヴィチのこの曲はやや細めながら、芯のしっかりした引き締まった音色でキッチリと構成された音楽といったおもむきの演奏表現で楽しめた。兄弟ということもあるのか、息もピッタリ合っていた(時折見せるアイコンタクトが微笑ましかった)。最後のベートーヴェンも素晴らしく、あれよあれよと言う間に終わってしまう感じがするほど充実したコンサートであった。9割がた席は埋まっていたように思う。


さて、思い出の前置きが長くなったが、今日聴いていたのはソヴィエト亡命オーケストラ THE SOVIET EMIGRE ORCHESTRA(亡命ロシア人管弦楽団)による室内楽版の弦楽四重奏曲第8番の演奏である。CDではシンフォニエッタと題されている。アレンジはラザール・ゴスマン。この演奏が凄い。団の名前からして背負っているものが他のアーティストとは違うのであろう人々によって、魂の叫びのような透徹した太い音色で非常に速いテンポで曲が弾き進められて行く。奏者の少ない弦楽四重奏とは違い、人数が多さからくる豊かな音色というよりはむしろ太い1本の木の幹のような、揺るぎなく確固たる強い意思を感じさせるタイプの演奏である。多少の荒さもあるが、ハーゲン・カルテットの実演で聴かれたような各楽器の織りなす構成美とは全く違ったシリアスかつ深刻な表現だ。ギシギシ響き渡る弦の迫力にたじろぐほどの名演だと思う。通常のカルテット版を含め、最も気に入っている演奏である。


カップリングもまたいい。チャイコフスキーの弦楽セレナーデ。悲劇的な場面のCMやドラマその他で使われるあの有名曲が、まさに痛切な響きとなって聴く者のハートに突き刺さる。実はCメジャーの明るい響きのこの曲を、極めて肉感のある人間味のこもった表現で描いている。フィナーレの盛り上がり、充実感もハンパではない。

おまけにショスタコの前奏曲とスケルツォOp.11のゴスマン編まで収録されている。これも、ショスタコ初期のゲンダイオンガクの前衛な響きとオケの機能の限界に挑戦するような刺激的な音色がたまらない。アルバム1枚そのものがロシアの雄大なスケールを感じさせてくれる名盤だと思う。OlympiaのCDで、ユニオンでも見かけたことはないがショスタコ好きの人は是非海外アマゾンなどで購入して聴いてみて欲しい1枚。聴くたびに心が震える演奏である。

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