音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
ティル・フェルナーのベートーヴェン・ピアノ協奏曲第2・3番
2007-08-06-Mon  CATEGORY: 音盤紹介
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古典派のコンチェルトはあまり聴かない方なのですが、ベトコン3番は好きで結構よく聴いてます。今回はその中で気に入っている盤を紹介します。ピアノはティル・フェルナー、指揮はサー・ネヴィル・マリナー、オケはアカデミー管弦楽団。


フェルナーは1972年生まれで、キーシンやヴォロドス、アンスネス、ルガンスキーなどと同じ新黄金世代(僕が勝手に命名)ということになります。この盤、実はその彼のデビュー盤にあたるもので、曲がベートーヴェンのコンチェルトというのはなんとも彼の自信と意気込みを感じさせます。


演奏の方ですが、実に清々しいリリシズムに溢れています。フェルナーはブレンデルに師事したということで、(そのせいかどうか知りませんが)解釈は至極オーソドックスかつ立派なもの。細部まで丁寧に弾きこまれていて好感度大です。第1楽章はとにかく清涼感たっぷりで、夏にピッタリの内容。カデンツはちょっと先を急ぐ感が無きにしも非ずですが、長いトリルのあとの主題の再現なども歌い方が上手く聴き入ってしまいます。ダラダラとしてしまいがちな第2楽章の緩徐部分でも音楽センスの良さを感じます(アンスネスから北欧臭を取り去って、品を良くした感じ。フェルナーの方がよりお坊っちゃんぽいと言えるかもしれませんが)。第3楽章では、いかにもエラートらしい高音がパサパサと乾いてシャリシャリする録音のせいか、多少和音がパシャッと耳障りに響く場面があるのが惜しい。全体を通して、聴く時の気分を選ばない見事な演奏だと思います。


続いて第2番。こちらは普段ほとんど聴かない曲なので曲に対する感度が低いのですが、そのせいか演奏の‘粗’を感じることがなく、3番以上に良い演奏のように思います。2番は1番よりも先に書き上げられたベートーヴェン最初のコンチェルトとのことですが、第1楽章の主題の輝かしさ、アダージョのシンフォニックなスケール感の大きさなどが十分に感じられ、曲の魅力をしっかりと引き出した演奏です。


というわけで、数多のベトコンの録音の中でも傾聴に値する演奏だと思っています。ひとつ文句を付けるとすれば、オケがかなり軽量級なことでしょうか。ポリーニ&アバド&ベルリンフィルのライヴ盤などと比べると、線の太さがまったく違います(比べる相手が悪い?)。


ちなみに、フェルナーは他にバッハの平均律第1巻やシューベルトのソナタ第14番、シューマンのクライスレリアーナ、モーツァルトのコンチェルトなどを出しています。この中ではバッハの平均律とシューベルトのソナタを聴きましたが、バッハは新時代のスタンダードと呼ぶにふさわしい名演。細部まで丁寧で、かつECMの優秀録音が冴え渡った素晴らしいアルバムです(本当はこちらを紹介しようと思いました)。シューベルトは同じブレンデルに学んだポール・ルイスと比べると、多少詰めの甘さを感じますが、それでも佳演には違いないです。今後とも注目していきたいと思います。古典派との相性の良さを感じるので、早くベートーヴェンのソナタを録音してもらいたいところ(チェロソナタを録音しているようですが)。
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