音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
最近聴いている音楽 vol.11〜ジャズとクラシックの漸近線〜
2016-11-22-Tue  CATEGORY: 雑多な話題
ショスタコーヴィチにもジャズ風の曲がある。というか、ジャズ組曲というそのものズバリの曲があるが、これは現代のジャズとはとても呼べるものではない。シチェドリンにもあるし、エシュパイにもある。しかし何と言ってもクラシックにおけるジャズピアノで近年有名なのはニコライ・カプースチンだろう。


ピアノ系サイトNo.1の楽譜の風景管理人の不破さんがアムランに楽譜を渡し、録音されたことから多くのリスナーに広まったのは有名な話だ。余談だが私は以前不破さんの演奏を聴きに、2008/5/11 ピアノリサイタル「歌と鐘と古き良きジャズの調べ」 宮崎カリタス修道女会講堂(井荻駅) へ出かけたことがある。例によって面識の無い方ではあるが、私にとってはネット上ながら(だからこそか)雲の上のような存在の方だ。サイトのクオリティは便所の落書きレベルの私のブログとは比較にならない。ちなみにそのリサイタルにはナナサコフこと七澤さんもいらっしゃっていた記憶がある(「ファンです」とお声をかけた記憶がある。というか、七澤さんがプロデュースされた演奏会(場)だったような気もする。修道女による美しい合唱はリサイタルのハイライトのひとつだった)。


さて、ジャズもクラシックも両方出来るピアニストと言えばキース・ジャレットだ。世界でただ1人と言ってもいい。ジャズは言うまでもなく、バッハの平均率やショスタコのなども素晴らしい。存在そのものが奇跡だ。両方のジャンルで歴史に残る録音を残しているのは彼くらいなものだ。「アムランがいるではないか」という人がいるが、アムランはジャズ・スタンダードをジャズの様式で演奏しないし、アムランとジャズ・ピアニスト双方に失礼というものだ。


私ごときが語れることではないが、ジャズは指回りのテクニックだけで弾けるものではない。グルーヴが大切である(私の先生は、「それなりのバッキングがあって、適切にグルーヴしていればメジャースケールを上昇しただけでもジャズに聴こえる。というか、聴こえなければならない。それがジャズだ」と語っていた)。現代最高の名手の1人、アムランのカプースチンのソナタ2番は上手いとは言えやはりジャズ本来のノリからはほど遠い。ぜひともこの曲を、ジャズのグルーヴを備えたピアニストの演奏で聴いてみたい。カプースチンによる自作自演が決定盤なのかと言えば、それはわからない。カプースチンがクラシック的に上手すぎるからだ(それに彼のタッチは強靭すぎる)。カプースチンの演奏はどの曲もジャズのグルーヴが感じ取れないほどに上手い(苦笑)。テクニシャン系のジャズ・ピアニストに録音して欲しいところだが、あの曲を弾けるジャズ・ピアニストはそうそういないだろう。レジェンドであるジャレットに挑戦して欲しいところだが、年齢を考えると難しい。



他にいないのかというと、(こちらもベテランになってしまうが)エンリコ・ピエラヌンツィがいる。



イタリアの英雄であり現代のビル・エヴァンスとも呼ばれるこのジャズ・ピアニストは、クラシックにおいてもスカルラッティのソナタとそれに基づくインプロヴィゼーションの録音を残している。指回りのテクニックは勿論、タッチがジャズ・ピアニストとしては異例なほど繊細である(ジャズ畑の人はそこばかり磨く人はいないので余計に際立つ)。彼のアルバムで「No Man's Land」というトリオ作品があるが、ここで聴かれるピアノの音色の美しさは明らかにクラシックのそれである。音色にうるさい嫁が「この人のタッチは凄い!」と驚嘆したのは後にも先にもジャズではピエラヌンツィだけだ。「My Funny Valentine」は現代ジャズピアノの演奏としてはひとつの到達点にあると言ってよい。クラシックしか聴かないという人もぜひ聴いてみて頂きたい作品。彼のオリジナルはメロディも素晴らしい。


話しは逸れるが、私がこれまでに目撃した最高価格のCDがピエラヌンツィの「Live in Castelnuovo」である。この非売品のCDはユニオンで13万円を超える価格が付いていたと記憶する。私は店頭で指をくわえて眺めるしかなかった。しばらくしてどこかのお金持ちに買われたようだ。一時期、世界の親切などなたかが、このアルバムから1曲だけ「Yesterdays」(だったかな?)を上げてくれていたが、真贋はつかないものの素晴らしい演奏だった。


ちなみに私と嫁のおすすめの若手ジャズピアニストは海野雅威(うんのただたか)氏である。この人は本当にスゴい。現在はアメリカで活躍され、最近来日していたのだが、まだ暴れ盛りの小さいうちの子を抱えてコットンクラブには行けない(私だけで行くと怒られる)。海野さんの「My Romance」というアルバムの1曲目、定番マイルストーンズでの終わりのテーマで聴けるさりげない味付けにはグッとくる。むせ返るような強烈なジャズのグルーヴと繊細なタッチを兼ね備えた希有なピアニストだと思う。機会があれば、ぜひご一聴されたい。
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コメント

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コメントななし | URL | 2016-11-22-Tue 01:00 [EDIT]
怒涛の更新!!
散財と寝不足が止まらないのでささやかながら仕返しさせてくださいw

ピロジェンコがカプースチンのOp.40を(公式で試聴もできます)
https://www.discogs.com/ja/Alexandre-Pirojenko-conSequentia/release/6951969

フィリペツ、ノルマも素晴らしかったです(amazonがお手頃)
https://www.amazon.co.jp/dp/B00898W50I/
Re: タイトルなし
コメントA太 | URL | 2016-11-23-Wed 11:35 [EDIT]
コメントありがとうございます。こういう仕返しは大歓迎です(破産してしまう・・・)。
ピロジェンコのは知っていましたが、まだ手を出しておりませんでした。
彼にカプースチンとはピッタリな選曲ですよね。

フィリペツのノルマは全く知りませんでした。是非聴いてみたいです。
mp3音源は常時買えますが、できればwav(CD)で買いたいですね。

ありがとうございました。
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