音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
最近聴いている音楽 vol.7〜2人のAlexander〜
2016-11-18-Fri  CATEGORY: 雑多な話題
クラシックのピアニストでAlexanderというと数多い。


アレクサンドル・スクリャービンから始まって、ゴリデンヴェイゼル、ギンジン、メルニコフ、タロー、ピロジェンコ、コブリン、クリッチェル(Krichel)、、、そしてガヴリリュクとロマノフスキー。今回はこの2人のAlexanderに注目したい。


先日、シュフのCDのくだりで「そう言えばロマノフスキのアレ、どんだけスゴかったっけな?」と思い、ブゾーニ・コンクールライヴを久々に聴いて心底驚愕。これで当時16歳。同じ年、浜松国際を同じく16歳で制するガヴリリュクがいた。恐ろしきかなロシア。。


ガヴリリュクはコンクール優勝の華々しいままにキャリアをスタートし、録音CDも豊富。深刻な交通事故に遭ったり、髪の毛は薄くなったりしているが、順調にピアニストとして活躍していると言えるだろう。それに比してロマノフスキはやはり2003年のエリザベート王妃国際でファイナルに進めなかったのが痛い。当時、コンクールの審査員だった園田隆弘氏が生前ご自身のウェブサイトで「ドビュッシーの月の光のような易しい曲をなぜコンクールに提出してきたのか理解に苦しむ」と書いておられたが(今はもう見られない)、そのせいか優勝候補の1人との前評判にも関わらず予選で敗退してしまったのだ。優勝したのはセヴェリン・フォン・エッカードシュタインである(松本和将が第5位。しかし園田氏は「松本君は2位にふさわしかった」と書いている)。この時、ロマノフスキーが優勝ならずともファイナルに進出していたら、この若かりし頃の屈託の無さが消えずに成人後の「やや考え過ぎな演奏」にはならなかったのではないかとも思う。


それからしばらくロマノフスキーはCDを出さなかった。ようやく2007年にDeccaからシューマンの交響的練習曲(録音は2005年だったかな、、)&ブラームスのパガニーニ変奏曲で録音デビューする。続けてラフマニノフの音の絵エチュード、コレルリ変奏曲を出すものの、個人的には大きすぎる期待の半分も応えられていないというところ(世間一般の標準からすると勿論良い演奏なのだが・・・)。どれもスカッと弾き切っていないというか、まだやれるはず、と思ってしまう。コンクールの勲章がよほど欲しかったのか、2011年のチャイコフスキー国際で第4位に入賞している(優勝はトリフォノフ、3位がソンジン)。


そんなロマノフスキの新たな録音、ラフマニノフのソナタ2番を聴いた(好きな2番から聴いたので1番はまだ未聴)。


某音楽サイトでは1913年の原典版と書かれているが、演奏時間を見ても(というか聴いてすぐ分かるが)1931年の改訂版の演奏である。この曲は数えきれないほど持っていて、クズミン新旧盤(ホロヴィッツ版)という決定的超絶名演があるため聴き比べする気にならない。他にはタラソフの浜コンライヴが震えるほどの名演で愛聴しており、さらに教祖ホロヴィッツの新旧2種、アムラン、D・トン、さらには全然ロシア的ではないが美しいファヴル=カーン、日本人では清水和音の豪快な演奏が面白い。原典版だとフレディ・ケンプの演奏が好みだ。苦手なタイプの大物演奏者LやL2、Mの名前はここでは出さない。


前置きが長くなった。ロマノフスキの感想だった。まだ1回しか聴いていないのだが、ガヴリリュクの浜コンライヴ&スタジオ盤との比較すると、両人ともほぼ互角というところか。ロマノフスキのは技術的に非常に整っており、それでいて時折見せる叙情性や「そこを強調しますか」という内声の響きがスマートで華麗。そこには、ブゾーニ・コンクールをメフィストワルツで疾風のごとく駆け抜けた若き16歳の姿はもうない。第3楽章もクズミン盤と比べると大人しいことこの上なく(というかクズミンがおかしいのだが)、ガヴリリュクのほうが爆発力は見せていると言えるだろう。あえて言い切るなら剛のガヴリリュク、柔のロマノフスキか(何度も書くが、この日日更新の感想は聴き込みが浅いのでくれぐれもあてになさいませんよう)。今の気分は、細部へのコダワリの発見を楽しめるロマノフスキ盤かも(ガヴリリュクは同路線の競合者が多すぎるかもしれない。とは言っても、最近お気に入り以外は聴いていないからテキトーなことを言ってる)。


ガヴリリュクは様々なレーベルからCDを出しているが、同じ曲の再録音が多いのでレパートリーの多様さという点からは少し残念。ブラパガなど私が知っている限りでも3回はあるのではなかろうか。どのCDもなかなかの演奏だが、近年はライヴ盤が多いのでミスが気になるのが惜しい。ついでなので、久々にガヴリリュクのプロコフィエフのコンチェルト2番&3番を聴いてみた。以前聴いたときの感想は全く覚えていなかったが、今回もそれほど印象に残るほどでなかった。やや遅めのテンポでしっかり丁寧に弾いている感じだ。技巧は達者だが面白さには欠ける。特に、2番第1楽章の巨大なカデンツァは、先日NHKで放映していたマツーエフの熱演の前ではかすんでしまう。3番ももう少しダッシュして欲しいと思うところが幾つかある。2番3番のお気に入り演奏については以前どこかで書いたので略す。ところでアシュケナージが振るシドニー響、管楽器が吠えている気がする。こんな芸風だったっけ。そう言えばロマノフスキもけっこう前にNHKでラフマニノフのパガニーニラプソディを弾いていて、良い演奏だった気がする。彼もやはりライヴで燃えるピアニストなのだろう。録画を残しているので、時間があったら観てみようと思う。


それにしてもゆったりと音楽を聴く時間が取れない。14連勤の半分も終わってない。そんな中でもスゴい録音を見つけたので、明日明後日と時間を見つけて聴き込みたい。

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