音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
次代を担う天才~アレクサンダー・ロマノフスキ
2007-08-04-Sat  CATEGORY: 音盤紹介
またまたコンクールのライヴCDを。と言っても今回はコンクール実況盤ではなく、ブゾーニ・コンクールの優勝者リサイタルでのライヴ録音です。ピアニストはアレクサンダー・ロマノフスキ、録音は2001年です。





一頃、このCDはネット上で大変話題になったように記憶しております。色々なピアノ系クラシックサイトで紹介されていて、どれも高評価でした。だから僕があえて取り上げる必要もないのですが、どうしてもプッシュしたくて書かせて頂きます。収録曲はバッハ/ブゾーニのコラール「いざ来たれ、異教徒の救い主よ」、ハイドンのソナタ第52番、ショパンのスケルツォ第2番、リストのメフィスト・ワルツ第1番、プロコフィエフのソナタ第2番、リゲティのエチュードより虹となっています。


1曲目のバッハ/ブゾーニのコラール、この静謐な中に漂う緊張感と神々しさには思わず息を呑みます・・・初めて聴いた時は、この時点ですでにノックアウトされてしまいました。僕がこれまでに聴いた全ての(現代ピアノによる)バッハ演奏の中でも群を抜いて素晴らしいと言っては大げさでしょうか。とにかく音楽性の『深さ』がハンパではありません。ハイドンの有名なソナタも瑞々しく爽やか。こういう古典派を聴く時には、速いパッセージでの安定感が気になるのですが、その点でも十二分に合格点。ショパンのスケルツォは切れ味鋭く弾きあげています。急速部での剃刀のようにヒリヒリとした切迫感と、小憎らしいまでの叙情性が肩を狭くして同居している稀有な演奏と言えるでしょう。メフィストワルツも完全に手の内に入った熱気溢れるもので、多少ミスが多めなのが玉に瑕なものの、それでもこの曲の数多の録音とは冠絶するものがあります。プロコの2番は、フレデリック・チュウのアクロバティックな演奏やペトロフのドライタッチでバリバリ弾かれる録音(注:最近再発されたようです)を好んで聴いてましたが、それらよりも情熱的な演奏。後年の戦争ソナタとは違い、このソナタ特有のメロディックな部分が上手く描かれており、ハッとする場面が多々あります。最後のリゲティのエチュードで静かにリサイタルの幕が下ります。


とにかく、一枚のアルバムとしての、すなわち一夜のリサイタルとしての完成度が尋常ではありません(恐ろしいことに、この時若干16歳!)。彼の同い年にはあのガブリリュクがいますが、王道路線(キーシン路線?)を歩むガヴリリュクに対し、より個性的で自己主張の強いのがロマノフスキだと思います。余談ですが、彼は2003年のエリザベート国際コンクールに出場しており、大方の期待を裏切りセミファイナルで姿を消したようです(審査員だった故園田氏のサイトによれば、リサイタルで『月光』やベルガマスク組曲を弾いたとのこと)。


このCDを出して以来、ロマノフスキは新たなCDを出していないようなのですが、是非とも早く新しい音源を届けて欲しいものです。
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