音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
ゴールド・メダルに届かなかった者たち~第10回クライバーン・コンクール・ライヴ
2007-08-04-Sat  CATEGORY: 音盤紹介
僕はコンクール・ライヴのなんとも言えない緊張感と生々しさが好きで、ついつい手を出してしまいます。演奏精度が低かったり、録音がいまひとつだったりするわけですが、それでもスタジオ録音にはない魅力が溢れています。


今回ご紹介するのは、コンクールライヴ盤の中でもお気に入りの一枚。






第10回クライバーンコンクールのライヴCDです。演奏は銀メダルのヤコフ・カスマンと銅メダルのアヴィラム・ライヒェルト。これが実に素晴らしいのです。


まず、カスマンによるラフマニノフのソナタ第1番。2番に比べてほとんど弾かれない1番をコンクールに持ってくるところに彼の気概を感じますが、その期待を裏切らない出来。ソナタ第1番というと、疾風のごとく駆け抜けたワイセンベルク盤が有名ですが、それよりもじっくりと腰を落ち着けて歌いに歌った演奏です。構えが大きくテンポが遅めなのですが、それでいてのっぺりと単調にならないあたりは非凡なセンスを感じます。打鍵に締まりがあって、音圧でグイグイと押して来るような感じ。多少粘っこいアゴーギクで好みが分かれるかもしれませんが、曲が要求するロシア的なスケールの大きさが見事に体現されていると思います。和音も深々としていて実にラフマニノフらしい。併録のシューマンのアレグロロ短調も同様の印象。


続いて、ライヒェルトによるシューベルトのピアノソナタ第14番。非常に力強くロマンティックな演奏で、ダイナミックレンジが大きいです。語り口も大胆かつ繊細でメリハリが利いており、特に終楽章のテンポの速さは他盤にはない勢いに満ちていて瞠目されられます。技巧的にも確かなものを感じます。この曲はポール・ルイスやティル・フェルナーの端正で叙情的な演奏が好きですが、それに劣らず良いです。ライヒェルトはこの他にショパンのノクターン第1番、エチュードOp.25-10を弾いています。


というわけで、個人的にはこの2曲の最良の演奏のひとつであると思います。余談ですが、カスマンはスタジオ録音でラフマニノフのソナタ第1番・2番(初版)のCDを出しており、そちらの演奏も素晴らしいです。2番も彼らしくじっくりと歌った演奏で、クズミンの新旧盤やホロヴィッツの新旧盤しか受け付けないという激情型の人でもその面白さは伝わると思います。勿論、第1番の方も名演なのですが、個人的にはコンクールライヴのインパクトの方が強いかも。


ちなみにこの時のコンクールを制したのはジョン・ナカマツでした。ライヴCDの収録曲があまり好みでないので、どのような演奏をしたのかはわかりません・・・。銀と銅のメダリストがこの演奏ですから、さぞかし素晴らしい演奏だったのだろうと想像しますが、ラフ3の演奏ではあまり面白く感じなかったので手を出しかねております(汗)
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