音楽好きの世迷い言
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ショパンコンクール2015・ソナタ演奏雑感その1〜2番編〜
2015-10-25-Sun  CATEGORY: ショパン・ピアノソナタ第2番聴き比べ
ショパンのソナタ聴き比べの番外編ということで、先日閉幕したショパンコンクール2015の、ソナタの演奏(だけ)を集中的に聴きました。まずyoutubeで見ながらICレコーダーで録音し、それから通勤で聴き直しました。今回は非常にレベルが高くてビックリしましたが、反面抜きん出た個性は見当たらなかったような気がします。良くも悪くもコンクールシフトにピアニストが育成されているなぁと思った次第です。


ドミトリー・シシュキン(第6位):◎ 音が鋭く金属的。エリザベートでのラシュコフスキーのラフ3を思い出す。2番には合ってる。第1楽章の急速部分やスケルツォの半音階上昇、オクターヴ連打など技術レベルが非常に高い。誤摩化しがなく明晰な打鍵は歴代を見渡してもかなりのものだろう。葬送行進曲も緊張感があり、遅すぎず悪くない。所々で不思議に粘ったり立ち止まったりするのも想定内のロシア流だが、それを差し引いても意外と面白さがある。終楽章の迫力も凄い。例によってリリシズムには乏しく、ショパン的ではない。このコンクールでなければ相当素晴らしい順位を付けられただろう。


小林愛実(ファイナリスト):◎ 小学生の頃からラフ3を弾いたということでネット上で話題になっており、「日本人初優勝いけるかも・・・」と密かに応援していた。技術レベルはシシュキンほどではないが高く、何より歌が上手い。解釈はスタンダードの極みなので自発的な天才というよりは、教え込んだ先生のセンスを飲み込んだ(実は)努力の人、という気もする。第1・2楽章の和音連打の部分ではややミスもあるが明らかな弾き損じではなくそれほど気にならない。が、やはりスケルツォの緩徐部分は遅すぎ、また全体的に迫力不足で、これで葬送行進曲が(私に苦手の)遅めのテンポだったら嫌だな、と思っていたら再現部の途中で神が降りてきた。これは、とても希有な演奏である。自分の内側から出てきたものなのかどうかはもはや問題ではなく、この葬送行進曲だけでも彼女はファイナル入賞、いや3位以内に値してよいと私は思う。結果は残念だったが、是非今後ソナタ2番の録音を残してほしい。ただし、ミラクルの起きるライヴ録音で。


チョ・ソンジン(第1位):○ 浜コンで優勝した時の素晴らしい演奏をオンデマンドCD-Rで購入して以来注目していたが、まさかショパコンで優勝とは。しかも彼に合ってそうな2番のほうを弾いており、大いに期待したのだが、完全無欠で非の打ち所の無い「置きに行った」演奏で、正直ガッカリである。第1・2楽章の急速部分は明らかに余力を残した安全運転の演奏で、「自分はここで終わりではない」感が演奏を通じて伝わってきてしまっている。攻めているとは言いがたく、必死さとか劇的な表現というものに乏しい。それでも葬送行進曲での音楽性の高さは流石であり、浜コンのダンテソナタを思い出す。ソナタの感銘度だけで言えば、小林さんのほうがずっと高い。

近々その2も書く予定・・・

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