音楽好きの世迷い言
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オラシオ・グティエレスのラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番新旧聴き比べ
2007-07-08-Sun  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
しつこく同一ピアニストによるラフ3の新旧聴き比べです。本日はオラシオ・グティエレス(Horacio Gutierrez)の演奏です。

グティエレスは1948年、ハバナに生まれたピアニストで、世代的にはアンドレ・ワッツやピーター・ゼルキン、マレイ・ペライアなどと同世代ということになります。彼は70年のチャイコフスキー・コンクールで第2位を獲得しました。その時の第1位はジョン・リルとウラディミール・クライネフです(この2人についても、いつか書きたいと思ってます)。


まずはCD盤の方を。


gut2.jpg



録音は1991年5月、指揮はロリン・マゼール、オケはピッツバーグ交響楽団です。


まず一聴して、小気味のいい快速テンポと流麗な指回りに驚かされます。第1楽章からして急速部分がどこまでもクリアで、明晰な録音と相まってスポーツ的な爽快感があります。ただ、最初から飛ばし気味なので、展開部の和音連打で少しテンポが落ち着いてしまう感じがするのが惜しい(この部分も決して遅いテンポではないのですが)。カデンツも流しそうめんのように爽快(意味不明)。第2楽章はピアノが強調され気味のバランスゆえか、ちょっと騒々しい箇所があるかも(高音がキンキンする)。それでも冒頭の緩徐部分は非常に聴かせるものがあります。第3楽章は冒頭が凄い。同音連打の粒が揃っていて、それでいて凄まじいスピード。ドノホーやハフ、アルフィーディ、カツァリスなどと遜色ない勢いがあります(途中で若干テンポが落ちていく気もしますが)。オケの出来も良いのですが、アタッカで第3楽章に行く時に音価を長く取るのは個人的に好みではありません(細かいところですが、いつもここが気になるのです)。


同じ南米系のピアニストというと、サンチャゴ・ロドリゲスが思い浮かぶのですが、彼ほどアゴーギクが大胆で激しいわけではなく、常識的な解釈でバランスの取れた非常に良い演奏と言えるでしょう。ただ、録音年が新しい割にいまひとつピアノの音色が冴えない感じがあって、惜しいです。ちなみに、コンチェルト第2番の方はやはりキレのあるテクニックで胸のすく演奏。ピアノの音が軽めなのがやっぱり不満というところでしょうか。



続いて、未CD化のLPをご紹介。こちらは1970年7月の録音です。


gut1.jpg



演奏後の拍手までライヴ録音とは気付きませんでした。それほど完成度の高い演奏です。1970年の7月というと、ちょうどチャイコフスキー・コンクールが行われていた時期なので、このレコードはその実況録音盤かもしれません(が、例によってジャケットがロシア語なのでよくわからない・・・)。


こちらの旧録音も、全体的に自由闊達で流麗な音運びが心地良いです。ワイセンベルクのように透徹した硬さのある音ではなく、ビロードのような滑らかな感じ。第1楽章は疾走感がありますが、落ち着いて聴くと少々荒っぽいです。オケともズレるのが気になります。ピアノが結構自由にテンポを揺らすのでアワを喰っているのかもしれません。展開部の和音連打は新録音よりもスピード感抜群。カデンツァも指回りの良さを見せ付けます。第2楽章はやや歌い方が硬い気がします。構えがあまり大きくないのも少々マイナス。第3楽章はとにかく速い。猛烈なスピードで飛ばしまくり。演奏時間では(カット無しの録音の)手持ちの中でベスト5に入る凄まじい速さ!全体的にバイロン・ジャニスと似た雰囲気の演奏ですが、彼ほどタッチに重量感があるわけではないので、軽快な印象を受けます。録音はデッドで音が痩せた感じがしてあまり良くありませんが、レコードとしてはまずまずかも。ライヴながら非常にミスは少ないです。


というわけで、演奏時間の比較を。新盤が15:40、11:30、13:20で、旧盤が14:57、10:01、12:15(誤差あり)です。数字を見ても、旧盤ライヴの方が相当速いのがおわかり頂けると思います。第3楽章の約12:15というのは、勿論拍手入りです(汗)流石チャイコン第2位の名手だと思います。個人的には第1位のリルのラフ3よりも好きかも。
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ピッツバーグ交響楽団ピッツバーグ交響楽団(Pittsburgh Symphony Orchestra)は、アメリカ合衆国の主要なオーケストラの一つで、ペンシルバニア州ピッツバーグを拠点とする。幾多の変転の後、現在はハインツ・カンパニーによって設立されたハインツ・ホールが本拠地となっ  [続きを読む]
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