音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
ユジャ・ワンのラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番
2014-10-02-Thu  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
久々のラフ3レビュー。発売からしばらく経ちましたが、テクニシャンのユジャ・ワンによる演奏です。

☆☆☆・ユジャ・ワン/ドゥダメル/ベネズエラ・シモン・ボリバルso/Live
 聴く前は「音色の線が細め・技は精緻・歌は比較的淡泊」と想像していましたが、8割方当たっていました(苦笑)というわけで、あまり書くことは無いのですが、せっかくなので。第1楽章は出だしから精妙なタッチ。テンポは中庸よりは少し速め。両手交差部は踊るように妙なリズムで飛び跳ねる感じ。展開部の和音連打は始めは煽るのですが、実際の連打部分はそれほど速くなく、ちょっとガッカリ。カデンツァは予想通りオリジナル(出だしが細かくて名技的なほう)で、ossiaのゴージャスな和音が好きな私としてはガッカリ2つ目。開始部分はそろそろと音が小さめでスケールに乏しい感じ。中間部もあまり畳みかけず、何より終わりら辺の和音の響きが浅く、線が細いのが残念。オケが入ったあとに静かに歌うカデンツァも、さらに第2楽章の緩徐部分もあまり心にしみいる感じはありません(ここの音色は非常に綺麗でしたが)。ソナタ集で感じた歌のセンスの弱さが出てしまっている印象です。しかし、オケは非常に雄大な響きを聴かせています。後半の細かい急速フレーズは彼女らしく、流石の鮮やかさ。

となると、終楽章もブッ飛ばして欲しいところ。冒頭の同音連打、スピード感はなかなかですが、やはり音の線が細くて力強く響いていないのが惜しい。しかしながら、徐々にピアノ・オケともにテンションが上がっていき、後半になるにつれて迫力を増していきます。それでいて彼女特有の明晰かつ精緻な指回りが冴え渡り、部分的に聴いたことのない内声を強調するなどらしさ全開。この楽章の出来は手持ちの中でもベスト10に入るでしょう。若き天才の誉れ高いドゥダメルが操るオケの力強さも印象的で、コーダではオケを急停止からの超アッチェレランドというコダワリも(余談ですが、ベルリンPOの次の監督は彼で決まりなんでしょうか)。ところどころ金管を吹かせすぎなのが(スヴェトラ&中村の同曲の演奏を思い起こす)惜しい。

と、大方は聴く前の予想通りだったのですが、終楽章の熱気とオケの力強さは予想以上でした。ちなみに演奏時間は15:50/10:38/14:17で、第1楽章はカデンツがオリジナルということを考えるとけっこう遅め。終楽章もタイム的にはそれほど速くありませんね。

ユジャ・ワンは技は精緻・解釈は至極真っ当・歌が淡泊、(私が彼女のライバルだと勝手に思っている)ブニアティシヴィリは技豪快・解釈個性的・歌濃いめだと思っているので、2人のちょうど間に正解があるのかなと(ブニアティシヴィリのラフ3は見逃して聴いたことはありませんが、ソニーのことですからそのうち出すでしょう)。

というわけで、4つ☆とはいきませんでしたが、ジョセフ・ムーグ盤などが好きな方にはオススメできると思います。それにしても彼女は上手い。次のラフ3も女流ピアニストをレビューします。
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