音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
山下 和仁 / SONATA
2014-08-01-Fri  CATEGORY: 廃盤再発推進委員会
再び山下和仁の音盤紹介。ギターによるソナタを集めた作品集です。

guitar sonata

ジャケがデジタルちっくで時代を感じさせる意味不明なデザインですが、いい味出してます。曲はホアキン・トゥリーナ(スペイン)のソナタ、レノックス・バークリー(イギリス)のギターのためのソナチネ、マヌエル・ポンセ(メキシコ)のソナタ第3番、フェデリコ・モレノ=トローバのソナチネです。録音は1983年7月。

色々な国籍の作曲家の作品が収録されているため、1枚を通して聴くと作風のカラフルさが非常に印象的です。

トゥリーナはスペインの作曲家らしく民族的な響きが印象的ですが(これが日本酒とスルメのようにギターによく合う)、泥臭さはなく意外と小綺麗な作風です。冒頭を飾るに相応しい力強い曲で掴みはOKというところでしょうか。終楽章はギターが鳴りまくり。ちなみにこの曲はバルエコなども録音しているようです。

2曲目はバークリーのソナチネ。前曲とは違って出だしこそはモダンで普通っぽい?感じで始まりますが、ギターのための、とあるように、曲が進むにつれて超高速のトレモロやハーモニクスの響き、ジャカジャカと激しいカッティングなどギターの特性を活かしたフレーズが満載。相当の難曲でしょう。後に山下はバークリーのギター協奏曲を録音しています。

お次はポンセのソナタ第3番。低音弦の響きをリフレインさせつつ、重音でほの暗いメロディを繰り返してリズムを刻むところなど面白い。中盤からは泣きの旋律というか、感傷的な響きが顔を出してきて曲に深みとコクを出していますが、あくまで山下は冷静な筆致によって曲を構築しています(もっと情熱的でも面白かったかも)。この曲はwikiによるとセゴビアの超絶技巧を念頭に作曲されたそうですが、なるほど終楽章は技巧的な激しい同音連打で始まります。相当素早いポジション移動が必要そうです。超高速で上昇下降する早弾きも登場し、高音弦でトレモロしつつ中音弦でメロディを弾くところはメチャ難しそう(ハンガリー狂詩曲第2番でも出てきたヤツ)。とにかくバラエティに富んだ曲です。本人もお気に入りなのか、この曲は1995年に再録音されています。

最後はトローバのソナチネ。これぞスペインのギター曲という明るく快活な出だしで、アルバムを締めるのにピッタリ。取っ付きやすさは4曲中随一でしょう。ギター曲の作曲家として認知されているだけあって(クラシックギターの世界では有名なレパートリーの模様)、楽器の鳴らし方を心得ている感じ。どことなくアルベニスのイベリアを思わせる曲風です。実はこの曲は以以前紹介したニコラ・ホールのアルバムにも収録されています。ホールもギター史に残るテクニシャンですが、冒頭の元気の良さや、終楽章の激しく熱情的な山下の技巧に比べると不自由さを感じてしまいます。


というわけで、何を聴いても何を弾かせても超絶上手い、ピアノで言うとアムランのような、いや、ギター界ではアムランよりも孤高の存在と言える山下和仁のこのアルバム、例によって何故かCD化されていない模様ですが、1997年にファンダンギーリョ~スパニッシュ・リサイタルと題してトゥリーナとトローバの曲が再録音されています(ちなみに何故かレビューでは酷評されていますが・・・)。是非そちらと合わせて聴き比べて楽しんで頂きたいアルバムです。
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