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ルーカス・ヴォンドラチェクのラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番
2017-01-22-Sun  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
ついにヴォンドラチェク(Lukáš Vondráček)のラフ3が届いた。


youtubeで見て感激して以来1ヶ月半余り、コンビニ到着のメールを受け速攻で引き取りに行った(家に届くと嫁にバレる)。貧乏性の私は、在庫有りのタワレコでなくHMVのまとめ買いで注文していたのでこれだけの時間がかかってしまったが、1400円ほど安く買えたのではないかと思う(抱き合わせ商品を追加で3点買ってるので完全にHMVの思うツボなのだけれども)。


嫁が自宅でレッスン中、プラレールに夢中の息子の脇で大音量で2回ほど流す。youtubeで見たりレコーダーに録音して聴いたりしていた時の印象とかなり違う。youtubeでは音が途切れたり音質がイマイチだったりしていたのもあるが、CDの方は随分と演奏に品がある。動画では「濃ゆい」感じだったので(それが苦手な私は)ある程度覚悟をして聴いたが、それほど気にならない。むしろどんな急速部でも(終楽章の冒頭でさえも!)気品あるタッチでフレーズに表情がついていることに驚愕する(この曲の演奏を数多く聴いている方ほどそう思うのではないかと思う)。


全楽章を通じても、第1楽章はまだ若干の硬さが見られるかもしれない。けれどもそれが程よい緊張感となって聴き手に迫ってくる。出だしの快速感は他のピアニストでも聴けるレベルだが、タッチの精度が段違いだ。ヴォロドスやハフ、いや、冗談抜きで彼ら以上かもしれない。緩徐部分ではテンポを落とすものの、動画よりもあざとく感じないのは気のせいか。両手交差部分も実に美しい。展開分の和音連打は最高速クラスではないものの、十分な迫力。ossiaのカデンツァはyoutubeではちょっと気に入らない感じも受けたが、CDだとそうでもない(やはり目から入る情報は大きい?)。


第2楽章は最近聴いた横山盤の名演があったのでどうかなと思ったが、負けてない。それどころか、タッチの精度は上をいき、おまけに(横山盤と違って)ピアノの方が音が大きく録られているのが嬉しい。ついでに言うと、オケの健闘も素晴らしい。随所でピアノを盛り立てている。緊張感というものは有り余る技巧のせいかそれほど感じられないが、逆にこの楽章のロマンに浸れるという意味ではよいかもしれない。


そして特に素晴らしいのが第3楽章である。スピード感はブロンフマン2004年やハフ、横山盤にはかなわないが、とにかくよく歌う。ふんわりと絹のヴェールを纏った繊細さがあり、あらゆる細部で気遣いが見られながらも角を矯めて牛を殺すことになっていないのはズバ抜けた歌のセンス以外の何者でもない。例の楽章後半の重音ossia部分までの数分間はこの演奏の白眉だろう(誤解の無いよう書いておくと彼はこの箇所で通常版を弾いている)。何よりこの楽章からこんなに「音楽」が聴けたことは未だかつてない。徐々にアルゲリッチ的な推進力と自在に空を飛んでいくかのようなスピード感を増していき、一気にコーダまで駆け抜ける。最後のモチャモチャしがちな部分も明晰にピアノが聴こえて恐ろしい。彼は人間なんだろうか


CDを聴いて感じることは、我々が協奏曲第2番に期待しているようなロマンが演奏解釈に盛り込まれている、ということである。そのような路線の演奏は今までにもあったと思うが、2番を上回るとされる技巧が要求される3番にあって、技術的に成功していたとは言い難い(ベタベタのロマンを聴かせるもののテクニックでは物足りない演奏になっていることが殆ど)。ところがヴォンドラチェクは、私の知る限りこの曲の演奏者史上最高の技巧によって、それを見事に実現している。しかも、聴けば聴くほど「こんなこと演っていたのか!」という新たな驚きをもたらす新鮮な解釈と驚愕のテクニックが味わえる。演奏時間は16:48/10:14/14:10である(終楽章の演奏終わりは13:40ほど)。随所での「歌」のせいか演奏時間は長めだが、聴感上はそれほど遅く感じない。



ブロンフマン2004年に比して(ロシア的な解釈での)怒濤の迫力でストレートな演奏、というわけではないので決定盤と言うのは憚られるが、演奏から受ける感銘度からするとやはり初めての5つ星☆☆☆☆☆を付けたいと思う。何より、私の好きなエリザベート王妃国際でこの奇跡のような演奏が生まれたことが、コンクール好きの私には嬉しい。


前回のエントリーでも書いたが、ピアニスト新時代が来ている気がする。まだまだMIDIやAIには負けて欲しくない。というわけで、ヴォンドラチェクは今後も要注目していきたい。
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