音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
最近聴いている音楽 vol.32〜アサド兄弟・移住者の物語〜
2016-12-17-Sat  CATEGORY: 雑多な話題
アサド兄弟のCDが届いた。


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1通り3周聴いてみて、ヒナステラのみならずアルバム全体としても素晴らしい作品であることがわかった。1曲目のヴィラ=ロボスのブラジル風バッハ第4番前奏曲から静かにそして厳かに名手デュオの饗宴が始まる。この曲はピアノ独奏曲として書かれたもので、私の愛するバルボーザも演奏している(こちらについては稿を改めたい)。素晴らしく叙情的な演奏である。曲とギターの音色が実にマッチしている。


2曲目はピアソラの「トロイロ組曲」。大胆な和声に複雑な展開、しかしながら悲哀やエスプリの利いたユーモアは一切失われることはない。素晴らしい技巧である。「ウィスキー」の中でド忘れしたがジャズのスタンダードが一瞬顔を出す気がする(人間ICレコーダーの家人に聴けばわかるはず)。


そしてお待ちかねのヒナステラピアノソナタ第1番。第1楽章は聴き慣れたピアノの「カツン」という硬めの音色が欲しくなる感じは否めないものの、第2楽章から2人の超絶技巧が全開。ギターのポロンポロンという音の洪水が心地よい。ミステリアスな第3楽章はさしずめギターで弾いたゲンダイオンガクだ。終楽章の素晴らしさは以前書いた通りである。主題の再現のところでは、ピアノの両手を凄まじいリズム感によって巧みにギター2本で弾き分け、怒濤の勢いでフィナーレに突入していく。2人が織りなす音のモアレが素晴らしい。


続いて再びピアソラの続き。ヒナステラとの対比が面白い。


トリを飾るのは、セルジオ・アサドによる組曲「移住者の物語」。アルバムのタイトルにもなっているこの曲はギター二重奏による書き下ろしとのことだが、ピアソラ的な雰囲気を随所に見せつつも、ギターという楽器の特性を知り尽くした弾き手による「ギタリスティック」なフレーズが連発。6本弦×2でこんなにも豊かな音楽表現が出来るのだ。2人で弾いているとはとても思えないほど縦の線がピッタリ合ってるのにも驚愕する。最後の2曲はエグベルト・ジスモンチの「水とワイン」「幼年時代」を編曲したもので、ガラッと作風が分かりやすく変わり、ギターの技巧は頂点に達する。くるくる回る万華鏡のように多種多様な音色が溢れ出る様は圧巻。


私はたまたま日本盤を買ったのだが、解説が南米音楽の第一人者であり、ギター音楽の庇護者の1人である濱田滋郎氏で、曲の裾野が開けるような素晴らしい文章が読める。そんなわけで、このCDを買われる際は是非日本盤をオススメしたい。
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