音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
エリザベート王妃国際ピアノコンクール2007~その1
2007-08-28-Tue  CATEGORY: 音盤紹介
以前、ラフ3の紹介の時にコンクールライヴが好きでよく聴くと書きましたが、中でも演奏の質の良いものが多い(気がする?)エリザベートコンクールに注目しています。4年に1度の今年のコンクールも楽しみにしておりました。


さて、注目の結果ですが、なんと久々に女性ピアニストが優勝しました。1位はAnna Vinnitskaya(アンナ・ヴィニツカヤ)で、僕の記憶が確かなら前回2003年の大会でセミ・ファイナルまで行っています。前回の雪辱を見事優勝で晴らしたというところでしょうか。ちなみに2位も女性で、Plamena Mangovaというピアニストです。


それでは実況ライヴCDのご紹介に移りましょう。これはコンクールの公式ページから注文したもので、3枚組です。今回はその1枚目、コンチェルトが収められたものについて感想を書きたいと思います。






収録曲は1位のヴィニツカヤによるプロコフィエフのピアノ協奏曲第2番、4位のIlya Rashkovsky(イリヤ・ラシュコフスキー)によるラフマニノフのピアノ協奏曲第3番です。4位のコンテスタントのコンチェルトが収録されているのはとても珍しいです。


まず、優勝したヴィニツカヤのプロコ2番ですが、一言で言ってしまうとライヴであることを考えると立派でソツの無い演奏ですが、若干面白みに欠けるかもしれません。第1楽章の出だしから気迫のこもった打鍵が印象的で、長大なカデンツもバリバリ弾いているのですが、音が完全に出ていなかったり細かなミスがあって惜しい。第2楽章も指回りはなかなかですが畳み掛けるような迫力に欠けています。第3・4楽章はイマイチ音楽に乗り切れていないような気がします。どうしても前回優勝したエッカードシュタインの演奏と比べてしまうと辛口になってしまいます(彼の演奏は高い緊張感と勢いに満ちていました)。余談ですが、プロコ2番は前述のエッカードシュタイン、デミジェンコ、レーゼルの演奏が好きです。


続いて注目のラフ3。こちらも全体的に手堅いです。第1楽章出だしはモゴモゴしてるものの、インテンポを保ち、勢いもあります。ただ、タッチが硬めなのか、音楽の表情付けという点では今一歩です。技巧の程度が露わになる中盤の両手交差部分も少したどたどしい。展開部の和音連打はまずまずのテンポ。カデンツァはなかなか迫力がありますが、後半の和音部分でペダルを踏みすぎなのか音がボワァ~と濁ってしまって惜しい。第2楽章の緩徐部分は意外に聴かせます(流石はロシア人、自国ものはお手の物?)。第3楽章の冒頭の同音連打の箇所はかなりのスピードで攻めを見せて好印象。この楽章に関して言えば、前々回のサモシュコよりも完成度は高いかもしれません。


全体として、彼の演奏は水準以上なのですが、キラリと光るテクや音楽性があるわけでもなく堅実に弾き過ぎたのが第4位という結果を生んだような気がします。前回大会第2位だったシェンのサイボーグのごとき高い完成度の演奏や、前々回第1位のサモシュコの渾身の名演に比べると遜色があるのは否めません。


実は、コンクールの公式ページで今年行われた浜松コンクールのように演奏のストリーミング放送を観ることが出来、僕も早速この演奏を見てみました。1位のノヴィツカヤのファイナルは非常に緊張しているのが伝わってくるもので、演奏もCDよりは迫力があるように感じられました(映像付きだから?)。それに対し、ラシュコフスキーの演奏はやはり手堅いの一言で面白みに欠けます(ピアノの音の通りもよくない)。これだけ弾けているのはある程度評価出来ると思うのですが、今年の浜松でもファイナルで3人がラフ3を弾いたように、この難曲に挑みたがるピアニストが増えてきた一方、ただ行儀よく弾いただけでは高く評価出来ませんよ、という審査員の意向も感じます。ちなみに、今回のエリザベートのファイナルでは、4人ものコンテスタントがラフ3を弾いたようです。ストリーミング配信で他のコンテスタントの演奏も観てみようと思います。
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