音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
江藤俊哉のバッハ・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
2007-08-27-Mon  CATEGORY: ヴァイオリンあれこれ
またまたヴァイオリンの盤をご紹介。
今回は日本を代表するヴァイオリニストである江藤俊哉のバッハです。この盤はシュムスキー盤同様に高い評価にもかかわらず現在廃盤が続いており、運良く音源を入手出来たので感想を書きたいと思います。






まず、とにかく音色がズ太いです。これがエトーのボウイングというやつなのでしょうか。非常に卓越した右手の技術を感じます。ちょっと強く弓を押し付け過ぎなのか、時折和音が濁る感じの場面があります。全体的に1枚目(ソナタ第1・2番、パルティータ第1番)の方が良い演奏で、ゆったりとスケール大きく構えた内容。特にソナタ第1番は気に入りました。ソナタ第2番のフーガも良い出来。


パルティータ第2番も全体的にテンポが遅めでじっくり歌っている感じ。緊張感が高く、背筋がピンと伸びるような印象を受けます。シャコンヌは非常に充実した内容で、男性的な力強さのある演奏です。勿論、急速部分や重音部分での乱れもありません。ちなみに演奏時間は16:20で、好みの遅いテンポ。第Ⅱ部冒頭の歌の部分でも極めて高い集中力で弾ききっています。名演です。ソナタ第3番も充実している演奏なのですが、(僕の耳がおかしいのか)ところどころピッチが揺れる場面が散見されて惜しいです。しかし、長大なフーガの高揚感は随一のもの(この曲は長いので大抵飽きてしまうのに、最後までしっかり聴かせます)。録音は全体的に古い印象があるものの(76年録音)、残響も必要最低限で不満はありません。


というわけで、世評の高さを裏切らない名盤でした。少なくとも、先日紹介したシュムスキーよりは個人的に断然好みの演奏です(日本人贔屓?)。日本人ヴァイオリニストのレベルの高さを見せ付けたと言えます。是非とも再発してもらいたいものです。
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木野雅之のバッハ・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
2007-08-25-Sat  CATEGORY: ヴァイオリンあれこれ
またヴァイオリンの盤をご紹介。日本人ヴァイオリニストの木野雅之によるバッハの無伴奏ヴァイオリンです。分売されており、画像はパルティータの方です。






聴いてみましたが、オーソドックスの極みと言える演奏です。派手な身振りや主張の強い解釈などは微塵も無く、ともすれば地味極まりない演奏ですが、むしろその淡々としたバッハが日本的な耽美さを演出しているような気がします(どうも僕は日本人の弾くバッハにシンパシーを感じることが多いです)。テンポの揺れもほとんどなく、1音1音大切に考えて弾いていることが伝わってきます。


パルティータ第1番は女性的な丸みを帯びた音色が印象的。弓圧はきつめなのですが、やや多めの残響のせいか耳にはスッと入ってきます。テンポは速めですが、そっけないという感じはせず、前述したように表現は考え抜かれているという感じ。シャコンヌは14:06で、技巧的にもキレがあってなかなか良い演奏です。ところどころガチガチに弾かれている箇所もありますが、急速部分や重音部分にも安定感があります。パルティータ第3番は一番良い出来。所々メトロノーム的な箇所もありますが、音の運びに余裕が感じられ、それでいて歌心もあります。ソナタ集の方は全体的に硬さが目立つ感じ。というわけで、かなり質の高い全集と言えるでしょう。日本人好みの演奏だと思います。
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オスカー・シュムスキーのバッハ・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
2007-08-25-Sat  CATEGORY: ヴァイオリンあれこれ
このところ集中的にバッハの無伴奏を聴いております。
名盤として誉れ高いシュムスキーの音源を入手したので、今回はその感想を書きたいと思います。






まず、一聴してぎすぎすした音色がかなり耳障り。録音がよくない。それでいてソナタ第1番は出だしから音程が揺れているのが気になります。聴いていて酔ってしまう感じです。ただ気迫というか、テンションの高さは尋常ではなく、息苦しさを覚えるほど。ストレートにバッハに向き合っているという感じ。技術的にもあまり高いとは言えず、重音も美しいとは言えません。前回紹介したチェピツキーの洗練された演奏とは対極にあります。


パルティータ第2番もやはりピッチの不安定さが少々気になります。シャコンヌは15:03で、中庸なテンポ。出だしの和音がちょっとぶっきらぼうで、表情が感じられません。それ以後も粘ったりタメたりするところがほとんどなく、面白みがありません。第Ⅰ部の前半の急速部分も音型が乱れ気味。長調になってからは素朴な語り口がなかなかよいです。ソナタ第3番は一転してシンプルな演奏が映えた良い演奏です。ラルゴもスケールが大きいです。しかし、パルティータ第3番は各楽章間のつながりがイマイチすっと来ないというか、テンポ設定が不自然な気がします。


というわけで、世評の高さからかなり期待して聴いたのですが、残念ながら好みの演奏ではありませんでした。この盤は現在廃盤であり、人気の高さもあって相当入手困難のようです(アマゾンのマーケットプレイスでは23万円を超える値が付いているのですが、一体どうなっているのでしょうか?)何度か聴いているうちにその良さが理解できるのかもしれません。もう少し聴いてみなければ。
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レオシュ・チェピツキーのバッハ・無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
2007-08-13-Mon  CATEGORY: ヴァイオリンあれこれ
久々にヴァイオリンのCDをご紹介。
ヴァイオリニストはチェコ出身のレオシュ・チェピツキー。録音は2001~2002年です。






聴いてみましたが、極めて丁寧で好感の持てる演奏です。解釈は奇をてらったところなく、ストレートかつ暗さを前面に出さない健康的な内容。テンポは遅めで(僕好みに)じっくりと歌っており、伸びやかな音色がとにかく綺麗。無造作で汚い音は絶対に出さない感じ。中~高音域がバランスよく出ていて、ヴァイオリンの音色の美しさが堪能出来ます。録音も音の密度が濃く、優秀録音と言ってよいでしょう。ヴォリュームを大きく上げても‘粗’が目立つことがありません。ただ、残響が多め&長めで主音に被っているのが気になり、この点が惜しいです(個人的な好みとしてはもっとデッドで生々しい方がいい)。


曲集の中心となるパルティータ第2番は本当に丁寧に弾かれており、表情が付いていない音は一音たりとも無いと言ってもよいくらいなのですが、時折現れるふと立ち止まるようなアゴーギクが僕の好みに合わず少々残念です。シャコンヌは読みの深さを感じる練られたアーティキュレーションが秀逸なのですが、少し凝り過ぎという感がアリ(ちなみに演奏タイムは(16:34で好みの遅いテンポ)。あと、もう少し劇的な表現が欲しい気もします(おそらくそれを意図的に避けているのでしょうけれど)。技術面では、重音フレーズにおける安定性、急速部でのスピード感なども特筆もので、ポテンシャルの高さを感じます。特に、第Ⅱ部後半が素晴らしい。手持ちでベストの演奏とまでは言いませんが、久保田(新盤)、バラティに次ぐ位置を占めそうです。


彼特有の丁寧さが良い方向に働いているのがソナタ第1・3番、パルティータ第3番です。ソナタ3番は出だしのアダージョが粘っこい歌いっぷりと非常にマッチしており、好演。パルティータ3番の方はこの盤で一番良い出来で、前奏曲の冒頭から紡がれる壮麗な音色に浸ってしまいます。ガヴォットはそれほどノリが良いという感じはしませんが、やはり音色の美しさが魅力的。この曲は手持ちでもベストを争う演奏でしょう。


全体として、解釈・演奏・録音ともに極めて完成度の高い演奏と言えそうです。細かい好みの点で惜しい部分もありましたが、手持ちの盤の中でも群を抜いて素晴らしい全集だと思います。
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スザーネ・ラウテンバッハーのバッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ全曲
2007-06-26-Tue  CATEGORY: ヴァイオリンあれこれ
このところ、バッハの無伴奏ソナタとパルティータを集中的に聴いております。最近聴いたものの中ではジェラール・プーレ、久保田巧、フロリン・パウル、クリストフ・バラティ、ララ・セント・ジョンなどが印象に残っています(挙げたものは必ずしも全集録音ではありません)。

さて、このラウテンバッハー(ラウテンバッヒャー)のCDは、いつもお世話になっているクラシック系サイトの大御所「極私的百科全書」のジュスマルダホスさんにお薦め頂いたものです。


ラウテン



薦められてからどうしても入手したくなり、海外の販売元にメールしたところ、「来週から日本の大手販売店で正規CD版として販売される」と恐ろしくタイミングの良い返事が来て、驚喜したのでした(それまではCDR盤が売られていたそうです)。


大きな期待を持って聴いたわけですが、印象はその80%というところ。予想通りゆったりとしたテンポで切々と歌い上げています。解釈も正統的で奇をてらったところがまったくなく、ただただひたむきにバッハを奏でているといった感じでしょうか。ソナタ第1番など、重音の美しさ、自然なアゴーギク、格調高い歌いっぷりに強く惹かれます。ヴァイオリンの音色も中域が渋めに響いていて、録音がやや古いせいか高音がちょっとヒステリックに聴こえる箇所もありますが、まずまずです(ただ、編集に難があるのか、所々音が途切れるように感じる箇所があります)。


実は僕の興味のほとんどはシャコンヌにあるわけなんですが、この曲の演奏はかなり素晴らしい部類に入るのではないかと思います。特に解釈が素晴らしく、これまで聴いた演奏者の中ではもっとも自然にバッハの音楽の「呼吸」が感じられる演奏です。僕好みにテンポがやや遅め(15:19)で、躍動感よりは澱みのない旋律の流れを重視したものになっています。第Ⅱ部冒頭の語り口の美しさは比類がなく、円熟の極みと言えましょう。女流ヴァイオリニストらしいほのかな暖かみや慈しみを感じる瞬間が多々あります。

ただ、技巧的なキレでは上に挙げた他盤に比べるといまひとつの点があって、例えば第Ⅰ部のクライマックスの急速なアルペジオ部分は(ブゾーニ編によるピアノ版のような分散和音になっていますが)、勢いや精度の点でちょっと物足りない感じがします。ちなみにシャコンヌに限って言えば、僕が今のところ一番のお気に入りなのは久保田巧盤(新録音の方)で、これは演奏・録音ともにかなり僕の理想に近いです。今回のラウテンバッハーの演奏も、路線としてはそれに近いのですが、技術的な面と録音の古さが多少気になります。


そんなわけで、十数種ある手持ちの盤の中でベスト1の一枚とはなりませんでしたが、それでも稀有な演奏には間違いなく、格調高く真正面から切々と歌ったバッハがお好きな方には強力に推薦出来るCDです。ソナタとパルティータ全曲入って2000円を切る値段も魅力。
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