音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番op.30聴き比べ~評価一覧編改訂版(2017/3/22)~
2017-03-22-Wed  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
アムラン盤を追加(3/22)
ブニアティシヴィリ盤を追加(3/20)
ソコロフ盤(DG)を追加(3/18)
エレシュコ盤(Ponkin,LP)を追加(2/6) 
ヴォンドラチェク盤を追加(1/22)
評価一覧が随分古くなったので改訂しました(2017/1/10)




私が持っている音源の数では最も多いラフマニノフのピアノ協奏曲第3番について、所有している録音を挙げて簡単にレビューしてみます。

とりあえず4つ星を最高として自分のお気に入りを書きましたが、ピアニストのランク付けや優劣では勿論ありません。テンポが速いか遅いかなどの客観的な感想部分を読んで、お好みの録音探しの参考にして頂ければ幸いです。評価・ピアニスト/指揮者/オケ(録音年・第一楽章のカデンツァの種類)の順です。メモが面倒臭くて書いてないものもあります。オケの名称表記は適当です。


時と場合によって評価を突然変えることがありますので予めご了承ください(聴き直す度に変えるかも)。また、評価が下に行くほど&レビューが短いほどあまり聴き込んでいない盤ですので、それほどあてにされませんようお願いします。

評価未記入盤:ラ・サール

レビュー未記入盤:ラ・サール、ラフマニノフ、アニエヴァス、コスタ、キム・ヒョスン、シグフリッドソン、ケルダー、ラシュコフスキー、舘野泉、ホロヴィッツ(&メータ)、クリダ、ジェッター、マッサ、オルティス


予め私の好みの演奏や聴く上でのポイントを書いておくと、

第1楽章:演奏時間が16分台前半以下(ossia)で速めのテンポであること
①展開部前の難所である両手交差部分のクリアさ
②展開部の和音連打のスピードと迫力
③カデンツァは断然ossiaが好みで後半の和音部分での劇的さ
④再現部前の抒情性(ここは意外にセンスが出る)

第2楽章:音色が豊かで抒情的であること
⑤ピアノが入ってきてすぐの緩徐部分の歌い方
⑥中盤以降の細かい急速音型のクリアさ
⑦アタッカで最終楽章に突入するときのオケとの一体感と迫力

第3楽章:演奏時間が13分台前半以下で速めのテンポであること
⑧冒頭の同音連打のスピードと粒の揃い
⑨後半部分の急速部分のクリアさ(重音上がりのossiaでなくても可)
⑩エンディングの下降音型がノーマルな2拍3連であること

さらに全体を通しては、

⑪カットが無いこと
⑫多少のミスや会場ノイズがあってもライヴの熱気や観客の高揚感を重視

となります。特に重視しているのが②③⑤⑦⑧⑫です。

以下の評価では、4つ星の盤のみ気に入っている順に並べています(3つ星以下の評価は順不同です)。

現在147種(2017/3/22)

☆☆☆☆☆ヴォンドラチェク/Marin Alsop/National Orchestra of Belgium/ossia/Live
☆☆☆☆ サモシュコ/Soustrot/Orchestre National de Belgique/99年/ossia/Live
☆☆☆☆ ブロンフマン/ラトル/BPO/09年/Live/Blu-ray ※DVDは買ってはいけない
☆☆☆☆ ヴォロドス/レヴァイン/ベルリン・フィル/99年/ossia/Live/SACD ※CDはやや評価が落ちる
☆☆☆☆ ハフ/リットン/ダラス響/04年/original/Live
☆☆☆☆ 横山幸雄/小泉和裕/東京都交響楽団/12年/Live/Hybrid SACD
☆☆☆☆ ガヴリーロフ/ラザレフ/モスクワ・フィル/76年/ossia/LP
☆☆☆☆ ロドリゲス/P.A.MacRae/Lake Forest Symphony/94年/Live
☆☆☆☆ プラッツ/バティス/メキシコシティ・フィルハーモニック/89年/ossia
☆☆☆☆ カツァリス/ R.Defssez/Orchestre National de Belgiue /72年/ossia/Live/CD ※LPは☆☆☆
☆☆☆☆ アンスネス(旧)//オスロ・フィル/95年/ossia/Live
☆☆☆☆ アルゲリッチ/シャイー/コンセルトヘボウ/82年/Live
☆☆☆☆ ブニアティシヴィリ/P.ヤルヴィ/チェコ・フィル/16年/ossia
☆☆☆☆ アンスネス(再)/パッパーノ/BPO
☆☆☆  エレシュコ/ポンキン/レニングラードフィル/83年/ossia/LP
☆☆☆  ドノホー/フェドセーエフ/Moscow Radio Symphony Orchestra/82年/ossia/Live/LP&DVD
☆☆☆  ボレット/フィッシャー/ロンドンフィル/82年/original
☆☆☆  アムラン/ユロフスキ/ロンドンフィル/16年/original
☆☆☆  オールソン/
☆☆☆  ラシュコフスキー/2007年エリザベート王妃国際ピアノコンクールLive/ossia
☆☆☆  シェリー/original
☆☆☆  ペナリオ/サスキンド/フィルハーモニア管弦楽団/61年
☆☆☆  ワイルド/ホーレンシュタイン/original
☆☆☆  モーク/ミルトン/ラインラント=プファルツ州立フィル/original/11年
☆☆☆  アルフィディ/R.Defssez/Orchestre National de Belgiue/72年/ossia/Live/LP
☆☆☆  清水和音/アシュケナージ/2007年/ossia
☆☆☆  及川浩治/広上純一/新日本フィル/05年/ossia
☆☆☆  レーゼル/ザンデルリンク/78年/ossia
☆☆☆  カツァリス/Neumann//78年/ossia
☆☆☆  ジャニス/ドラティ/ロンドン・フィル/61年
☆☆☆  スコウマル/スワロフスキー/プラハ室内交響楽団/2002年/original
☆☆☆  ブロンフマン/サロネン/ossia
☆☆☆  グレムザー/ヴィット/ossia/
☆☆☆  ソコロフ/ossia/Live ※海賊盤的音質
☆☆☆  サモシュコ(再)/ossia/Live/DVD
☆☆☆  トルプチェスキ/
☆☆☆  ガヴリーロフ/ムーティ/フィラデルフィア・フィル・86年/ossia
☆☆☆  アシュケナージ/フィストゥラーリ//63年/
☆☆☆  ルガンスキー/オラモ/03年/orginal
☆☆☆  ギレリス/コンドラシン/USSR state orchestra/49年/Live
☆☆☆  スグロス/シモノフ/ベルリン・フィル/84年/ossia
☆☆☆  クライバーン/コンドラシン/モスクワ・フィル/58年/ossia/Live
☆☆☆  ベルマン/アバド/ロンドン・フィル・76年/ossia
☆☆☆  スルヤディ/Miguel Gomez Martinez/ロンドンフィル/
☆☆☆  フェルツマン/メータ/イスラエル・フィル/88年
☆☆☆  リシッツァ/
☆☆☆  Y.ワン/ドゥダメル/シモン・ボリバル響/original/
☆☆☆  小山美稚恵/フェドセーエフ/
☆☆☆  及川浩治/広上淳一/新日本フィル/2008年/Live
☆☆☆  コミナティ/96年シドニー国際ピアノコンクール/Live
☆☆☆  L .ラン/テミルカーノフ/サンクトペテルブルグ・フィル/01年/ossia/Live
☆☆☆  ホロヴィッツ/ライナー/ /Live
☆☆☆  フェルツマン/プレトニョフ/ロシア・ナショナル管/original/92年
☆☆☆  マツーエフ/サッカーニ/ブダペストフィル/ossia/Live
☆☆☆  マツーエフ/ゲルギエフ/マリインスキー劇場管/ossia/09年
☆☆☆  ニコルスキー/ossia/Live
☆☆☆  ライヴリー/
☆☆☆  J.ナカマツ/シーマン/ロチェスター・フィル/ 00年
☆☆☆  ピサロ/ossia
☆☆☆  クレショフ/ヤブロンスキ/The Russian State Orchestra/original/01年
☆☆☆  ルディ/ヤンソンス/サンクトペテルブルクフィル/original/92年
☆☆☆  アシュケナージ/プレヴィン/LSO・70&71年/ossia
☆☆☆  ベレゾフスキー(旧)/ossia
☆☆☆  若林顕//Orchestre National de Belgiue/Live
☆☆☆  クライバーン/コンドラシン/Symphony of the Air/58年/ossia/Live
☆☆☆  ボレット/Charele Webb/インディアナ州立大学オーケストラ/69年/Live
☆☆☆  グレムザー(旧)/Maksymiuk/92年/ossia
☆☆☆  ヴァーシャーリ/77年/ossia
☆☆☆  マッサ/ossia
☆☆☆  ラプラント/
☆☆☆  ギルトブルク/12年/Live
☆☆☆  オルティス/mixed version cadenza
☆☆☆  グティエレス/マゼール/ピッツバーグ交響楽団/91年
☆☆☆  キーシン/小澤/ボストン交響楽団//ossia/Live
☆☆☆  K.パイク/
☆☆☆  クライバーン/コンドラシン/モスクワ・フィル/58年/ossia/LP ※DVDで発売(音はLPの方が良い)
☆☆☆  モギレフスキー/コンドラシン/Symphony of the air・64年/ossia
☆☆☆  ホロヴィッツ/バルビローリ/ニューヨークフィル・41年//Live
☆☆☆  シチェルバコフ/SACD
☆☆☆  ワイセンベルク/プレートル/シカゴ交響楽団/68年
☆☆☆  ティボーデ/アシュケナージ/クリーヴランド・オーケストラ/94年/ossia
☆☆☆  ゲルナー/シナイスキ/BBCフィル/02年/Live
☆☆☆  ベレゾフスキー/リス/Orchestre Philharmonique de l’Oural/ossia
☆☆☆  モギレフスキー/Sternefeld/Symphony Orchestra of the RTB/64年/ossia/Live
☆☆☆  ラシュコフスキー/ヴァルガ/ベルギー国立管弦楽団/07年/ossia/Live
☆☆☆  エレスコ/プロヴァトフ/USSR響/84年/ossia
☆☆☆  ベルマン/バーンスタイン/NY・フィル/ossia/Live
☆☆☆  シェパード/プリチャード/ロンドン・フィル/76年/ossia/LP
☆☆☆  ジャルドン/
☆☆☆  マルシェフ/
☆☆☆  ジョン・チェン/
☆☆☆  小川典子/
☆☆   ソコロフ/Yan Pascal Tortelier/BBCフィル/95年/ossia/Live ※音がおかしい
☆☆   イェゴン/
☆☆   ビレット/
☆☆   クリダ/78年/original
☆☆   ロドリゲス/
☆☆   オールソン/Caracciolo/RAI di Milano/64年/original/Live
☆☆   シグフリッドソン/
☆☆   ギレリス/アーノンクール/Live
☆☆   コスタ/
☆☆   舘野泉/
☆☆   Ukhanov/チヴジェリ/シドニー交響楽団/original/Live
☆☆   シェン/ヴァルガ/Orchestre National de Belgiue/03年/ossia/Live
☆☆   アシュケナージ(4)/ハイティンク/ossia
☆☆   ピサレフ/フリードマン/98年
☆☆   ワイセンベルク/バーンスタイン/79年/
☆☆   園田高弘/original/67年
☆☆   グティエレス/ロジェストヴェンスキ/Moscow Radio Symphony Orchestra/70年/Live/LP
☆☆   ジャニス/ミュンシュ/ボストン交響楽団/57年
☆☆   ヴィノグレード/パーマー/98年/original/Live
☆☆   コラール/プラッソン/77年/
☆☆   バルト/エッシェンバッハ/ロンドン・フィル/ossia
☆☆   ラローチャ/プレヴィン/ロンドン交響楽団/
☆☆   リル/尾高忠明/ ossia
☆☆   アニエヴァス/
☆☆   ケルダー/
☆☆   キム・ヒョスン/
☆☆   サイモン/
☆☆   ジェッター/ossia
☆☆   ワッツ/小澤/ニューヨーク・フィル/69年/mixed version cadenza
☆☆   ラフマニノフ/
☆☆   ルガンスキー(旧)//95年/
☆☆   ジルベルシュテイン/アバド/
☆☆   アシュケナージ/オーマンディ/75年
☆☆   中村紘子/スヴェトラーノフ/
☆☆   コチシュ/デ・ワールト/
☆☆   プレトニョフ/ロストロポーヴィチ/ossia
☆☆   Ts’vereli/Kakhidze/Tbilisi Symphony Orchestra//ossia
☆☆   ポコルナ/ピンカス/ブルノ国立フィル/76年/ LP ※CD化された
☆☆   チェルカスキー(新)/テミルカーノフ/94年/
☆☆   ペトゥコフ/シモノフ/モスクワ・フィル/ossia
☆☆   カペル/マクミラン/トロント・シンフォニー48年/
☆☆   バッカウアー/不明/original/LP ※CD化された模様?
☆     メルジャーノフ/
☆     ホロヴィッツ/メータ/DVD
☆     ホロヴィッツ/オーマンディ/Live
☆     Orlovetsky/Titov/
☆     マルクジンスキ/クレツキ/フィルハーモニア49年/
☆     チェルカスキー(旧)/
☆     K.Leimer/Zsolt Deaky/Nurnberger Symphoniker/?/LP
☆     リンパニー/コリンズ/ニュー・シンフォニー/52年/
☆     ホロヴィッツ/コウセヴィツキー/41年/Live
☆     ポストニコワ/ロジェストベンスキ/91年/ossia/Live
☆     ホロヴィッツ/コーツ/30年/ Live
☆     ヘルフゴッド/Horvat/コペンハーゲン・フィル/95年/ossia/Live
☆     ギーゼキング/メンゲルベルク/コンセルトヘボウ/40年/ossia/Live


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HamelinのMedtnerとRachmaninov
2017-03-22-Wed  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
どんじりに控えしはマルク=アンドレ・アムランのラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番である(実は今回の3人の中で最初に聴いたのはアムランだったのだけれど)。


アムランのラフ3は10年以上前のエアチェックを持っている。そこでの演奏は何度か書いているように「飄々としているが薄味でミスが多くあまり感興をそそられない」ものであった。何より、カデンツァがoriginalなのがちょっと残念だった(ハフのようにブッ飛んだスピードで突っ走ってくれれば別だが)。指揮はウラディミール・ユロフスキ、オケはロンドンフィルハーモニック。恒例の演奏タイムによる先入観、17:24/11:06/14:39となっており、この分だとカデンツァはossia、第3楽章は残念ながらかなり遅めの演奏が予想出来た。


第1楽章、出だしの主題はノロい。住宅街の細い路地を車で慎重に運転しているかのようでかったるい。その後はスピードを上げ、細かな音が実にクリアで打鍵に余裕を感じる。ところが緩徐部分になると、主題同様とにかく遅い。ネット黎明期のダイアルアップ接続で画像を読み込んでるかのようだ。両手交差部分は実に鮮やか。展開部はまずまず標準的な速さ(少し残念)。お待ちかねのカデンツァはなんとoriginal。。。これにはガッカリ、この演奏時間でそりゃないぜアムラン。17分を大きく超えているのにoriginalとは、、フィギュアスケートで言えば4回転ジャンプ失敗くらいのショックだ。冒頭の主題が戻ってくるとやはりテンポを大きく落とす。腰の重さは否めない。第2楽章、歌う部分は良い。時々奇をてらった解釈を見せるアムランだが、ここではスタンダードな解釈で重厚に弾き上げる。後半の細かい音が連続する部分はアムランらしいキレがある。第3楽章、出だしは思ったよりは速い。だが8割の力でサラリと弾いている印象を受ける(これが彼の芸風だろう)。ただ、ドキッとするほどではないが、フレーズとフレーズの間に微妙な間があるのが気になる(kyushimaさんもアムランのショパンのソナタ第2番旧盤のレビューで同じように書かれている。曲が完全に手の内に入っていないということなのだろうか・・・ちなみにこれは併録のメトネルの方でも感じる)。和音の響きは深々としていて、それでいてエンディング前の強打する部分でもクリアで音に充実感がある。


全体として、カデンツァの違いもそうだが私の好みから外れるテンポが多く、完成度は高いものの個人的にはちょっとガッカリな演奏であったが、「最近のアムランからすると・・・」という予期がなかったと言えば嘘になる。けれども、このCDには特筆すべき点が一つある。それは驚異的に音が良いということだ。私が聴いたこの曲の録音の中で、記憶に有る限り最上の音質である。明晰で美しいピアノの音色、オケとの距離、バランス、残響。ほとんど完璧に近い。スピーカーで鳴らすとやや残響が強めにピアノに被ってくる感じがあるのが惜しいが、イヤホンでは文句の付けようがない。ただし、オケが象さん的なパオーンとわななく感じがあるのと、アムランの音色にあまり変化が見られないのとでモノクロームな印象はある。また、全体的に重心の低い音質である。よって、音質共々演奏を総合的に勘案すると3つ星☆☆☆ということになるかと思う。アムランに多くを期待するピアノファンからすると物足りないことこの上ないが、これが歳を重ねて辿り着いた彼の芸風なのだろう。


さて、併録のメトネルのピアノ協奏曲第2番。こちらはアムランが日本初演ということだが、私は聴き逃しているので楽しみにしていた。こちらはラフ3よりもずっと良い演奏に感じられる(とは言っても、デミジェンコ、シチェルバコフ盤くらいしか持っていないのだが・・・オススメがあったら教えて下さい)。デミジェンコが激甚なフォルテを聴かせるカデンツァの迫力にはかなわないが、このアムラン盤は前述した超非現実的なまでに完璧な録音に乗せて、どこまでも明晰かつ端正に弾き抜いている。やや踏み込みが足りないようにも感じるが、曲の美しさがある意味冷静に伝わってくるとも言える。デミジェンコ盤と相補的にスタンダードとなりうる名演だ。



というわけで、ラフ3には過度な期待はされずに、メトネルの2番を目当てに買われるくらいの気持ちで聴いて頂けるとよいかと思う。


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続いてカティア・ブニアティシヴィリのラフマニノフのピアノ協奏曲第2・3番。指揮はパーヴォ・ヤルヴィ、チェコ・フィルハーモニック。



実は以前NHK(FMだったかも)で放送された彼女のラフ3を聴き逃しており、残念に思っていたので、この録音の発売は大変嬉しい。さて、演奏時間は16:08/9:36/13:06とのことで、いつも通り彼女の他盤から想像するに演奏の様子は大体予想出来たが、実際聴いてみると期待以上の出来であった。


第1楽章出だしは快速。キビキビと進む。また、ペトリューシュカで聴かれたような彼女らしいテンポの揺らしが見られるもののコンチェルトということもあって余裕で許容範囲。タッチは弱音で抑制が利いた感じ。両手交差は鮮やかで飛び跳ねるようなスタカートが目に浮かぶよう。展開部の和音連打もテンポを落とさず突っ走り、激情的。音の線が細めなのが少々気になるか。カデンツァは演奏時間から察した通りossia。これがまた良い。衝撃のデビュー盤リスト集で見せたシリアスさとキレのある技巧が相まって、後半の和音部分でクライマックスを迎える。後半に続くカデンツァはややモタレ気味かも。第2楽章、例の歌の部分は派手さはないがしみじみと歌っており好印象。その後もやや速めのテンポながら、ジャケ写真のような雨に濡れそぼった叙情を時折見せつつサクサク進む。後半の細かい音の部分は流石の鮮やかさ。お待ちかねの第3楽章、期待通り同音連打は非常に速いテンポで細部まで音が明晰。その勢いは衰えず、疾走する。息子ヤルヴィはオケを遅めに歌わせたいようだが(別にズレているわけではなく、なんとなくの印象)、意外にも彼女は走るだけでなく寄り添うような姿勢を見せ、ロマンティックな雰囲気を醸し出している。最後の方はアルゲリッチ的な爆発を望んでしまうが、比較的優等生な表情のまま終わる(それでも普通からすると十分派手だけど)。録音は毎度お馴染みピアノが近く、オケが遠く、深くて長ーい残響をまとったSONYな音質。そのせいか、やたらとオケが地味。


全体としては、彼女のオテンバなところがセーブされており、端正な印象さえ感じるところもある。テクニックの高さは予想通りで、文句の付けようがない。ただ、やはり彼女のポテンシャルを考えると、熱狂するようなライヴ演奏を期待してしまう。けれども、この質の高い演奏には4つ星☆☆☆☆を付けたい(ただし、4つの中では下の方かな・・・)。


さて、いつもならここで終わりだが、今回はラフマニノフの2番の方の感想も少し書いておく。これが素晴らしい演奏!ラプソディックな曲想と彼女の奔放な??キャラクターがマッチしており、他のピアニストがテンポを落とす箇所でもズイズイ駆け抜けるので爽快なことこの上ない。活きの良い、ピチピチしたタッチで攻めまくりの急速部分は鮮やかの一言である。


というわけで、3番も完成度の高い演奏だが、2番の方は手持ちの盤の中でも俄然ベスト3に食い込んできた感じで、1枚のアルバムとしてオススメである。

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SokolovのMozart Rachmaninov Concertos
2017-03-17-Fri  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
随分間が空いてしまった。



年度末で忙しいのと、村上春樹を読んでいたせいだ。私は本を読むのがとても速いのだが(家人には「読み飛ばしている」とよく言われる。実際あまり頭に入っていない)、今回は珍しくじっくり味わうように読んだ。


そしてここにようやく、皆さんお待ちかね??の大物ピアニスト3人のラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番の感想三連発をお届けする。実はHMVで注文したら、アムランの発売が1日延びたせいで配達が遅れ、到着したのはつい一昨日である。まずはソコロフのラフ3から。1995年7月27日録音で、随分と前の演奏である。指揮はYan Pascal Tortelier、オケはBBCフィル、ライヴ録音。


再生し始めてまず気になるのがホールのザワザワしたノイズ。これからコンサートが始まるかと思うと胸が高鳴る。音密度というか、解像度は高そうである。以前の録音と同様、出だしはノッソリ始まるが、その後すぐの細かい音型からは人が変わったかのように走り出す。かなりの快速テンポ。タッチが力強い。両手交差部分は相変わらず巧みで、展開部の和音連打は相当なスピードでやや音が荒れ気味なものの、迫力十分。カデンツァは言うことなし。深々とした重低音の響かせ方など、この辺りはロシア正統派という感じ(何でも無さそうなところでちょっとミスっているが)。第2楽章も実に手慣れていて素晴らしい。最近は横山盤やヴォンドラチェク盤など名演揃いだったのでどうかなと思っていたが、負けていない。というか、それらのどれとも違う。奏でられている音楽に余裕があるというか、懐が深い感じ。単に水平方向に濃ゆいだけでなく、垂直方向にも深い説得力を感じる。終楽章、出だしが速い!彼としてはミスが多めながら、同音連打の攻めっぷりが爽快。例の重音上がりの部分は以前の盤ではモゴモゴとしていて気付かなかったが、明らかに他盤と違うソコロフヴァージョンとでも呼ぶべきフレーズを弾いている。口で言うのは難しいが、重音ではなく左手で対旋律を加える感じで、華やかかつセンスの良さを感じる。この楽章はテンポが速めなこともあって、第1楽章と比べると結構ミスは増えてきている。曲の終わりの箇所は前半を8分音符で下降して途中で2拍3連に戻す以前と同様のもの。演奏時間は17:28/11:29/15:01で、ライヴのため終楽章は14分半ほどで終わる。前回の海賊盤??らしきCDでは第1楽章が18分を大きく超えていたので、テンポが速い方が好きな私には嬉しい違いである。ちなみに、オケの出来はイマイチ。ところどころでピッチが外れているのが残念。


トータルとしては前録音を優に超え、十分に4つ星を付けられる素晴らしい演奏なのだが、実はこのCD、私にとっては見過ごせない重大な欠陥がある



音が変なのだ。



音がごくわずかにズレてダブリングして聴こえる。最初はピアノだけかと思ったが、部分的にオケもおかしい。エレキギターを弾く人には、エフェクターで『コーラス』をかけた時のような音と言えば分かって頂けると思う。私はこのコーラスをかけた楽器の音色が大嫌いで、コーラスがビンビンにかかったギターサウンドのフュージョンがジャンルごと嫌いになるくらい苦手なのだ。はっきり言って気持ち悪くて船酔いしそうである。イヤホンでは1回通して聴くのがやっとだ。スピーカーで鳴らすとイヤホンよりはマシだが、第2楽章の緩徐部分などはとても聴いていられない。今のところネットを検索してみても「音が変」と書いているレビュワーはいない。私の耳がおかしいのだろうか?


CDケースの裏面左下には小さく「Live radio recordings by ORF and BBC」と書かれている。私の持つディスコグラフィー情報によると、どうやらこの録音は海外のエアチェックとしてラジオ放送されたもののようだ。おそらくその権利をDGがBBCから買ったのだと考えられる。


兎も角、こんな変な音のするピアノをソコロフが弾いていて気が付かないわけはないので、明らかに録音上あるいは編集上の瑕疵だろう。天下のDGがこのような音質のCDを出すということが驚きである。はっきり言ってしまえば、不良品として回収されて然るべきCDだ。これをお読みの関係者の方には、名演を台無しにしているこの音質について説明して頂きたいものである。総合評価としては怒りを込めて2つ星☆☆としたい。というわけで、私のように音に神経質な方は、購入される前に店頭でじっくり試聴するなりして、よく検討したほうがよいと思われる。




(頭に来てモーツァルトの方は聴いていない)

※後日談

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最近聴いている音楽 vol.49〜ヴィクトル・エレシュコのラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番未CD化LP〜
2017-02-06-Mon  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
ずっと探していた盤をアッサリ見つけた。





ヴィクトル・エレシュコ(Victor Eresko、エレスコとも)によるラフ3である。プロヴァトフ指揮とのラフ3はレーベルを替えて何度も再発されているが、ウラディミール・ポンキン(Ponkin)指揮レニングラード・フィルのこのMelodiya盤は未だにCD化されていない(なぜかパガニーニ狂詩曲の方のみポンキン指揮でCDになっている)。


私の持っているラフ3ディスコグラフィーでこのエレシュコ=ポンキン盤の存在は知っており(しかもどうやらプロヴァトフ盤よりも良いらしいということも)、どうしても入手したかったのだが、10数年前はebayで見かけることがなかった。最近のラフ3熱の高まりからポンキンとのこの盤を思い出し、ebayを探したらいつの間にか余るほど売っていたというわけだ。


さてその演奏だが、期待に違わず素晴らしい。演奏時間で比較してもらえればわかる。プロヴァトフ盤が17:20/10:54/15:25、このポンキン盤が16:45/10:36/14:32だから、プロヴァトフ盤の特濃ソースぶりからかなりテンポupしており、私の好みに近付いている。ちなみに録音年はどうやらプロヴァトフ盤が1984年、ポンキン盤が1983年のようである。


第1楽章は快活に始まる。両手交差はややぎこちない(この盤でのあまり多くない弱点か)。展開部の和音連打はスピードはまずまずだがタッチの迫力が凄い。カデンツァはossiaで、完全に手慣れた印象で音の鳴り切り方が凄まじい。特に後半の和音部分はロシア的な味付けの濃さではおそらく手持ちでベストを争う語り口(鋭く何度も噛み締めるような感じ)。第2楽章の緩徐部分は以前書いたプロヴァトフ盤では「胸に迫ってくるものがない」と書いたが、この盤は実にしみじみとした良さがある。プロ盤も今聴き直せば印象が変わっているかもしれないが、もう棚を漁る気力がない。第3楽章はかったるかったプロ盤と違って1分以上も速いので聴く前から期待していたが、それでもやはり14分台は私には遅すぎる(笑)丁寧に弾いているという以上に良いところがあまりない。後半のテンポを落として歌うところは非常に美しい。


さらにオケが極めて良い!1983年と言えば、ムラヴィンスキーがレニングラードPOと伝説のショスタコ8番を録音した翌年にあたる。この演奏からも、レニングラード・フィルがムラヴィンスキーに相当鍛えられていたということが推察される。音質だが、1983年という時代を考えると少し録音が古い気がする(今はLPからレコーダーに落としたものを聴いているので余計そう感じる)。どこかピアノとオケが遠くの方でマイルドに融け合うような音のところがあって、まあコンサート風ではある。


というわけで、第1・2楽章は間違いなくプロヴァトフ盤CDよりも素晴らしく、第3楽章もまずまず良くなっているので、是非こちらの盤もCD化して欲しいところ。3つ星☆☆☆の上位に来そうな感じ。
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