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The melody at night, with you

音楽好きの世迷い言

ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番op.30聴き比べ~評価一覧編改訂版(2020/4/10)~

アブドゥライモフ盤を追加(2020/4/10)
トリフォノフ盤を追加(12/8)
フレイレ盤、ヘイキョン盤を追加(2/3)
スドビン盤、ギルトブルク新盤を追加(1/28)
ラ・サール盤、ヴィニツカヤ盤を追加(1/26)
コルスティック盤、アイモンチェ盤を追加(2019/1/12)
アムラン盤を追加(3/22)
ブニアティシヴィリ盤を追加(3/20)
ソコロフ盤(DG)を追加(3/18)
エレシュコ盤(Ponkin,LP)を追加(2/6) 
ヴォンドラチェク盤を追加(1/22)
評価一覧が随分古くなったので改訂しました(2017/1/10)




私が持っている音源の数では最も多いラフマニノフのピアノ協奏曲第3番について、所有している録音を挙げて簡単にレビューしてみます。

とりあえず4つ星を最高として自分のお気に入りを書きましたが、ピアニストのランク付けや優劣では勿論ありません。テンポが速いか遅いかなどの客観的な感想部分を読んで、お好みの録音探しの参考にして頂ければ幸いです。評価・ピアニスト/指揮者/オケ(録音年・第一楽章のカデンツァの種類)の順です。メモが面倒臭くて書いてないものもあります。オケの名称表記は適当です。


時と場合によって評価を突然変えることがありますので予めご了承ください(聴き直す度に変えるかも)。また、評価が下に行くほど&レビューが短いほどあまり聴き込んでいない盤ですので、それほどあてにされませんようお願いします。

レビュー未記入盤:ラフマニノフ、アニエヴァス、コスタ、キム・ヒョスン、シグフリッドソン、ケルダー、ラシュコフスキー、舘野泉、ホロヴィッツ(&メータ)、クリダ、ジェッター、マッサ、オルティス


予め私の好みの演奏や聴く上でのポイントを書いておくと、

第1楽章:演奏時間が16分台前半以下(ossia)で速めのテンポであること
①展開部前の難所である両手交差部分のクリアさ
②展開部の和音連打のスピードと迫力
③カデンツァは断然ossiaが好みで後半の和音部分での劇的さ
④再現部前の抒情性(ここは意外にセンスが出る)

第2楽章:音色が豊かで抒情的であること
⑤ピアノが入ってきてすぐの緩徐部分の歌い方
⑥中盤以降の細かい急速音型のクリアさ
⑦アタッカで最終楽章に突入するときのオケとの一体感と迫力

第3楽章:演奏時間が13分台前半以下で速めのテンポであること
⑧冒頭の同音連打のスピードと粒の揃い
⑨後半部分の急速部分のクリアさ(重音上がりのossiaでなくても可)
⑩エンディングの下降音型がノーマルな2拍3連であること

さらに全体を通しては、

⑪カットが無いこと
⑫多少のミスや会場ノイズがあってもライヴの熱気や観客の高揚感を重視

となります。特に重視しているのが②③⑤⑦⑧⑫です。

以下の評価では、4つ星の盤のみ気に入っている順に並べています(3つ星以下の評価は順不同です)。

現在157種(2020/4/10)

☆☆☆☆☆ヴォンドラチェク/Marin Alsop/National Orchestra of Belgium/2016年/ossia/Live
☆☆☆☆ サモシュコ/Soustrot/Orchestre National de Belgique/1999年/ossia/Live
☆☆☆☆ ブロンフマン/ラトル/BPO/2009年/Live/Blu-ray ※DVDは買ってはいけない
☆☆☆☆ ヴォロドス/レヴァイン/ベルリン・フィル/1999年/ossia/Live/※ SACD
☆☆☆☆ ハフ/リットン/ダラス響/2004年/original/Live
☆☆☆☆ 横山幸雄/小泉和裕/東京都交響楽団/2012年/Live/Hybrid SACD
☆☆☆☆ ガヴリーロフ/ラザレフ/モスクワ・フィル/1976年/ossia/LP
☆☆☆☆ ロドリゲス/P.A.MacRae/Lake Forest Symphony/1994年/Live
☆☆☆☆ コルスティック/ヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団/D. リス/2017年/ossia
☆☆☆☆ プラッツ/バティス/メキシコシティ・フィルハーモニック/1989年/ossia
☆☆☆☆ カツァリス/ R.Defssez/Orchestre National de Belgiue /1972年/ossia/Live/CD ※LPは☆☆☆
☆☆☆☆ アンスネス(旧)//オスロ・フィル/1995年/ossia/Live
☆☆☆☆ アルゲリッチ/シャイー/コンセルトヘボウ/1982年/Live
☆☆☆☆ ブニアティシヴィリ/P.ヤルヴィ/チェコ・フィル/2016年/ossia
☆☆☆☆ アブドゥライモフ/ゲルギエフ/RCO/2017年/Live/ossia
☆☆☆☆ トリフォノフ/ネゼ=セガン/フィラデルフィア管弦楽団/2018年/Live/ossia
☆☆☆☆ アンスネス(再)/パッパーノ/BPO
☆☆☆  エレシュコ/ポンキン/レニングラードフィル/1983年/ossia/LP ※ネット上にデジタル音源有の模様
☆☆☆  ドノホー/フェドセーエフ/Moscow Radio Symphony Orchestra/1982年/ossia/Live/LP&CD
☆☆☆  ボレット/フィッシャー/ロンドンフィル/1982年/original
☆☆☆  アムラン/ユロフスキ/ロンドンフィル/2016年/original
☆☆☆  オールソン/
☆☆☆  ラシュコフスキー/2007年エリザベート王妃国際ピアノコンクールLive/ossia
☆☆☆  シェリー/original
☆☆☆  ペナリオ/サスキンド/フィルハーモニア管弦楽団/1961年
☆☆☆  ワイルド/ホーレンシュタイン/original
☆☆☆  モーク/ミルトン/ラインラント=プファルツ州立フィル/original/2011年
☆☆☆  アルフィディ/R.Defssez/Orchestre National de Belgiue/1972年/ossia/Live/LP
☆☆☆  清水和音/アシュケナージ/2007年/ossia
☆☆☆  及川浩治/広上純一/新日本フィル/2005年/ossia
☆☆☆  レーゼル/ザンデルリンク/1978年/ossia
☆☆☆  カツァリス/Neumann//1978年/ossia
☆☆☆  ジャニス/ドラティ/ロンドン・フィル/1961年
☆☆☆  スコウマル/スワロフスキー/プラハ室内交響楽団/2002年/original
☆☆☆  ブロンフマン/サロネン/ossia
☆☆☆  グレムザー/ヴィット/ossia/
☆☆☆  ソコロフ/ossia/Live ※海賊盤的音質
☆☆☆  サモシュコ(再)/ossia/Live/DVD
☆☆☆  フレイレ/ジンマン/ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団/1979年/original /ライヴ
☆☆☆  トルプチェスキ/
☆☆☆  ガヴリーロフ/ムーティ/フィラデルフィア・フィル/1986年/ossia
☆☆☆  アシュケナージ/フィストゥラーリ//1963年/
☆☆☆  ルガンスキー/オラモ/03年/orginal
☆☆☆  ギレリス/コンドラシン/USSR state orchestra/1949年/Live
☆☆☆  スグロス/シモノフ/ベルリン・フィル/1984年/ossia
☆☆☆  クライバーン/コンドラシン/モスクワ・フィル/1958年/ossia/Live
☆☆☆  ベルマン/アバド/ロンドン・フィル/1976年/ossia
☆☆☆  スルヤディ/Miguel Gomez Martinez/ロンドンフィル/
☆☆☆  フェルツマン/メータ/イスラエル・フィル/1988年
☆☆☆  リシッツァ/
☆☆☆  Y.ワン/ドゥダメル/シモン・ボリバル響/original/
☆☆☆  小山美稚恵/フェドセーエフ/
☆☆☆  ヴィニツカヤ / アウトウォーター/ カラマズー交響楽団/original /2017年/Live
☆☆☆  及川浩治/広上淳一/新日本フィル/2008年/Live
☆☆☆  コミナティ/1996年シドニー国際ピアノコンクール/Live
☆☆☆  L .ラン/テミルカーノフ/サンクトペテルブルグ・フィル/2001年/ossia/Live
☆☆☆  ホロヴィッツ/ライナー/ /Live
☆☆☆  フェルツマン/プレトニョフ/ロシア・ナショナル管/original/1992年
☆☆☆  マツーエフ/サッカーニ/ブダペストフィル/ossia/Live
☆☆☆  マツーエフ/ゲルギエフ/マリインスキー劇場管/ossia/2009年
☆☆☆  ニコルスキー/ossia/Live
☆☆☆  ライヴリー/
☆☆☆  ラ・サール/ルイージ/フィルハーモニア・チューリッヒ/original
☆☆☆  J.ナカマツ/シーマン/ロチェスター・フィル/ 2000年
☆☆☆  ピサロ/ossia
☆☆☆  クレショフ/ヤブロンスキ/The Russian State Orchestra/original/2001年
☆☆☆  ルディ/ヤンソンス/サンクトペテルブルクフィル/original/1992年
☆☆☆  アシュケナージ/プレヴィン/LSO・1970&71年/ossia
☆☆☆  ベレゾフスキー(旧)/ossia
☆☆☆  若林顕//Orchestre National de Belgiue/Live
☆☆☆  クライバーン/コンドラシン/Symphony of the Air/1958年/ossia/Live
☆☆☆  ボレット/Charele Webb/インディアナ州立大学オーケストラ/1969年/Live
☆☆☆  グレムザー(旧)/Maksymiuk/1992年/ossia
☆☆☆  ヴァーシャーリ/1977年/ossia
☆☆☆  マッサ/ossia
☆☆☆  アイモンチェ/チネケ管弦楽団/R. コックス/2017年/original
☆☆☆  ラプラント/
☆☆☆  オルティス/mixed version cadenza
☆☆☆  グティエレス/マゼール/ピッツバーグ交響楽団/1991年
☆☆☆  キーシン/小澤/ボストン交響楽団//ossia/Live
☆☆☆  K.パイク/
☆☆☆  クライバーン/コンドラシン/モスクワ・フィル/1958年/ossia/LP&DVD
☆☆☆  モギレフスキー/コンドラシン/Symphony of the air・64年/ossia
☆☆☆  ホロヴィッツ/バルビローリ/ニューヨークフィル・1941年//Live
☆☆☆  シチェルバコフ/SACD
☆☆☆  ワイセンベルク/プレートル/シカゴ交響楽団/1968年
☆☆☆  ティボーデ/アシュケナージ/クリーヴランド・オーケストラ/1994年/ossia
☆☆☆  ゲルナー/シナイスキ/BBCフィル/2002年/Live
☆☆☆  ベレゾフスキー/リス/Orchestre Philharmonique de l’Oural/ossia
☆☆☆  モギレフスキー/Sternefeld/Symphony Orchestra of the RTB/1964年/ossia/Live
☆☆☆  ラシュコフスキー/ヴァルガ/ベルギー国立管弦楽団/07年/ossia/Live
☆☆☆  エレスコ/プロヴァトフ/USSR響/1984年/ossia
☆☆☆  ベルマン/バーンスタイン/NY・フィル/ossia/Live
☆☆☆  シェパード/プリチャード/ロンドン・フィル/1976年/ossia/LP
☆☆☆  スドビン/S.オラモ/BBC交響楽団/ossia/2017年
☆☆☆  ジャルドン/
☆☆☆  マルシェフ/
☆☆☆  ジョン・チェン/
☆☆☆  小川典子/
☆☆   ソコロフ/Yan Pascal Tortelier/BBCフィル/1995年/ossia/Live ※音がおかしい
☆☆   ギルトブルグ/C.M. プリエト/ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団/ossia/2016年
☆☆   ギルトブルク/M.Alsop/National Orchestra of Belgium/ossia/2012年/Live
☆☆   イェゴン/
☆☆   ビレット/
☆☆   クリダ/78年/original
☆☆   ロドリゲス/
☆☆   オールソン/Caracciolo/RAI di Milano/1964年/original/Live
☆☆   シグフリッドソン/
☆☆   ギレリス/アーノンクール/Live
☆☆   コスタ/
☆☆   舘野泉/
☆☆   ヘイキョン/ドミトリーエフ/サンクトペテルブルク交響楽団 /2017年/original
☆☆   Ukhanov/チヴジェリ/シドニー交響楽団/original/Live
☆☆   シェン/ヴァルガ/Orchestre National de Belgiue/2003年/ossia/Live
☆☆   アシュケナージ(4)/ハイティンク/ossia
☆☆   ピサレフ/フリードマン/1998年
☆☆   ワイセンベルク/バーンスタイン/1979年/
☆☆   園田高弘/original/67年
☆☆   グティエレス/ロジェストヴェンスキ/Moscow Radio Symphony Orchestra/1970年/Live/LP
☆☆   ジャニス/ミュンシュ/ボストン交響楽団/1957年
☆☆   ヴィノグレード/パーマー/1998年/original/Live
☆☆   コラール/プラッソン/1977年/
☆☆   バルト/エッシェンバッハ/ロンドン・フィル/ossia
☆☆   ラローチャ/プレヴィン/ロンドン交響楽団/
☆☆   リル/尾高忠明/ ossia
☆☆   アニエヴァス/
☆☆   ケルダー/
☆☆   キム・ヒョスン/
☆☆   サイモン/
☆☆   ジェッター/ossia
☆☆   ワッツ/小澤/ニューヨーク・フィル/69年/mixed version cadenza
☆☆   ラフマニノフ/
☆☆   ルガンスキー(旧)//1995年/
☆☆   ジルベルシュテイン/アバド/
☆☆   アシュケナージ/オーマンディ/1975年
☆☆   中村紘子/スヴェトラーノフ/
☆☆   コチシュ/デ・ワールト/
☆☆   プレトニョフ/ロストロポーヴィチ/ossia
☆☆   Ts’vereli/Kakhidze/Tbilisi Symphony Orchestra//ossia
☆☆   ポコルナ/ピンカス/ブルノ国立フィル/1976年/ LP ※CD化された
☆☆   チェルカスキー(新)/テミルカーノフ/1994年/
☆☆   ペトゥコフ/シモノフ/モスクワ・フィル/ossia
☆☆   カペル/マクミラン/トロント・シンフォニー/1948年/
☆☆   バッカウアー/不明/original/LP ※CD化された模様?
☆     メルジャーノフ/
☆     ホロヴィッツ/メータ/DVD
☆     ホロヴィッツ/オーマンディ/Live
☆     Orlovetsky/Titov/
☆     マルクジンスキ/クレツキ/フィルハーモニア/1949年/
☆     チェルカスキー(旧)/
☆     K.Leimer/Zsolt Deaky/Nurnberger Symphoniker/?/LP
☆     リンパニー/コリンズ/ニュー・シンフォニー/1952年/
☆     ホロヴィッツ/コウセヴィツキー/1941年/Live
☆     ポストニコワ/ロジェストベンスキ/1091年/ossia/Live
☆     ホロヴィッツ/コーツ/1930年/ Live
☆     ヘルフゴッド/Horvat/コペンハーゲン・フィル/1995年/ossia/Live
☆     ギーゼキング/メンゲルベルク/コンセルトヘボウ/1940年/ossia/Live



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ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ | コメント:2 | トラックバック:0 |

AbduraimovのRachmaninoff 3番

ベフゾド・アブドゥライモフがゲルギエフ&RCOというスゴいメンツとラフマニノフのピアノ協奏曲第3番の録音を出していたのでNMLで試聴してみた。2017年10月、オランダでのライヴ演奏である。


第1楽章、まずピアノの音が気になる。録音が遠目でかなり残響を含んでおり、ガラスが砕けちるようなピアノの音色は煌びやかだが個人的な好みではない。テンポはほんの少し遅めでじっくり歌う感じ。前半でオケとピアノが合わず聴いてるこちらのヘソの辺りがヒュッとする。和音連打の速さはまずまずだが、直前でテンポを上げていくのを期待させるように煽るために勢いがそがれて落ち着いてしまう感じがする。この調子だとカデンツァはどうかなあと思ったが、これが予想外に素晴らしかった。ガヴリーロフやブロンフマンを思い起こすスケールのデカさで、語り口も劇的、技巧も十分。後半のわずかに和音が濁るが許容範囲。手持ちでも上位に入れていい出来(ただし、和音部分の終わりあたりの歌い方には違和感あり)。

第2楽章、出だしのオケがブロンフマン&ゲルギエフVPOの名演を思い起こすような良い音色を奏でる。続くピアノの叙情性にはこれまた期待以上に素晴らしい。中盤から音が増えていくところでも歌に説得力がある。後半の名技的な細かいフレーズが連続する部分でも、軽やかさとキレは最上位のテクニシャン達には劣るが水準以上。第3楽章に入る直前、弦楽器に気合が入っているのが伝わってきて期待させる。果たして冒頭部はなかなかのスピード!少なくとも第1楽章のタルい感じはない。ただし、楽章間でどことなく録音がわずかに変化した感じがする(録音日は10/4-51の2日間あるので当然編集してるのだろう)。ピアノがより遠く?、そして特に弦楽器は響きに潤いが欠ける気がした。6分前後のフルートがピアノと掛け合う部分のフルートの音色が凄くてビックリ(ソロ楽器の音量を上げただけかもしれないが)、後半の辺りでわずかにピアノとオケがズレる。演奏時間は17:09、10:55、13:22(拍手まで12:55)で、実に標準的。


というわけで、第1楽章出だしこそエンジンがかかりきらないものの、カデンツァ含め特に音楽性の面で評価できる。テクニックとしては最上位陣から2段ほど落ちるとは思うが、ゲルギエフとオケも良いサポートで好感が持てる。全体としてはスタンダードな解釈だが、オケも含めて⭐︎4つを付けてよい出来(ハイレゾがあるようなので欲しくなった)。かなり楽しませてもらって満足である。



ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ | コメント:0 | トラックバック:0 |

Daniil Trifonov のラフマニノフ3番

Daniil Trifonov(ダニール・トリフォノフ)のラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番が発売されたので、ハイレゾで聴いてみた。



第1楽章出だしはやや遅め。急速部分はまずまずの速さで全体的にしっとり歌う感じだが、例えば展開部の直前など随所でタメが入るのが痛い。また、(リストの超絶でも感じたが)彼の演奏は少し和音が軽めである。さらにカデンツァはどう考えても勿体ぶりすぎで、特に後半の和音部分はノロ過ぎる。第2楽章は良い。彼の歌の良さが発揮されており、指回りにも不満はない。ただ、オーソドックスな語り口ではなく、濃ゆい味付けなので好みは分かれそう。第3楽章はかなりいい。出だしの細かい同音連打もクリアでスピードも標準以上。かなりの高揚感を覚えつつ演奏は終わるが、拍手なし(ライヴとの記載があり、第1楽章冒頭で咳払いも聞こえる)。演奏時間は17:25/11:18/14:24で、個人的な好みからするとやや遅い。

評価としては星4つには届かず、☆☆☆というところか。フィラデルフィアのオケの弦が素晴らしく、メチャクチャ目立っているのが印象的。音質に関しては、ハイレゾではありがちだが少し空気感を含みすぎてピアノの音像がややボケ気味、ただこれはヘッドホンで聴いたせいかもしれない(スピーカーではまだ聴いていない。なお機材はMacbook Air → RME Babyface Pro → Sony MDR-M1ST)。

別件だが、ガブリリュク&RCOのラフ3をRCOのHPで聴いた。映像付きということもあるがこちらの方が素晴らしかった。比べてみると、やはりガヴリリュクは70年代前半生まれ世代の「超絶技巧黄金期世代」のヴォロドス・キーシン・ルガンスキーらにほぼ遜色はない気がする(指回りでは流石に彼らに負けるが音楽性では上)。残念ながら、さらに若いトリフォノフはガヴリリュクより1段落ちる感じがする。ガヴリリュクにはぜひとも技巧が衰える前に気合いの入ったラフ3を録音して欲しいところ。


(2020/4/6追記)
最近メインのヘッドホンをモニター用のM1STからHiFimanのHE560に替えたので、もしやと思い聴き直してみたら、タッチのニュアンスや音色が華やかでより迫力のある印象に変わったので、☆4つに評価を変更します。
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フレイレとヘイキョンのラフ3

オドロキの録音が出ていた。

N. フレイレ /D. ジンマン/ ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団 / original / 1979年
フレイレの若い頃の録音が出て来るとは思わなかった。私の知る限り、1980年代後半にこの曲を演奏しているという情報はあったが、まさかもっと古く、技巧的に脂ののった時期の録音が正規発売されるとは予想外に嬉しい出来事である。ともかく聴いてみた。録音は時代相応に古い。出だしのテーマが終わった途端に思い切り快速で飛ばし始めるのは、いかにもこの時代の解釈という感じがする。ライヴ録音だがミスも少なく、ややタッチは荒いが彼のテクニックの高さがうかがえる。展開部もかなりの迫力。カデンツァはオリジナルなのが残念だが、元気の良さは彼の盟友アルゲリッチの演奏を思い起こさせる。第2楽章も熱量を保った佳演。ただし、この楽章に限らずオーディエンスノイズは目立つのが残念。第3楽章にアタッカで行くところの最後の上昇音型は派手にミスっている。冒頭の同音連打は粗っぽいがかなりの速さで、ほぼそのまま駆け抜けていく(グルーヴ感というか男気を感じる)。演奏時間は15:34、10:36、13:50で、終わりの拍手を除くと終楽章は13:20、全体で40分を切る速さ。ライヴゆえ全体的に雑な感じなのは致し方ないが、熱っぽさや迫力は十分。ただし、アルゲリッチ盤ほどではない。☆3つ。

スー・ヘイキョン/ A. ドミトリーエフ / サンクトペテルブルク交響楽団 /original /2017年
知らないピアニストの、スタジオ録音である。ジャケットと演奏時間からはあまり期待できなかったが、聴いてみると案の定だった。とにかく遅い。記録的ではないが、技巧的な事情によるテンポの遅さは私の許容範囲を超えている上に、不安定かつ力強さに欠けるタッチ、和音での音の濁り、迫力不足はいかんともしがたい。しかしなんと驚くべきことにカデンツァはossiaである。どこをとっても安全運転で、和音部分もなんとも頼りない感じだ。第2楽章など遅い語り口がなんというかショパンを思わせ、終楽章のキレの無さも別な曲のごとき印象さえ受ける。戦後・冷戦時代ならともかく、技巧派による名演数多の現代にあって、なぜこのような録音が新規で発売されたのか理解に苦しむ。。演奏時間は17:59、10:42、15:03で、時間だけを見てみれば第1楽章はそこまで遅くはなかったが、終楽章はやはりチェルカスキー、ボレット、ワイセンベルク(&バーンスタイン)、K.W.パイク盤らに次ぐ、手持ちでワースト10に入りそうな遅さである。ベテランの韓国人女流ピアニストのようだが、言葉は悪いが記念受験ならぬ「記念録音」という感じ。というわけで、☆2つ。

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スドビンとギルトブルクのラフ3

あまり良い演奏を期待できない2人だったので、さっと聴いてささっと書いてしまう。

Y. スドビン/S.オラモ/BBC交響楽団/ossia/2017年
スドビンは可もなく不可もない、という印象のピアニストだが、ともかくこの曲を録音してるので聴かねばならない。出だしからオケの元気が良いのが耳につく。というか、録音マイクがオケに近いということにすぐ気付く。ピアノが遠く、いわゆる「コンサートホール風」を狙った録音であり、ピアノが遠めなのだ。よって、低音の響きがイマイチでシャバシャバした和音になってしまっている(この辺りでもう興味が薄れてしまう・・・)。スドビンのテクは中庸、テンポもほどほど、展開部の和音連打もまずまず、そんな言葉ばかり並ぶ感じ。ossiaのカデンツァも悪くはないが・・・第2楽章はオケの音が近いだけに、雰囲気と印象は悪くない。残響が多めなのでピアノも歌っているように感じる。第3楽章、出だしの同音連打も「そこそこ」。オケが吠えるところの多い楽章だけに、ピアノが埋もれがちなのが残念。というわけで、全体的に悪くはないが、中庸の域を出ず、なんとか☆3つ。演奏時間は16:45、10:49、14:24で、思ったりより第1楽章が速かった。

B. ギルトブルグ/C.M. プリエト/ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団/ossia/2016年
優勝したエリザベートコンクール以来、2度目の録音。とにかく出だしからバカが付く丁寧さ。エリザベートの時ほど遅くはないが(むしろあれは記録的というか、私としては許せるレベルにない遅さ)、やっぱりノロい。丁寧なので細かい音型が分かるというありがち感がないのは、ペダル過剰なのか録音のせいか。和音連打のスピードは意外にまずまず標準、しかしタッチが変。一瞬噛みしめたようなところもある。カデンツァもノロい。そして音ギレが悪い。狙っているのか、己のテクと相談した彼の解釈なのか。ジリジリすることこの上ない。和音部分も、止まりそうなアゴーギクに違和感というか、小気味良いグルーヴ感と、(ガヴリーロフのような)劇的感の、どちらにも欠ける感じ。思わずエリザベートの演奏を思い起こした。しかし、終わりのとこの左手はなかなかの迫力だし、管楽器のソロのバックで弾かれる連続アルペジオは味わいがあるタッチで、よく分からないピアニストである。第2楽章は遅いテンポでの歌いまくりを期待させるが、例の感傷的なピアノソロは遅いだけでそれほどでもなかった。彼はデュナーミクの幅が小さいというか、音色の選択肢も少ない気がする。それでいて音の響かせ方には気を遣っていそうなのが、なんともややこしい。。後半はオケが頑張って良い音色を聴かせている。アタッカの前のピアノは勿体ぶりが凄い。終楽章、冒頭の同音連打はやはり遅いが、妙な音の際立て方が面白い。第1楽章でもあったが、和音で跳躍する箇所はほぼ全箇所微妙にルバートをかけているのがイライラする。右手左手共にすべての音が同じ音量で等しい粒の揃いで弾かれているかのようなところもあるのは、逆にスゴいのかスゴくないのか。

演奏時間は17:39、11:09、14:46で、第1楽章はカデンツァがossiaであることを考えれば数字上はそれほど遅い演奏ではないのだが「全楽章、ほぼ一様に遅い」のが私をイラつかせる要因なのだと思う。上手く喩えられないが、テンポを統一したグールド的とでも言うか、アンチクライマックスと言うか・・・。例の「重音上がり」は勿論やっていないが、その箇所で「ああこの人、音を揃えることに腐心してるのね」と半ば確信、私の好みとの方向性の違いを痛感。ともかく、完成度や表現が悪いわけではなく、この演奏を評価する人もいるかとは思うが、ごめんなさい私としては☆2つ。

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