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ウィウコミルスカ&バルボーザのベートーヴェン・ヴァイオリンソナタ第5番「春」〜
2017-02-19-Sun  CATEGORY: お気に入りピアニストの紹介
長年欲しかったレコードを手に入れた。



barbeet



これはワンダ・ウィウコミルスカのブラームスのヴァイオリンソナタ第3番、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ第5番「春」である。ブラームスの方は第1・2番とカップリングされてCD化されており(ヤフオクでとんでもない値段で出ているが吉祥寺ユニオンでは7000円弱で1ヶ月ほど売れずに残っていた)、ベートーヴェンの方は適当な併録が見付からなかったのだろう、おそらく未CD化でTAPE化のみされていて、それを例の図書館行脚(笑)で私は音源だけ入手していた。案の定、テープが伸び伸びで聴けたものではなかった。


これはウィウコミルスカの人気も手伝って、非常に入手が困難なレコードだ。年に数枚出るのだが、足が速い。CD&LPでは送料込みで2万円overで長いこと売られていたり(送料の値下げを業者にメールでお願いしたが「一度出品すると変えられない。申し訳ない」と丁寧かつ残念な返事が来た)、何度も見送ってきた(ちなみに、そのレコードが売れたちょっと後に日本でブログで話題にされている方がいた。お金持ちはいるものである笑)。邦盤もあり、ユニオンで出るとそれほど高くないようだ。兎も角今回、ようやくebayで比較的納得できる価格で入手できた。


入手したのは実はかなり前なのだが、あまりにショックでずっと書かなかった。それと言うのも、例に寄って盤質がNMとあったのに、重大な瑕疵があったからだ。春ソナタの冒頭でわずかに盤の山折れがあり、周期的にチックノイズが入るのだ!・・・これには本当に凹んだ。。何度か盤のその膨らみを直そうと試みてるが、勿論うまく行かない。


さらに肝心の演奏が酷い。ヴァイオリンの良し悪しなど私にはよくわからないが、それでもこの演奏はイマイチだと分かる。ピッチが不安定なのだ。バルボーザの伴奏は勿論素晴らしいのだが、ブラームスよりは目立たない感じで、とにかく残念である。唯一の慰めは、ブラームスの3番がCDよりも味わい深い音質に感じることだろうか。しかし、入手した価格を考えると失敗だっと言わざるを得ない。ベートーヴェンのみ(おそらく)CD化されていないのも無理はない、という出来である。


というわけで、私のようなバルボーザ好きの方でも無理に入手される必要はないかと思う。
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ショパンのピアノソナタ第2・3番のベストは?〜アントニオ・バルボーザというピアニスト〜2015/1/22更新
2015-01-22-Thu  CATEGORY: お気に入りピアニストの紹介
更新履歴
2015/1/22 追記しました。
2015/1/7 ワルツ集を追加しました。
2013/9/1 末尾にスケルツォ集を加筆しました。




今回は是非紹介したいと思っていた盤について、大それたタイトルで書いてみます。世の中に数多存在するショパンの第2・3番ソナタのベスト盤はどれか?などと大風呂敷を広げますが、無茶をご承知頂いた上でお読み頂ければ幸いです(2012/5/16初掲載)。


まず、クラシックピアノのファンならkyushimaさんのこのページhttp://homepage3.nifty.com/kyushima/cd/Chopin-sonata-2.htmlは御存知かと思います。私もこのページでたくさん勉強させて頂き、数多くの名盤を知ることが出来、大変に実りある音楽生活を送れていることに感謝しています。

kyushimaさんが挙げている高評価の盤は大体持っているのですが、その中では特に第2番ではポゴレリチ、第3番はアンスネスが好きです。ポゴレリチのショパン・コンクールライヴは傷が多めですが、尋常ではない緊張感がたまらないのと、冒頭のアルペジオがこれ以上なく自分のツボにピッタリはまった弾き方をしているのが最高にグッときます。さらにブログのほうで紹介されているロジャー・ライトのシドニー・コンクールライヴも、飛びぬけたテクはありませんが極めて音楽性が高く、個人的に2番の演奏の中では最も詩情を感じます。


そのほか、第2番で気に入っている盤はガヴリーロフの演奏です。彼のショパンの2番は手に入る正規録音としては都合3回録音しています。最初のEMI盤はテクニック的に全盛期の圧倒的な技巧で硬めの音質に乗せてバキバキザクザク弾き進む様が痛快極まりなく、次のDG盤はそれより多少大人になって格調の高さをも供えたバランスの良い名演と言えると思います(DG盤はレコ芸の座談会でも推薦されていたような)。ところが、3つ目のK&Kから出たリサイタルのライブ盤は、干されて?隠遁を経た録音のせいか、キレキレだったテクニックは見る影もなく、「買ってはいけない」盤になっています。個人的には最初のEMI盤が大のお気に入りで、併録のバラード第4番なども驚異的な技巧を見せつけており(ストレッタの和音連打のエグいこと!)、愛聴しています。しかし、これらはどうしても身ぶりの大きいロシア的な演奏で、ともするとショパン的かどうかの点で疑問が残り、ベスト盤として推すには少し抵抗があります。


さらに悩むのは第3番の方です。これは元々が取っつきやすい名曲ということで、誰が弾いてもある程度サマになる半面、本当に心揺さぶられる演奏は少ないような気がします。グールドの怪演やCD化されていないダン・タイソン(新録音のCDでないショパンコンクールライヴのLPのほう)のライブゆえのややミスタッチはあるものの知情の整った演奏や、録音が悪いのですが同じくLPのみのフー・ツォンの力強く歌心抜群の演奏も良いですが、万人に推せる盤が2番以上に少ない。アンスネスのセンス抜群の演奏が強いて言えばオススメですが、個人的にポゴレリチの2番ほどハマった感じではないです。



そんな中で、「1人のピアニストの演奏が、2番も3番もそれぞれベスト」と言ったら皆さんは信じるでしょうか。私自身「無茶なこと書いてるなあ」と思いつつも皆さんにご紹介したいのです。



そんなわけで随分勿体ぶってしまいましたが、私が2・3番の両方でベストだと思うのは、アントニオ・バルボーザ(Antonio Barbosa)の演奏です。





彼はピアノ好きの間では知る人ぞ知るピアニストとして、あのホロヴィッツが賞賛し、ルービンシュタインよりも詩的と言われたブラジル人ピアニストです。残念ながら1993年に心臓発作で亡くなってしまったそうです(それにしても、キャッチフレーズのスケールがデカすぎ)。


彼の録音として有名なのはショパンのマズルカ全集のCDで、ネットでは通販ショップから個人ブログに至るまで激賞の嵐です。私も大好きです。他にはyoutubeにショパンのスケルツォのLP音源が上がっており、そこでも素晴らしい演奏を聴くことができます。リストのダンテソナタやドビュッシーのアルバムも出しています。

また、ヴァイオリンのワンダ・ウィウコミルスカと組んで室内楽のアルバムをコニサー・ソサエティから幾つか出していて、ブラームスのVnソナタなどは出だしのピアノの数小節を聴いただけでバルボーザの素晴らしい音楽性が判ります。この盤はウィウコミルスカの人気も手伝って、特に入手困難なようです(個人的にウィウコミルスカのヴァイオリンは苦手なのでバルボーザのピアノを聴く盤と化してます)。


しかし、なぜかバルボーザがショパンのソナタ第2番・第3番のレコードを出している事は(私が検索した限りでは)ネット上に全く情報が載っていません。この演奏がとにかく素晴らしい。


2番は、ショパンの作品を見渡した中ではかなり異端の音楽としか思えない強烈な暗さや陰鬱さ、ある意味での取っつきにくさを持っていると思います。個人的には、そのような異端さを全面に押し出した演奏、例えばポゴレリチやガヴリーロフ、あるいはLazicのような「墓場であらぶる風のごとくモーレツに弾く」という演奏を好んで聴いてきました。ところがこのバルボーザの演奏は、ショパンの音楽が本来持っている美しさや繊細さ、詩情をいささかも失わず、それでいてこの曲が持つデモーニッシュな魅力も兼ね備えている、という稀有な演奏なのです。


第1楽章の劇的な序奏からその後の主題への見事な流れ、オクターヴ連打の迫力と確実性(スピードは十分ですがほんのわずかにタメが入る)、第2楽章もやや軽めのタッチながら軽快なテンポで急速部分を弾ききり、聴かせどころの第3楽章はモタレ過ぎずスッキリとしたテンポで(ここが重いのは正直苦手)、それでいて崇高さを感じさせ、さらに終楽章は彼の流麗なテクニックが全開。

彼の演奏の特徴としては、「バキバキ」弾くのではなく滑らかでスムーズな指回りが挙げられるでしょう。ショパンの抒情性や繊細さを表現するのにピッタリではないかと思います。それでいてテンポを落とし過ぎずにリリシズムを表現できるタイプで、ショパン演奏に対する個人的なツボを押さえています。


それが存分に発揮されたのが第3番です。第2番以上のとてつもない名演で、どこまでも詩情あふれる歌に満ちています。第1楽章は速めのテンポで音楽が自然に呼吸するかのようなアゴーギクが絶妙。前述した指回りが第2楽章のスケルツォで花開きます。力強さがありながら音色が美しく、決して品の良さを失わない、そんな知と情の絶妙なバランスがこの演奏にはあります。第3楽章もそれほど粘らないのが個人的な好みにピッタリ。そして最大の聴きどころは終楽章。4分台半ばという超高速テンポで、大きなタメを入れず、ビロードのような滑らかさで疾風のごとく駆け抜けていきます。陳腐な表現ですが、最初に聴いた時は「レコードの回転数がおかしくなった」のかと思いました。余談になりますが、家人は学生時代にソナタ3番を弾いていて一家言を持っており、私が何気なくこのレコードをかけていると「この人の演奏がダントツで素晴らしい」と言ったので、私の思い入れやひいき目に留まらず良い演奏なのかなと思います。


残念ながらCD化された形跡が無く、レコードの存在もあまり知られていないようで、私も7年間で2度(8年間で3度に更新に)しか見た事がありません(もちろん、毎日ebayや海外通販をチェックしているわけではありませんが…)。1度はお金を払ったのに海外から送られてこなかった、なんてこともありました。


barbosaus

(こちらは輸入盤の方です。音は先に紹介した見本盤のほうが良いです。たまたま入手できてラッキー)

というわけで、是非とも今後バルボーザの再評価が進み、何かの拍子でこのレコードがCD化されることを切に切に祈っています。

☆ショパンのソナタ2番聴き比べ


☆ショパンのソナタ3番聴き比べ

※おまけ:私が所有しているバルボーザのレコードについてコメントを書きます。

ショパン・ピアノソナタ第2番・3番:素晴らしいの一言に尽きる。特に第3番は非の打ちどころが無い。これ以上の演奏はちょっと想像できない。ちなみに演奏時間は2番が5:14/6:12/6:14/1:26、3番が8:36/2:24/8:23/4:32で全体的にかなり速め。

ショパン・ポロネーズ集:これも素晴らしいが、全体的にややヴィルトォーゾ的な演奏で好みが分かれそう。特に5番・6番では執拗に低音を強調するのが印象的。幻ポロは個人的にオールソン旧盤(や録音が素晴らしいロルティ盤)の方が好きだが、ロマンチストの彼としては意外にも情に傾き過ぎない演奏。

ベートーヴェン・ピアノソナタ第21番・30番:ワルトシュタインが絶品で、彼のロマンティックなピアニズムと曲想がピッタリハマってる。力強く、それでいて抒情的。それに対し、30番の方は(というか後期ソナタは)個人的に端正で格調高い演奏が好きなので、振幅のあるロマンに傾いている彼の演奏は自分の好みから外れる。


2013/9/1/追記

ショパン・スケルツォ集:youtubeに上がってたコンディションの悪い音源に我慢できず、状態の良いものを探していたところ、ようやく美盤をget(しかもサンプル盤!)。素晴らしい。個人的にソナタ集と同じくらいのお気に入りになりました。スケルツォは最近の盤では俊英ベンジャミン・グロヴナーの超絶技巧かつ才気溢れる演奏に驚嘆しましたが、バルボーザのこの盤はそこまでのテクはないものの十分に水準以上で、彼の特長である詩情と力強さの両立がスゴい。ところてん(※スケ2の冒頭から来た音大用語?)を弾いた家人もソナタの時同様に「この人はイイ!」と感心。いやはや、もう我が家はバルボーザのトリコで客観的なレビューなぞ出来なくなってしまいました。





2015/1/7/追記
手に入れたと思っていたのになぜか棚になかったバルボーザのワルツ集、記憶を辿るとソナタ集が海外から届かなかったのと同じ業者だったのかも。ようやく年始のセールで見つけました。

barbosawaltz

曲はワルツのOp.18、Op.34-1、Op.34-2、Op34-3、Op.42、Op.64-1、Op64-2、Op.64-3、Op.69-1、Op.69-2、Op.70-1、Op.70-2、Op.70-3、Op.遺作となっています。

・・・もうね、これがスケルツォ集かそれ以上の感動。長調の曲は軽やかに空を舞う小鳥の羽根のごとき指回り。ソナタやスケルツォで見せたテクニックが全開。聴いていて愉悦を覚えることこの上ありません。ちょっとテクニックを魅せすぎなんじゃないの、というギリギリのところで寸止め、ショパンらしい叙情性や切なさ、上品さを失わない絶妙なバランス。完璧で最高。今までワルツ集だけを好んで聴くようなミーハーな人間は信じられませんでしたが、明日からはそんな人間になりたいと思います。しかーし、レコードのコンディションは「B」ということだったのに、実際はB面が手で触ってわかるほどに砂が付いたようにザラザラ。水洗いしてもプチノイズ入りまくりで怒り心頭。神保町ユニオンめっっっ。コンディションの良い盤をebayで探すかな。。。ともあれ、youtubeで親切な人が上げていますので、是非聴いてみて下さい。


これでバルボーザのショパン系の音源はすべて紹介できたかと思います(マズルカ集は少し触れただけですが)。現在、マズルカ集以外CD化されておらず、そのマズルカ集も素晴らしいものの、CD化されていないと思われるLP音源に比べると霞んでしまうほどにご紹介したレコードは素晴らしいものです。

2015/1/22/追記
なななんと、iTunesストアで検索したところ、ワルツ集がレコードからデジタル音源化され、ダウンロード販売されていることに気付きました!盲点でした!しかも、ワルツ集のみならず、ダンテソナタまでも・・・!これは感涙モノです。。。おまけに、これまで見たことないシブいジャケ写です(ダウンロードしたアートワークが保存できないのでご紹介できませんが)。デジタル化にあたって、いかにもレコード特有のピアノの音色というか、バルボーザの一連のレコード音源で聴かれるようなちょっと軽めの音になっているのが惜しい(もっと上手く復刻してもらえれば・・・)。私はジャズとクラシックの弦モノはレコードで聴くのが断然良いと思っているスノッブですので、実はピアノはデジタル録音のほうが好みです(ヴァイオリンやチェロのレコードはアナログのノイズが気にならなずむしろ音の太さが楽しめるが、ピアノはどうしても気になってしまう)。

それにしても・・・素晴らしい、素晴らしすぎる演奏です。テンポの揺れの振幅が結構あって、一聴すると自由気ままな演奏なはずなのに、ごく自然に音楽に浸れる驚異的な歌のセンスに加え、胸のすくテクニック。そして我々がもっている「ショパンらしさ」というイメージそのままの、華やかで優しげで軽やかで、どこか悲しげで憂いのあるピアノ。

是非とも、是非とも残るショパンのソナタ、スケルツォ、ポロネーズ、ベートーヴェンのソナタをデジタル化して欲しいものです・・・!
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ヴィタリー・サモシュコというピアニスト~その2
2011-01-05-Wed  CATEGORY: お気に入りピアニストの紹介
さもしゅこ


例によって随分間が空いてしまいましたが、サモシュコの新しいアルバムをご紹介。

シューベルト・シューマン・プロコフィエフ・スクリャービンのオムニバス集(2003年)

さも

 
シューベルトはソナタ第4番、シューマンはクライスレリアーナ、プロコは第7番、スクリャービンは第5番です。
 シューベルトは朴訥とした魅力があり、サモシュコの素朴な一面が見て取れる印象。第2楽章はこの彼の性格?にマッチしていてとても良い雰囲気(少しリズムが気になる)。第3楽章の出だしなどは打鍵がカッチリしすぎていて腰が重く、ここがサモシュコの(個人的にはあまり好ましくない)特徴かもしれません。もう一段の引き締まりが欲しいのですが、それでもなかなか良い演奏だと思います。
 クライスレリアーナは出だしが快調で小気味良いのですが、曲ごとに結構テンポ設定が違っていてつながりが薄く感じます。そういう意味でロマン的な演奏かも。第2曲では各駅停車で田舎の山並みを眺めるような、ひなびた良さがあります。ただ、(シューベルトやスクリャービンでも感じたことですが)第3曲などでのリズムが鋭い曲でなにかしっくり来ないところがあります。この曲はヘルベルト・シュフのようにロマンに傾きすぎずカッチリとした構成感のある演奏が好きなのですが、この演奏も結構気に入っています。
 スクリャービンの5番はやはりリズムが個性的。テンポが遅めでユニークな印象を受けます。録音のせいもあるのか、ややガチャガチャした感じがありますが、聴き慣れている好きな曲のせいか印象は悪くないです。
 プロコフィエフの7番は若き日のブゾーニ・コンでの猛演(終楽章は3分を切るかというスピード!)が思い出されるので大変期待していました。しかし、購入前に終楽章の収録時間が4分超えをしているのを見て、「これは何かの間違いではないか」と思ったのですが、聴いてみると不安的中で、テンポがこれまで聴いたことが無いほどに遅く、それでいて終盤のメカニックもやや安定感に欠け、残念な演奏でした。この演奏がお気に入りなのか、後述するラフマニノフの3番のCDにも全く同じ演奏が収録されています。なぜ?
 というわけで、この2枚組は玉石混淆と言った感はありますが、全体的にはなかなか気に入ってます。



スクリャービン・エチュード全集(2005年)

sc.jpg



 この作品は有名曲が多いにも関わらず、あまり全集録音の数が豊富とは言えません。ここでのサモシュコの演奏は曲の骨組みが透けて見えるような演奏。理知的ではありますが、冷静すぎるわけではなく、情熱の炎が青白く燃えている感じ。曲によってはテンポが遅かったり、モッサリと覇気無く感じられて物足りない向きもあろうかと思いますが、Op.8-12やOp.42-5などの有名曲は個人的にベストを争う演奏で気に入っています。ちなみに、この2曲は本人のウェブサイトで聴くことができます。

Op.8-12に関しては、比較として以下を聴き比べてみました。

サモシュコ:◎
 どうペダルを踏んでいるのかわからないくらい音が澄み切っており、軽めの音質の録音とも相まってかなりスッキリした印象。最初の主題の繰り返し部分でフッと力を抜きつつ左手の重低音が静かに入ってくるところなどは、彼の一連の演奏(例えばラフ3旧録音の第1楽章第1主題の再現部等)での特長であり、グッとくる。ラストの和音がなぜか何の未練もなく短く切られるのが非常に気になり、惜しい(あまりに惜しいので波形編集して音を伸ばしたものを聴いている)。
ホロヴィッツ:○
 響き渡る轟音、中間部ではグッとテンポを落として歌いまくり、ラストはこれでもかとブッ叩く、劇的な演奏。昔はこの演奏以外受け付けなかったが、今聴き比べてみると個人的なエチュードの理想像とはちょっと違っている。まさにアンコール向けのショウピースという演奏
横山幸雄:○
 流麗で巧いが彼らしい機械的演奏で叙情性に欠ける。録音がボヤッとしている
S・バレール:×
 音が悪い。ガチャガチャした感が否めない
ヴォスクレセンスキー:△
 ラストでテンポが落ちるのが惜しい。骨太な演奏。質実剛健というセリフが似合う
グリーン:△
 可もなく不可もなく、全体的にまずまず
オールソン:△
音が無骨な感じで流れがスムーズでないところがある。盛り上げ方はうまい。ピアノの音が美しくない
レヴィナス:○
 ドラマチックだが後半の和音連打でちょっとテンポが落ち着いてしまうのが惜しい
F・ヴィジ:○
 2000年浜コン。シリアスで気持ち良くまとまっている。スッキリしすぎの感がなくもない
クズミン:×
 恐ろしく巧いがテンポが揺らしまくりで自由奔放。落ち着かない
ラン・ラン:△
 テクは十分だが、振幅が大きく中間部ではえらくテンポを落とす。どこかホロヴィッツ的
P・レーン:△
 優等生的演奏だがテクもある。生真面目で硬めの一本調子な打鍵なので、もう少し色気を出して歌っても良かったかも

その他、youtubeなどで、
ルガンスキー:△
 サラサラしすぎでいかにもエチュード。相変わらずキレは凄まじいが中間部がモタレる
ベレゾフスキー:△
 2分を切るかという凄まじい速さで、豪腕という感じ。繊細さがない、体育会系爆演
キーシン:△
 見事に1音のミスも無いが味わいという点ではいまひとつ。宇宙人としか思えないメカニックは一見の価値あり

 ・・・実は一番気に入っているのがオフチニコフのOp.8全曲のライブなのですが、どこで手に入れたのか忘れてしまいました(音源データだけ持ってる)。音質的にエアチェックか何かだったと思うのですが・・・。エチュード的な演奏でありながら、些かの叙情性も失っておらず、リストの超絶で見せたようにテクニックも十分。素晴らしいです。是非、CDで(若い頃に)録音を残して欲しかった!



ラフマニノフ・音の絵エチュード(2006年)

rachetu.jpg

 全曲盤と思って喜んで買ったところ、大好きなOp.33-8が収録されておらず、残念無念と思って聴いていくと途中でOp.33-8が演奏され、?と思いましたが、ウィキペディアで調べてみたところ、どうやらこのOp.33は初版に習った演奏順のようです。

 ここでも録音はピアノの音色に芯の無い、やや軽めの、ちょっと残念な音質なのですが、サモシュコらしい感傷的な演奏に溢れていて、特に緩徐曲で気に入ってます。Op.33-8はデミジェンコと並んで大のお気に入りのひとつ。ただ、一部の曲は凄まじい技巧のルガンスキー盤やバランスの良いアンゲリッチ盤に比べてキレが悪く、モッサリしていると感じる曲も少なくなく(例えばOp.33-1などはいくら何でも遅すぎる)、全体的にテンポは遅めです。Op.39-3や6も水準以上のテクはあるのですが、ルガンスキー盤に聴き慣れていると流石に遜色があります。そのため、個人的に叙情性を味わう盤として聴いています。そういう向きにはかなりオススメ。



ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番(2009年)

rach3.png

 1999年のエリザベートでの演奏以来、約10年ぶりの新録音ということになります。DVDでも全く同じ演奏なので、おそらく同一のライブ録音だと思われます。
 となると、エリザベート・コンの名演の再現を期待してしまうのですが、残念ながらやや及びません。解釈は全体的に変わらないのですが、細かく聴くと第1楽章の展開部のスピード感が落ちてしまっていますし、カデンツァも旧録音に比べてやや控えめ、第2楽章は彼らしいロマンチックさを見せるものの未だ想定の範囲内で、第3楽章も技巧の衰えなのか、胸のすくテクニックという感じではありません。
 しかしながら、この難曲を完全に手中にしているバランスの取れた熱演であることは間違いなく、特に映像で見ていると彼のこの曲にかける意気込みや情熱が感じられ、最後は圧倒的な感銘を与えてくれます。この曲の収集家はgetすべきかも。
 DVDに付属するインタビューでは、家族思いの好青年という感じで、音楽に対する真摯な姿勢と彼の謙虚で優しい人柄が伝わってきました。
 
 このレーベル?はどのCDも音に芯が無く、軽めでモワモワした音質なのが残念です。やや硬めで、それでいて適度な残響が付いた録音のほうが彼の思いきりのいいタッチを活かせると思うのですが・・・。



 というわけで、ご紹介した4枚のCDすべてが全面的にオススメというわけではありませんが、曲によっては個人的ツボにハマッた演奏をしてくれるお気に入りのピアニストです。今後も応援していきたいと思っています。
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ヴィタリー・サモシュコというピアニスト~その1
2010-03-06-Sat  CATEGORY: お気に入りピアニストの紹介
Vitaly Samoshko(1973生まれ、ウクライナ出身)

Samoshko


1992年 シドニー・コンクール第6位(1位はシャン=ドン・コン)

1993年 ブゾーニ・コンクール第2位(1位はロベルト・コミナティ)

1999年 エリザベート・コンクール第1位 優勝(2位はアレクサンドル・ギンジン)


アレクサンダー・ロマノフスキやロベルト・ジョルダーノらを育てたロシアの名ピアニスト、マルガリウスに師事。エリザーベト優勝後はベルギーを拠点に活動中。



今回は数々のコンクールで入賞歴があるピアニスト、ヴィタリー・サモシュコについてご紹介します。



彼を知ったのは、例によって1999年に行われたエリザベート国際ピアノコンクールのファイナルで弾いたラフマニノフの3番の録音を聴いたからです。その演奏たるや、当時コンクールの審査員を勤めた故園田高弘氏が生前にウェブサイトで語っていた通り、「ロシア人ピアニストのロシア物に対する思い入れの強さ」が十全に発揮された渾身の名演と呼ぶに相応しいものでした。



まずは一連のコンクール録音を列挙してみます。



シドニー・コンクール:ラフマニノフ・パガニーニ狂詩曲

変にこねくり回さず、爽やか。第18変奏でも粘らない。オケと合わせるのが難しい曲だけに多少のズレやミスは結構ある。個人的にこの曲は苦手なのであまり感度が高くないので、正直あまり手が伸びない。ところどころで思い切りの良さを見せるのが彼らしいと言えば彼らしい。



ブゾーニ・コンクール:プロコフィエフ・ピアノソナタ第7番

怒涛の攻めの一言。ミスやタッチの粒の揃いの悪さがあったりして技術的な精度やキレはそれほど高くないのだが、盛り上げるツボを押さえたヴィルトゥオジティ溢れる演奏。特に終楽章は3分ジャスト(!)の演奏タイム。インテンポを極力保ち、跳躍部分でほんの少し間が空くがかなり健闘していて、終盤の和音連打もごくわずかにルバートをかけるが迫力十分。この時20歳で、若さゆえの運動能力を活かしきった熱演。聴衆はブラヴォと絶叫。ちなみに、6年後のエリザベートコンの時にも同曲で熱演を残したらしい(録音は残っていない)。




エリザベート・コンクール1999:ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番

技巧・迫力・叙情性と三拍子揃っており、そのバランスが良い。コンクールの緊張感に加え、ライヴならではの生々しさとダイナミズムに満ちている。全体的にはやはりストレートな解釈で、この曲に対する思い入れが感じられ、細かいミスはあるもののかなり弾き込んでいる印象を受ける。第1楽章は個人的にほぼ理想的な演奏。展開部の和音連打は猛烈なスピードで、多少音が濁っているがそれが逆に手に汗握るスリリングを演出している。ossiaのカデンツァもスケールが大きく、後半の和音部分での畳みかける迫力が出色。第2楽章の緩徐部分も良い出来。時々フッと力を抜く表現がツボにはまっている。第3楽章は後半になると少々疲れてきたのか、多少疵が多めなのが惜しい。正直テクでも歌でもこれを超える盤が他にあるので万人にはオススメできないが、個人的な好みにハマっていて100種以上ある手持ち盤の中では最もよく聴くもののひとつ。演奏時間は16:40、10:28、13:51(拍手入り)で全体的に少し速め。




エリザベート・コンクール 1951-2000:ショパン・バラード第4番

半世紀に渡る同コンクールの記録を収めたCDの中の1曲(3枚組と12枚組とがあり、そのどちらにも収録されている)。ストレッタの和音連打のたたみかけやラストの急速部分のスピードなど、聴かせ所を押さえた身振りの大きいロシア的ロマン色の濃い演奏。かと言って深刻すぎもしない節度を持ち合わせている。所々ミスもあり、技巧も叙情性も浜松国際でのタラソフの演奏には正直及ばないが、「ここはこんな感じで攻めて欲しい」といった個人的ポイントを押さえているのでついつい手が伸びてしまう。



という感じです。彼の特長を幾つか挙げてみると、


① 決して技巧派ではない(園田氏も「バラ4の時の技術力では優勝は無理」と思ったそう)

② 小細工しない解釈(プレトニョフやキーシンなど考えすぎな演奏をするタイプではない)

③ 盛り上げるツボを心得ている(歌のセンスが抜群というわけではないがグッと来る)



と言ったところでしょうか。特に③が人によって好みの分かれるところで、例えばプロコ7番の終わり直前の和音連打が続く箇所で突然弱音にしてその前後との対比を作るところはあざといと思う人がいるかもしれませんが、ラフ3の第1楽章前半の緩徐部分でも歌いどころで一瞬フッと力を抜いて精神の飛翔(というと大げさかな)を演出するところは個人的にはたまりません。



そんなサモシュコですが、1999年のエリザベート優勝後から現在までに4枚のアルバムを発売しています。そこで見せている彼の演奏は、若さ溢れる勢いに満ちた過去の演奏からは想像もできない変貌を遂げています。



次回はそのCDについて書きます。


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