音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
ショパン・ピアノソナタ第2番聴き比べ~ 2018/6/24更新
2018-06-24-Sun  CATEGORY: ショパン・ピアノソナタ第2番聴き比べ
ソナタ2番の更新箇所:
小林愛美盤を追加(6/24)
ポリーニ盤(LIVE CLASSICS 100番)を追加(2018/1/7)
ウーセ盤(LP)を追加(12/30)
カーロイ盤を追加(7/13)
ファヴル-カーン盤を追加(2017/1/31)
シモン盤を追加(11/20)
スカナヴィ盤を追加(8/20)
パパジャン盤を追加(8/17)
ティリング盤を追加(8/6)
デュシャーブル盤を追加(7/9)
チョ・ソンジン盤(CD)を追加(6/18)
エレーヌ・グリモー盤を追加(6/18)
ピエトロ・デ・マリア盤を追加(6/12)
内田光子盤(東芝EMILP)を追加(2016/6/7)
ケラー盤(LP)を追加(10/10)
シュミット=レオナルディ盤を追加(9/20)
バックハウス盤を追加(9/16)
ピサロ盤を追加(9/15)
ルディ盤を追加(9/14)
トルプチェスキ盤を追加(9/13)
アックス盤を追加(2/14)
シェリー盤を追加(1/18)
アシュケナージ盤(LONDON,1979年)を追加(1/11)
ヴァーシャーリ盤を追加(2015/1/4)
佐藤卓史盤を追加(12/4)
エル=バシャ盤を追加(5/12)
ホロヴィッツ盤(50年録音)を追加(2/24)
ケルン盤を追加(1/3)
フランソワ盤を追加(9/18)
スターン盤を追加(6/8)
ゲキチ盤、梯剛之盤を追加(3/26)
清水和音盤(RCA・LP)を追加(3/11)
ベルンハイム盤(LP)を追加(2/15)
ベルショ盤(LP)を追加(2/14)
内田光子盤(ショパンコンクールライヴLP)を追加(2/9)
エキエル盤を追加(1/24)
ラフマニノフ盤を追加(12/24)
ワイセンベルク盤(EMI)を追加(11/26)
ロドリゲス盤を追加(11/14)
ノヴァエス盤を追加(11/12)
広瀬悦子盤を追加(11/7)
ラフォレ盤(LD)を追加(11/4)
ポゴレリチ盤(FKM)を追加(10/31)
ホジャイノフ盤を追加(10/18)
読者の方からのご指摘で9/23に3番に追加したホジャイノフ盤はボジャノフ盤の誤りでした。名前が似ているため、混同して書いてしまいました。お詫びして訂正致します。近く、ホジャイノフによるソナタ2番を追加したいと思います(10/17)
ブニアティシヴィリ盤を追加(9/28)
ソコロフ盤、オレイニチャク盤を追加
ニコルスキー盤を追加(8/11)
クドリツカヤ盤を追加(8/9)
クライネフ盤(LP)を追加(7/30)
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先日、「ショパンのソナタのベストは?」などという無謀な記事を書いたので、思いきって所有しているショパンのソナタ2番・3番の音源をすべて比較してみました。2カ月くらいかけてほとんどの盤を聴き直したのですが(しばらくショパンはお腹いっぱい)、以前バルボーザの記事を書いた時には忘れていた好盤や、「そこまでよくなかったな」という盤も出てきました(ですので、バルボーザの記事の時より評価が下がってる盤もあります)。あくまで個人的な主観の感想ということで参考にして頂ければ幸いです。☆◎○△×の5段階で簡単なコメントを書きます。聞き直した盤などは随時更新していきたいと思います(2012/6/26初掲載)。


第2番(106種)

ポリーニ:○ 模範の極み。やや音ギレが悪く歌も硬いがそれほど気にならない
アルゲリッチ:△ 意外に普通。キレはあるが爆発という感じでない。世評は高すぎ
ガヴリーロフ(EMI):◎ ザクザクのキレキレ。テンポが遅い箇所もありロシア的
ガヴリーロフ(DG):◎ 若干大人になって格調高い。録音・演奏とも幾分大味
ガヴリーロフ(K&K):× ズタボロのメタメタ
ポゴレリチ(ショパコン):☆ 緊張感漲る。極めて音楽的で勢いに溢れるがミスが多
ポゴレリチ(DG):○ 少しこじんまりしちゃった
オールソン(ブゾコン):△ 録音がよくない上に手堅い。まだまだ発展途上な感じ
オールソン(Arabesque):◎ 録音が大味だがドッシリと技巧が安定。センス有り
ラツィック:☆ 激しく熱情的。出だしが激っ速。やや大げさ感も
アンスネス:◎ テクとセンスに溢れる。万人にオススメできる
キーシン:○ テクは史上最強だが歌がもたれ過ぎ。音色が綺麗なので惜しい
アムラン(Isba盤):○ 技のキレが期待以下で解釈にクセがあり歌心も微妙 
アムラン(Hyperion盤):△ 旧盤よりクセは減ったがやはりイマイチ
ホロヴィッツ:△ テンポが遅く技巧的に見劣る。どこかポツポツしてる
シフラ:△ らしくないフツーっぽさで粗さが目立ち面白くない
ミケランジェリ:× テンポ遅めでアゴーギクのクセが強すぎ個人的に合わない
クズミン:△ リズムにクセがあり軽めのタッチで迫力が期待したほどでない
トカレフ:△ 意外に手堅くいつものライヴの熱さはどこに?正直期待外れ
ティエンポ:○ キレは凄いが部分的にタメがあり個性的で好みが分かれる
ユジャ・ワン:○ 相当上手いが音が軽くて迫力に欠ける。歌い方もやや硬い
内田光子:◎ 表現に深みがあって素晴らしい。欲言うと全体的にタメが多い
ライト(シドニーコン):◎ 歌のセンスが素晴らしい。キレが加われば最高
ルデンコ(チャイコン):△ キレはあるがミスが多く気が散る
ラフォレ(ショパコン):☆ 歌とテクが揃ってる。完成度も高い
ラフォレ:☆ 正統派で巧い。詩情と言うよりは格調高い。隠れ名盤
ブーニン(ミラノライヴ):△ テンポがかなり遅いがそこまで歌に浸れもしない
アシュケナージ(ライヴ):◎ 熱さではベストを争う。これは聞き逃すのは惜しい
メジューエワ:○ テクは物足りないが音楽性豊か。この曲が苦手な人にオススメ
ルービンシュタイン:◎ 素晴らしい。キレは無いが切迫感や表現力にあふれる
T・レモー:× 演奏時間は最短の部類だがテクも歌も良いところが見つけられない
Lim Hyo-Sun(エリザベートコン):△ 以前記事で書いたが良くない 
コブリン:△ 以前書いたが、微温的でどこか踏み込みが足りずヌルい
ダン・タイ・ソン:△ 音は綺麗だが全体的にちょっと勿体付け過ぎ
トゥルーリ:△ 勢いと表現意欲に溢れるが技巧に不安を感じる。ややタメも多い
エデルマン:△ テンポが遅く技巧的にかなり見劣る。微妙に弾き損じのような箇所も
ベン・キム:× テンポが遅くテクにもキレが無くいいところを見つけられない
コルトー:△ 筋は非常に良いがミスが多過ぎ。心なしかピッチが低い。古いゆえ音悪
横山幸雄:○ 淡白な彼にしては歌も悪くない。テクに凄みがないのでやや期待外れ 
松本和将:○ 正直もっと歌えるはず。センスのある彼にしては少し物足りない
ヤブロンスキー:○ 歌も良く結構巧い。時折和音がパシャッと割れるのが気になる
ユンディ・リ:○ 指回りが秀逸で勢いもある。緩徐部分の歌が幼稚なのが興ざめ
プレトニョフ:△ 足取りが重く個性的。キレはあるが何を言いたいのかわからない
園田高弘:○ 模範の極みで面白みがない。キレも感じられないが教科書になる
ヴェデルニコフ:△ 緩徐部分に深みがあるが全体的に少し重い。キレもあまりない
ペライア:○ かなり巧いが音が硬くて色気が無い。音色のパレットも少ない感じ
カツァリス: ○ 久々に聴いてビックリの名演。予想外に正攻法で技のキレ良し
カペル:× テクと勢いがあって悪くない。録音が古いためとにかく音が酷くて残念
マガロフ:○ キレは無いが音楽的。近接録音で明晰かつ力強い。若い頃だったら…
ラプラント:◎ 跳躍で間が空くが全体的に巧い。ラフ3聴くと技巧派。歌も良し
ロルティ:◎ 非常に音楽的で音も美しいが残響多めが△。ややキレ不足で衰えた
ペルルミュテール:△ 録音イマイチでキレに乏しいが音楽的。特に行進曲は凄い
クドリツカヤ:△ 強弱の付け方が上手く音楽的には良いがタッチが軽めで曖昧模糊
ニコルスキー:◎ やや荒さもあるが勢いと歌のセンスに溢れる。テクもまずまず良い
ソコロフ:○ 起伏が激しくコダワリを感じる。もったいぶる場面が多くロシア的
オレイニチャク:△ ピッチが低い。時代楽器が鄙びた郷愁を誘う。やや粗い
ブニアティシヴィリ:○ 緩急の差が激しいが聴き所は満載。瞬間最大風速は最高峰
ホジャイノフ:○ 解釈にテクも至極真っ当。響きの繊細さが好印象だがその分静的
ポゴレリチ(FKM):◎ 緊張感減も重低音の追加に完成度up。Chopin的でない
広瀬悦子:△ 軽めのタッチで多彩な表現に溢れるがテンポも揺れて奔放過ぎる
ノヴァエス:○ 個人的に理想の解釈に近い。技巧も闊達。録音さえ良ければ
ロドリゲス:○ 小細工なしの真っ向勝負。テンポが速く歌も良い。録音がやや平板
ワイセンベルク(EMI):△ ガンガン鳴らしすぎ。葬送行進曲も遅すぎてあざとい感じ
ラフマニノフ:○ 強靭なテクでvirtuosity溢れる。一部粘りすぎなのとやはり録音が
エキエル:△ 素っ気ないがサクサク進むのは良い。検定教科書に載りそうな演奏
ゲキチ:△ ベストオブ個性派。キレもある。やり過ぎだが一聴の価値有り。ミス多
梯剛之:○ 熱っぽくテンポ揺らすがセンス有り。キレもまずまず。後は説得力
スターン:△ プレイエルを使用。柔らかな歌心は見せるものの曲と音色が合ってない
フワンソワ:○ テクが弱いが粘りすぎない歌心が抜群。終楽章のモタツキが惜しい
ケルン:△ 丁寧で歌も音色も悪くないが踏み込みが浅い。良くも悪くも女流的
ホロヴィッツ(50年):△ 62年盤より技が達者。しかしよりフツーで彼らしく無い
エル=バシャ:◎ クリスタルの音色で細部も精巧。絶対音楽的で非ショパン的
佐藤卓史(新):○ 清廉潔白、足し引きなしの教科書的ショパン。残響ジャブが×
ヴァーシャーリ:○ 歌もテクも録音も良いが優等生的で面白みに欠ける
アシュケナージ:◎ みんな、そんなにアシュケナージが嫌い?コレ良いよ
シェリー:◎ オーソドックスだが明晰過ぎる録音でゴージャスなのはリスト的
アックス:△ スケール大きく歌うが足取りが重い。何よりうなり声が気になる
トルプチェスキ:○ 輝かしくテクに清潔感も有り。全体的に歌がややあざといか
ルディ:△ 筋良く歌に品があるが盛り上がりでタメが入るなどスカっと行かず
ピサロ:○ テク十分で速めのテンポでも余裕。歌での相当なモタレが△
バックハウス:△ 66歳時の演奏にしては健闘してるがやはり音質が
シュミット=レオナルディ:○ オーソドックス。凄みや個性が欲しい
デ・マリア:◎ 歌のセンスに溢れる。若さよりは熟練の技が光る感じ
グリモー:○ 迫真的表現に心奪われる。トリルや和音など細部で惜しい
ソンジン:○ youtube時と印象は変わらず。メチャ上手いが6割5分運転
デュシャーブル:○ 歌い方が上手いが若干マイペース。録音のせいか音圧が薄め
ティリング:× ハンマーで叩いてるかのような無骨な演奏ここに極まる
スカナヴィ:☆ 緊張感と勢いに溢れ、緩急が激しく激情的で素晴らしい。名演
シモン:○ ポゴレリチを一回り小さくした感じ。起伏を付けるセンスがある
ファヴル-カーン:◎ 温かみのある演奏で3番向きだが力強く音楽性も豊か 
ポリーニ(LCB):△ スタジオ盤と一長一短。音の悪さの分だけ評価は下がる
小林:◎ 全体的にイマイチだが第3楽章で神が降臨。この楽章のベスト

LP
バルボーザ:☆ 勢いがありながらショパンらしい詩情や繊細さも表現。名演
ブルヴァ:× 終楽章は1:00だが全体的にボソボソしてて上手くない
ケルセンバウム:× 美人は得
クライネフ:◎ 極めて激しい。勢いとテクに溢れ力強さはロシア勢最強か
内田光子:◎ 若き日の入魂のショパコンライヴ。熱く激しいお嬢様はテクニシャン
ベルショ:○ 整っていて歌もテクもまずまず。理知的なところはいかにもフランス流CD化されている可能性あり
ベルンハイム:△ 勢いがあるがタッチが無骨で荒い。線が太めで歌はまずまず
清水和音:◎ 荒削りだがキレと勢いは十指に入る。自由気ままな語り口に難有りも悪くない
ケラー:◎ ダイナミズムに溢れ指回りも良い。やや洗練さに欠けるのと録音が△
内田光子(EMI):☆ ショパコンと同路線で完成度upなのでほとんど完璧
パパジャン:◎ ショパコンライヴ(3位)。テクと勢いに音楽性の3拍子が揃う
カーロイ:○ 全体的にやや雑。葬送行進曲がモタれ気味で3番ほど良い演奏でない
ウーセ:◎ EMI盤同様力強さと勢いがある。やや弾き損じがあるのが惜しい

LD
ラフォレ:◎ カメラ入りのせいか若干安全運転。音像も遠目で総合的に他2種には劣る


この中で特筆したいのは、ポゴレリチのショパンコンクールライヴ、ガヴリーロフEMI&DG盤、記事にも書いたバルボーザのLP、そしてマルク・ラフォレです。

ラフォレは実はかなりのテクニシャンでありながらそれを全面に出した感じではなく、やや優等生的(お坊っちゃん的?)ではありますが、格調高いというか、スマートで品のある歌心が素晴らしい(ショパン・コンクールでのスケルツォ2番での指回りや、コンチェルトの2番も素晴らしい)。コンクールではブーニンに敗れてしまい、あまり注目されていないようですが良いピアニストだと思います。ショパコン・ライヴもスタジオ盤もどちらも甲乙付け難く、強いて言えば音質や完成度を考えてスタジオ録音でしょうか。スケルツォの急速部分などではもっとスピードを出して畳みかけて欲しい箇所もありますが水準以上です。※追記:バルボーザの演奏にやや近いものを感じます。3番も録音してるのですが、入手困難のため(ヤフオクでは見かけますがちと高い)未聴です。


最後に蛇足を。2番も3番もやはりルービンシュタインは素晴らしいと思います。指の配分がよくないので和音も美しくなく、当然指も現代の技巧派と比べて回っていないのですが、それでも朴訥とした語り口が胸を打ちます。特に2番の葬送行進曲は手持ちの中でのベスト。「テクニックが衰えた大家の演奏なんて」という方も一聴をオススメします(バッハ=ブゾーニのシャコンヌも、virtuosityから最も遠い演奏だと思いますが、しみじみとした語り口が素晴らしい)。


※2012/7/16追記
今回、ひっさびさにシプリアン・カツァリスのソナタ集を聴き直してみました。あまりに久々すぎて音源の存在すら忘れていた上に、それほど興味のあるピアニストではないことから高を括っていたのですが、内容の素晴らしさにビックリしました。2番も3番も素晴らしい

よくよく聴き直してみるとそれほど良い演奏とは思えなくなってしまったので、評価を変更します。申し訳ありません!!

彼はややケレン味のあるピアニストというか、以前ラフマニノフの3番のところでも書きましたが、驚異的なテクニックを備えながらそれをサーカスの曲芸師的な聴かせ方をするところがあまり好きではありませんでした(他には例えばメフィスト・ワルツの1番など。古いLPでのリストのソナタ(最近CD化されたのを見かけた気が…)などは真っ当に正統的な感じで弾いていたのですが)。

しかし、このショパンでは(彼の演奏としては)比較的正攻法で弾いている印象です。どちらもスピード感に溢れ、テクニックのキレも凄まじい。タッチのコントロールの精密さというよりはアルゲリッチ的な閃きで音色やデュナーミクを操作してる感があり、要するにセンスだけで弾いてる感じなのですが、ショパンらしさを逸脱しておらず予想外に(失礼)感激しました。2番は☆印です。出だしからテンポが速めで、スケルツォの急速部分のキレはキーシンに次ぐものがあり、クロマチックでの上昇部分はやや軽めのタッチながら相当なスピード。オクターブ連打も快速。葬送行進曲は遅過ぎず好感を持ちましたが、音楽性というところでは他盤より秀でたところはそれほど無い印象。再現部では突如力強いフォルテを聴かせ、メリハリが聴いてます。フィナーレは独自の音を強調してて超個性的。キレも凄まじい。それに対すると3番は手持ちで上位に入る技のキレを見せつつも、2番より歌が多いだけに、音楽性でもうひとオシあれば、という感があります。肝心の終楽章ではややタメが多く、解釈なのかもしれませんが惜しいと思います。それでもスケルツォなどでお得意の内声えぐり出しを聴かせるなど、らしさ満開。ちなみに両曲ともリピートを行っています。録音状態が結構違っていて、3番の方が適度に残響があり、音の硬さときらびやかさがあって好みかも。


※2012/7/25追記
ロルティの2番を聴きました。ロルティは非常に大好きなピアニストで、彼のショパンエチュードは1・2を争うお気に入りですし、他にもベートーヴェンのソナタやリスト、ストラヴィンスキーなども良く聴いています。そんな期待大の中で聴いたのですが、やはり技巧の衰えは隠せず、思ったよりは健闘しているものの、音楽性が素晴らしく豊かなだけに本当に惜しいと思いました。あと、タッチが洗練され過ぎているというか、悪く言うと軽めで柔らかすぎるので、(3番ならよいのですが)この曲にはもう少し硬くてハリのある音を聴かせて欲しいところ。いかにもシャンドスらしい残響多めの録音のせいもあると思いますが。いずれにせよ悪かろうはずもなく、3番にも是非期待したいと思います。

※2012/7/29追記
ペルルミュテールのNimbus盤を聴きました。とりあえず2番。これはけっこうレアで、たまーにユニオンにやや高値で落ちてます。ルービンシュタイン系の演奏なので、このような演奏は2番では大変貴重だと思います。

※2012/7/30追記
クライネフのショパンのソナタ第2番のレコードを入手しました。恥ずかしながらこれは私も存在を知らなかった盤で(彼は実はラフマニノフのコンチェルト2番を出してたりと、意外に知られてないレコードがまだありそう。ちなみにこのラフ2、名演です)、喜び勇んで買いました。

krainev.jpg

これが激しい。手持ちの盤で1・2を争う激甚なタッチ、スピード、テクニック。スケルツォのオクターヴ連打からの和音で駆け上がっていく箇所の速さはキーシンやガヴリーロフ、オールソンを超えるもので、間違いなく最速。あまりに激しすぎてガヴリーロフが大人しく聴こえるほど。←これは言いすぎでした。隣りの鍵盤を引っ掛けたような箇所もありますがライヴ録音ではなさそう。入手したのはなんとフランス盤で、原盤はメロディアですがまたまた恥ずかしながらフランス盤メロディアのLPを聴くのは初めてです。これがバキバキに硬い音質で、ちょっと異常な程なのですが(今回なぜかレコード屋でフランス盤ばかりを3枚聴きました(コレクターが手放した?)が、どれもこんな音質。そういう特性なのでしょうか?)、これがまたクライネフの硬派な音色に合ってるんです。勿論、ショパンらしさは微塵も感じられず、そういう意味ではバルボーザを超えるものではありませんし、硬めな歌い方が苦手な方もいるかと思いますが、それでもこれは私的に評価は◎印です。ちなみに演奏時間は5:03/6:15/7:59/1:16で、終楽章の体感スピードとキレも手持ちで最速です。裏ジャケが当然フランス語で、浅学のため何を書いてあるのか全くわからないのですが、どうやら録音は71年以降の模様です。残念なことにクライネフは昨年亡くなっており(ちなみに奥さんはフィギュアの浅田真央の元コーチ)、このような録音が再び注目されてCD化されるのを祈ってます(このショパンやラフ2、ショスタコのコンチェルトは是非!)。



※2012/8/9追記
ナターシャ・クドリツカヤによる2009年ヴァン・クライバーン・コンクール(辻井君が優勝した年)予選でのソナタ2番を聴きました。録音のせいか細部がぼやけ気味で全体的に和音に力が入っていない安全運転な印象です。センスは悪くないと思うのですが。ちなみに彼女はセミファイナルにも進めなかったようです。


※2012/8/11追記
ようやく棚からアンドレイ・ニコルスキー盤を発掘しました。聴き直したところ大変満足できる演奏で、(これはラフ3でも感じたことですが)テクは取り立てて秀でたものはないものの、至極真っ当な解釈の下、全体的に速めのテンポで勢いに溢れ、音楽性にセンスを感じます。スケルツォも最初の跳躍で間が空くものの、半音階上昇や和音連打もかなりのスピードで、☆印にしようかと思ったのですが、緩徐部分でややテンポを落としすぎるきらいがあり、特に葬送行進曲がモタレ気味だったので自重しました。尚、ニコルスキーについてはこちらのブログが参考になると思います。


※2012/9/23追記
グリゴリー・ソコロフ、ヤヌシュ・オレイニチャクによる2番を追加しました。
ソコロフはどんな演奏か大体想像が付いたので手を出してなかったのですが(苦笑)聴いてみました。ライヴながら完成度が高いです。思ったほど粘りませんがそれでも止まりそうなルバートなど、「The ロシア的」と言いたくなる演奏。
オレイニチャクの2番は1848年製エラールを使っており、私にはピッチが低く感じられて違和感もあるものの、演奏自体は非常に音楽的で聴かせます。しかしながら、個人的に時代楽器によるショパンにはやっぱりまだまだ馴染めないという感じです(録音のせいか音色がモヤっとしてて細部がボヤケ気味)。

※2012/9/28追記
ブニアティシヴィリ盤を追加しました。先日のエントリーで詳しく書きましたが、第1印象よりはかなり楽しめる演奏に感じられました。聴き込みが浅いのに焦って書くと良くないですね。反省。


※2012/10/18追記
訂正したニコライ・ホジャイノフの2番を追加しました。確実かつ明晰なタッチで、やや生真面目な印象を受けます。デュナーミクの幅もそれほど大きくなく、勿論テクニックの破綻も過不足もなく、全体的にオーソドックス。スケルツォの第2主題や葬送行進曲のトリオでじっくり歌うところなどが個性と言えば個性かも。個人的にショパンの曲は、マクロでインテンポを保つような演奏は好みでなく、ミクロのフレーズごとにいかに自然なアゴーギクで歌うかがセンスの見せ所だと勝手に思ってますが、その観点では第2・3楽章の緩徐部分などでテンポをキープしている感があって、少し好みからは外れます(終楽章も同様で、最後までせき込むところが無く、やや静的な印象)。それでも和音の配分の美しさや前打音のずらし方が非常に上手く、響きを重視している?演奏に好感を持ちました。尚、併録のダンテソナタも同じような演奏で、ゆったりと歌う(17分台)姿勢に音楽性の豊かさを感じさせますが、こちらは曲的にもう一段のテクニックが欲しいところ(オクターヴ連打がやや重い)。


※2012/10/31追記
ポゴレリチの83年録音のFKM盤を追加しました。このような盤を紹介するのは気が引けたのですが、今年6月に再発されて入手しやすくなったこともあり、すでにラフ3でグレーゾーンなソコロフ盤を紹介していたので(苦笑)書いてみました。ややピアノの音像が遠目ですが、音質は明晰でポゴレリチの呼吸音なども拾っており、この種の録音としては驚異的に良いのではないかと思います。上でコメントした通り、2番はショパンコンクールと同じ解釈ながら完成度と細部のキレは増しており、その分手慣れた感もあって緊張感は薄まりましたが、これは十二分に☆印。ショパコンと甲乙付けがたい出来です。ただし、重低音のあからさまな強調がショパンらしくない感じは受けるので好みは分かれるかも。


※2012/11/4追記
ヤフオクで面白いものを見つけたので買ってみました。



マルク・ラフォレによる1988年の日本でのライヴ映像LDです(驚くべきことに未開封新品)。上で書いた通り、CDで手に入るソナタ2番の中ではラフォレのスタジオ録音盤が最もショパンらしい正統派の名演だと思っているので、かなり期待して聴きました。2日間のコンサートを編集してあるようです。ちなみに私はLDプレーヤーを持っていないのですが、職場にあったので休日出勤をしたときに(笑)視聴&(ICレコーダーに)録音してきました(勿論、それを見越して落札しました)。

ソナタ2番は他盤と比較すると十分に良い出来ですが、彼のショパコンやスタジオ盤と比較するとやや安全運転な印象。それでもミスは少なく、完成度・テクニックはスゴいです。映像作品の常か、音像が幾分遠目で、ピアノのコンディションも少し悪いのか、弱音のカスレが見られます。トータルでアルバム作品としての出来は素晴らしく、マズルカやバラード1・2番も好演です。どうでもいい話ですが、なぜシプリアン・カツァリスみたいな髪型にするのでしょう。。。このLDはDVD化されていないようなのですが、されていたら是非教えて下さい。


※2012/11/7追記
iTunesを整理していたら2番の広瀬悦子盤と3番のリパッティ盤を持ってることに気付いたので追加します(汗)。広瀬盤は個人的にアルゲリッチ系テクニシャンぶりを感じさせる勢いとなかなかのテクニックで表現意欲も十分ですが、その分テンポを大きく揺らすなどやり過ぎな感じ。それでも軽めのタッチで品のある歌を聴かせてます。

※2012/11/12追記
ノヴァエスのソナタ2番を聴きました。聴いてビックリ、自分がこう弾いて欲しいという箇所をほとんど理想通りに弾いてます(例えばスケルツォのオクターヴ連打でタメを入れないところとか)。勿論不満が無いわけでなく、出だしのブツブツしたタッチが気になったり、人によってはややストレート過ぎる解釈かもしれませんが個人的にはドツボです。50年代の録音で齢すでに還暦になろうかという時期の演奏ですが、素晴らしい(黄金時代のピアニストの演奏はあまり好まないのですが、これは気に入りました)。とにかく音質が悪いのが残念・・・。これはソナタ3番も聴いてみなくては。


※2012/11/14追記
サンチャゴ・ロドリゲスの1981年クライバーン・コンクールでのソナタ2番を追加します(吉祥寺のユニオンで捕獲)。ちなみにこのとき彼は銀メダルの模様。これは素晴らしい。ライヴながら非常にミスが少なく、彼らしいダイナミズムに溢れてます。解釈はストレートで技巧も闊達。スケルツォもタメが少なくスピード感抜群で爽快、葬送行進曲も粘りすぎないのがイイです。彼のラフ3ベスト5に入ろうかという名演なので期待してましたが、見事応えてくれました。録音のせいか、ややピアノの音色が平板なのが気になりますが、そのうち☆になるかも。余談ですが、爆演揃いのコンチェルトに比べて、彼のソロCDはイマイチなものもあり、ブラームスのパガニーニ変奏曲は彼にしては勢いだけが先走っており、荒くてあまり良くないかも(しかも併録のシャコンヌがブラームス編の左手ver.なのが残念)。


※2012/11/26追記
2・3番にワイセンベルク盤(EMI)を追加しました。彼のショパンで最もポピュラーな録音だと思いますが、世評がイマイチなので長いこと保留してました。今回、亡くなった後に出たリマスタリングした(?)と思われる録音を聴いてみました。2番はいかにも彼らしい機械的でザクザクしてるタッチでガンガン鳴らしており、それでいて緩徐部分は必要以上に粘るのでちょっと着いていけないです。


※2012/12/24追記
2番にセルゲイ・ラフマニノフ盤を追加。巨大なスケールで突進しつつ、ロマン的味付けの濃い演奏です。


※2013/1/25追記
エキエル盤を追加。楽譜の校訂者として有名ですが、楽譜の版の違いなのか、聴いていて引っかかるところが幾つかあります。例えば第2番の第1楽章前半の第2主題、右手オクターヴで旋律を奏でる箇所でB♭の部分をタイにせず弾き直しているのは、(流れ的に最高音で目立つということもあって)かなり違和感を覚えます。私が持っているのはパデレフスキ版で、エキエル版を持っていないため確認できないのですが・‥。単に慣れの問題だとは思うのですが、今後は徐々にこちらの版による演奏が増えていくのでしょう。


※2013/2/9追記
内田光子の1970年ショパンコンクールライヴのLPを追加。レコード屋で見つけて、こんな有名ピアニストのLPがCD化されてないはずがないと思って調べているうちに、あっという間に売れてしまったのでした。Laserlightから出ている一連のショパンコンクールCDでは優勝したオールソンのソナタの演奏などは出ているものの、彼女については結局わからずじまい。おそらくCD化されていないと思うのですが、情報をお持ちの方は是非教えてください。というわけでようやく再会を果たし、即入手。極めてデッドな近接録音といい、出だしのアルペジオの弾き方といい、後年のポゴレリチのショパコンライヴを思い起こさせる熱く激しい演奏(勿論あそこまでではありませんが)。やはり彼女はテクニシャンです。ちなみにこの時彼女は第2位で、第1位はG・オールソン、第3位がP・パレチニ。43年前にして未だ彼女が日本人過去最高位ですが、それだけのことはある熱演です。


※2013/2/14追記
エリック・ベルショ(Eric Berchot)のLPを追加。珍しいイタリア盤です。入手するまではてっきり1980年のショパンコンクールのライヴ演奏だと思っていたのですが、どうやらその後にご褒美として出されたスタジオ録音のようです。私のお気に入りのラフォレの演奏に近いものがありますが、テクと歌でそれぞれ1段劣る感じです。おそらくCD化されていないのではないでしょうか。ちなみにショパン・コンクールでは彼は第6位。その時の実況録音が海老彰子の演奏とのカップリングでレコードとして出ていますが、ソナタは収録されていません。こちらもCD化されていない模様です。
2014/12/4追記ユニオンでこのレコードのCDと思われる盤を発見。録音日が微妙だったので、日付を確認している間に買われてしまったのでした。レーベルはHMFだった気が。悪くない演奏だけに惜しいことしました。


※2013/2/15追記
Alain Bernheim(ベルンハイム、ベルナイムとも)盤のLPを追加。フランス盤ばかりを入手した時の1枚です。第1楽章やスケルツォでの和音連打、オクターヴはなかなかの突進が聴けますが、全体的に荒っぽいです。録音のせいか線が太く、どことなく3番でのフー・ツォンの演奏を思い起こします。例によってCD化されていないと思います。話は変わりますが、フランスのレコードはどれもこんなに音が硬いのでしょうか。バキバキしていてこの曲には合ってるかなとも思いますが、非常に特徴的だと感じました。ふと、フルトヴェングラーのバイロイト第9のレコードで最も音質が良いのはフランスプレス(FALP)だという話を思い出しました。MYTHOSとかDELTAなどの盤起こしを持っているのですが、1度オリジナルで聴いてみたいです(高すぎますが)。


※2013/3/11追記
清水和音のRCA盤LPを追加。いやはや、第1楽章の3度4度上昇や、スケルツォのオクターヴ連打、クロマチックでの上昇部分のキレ、終楽章のスピード感などは手持ちで十指に入ろうかという演奏です。ソナタの演奏に限っては、内田光子や横山幸雄のテクニックを上回るのではないでしょうか。荒削りながら突進という言葉が似合います(スケルツォの跳躍部分などでわずかに弾き損じなども聴かれます)。ただし、センスのまま弾いた感があり、細部まで推敲されておらず、突然の加速や減速に加え音楽性の点でかなり疑問符が付きます(例えば、冒頭のアルペジオの弾き方などはなんと言うかヘンで、手持ちの60数種の中で最もズッコケる部類でした)。また、音色の変化という点でも一本調子な印象(日本人で言うと及川、横山盤と同じ印象)。ところで、このレコードもCD化されているかどうか(リアルタイム世代ではない私には)分かっていません。デ・ワールのリストのLP同様「デジタル」と書かれているのでいかにもCDになってそうですが・‥。ちなみにCD化されているかどうかは、いつも私はまずグーグルで調べ、アマゾンで調べ、HMVで調べ、東京都の図書館のCD(非常に古い物のデータが残っている場合がある)を検索し、最後はCDジャーナルで検索をかけてますが、それでもこれは出てきませんでした。同じRCAから出ている幻想即興曲のレコードはCD化されているのですが、このソナタは不明です。彼は80年代の途中でRCAからソニーにレーベルを変えた?ようなので、それも関係しているのかもしれませんが。※2014/12/04追記久々に聴き直してみましたが、随分と印象が違います。まず、技のキレが凄い。スケルツォなどの難所でのインテンポ感がハンパないです。宇宙人キーシンは別格として、確信的なタッチはポゴレリチ、スルタノフ、ガヴリーロフ、ブニアティシヴィリ等々の強面陣にも負けていません。五指に入るかも、は言い過ぎかもしれませんが、上位入賞は間違いないです。そして、やや濃ゆい味付けですが歌い方もそれほど違和感なく聴けました。レコードのジャケを見ると、幻想即興曲のLPだけはCD化されている模様ですが、この盤はやはりCD化されていないようです。彼の再録音は未聴ですが、興味が出てきました。



※2013/3/26追記
ゲキチ盤、梯剛之盤を追加。ゲキチ盤はかなりのレア?盤で、3番に続いて長いこと探してたのですが、ようやくget。しかも、1度に2つも見つけてこれが音盤道なのでしょう(笑)3番同様、部分的な技のキレが凄いですが、とにかく粘ったり止まったり急いたり内声出しまくり、クセがありまくりで苦手な人も多いでしょう。私はギリギリ有りかなという感じ。
梯盤は予想外にロマンティックな感じで正直ビックリ。2000年ショパコン時にNHKが放送したドキュメントでは薄味でサッパリな演奏だったような(とても曖昧な)記憶があったので驚きました。オクターヴ連打や3度4度の和音連打も結構巧い。跳躍部分で間が空くなど惜しい面も。なかなか歌のセンスがあって聴かせるのですが、曲を通して落ち着いて聴ける解釈という感じではないです。録音日時を見るとライヴではないようですが、一部弾き損じ気味だったり荒い箇所があったり(勢いがあるので個人的には好ましく感じましたが)、複数のコンサートからの編集盤なのかもしれません(第1→2楽章がやたらとアタッカだし)。


※2013/6/8追記
何かと気になるピアニスト、エドナ・スターン盤を追加。プレイエルによる演奏です。彼女はシャコンヌの盤で知ったのですが、その柔らかな音色と繊細なタッチ、語り口に魅了されたのでした(ブゾーニのシャコンヌのほうはまずまずでしたが、ルッツ編のブゾーニはちょっと安っぽい映画音楽的な音使いがあるものの、非常に面白く聴きました)。さて、このショパンの2番ですが、出だしからプレイエルの音色とやはりピッチが気になります。歌の上手さに感心するところもあるのですが、なかなかピリオド楽器の演奏には馴染めません・‥。


※2013/9/17追記
サンソン・フワンソワ盤を追加。あまり聴かない昔のピアニストなので聴かず嫌いをしてましたが、どうしてどうして大変良い演奏です。とにかく歌のセンスが良く、かと言ってこの曲に必要な力強さも欠けておらず、随所で効果的な低音の強調が聴けます。葬送行進曲も粘らずスッキリしているのは好みが分かれると思いますが、個人的には好ましい。テクの弱さも許容範囲内で、スケルツォの例の上昇部分が軽いタッチなのは頂けませんが、他はまずまず。◎にしようかなと思ったのですが、終楽章のモタツキ加減(技術的な問題でなく、解釈かも?)がかつてないほど気になったので、○です。とっても惜しい。

※2014/1/3追記
オルガ・ケルン盤を追加。もどかしく野暮ったくなるギリギリのところで丁寧かつ誠実な演奏。音色も綺麗。葬送行進曲は10分以上かかってて苦手なタイプの遅さですが、まずまず聴かせます。全体的に面白みにはかけるかもしれません。

※2014/2/24追記
ホロヴィッツの1950年スタジオ録音盤を追加。62年の演奏より技巧は闊達でスケルツォの例の部分もなかなか軽快ですが、所々重めでモッサリしてるところも有ります。歌もまずまずで録音は年代を考えると良いほう。しかし、彼としては意外なほどオーソドックスで真面目。スケルトン的な音色や重低音もそれほど見られず、面白味には欠けるかも。


※2014/5/12追記
エル=バシャ盤を追加。かなり昔、エルバシャのショパン全集が販売元の値付けミスでアマゾンに5ドル位?で売りに出て、ネットで話題になったことがありました。当時抜け目なく注文したのにキャンセルになってしまって以来、中古で見かけても悔しくてスルーしてたのですが(苦笑)、分売で300円で見つけたのでさすがに手を出しました。kyushimaさんのレビュー通り細部まで丁寧でインテンポ、名盤プロコの初期作品集で見せた冷静かつ緻密な演奏です。とにかく音色がべらぼうに綺麗!(Forlaneはいつも好録音)。冷静沈着かつどこまでも明晰なタッチで、はっきり言ってショパンらしくないですが、この曲が好きな方は聴き逃せないです。

※2014/12/4追記
2番は随分と間が空いてしまいました。佐藤卓史盤を追加。彼の2番を聴くのは初めてですが、予想通り昔のウイスキーのCMみたいなショパンです。技巧は標準的ですが、歌心がもうひとつ。何より、今時風呂場のような残響ジャブジャブの録音が頂けません。

※2015/1/4追記
タマーシュ・ヴァーシャーリ盤をサルベージ。1963年の録音とは思えないほど良く、さすがDG。第1楽章の展開部や第2楽章の例のオクターヴ連打でもあまりたたみかけることはせず、第3楽章でも、なんというかイケメンが無理して真剣に弾いてる感じがして、格調は高いのですが切迫感はあまり感じられません(実際にジャケ写真は俳優のような美男子)。路線としてはラフォレに似てる感じですが、あれよりもキレで劣る感じ。


※2015/1/11追記
ウラディーミル・アシュケナージ盤(英デッカLONDON,1979年録音)を追加。家人のCD。持ってるのに、両人とも忘れていたのところがアシュケナージの存在感ゆえか。どこの誰でも持ってて知ってる演奏だけど、おマニアの方できちんと彼を評価している(というか聴いている)人は少ないんではなかろうか。クラシック界のコンビニエンスなお方なわけだが、以前紹介したとおり、私は結構好感を持っている(ちなみに、廃盤〜シリーズでこの記事だけ未だに拍手がもらえていない。みんなそんなにアシュケナージが嫌い?)。・・・脱線したが、この演奏、まずテクが良い。アシュケナージだから当たり前なんだけど、なんだかんだやっぱり凄い。第1楽章のオクターヴで上がるヤツはちょっと間が空くもののスケルツォもかなり攻めてるし、歌だって悪くない。勿論デッカだから録音優秀、音色もいい。EMIは所属ピアニストに謝罪すべきだ。手が小さいと言われているせいか、和音がちょっとパシャりと美しくないのが気になるが(冒頭のアルペジオも変)、葬送行進曲も綺麗だし、解釈も正統的かつ自然で、突っ込みどころが無い。終楽章の精密さなんて相当上位だ。おそらく世間はこの「あまりにフツーなショパン」が面白くないんだろうけど、ライナーノーツで宇野コーホー先生が絶賛してるし、正規・非正規合わせて100種以上聴いてる私の愚耳でも、これはかなり良い演奏の方に入るだろう。以前紹介したライヴ盤が真っ赤に燃えてる炎ならば、これは青白いが実は超高温で燃えてる恒星の最後の輝きだ。ぜひみんな騙されたと思って1度きちっと聴き直してみて欲しい。・・・って、なんだかまたアシュケナージに熱くなっちゃったけど、今を去ること○年前、某音大ピアノ科の女性達と銀座で合コンした時、その場に居た女性全員がショパンのソナタのCDはアシュケナージしか持っていないと言っていたのをふと思い出した。彼女たちは正しかったのだと、当時「バルボーザってピアニストがすごいんだよ!」と力説した私に伝えたい。


※2015/1/18追記
ハワード・シェリー盤を追加。シャンドスに入れた3番はお気に入りになったので、2番も気になっていましたが見あたらなかったところ、なぜかビクターの廉価盤?のCDで捕獲。ブックレットその他には録音年も何もなし。どうやら色々なレーベルから形を変えて出ているようです。録音は91年以前(40歳頃?)の模様。これが稀に見る(聴く)好録音で、極めて明晰で芯の詰まったピアノの音を聴かせてます。似てるのはオフチニコフのリスト超絶とか、ベレゾフスキーのテルデックから出したロシア集とか、エルバシャの初期プロコ集みたいな、ピアノの音色が金属的に聞こえるか否かのギリギリの音質です。解釈は3番で感じた草食系の歌上手ということもなく、適度に力強い実に自然な印象。テクも特に不満を感じないレベルで、似てる路線としては2番でお気に入りのラフォレのスタジオ盤なのですが、あれには1歩弱及ばない感じ。とにかく録音がある意味スゴすぎて、ショパン的を通り越してゴージャスなリスト的になってしまっているという、珍しい演奏です。


※2015/2/14追記
エマニュエル・アックス盤を追加。出だしからこれ以上ないほど勿体ぶり、これでもかとテンコ盛りに歌う。濃いです。歌は下手ではない。むしろ上手い。しかし、音色の引き出しは少なめ。第1・2楽章のオクターヴ連打や急速部分はごまかしがなく丁寧ですが、無骨な感じ。何よりも、全編で現れる本人のうなり声「ダダダダダッッ」などがとても気になります。グールドには我慢できる私も、ちょっと我慢できないです。


※2015/9/13追記
シモン・トルプチェスキ盤を追加。「年内には2番も100種類に到達する」と宣言したのに、サボりまくりでまだ80数種。慌てて更新していかないと。で、例によって彼の演奏はラフマニノフの3番くらいしか知りませんが、予想通りテクも有って音も綺麗に鳴らしており、文句をあまり付けるところがありません。スケルツォ部分の半音階部分も中々の迫力。しかーし第1・2楽章で所々テンポが落とし気味になってる箇所が若干気になります。緩徐部分も、個人的な好みからすると第3楽章のトリオなどテンポを落とし過ぎ(10:17もかけてる)。


※2015/9/14追記
ミハイル・ルディ盤を追加。彼もラフ3での線が細く優等生ながらしっかりした技巧が印象に残っています。センスがあるというよりは筋が良く上品に歌いますが、第1楽章第1主題での盛り上がるここぞというところでタメを入れたり、ちょっと欲求不満が溜まります。和音が綺麗で葬送行進曲などは聴かせていますし、全体としてなかなか良い演奏ですが、出だしからの印象がよくないため△です。


※2015/9/15追記
頑張って3日連続更新中。アルトゥール・ピサロ盤を追加。ソナタ3番では持ち前のテクニックを出し惜しみして最後の最後で爆発させるという謙虚さでしたが、この2番は曲想ゆえか出だしから高度な技巧が全開で、タッチのキレ、スピード感ともに申し分ありません。スケルツォでも苦しさを感じさせず技巧の余裕を見せる演奏は久しぶり(跳躍でのタメが若干惜しいが・・・)。ラフ3でも感じましたが、緩徐部分でのモタレ気味な歌い方がイマイチ。第2楽章など急速部分との落差が大きく、そして案の定葬送行進曲は歌のセンスがあるわけでもないのに(失礼)テンポを落とし過ぎ。例によって何気なく聴いていた嫁も「遅すぎる!」・・・好みが一緒。というわけで、第2楽章途中までは◎ですが、それ以降は△で、トータル○です。路線とはしてはキーシンに似ているでしょうか。終楽章などかなりの技の冴えを見せており、こういう「キレだけが取り柄」な演奏を聴くと、ルービンシュタインの語り口がいかに凄いかよくわかります(口直しに聴きたくなる)。ストレートに弾いてくれればずっと良かったのですが。


※2015/9/16追記
ヴィルヘルム・バックハウス盤を追加。1950年の録音で、相当衰えてるかと思いきやそれほどでもありません。モタつく所は多々あるものの、意外に聴けます。解釈は素っ気なく、ピサロ盤に続けて聴くと変にこねくり回してない分、サッパリとした葬送行進曲など好感が持てます。スケルツォなどでも普通の演奏なら噛み締めるように勿体ぶる箇所で音質はやはり悪く、コモり気味です。4日連続更新はおそらく自己新記録。ようやく90種に到達しました。

※2015/9/20追記
ウォルフラム・シュミット=レオナルディ盤を追加。彼を取り上げるのはラフマニノフのピアノ協奏曲「5」 番以来かな。テクも歌もまずまずで、標準的な解釈。歌はそれほど巧みではない印象(葬送行進曲は9:25ほどで、個人的な好みではこれでもまだ少し遅い)。スピード感がないわけではありませんが、スケルツォなどの急速部分でもうヒトオシの技巧が欲しいところ。全体的にオーソドックスの代表元に選べそうです。


※2015/10/10追記
Roland Keller盤(LP)を追加。全然知らないピアニストですが、1949年生まれシュトゥットガルト出身で、よく知らないコンクールでの優勝歴があるようです。このショパン集のレコードは1978年録音で、ソナタ2番の他には幻想ポロネーズ、即興曲等が収録されています。

keller.jpg

私の試聴をクリア(笑)した1枚で、第1楽章・2楽章の勢い溢れる演奏を聴いてこれはひょっとして、、、と買い求めたものです。出だしから気合い十分で、とにかく150km前後のストレートを投げ続けているという印象。実はタッチが荒っぽく、技巧はそれほど洗練されていないのですが、「ここを全速力で駆け抜けてくれないかなぁ」という箇所で突っ走ってくれている希有な演奏です。幻想ポロネーズや即興曲も「ここで走るか」という良い意味での意外性に溢れており、非常に面白い。これだからマイナーレコード漁りは止められません(有名な人なのかもしれませんが)。久々に☆を付けようかと思いましたが、ちょっと録音が安っぽいので涙を飲んで二重丸です。


※2016/6/7追記
内田光子盤(東芝EMILP)を追加。

※2016/6/12追記
ピエトロ・デ・マリア盤を追加。3番に続いてこちらも名演です。抜群のテクニックというわけではなく、タッチの巧みさは3番ほど目立たないものの、やはり歌のセンスが凄い。特に葬送行進曲は出色の出来で、この楽章に10分30秒以上もかけており、シリアスな表現の中にも滋味に富んだ味わいがあって、なんだかベテランピアニストの演奏のようです。もう更新が止まってしまって久しいですが、以前。kyushimaさんがデ・マリアについて書かれていたのを思い出しましたが、非常に歌心のあるピアニストのようです。ショパンのエチュードやバラードも少し試聴してみたのですが、どうやらかなり良さそうです(Op.10-1,10-4ではやはり繋ぎ目が見えますが)。


※2016/6/18追記
エレーヌ・グリモー盤を追加。今までなんとなくビジュアル路線なのかなぁと思っていて、さらにはオオカミと暮らしてるとか、評判から敬遠してたピアニストなのですが、ちゃんと聴くといやいやどうしてすごく良い演奏。表現はシリアスかつ切迫感あるタイプの演奏で、全体的に攻めのみの一本調子な感はあるものの惹き込まれます。葬送行進曲も前打音が時折子どもっぽかったりするのですが、マーチ部分の表現力がスゴい。デ・マリアの味わい深い路線とは違い、寂寥感の中を慟哭に打ち震えながら歩いて行く感じ。トリオ部分では音色がやはり単色なのが気になります。また、細部でトリルの入れ方が雑だったり、和音の響きがイマイチだったり(スケルツォのところ)、終楽章のスピード不足など、色々惜しいので○です。

チョ・ソンジン盤を追加。我ながらyoutubeで観た(聴いた)時と全く印象は同じ。コンクールでおそらく本当に満点だったのではないかと思わせる技巧・表現力の高さは間違いないのですが、私がコンクールで聴きたいのは20勝ピッチャーの打たせて取る完封劇なんぞではなく、ポゴレリチのように、ミスはあっても全身全霊で自己の内面をその場にいる全員にブチまけて自らの存在意義を問うような演奏なのです。でも、上手いよなァ・・・コレ。葬送行進曲とかひれ伏したくなる完成度。というわけで、○印は変わらないのですが、一抹の不安は、クラシックサイトNo.1を運営され陰ながら尊敬している加藤幸弘さんがCDとハイレゾを聴き比べてハイレゾ盤を大絶賛していることです。加藤さんも初めは私と同じ印象をお持ちだった様子なのですが、ハイレゾで評価が一変したとのこと。いつか聴いてみなければ。ハイレゾ環境にあるのですがしかし、ハイレゾでは他にも優先して入手したいものはあるわけで。。


※2016/7/9追記
フランソワ=ルネ・デュシャーブル盤を追加。テクニシャンゆえに第1楽章第1主題のスピードを期待していたのですが、なんともマイペース。理性的に歩みます。頻発する和音が多少汚いのが気になります(この楽章のみ)。第2楽章は持ち前のテクがいい感じです。歌もなかなか良い。葬送行進曲も聴かせますが、腰高な音色(録音)で損をしているかも。どことなくペラペラ感があります。トリオも音色が奇麗なもののややかったるい印象。マーチの再現部分では何故かスゴい迫力で戻ってきて、徐々に静謐になっていくのがちょっと違和感。終楽章は彼らしさ全開の流麗な演奏。とにかく出だしの第1楽章が惜しいのと、細部で自分の好みと合わない感じです。


※2016/8/6追記
リチャード・ティリング盤を追加。残響ほとんど無しの超デッドな録音に加え、「フォルテ以上しか出せないのか」と思うほどブッとくバキバキの演奏です。トンカチで鍵盤を叩いてるかのようで、ミスも多々あります。極太の黒マジックで年賀状の郵便番号を書いているような感じ。これが許せる人はかなり許容範囲の広い人でしょう。



※2016/8/17追記
アルチアン・パパジャン盤を追加。セルゲイ・ババヤンみたいな名前と風貌なのは知っていましたが、初めて聴くピアニスト。1980年ショパンコンクールライヴ。ポゴレリチが落選してダン・タイ・ソンが優勝したときの3位だけあって(?)、非常にテクニックのレベルが高いです(現在の技巧派と遜色無い感じ)。出だしでちょっとミスが相次いでいるので先行き不安になるのですが、その後はどうしてどうして持ち直すどころかスケルツォも結構なスピードで攻めているので、単に緊張していたのでしょう。葬送行進曲も聴かせます。B面の前奏曲や舟歌、マズルカなどもややミスはありますが気持ちのこもった良い演奏。バッハのパルティータ第6番とベートーヴェン後期ソナタのポーランド盤LPを見つけたので、聴いてみようかなと思います(ショパンソナタ第2番等のLPがebayに出ていますが、これもポーランド盤のようなので、ショパンコンライヴと同一音源の可能性があり、手を出せません)。ちなみに、wikiなどでは「Papazyan」と表記されていますが、LPでの表記はPapazjanで、ebayやAmazpnでもこちらの方で引っかかるようです。


※2016/8/20追記
カティア・スカナヴィ(Skanavi)盤を追加。読者の方にコメント欄で薦めて頂いたものをようやくget。youtubeですでに良さそうなのはわかっていましたが、期待を大きく上回る名演!まずテクが優秀。ユジャ・ワンやブニアティシヴィリほどではありませんが、技巧派と呼んでも差し支えないレベル。何より、第1楽章から相当なスピードでガンガン攻めまくる姿は女版ラツィックといった感すらあります。スケルツォも同様の勢いに溢れており、しかもテクも十分。和音連打や半音階での上昇部分など凄まじい迫力!みなぎる緊張感もスゴい。緩徐部分はテンポを落とし気味でややあざとく感じる方もいるかもしれないのですが、私的にギリギリ許容範囲。葬送行進曲も8:52で遅すぎない好みのテンポ!最終楽章はまさしくsotto voceなのですが、個人的にはもう少し表情を付けてもよかったかも。トータルではCD盤として久々の☆です。ちなみに、他の曲もテクを見せつつ女性らしく華やかでしなやかな演奏。アンダンテスピアナートと華麗なる大ポロネーズはファヴル=カーン盤が最高の名演だと思っていたのですが、それに次ぐ地位を占めそうです(テクでは彼女を上回っています)。録音も、Pro Pianoだけあって、残響多めながら明晰で音の密度が濃く、若干モノクロームですが凛としていて素晴らしい(ただし、ソナタ2番はデカい音が出る曲想のせいか反響音で音像が濁りがち)。というわけでこのCD、記念すべき第2番の100種目に相応しく、好演揃いで大変オススメです!



※2016/11/20追記
ヤン・シモン盤を追加。随分前にデータだけ取り込んだこの盤をライヴラリの中から再発見(文京区の図書館から借りたヤツかな?)。ポゴレリチのショパコンライヴを思い起こさせるような、キレと凄みが少しあります。録音が軽いのがちょっと惜しい。聴き込み次第で評価は上がりそうな盤です。


※2017/1/31追記
ロール・ファヴル-カーン盤を追加。

※2017/7/13追記
ユリアン・フォン・カーロイ盤を追加。

※2017/12/30追記
セシル・ウーセ盤(LP)を追加。

※2018/1/7追記
ポリーニ盤(LIVE CLASSICS 100番)を追加

※2018/6/24追記
小林愛美盤(ショパンコンクール2015ライヴ)を追加


長くなりましたが、随時更新していきたいと思います(時とともに評価を変えるかもしれません)。
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最近聴いている音楽 vol.79 ~神が降りてきた演奏~
2018-06-24-Sun  CATEGORY: 雑多な話題
神が降りてくる、などと簡単に使ってはいけないのかもしれない。


解釈・再現芸術であるクラシックでは、譜面の創造主である作曲者と、その解釈と再現者である演奏者、そして演奏会においてはそれらを目撃する観客が居て音楽が成立するわけだが、これまで「神が降りてくる」ような演奏にはお目にかかったことがなかった。


「神がかった」演奏なら幾つかある。例えば、有名なロマノフスキのブゾーニ・コンクールのガラ・コンサートライヴ。あの冒頭のバッハ=ブゾーニのコラールは神がかってるとしか思えない(まぁあのアルバム全体が神がかっているが)。「神が降りてくる」とのニュアンスの(私なりの)違いは、演奏者にそれだけに相応しい実力や底力が備わっている、という感じだろうか。


その意味で私は、「神が降りてくる」演奏を、演奏者が己の実力(特に、純粋にメカニカル面でのテクニック)を遥かに超えて、作曲者・観客との声無き対話の中で崇高で感動的な演奏を行うこと、と定義したい。ロックやジャズなら「ヘタウマ」がある程度許容されるジャンルであるので、ライヴの熱っぽさやその他の要因でそのような奇跡が起きるのも珍しいことではない。

例えばジミヘンのライヴは、現代のギタリストのレベルからするとフィンガリングやピッキングの面でかなり正確さに欠けるのは否めない(それが彼独特の味のあるグルーヴに繋がっており、「巧い」ことは勿論わかっているのだが今したいのはその話ではない)。けれども、彼のライヴではしょっちゅう神が降りて来ているような気が私にはする。マイルスも、指があんまり回らないペッターであることは明らかだが、よく言われるように彼はミストーンすら美しいし、もはや言語化できない宗教的なまでのカリスマ感が時折演奏に漂っている(それが彼の超人的な実力なのだ、と言われればそれまでなのだが)。あるいはレディオヘッドのトム・ヨークのCreepの弾き語りライヴ。神は努力する者に微笑むらしく、学生時代何度も足を運んだライヴハウスでも、アマチュアのロックバンドの演奏にも何度か神が降りてくることがあった。恥ずかしながら私自身にも、能力を超えたギターソロを弾けたことがあって(残念ながらスタジオでのリハーサルでだったが)、その「最高到達点」を運よく録音していたのは幸運だった。


前置きが長くなったが、クラシックの話である。他のジャンルよりも技術が多くを占めるこの音楽の中で、「神がかっている」演奏はあり得ても、「神が降りてくる」演奏はないのではないかと思っていた。今回ご紹介するのは、私が遭遇した、その意味で稀な演奏である。


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小林愛実、ショパンコンクール2015のライヴである。これについては当時感想を書いていて、その時すでに「神が降りてくる」演奏と評していた。けれどもyoutubeの動画であるし、何度も繰り返し聴いたわけではないので確定的な評価を下していたわけではなかった。いつかCDをきちんと入手して聴き込もうと思っていたが、この度ようやくユニオンでget。

映像なしで何度も聴くと、テクニックの粗が気になる。冒頭のノクターンはまだしも、エチュード10-4、25-5はかなりキツい。明らかなミスというよりは、音が鳴りきっていないところや、拍が飛ぶようなリズム感の悪さ、和音連打でスムーズでないところが散見される。バラード1番も重音部分のぎこちなさが気になる。youtubeで見たソナタ第2番の第1・2楽章も同様である。彼女が技巧派ではなく、音楽性で聴かせるタイプなのだろうとここまでの演奏で理解しているのだが、弾き損じは少な目なものの音が幾分ひ弱で、テクニック面では他の出場者(例えばR-アムランやチョ・ソンジン)に比べてかなり見劣りする感が否めない。ところが、である。

以前書いたように、第3楽章は出だしから何かそれまでとは違った雰囲気が漂っている。コンクールの張り詰めた緊張感と、教会での祈りにも似た静謐さの、ちょうど境目のような感じだ。そこで彼女は何かにとり憑かれたかのように弾き進める。スポーツのアスリートで言うなら「ゾーン」に入ったという感じだろうか。技術的には前の2楽章より困難はなく、音楽性に秀でる彼女向きの楽章だろうとは思うのだが、些かの迷いもなく演奏は進んでいく。ついでに言うならオーディエンスノイズも大きなものは一カ所を除いてほぼ皆無だ(観ている者にも何かが起きるという予感があったのだろうか)。

そして再現部、5:30辺りを過ぎた頃からそれは起き始める。6:30、神が降りている。ここでの彼女の凛としたピアノの音色は、美しいとか儚いとか切ないとかそういった形容詞がもはやあてられないほどに心に響く。録音も素晴らしい(この回のショパコンは総じて録音が良い)。是非、実際のピアノの音量位の大ヴォリュームで「降臨」を目の当たりにして頂きたい。ちなみに私が常々主張している「第3楽章は8分台前半~半ばが理想」説だが、この演奏は弾き終わりが8:18位である。この演奏を聴くと、速いとか遅いとかそういった要求が一切頭をよぎらないので、その意味でもまた自説を支持したくなる(勿論、個人的な好みだが)。

アルバム全体としては、個人的に△の評価になってしまう。けれどもこのソナタ2番第3楽章の演奏は、「神が降りてきた」と言いたくなるような、何か超然とした魅力がある。小さい頃から天才少女と注目され、様々なプレッシャーがあったであろうことは想像に難くない。天才と言えども人知れず数えきれない努力を重ねたことだろう。この演奏は、ショパンコンクールという大舞台にまで昇りつめたそんな彼女への、神様からのご褒美だったのかもしれない。コンクールの結果はどうであれ、私の知る100種の中で第3楽章に関してはこの演奏が理想を超える最高のもののひとつである。
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ショパン・ピアノソナタ第3番聴き比べ~ 2018/6/23更新
2018-06-23-Sat  CATEGORY: ショパン・ピアノソナタ第3番聴き比べ
ソナタ3番の更新箇所:
シェフチェンコ盤、トリフォノフ(ショパンコンクール2015ライヴ)を追加(6/23)
ヴェレッド盤(LP)を追加(5/20)
ポリーニ盤(LIVE CLASSICS 100)を追加(1/7)
A.di Bonaventura盤を追加(2018/1/6)
S.M.Chung盤を追加(12/21)
リシャール-アムラン盤(ショパンコンクール2015ライヴ)を追加(12/16)
カーロイ盤を追加(6/17)
ヴンダー盤(ショパコン)を追加(5/19)
スルタノフ盤を追加(1/17)
ギルハム盤を追加(2017/1/3)
ハフ盤を追加(12/30)
オボーリン盤を追加(11/20)
ペロッタ盤を追加(8/6)
デュシャーブル盤を追加(7/9)
ピエトロ・デ・マリア盤を追加(6/11)
内田光子盤(東芝EMILP)を追加(2016/6/7)
リシャール=アムラン盤を追加(12/23)
シェバノワ盤(LP)を追加(10/10)
田中修二盤(LP)を追加(9/7)
神谷郁代盤(LP)を追加(3/27)
仲道郁代盤を追加(2/4)
スレンチェンスカ盤、ランコヴァ盤、青柳盤、ケイティン盤、ルケシーニ盤、ソンバル盤を追加(1/26)
ビレット盤、ラヴァル盤、フォーク盤、ピサロ盤を追加(1/24)
ポミエ盤を追加(1/21)
アニエヴァス盤を追加(1/19)
アシュケナージ盤(LONDON、1992年、1976年)を追加(1/11)
ヴァーシャーリ盤(DG)を追加(2015/1/4)
ウーセ盤、バレンボイム盤を追加(12/14)
ヘーレンリーダー盤を追加(12/11)
コラール盤を追加(12/7)
フリッター盤を追加(12/4)
佐藤卓史盤(再録音)を追加(12/4)
ヤブウォンスキ新盤を追加(8/9)
ロルティ盤を追加(8/5)
辻井盤(ショパンコンクール)を追加(3/16)
カッチェン盤を追加(2/25)
スルタノフ盤、ユンディ・リ盤を追加(2014/1/2)
スワン盤を追加(11/20)
フランソワ盤、チェルカスキー盤を追加(9/23)
シェリー盤を追加(9/18)
ツィメルマン盤を追加(8/17)
ヴラダー盤を追加(6/8)
ネボルシン盤を追加(5/23)
清水和音盤(LP)を追加(3/12)
ノヴァエス盤を追加(1/26)
エキエル盤を追加(1/25)
ラフォレ盤を追加(2013/1/18)
ヴァーシャリ盤(Hungaroton)を追加(12/24)
ピリス盤を追加(11/30)
メジューエワ盤を追加(11/27)
ワイセンベルク盤(EMI)を追加(11/26)
及川浩治盤を追加(11/14)
リパッティ盤を追加(11/7)
ポゴレリチ盤(FKM)を追加(10/31)
ヴォロディン盤、ホジャイノフボジャノフ盤を追加(9/23)
デミジェンコ盤(Onyx盤)を追加(8/7)
ワイセンベルク盤(1972年シュヴェツィンゲン音楽祭)を追加(8/4)
ルガンスキー盤を追加(8/4)
ペルルミュテール盤を追加(8/1)
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先日、「ショパンのソナタのベストは?」などという無謀な記事を書いたので、思いきって所有しているショパンのソナタ2番・3番の音源をすべて比較してみました。2カ月くらいかけてほとんどの盤を聴き直したのですが(しばらくショパンはお腹いっぱい)、以前バルボーザの記事を書いた時には忘れていた好盤や、「そこまでよくなかったな」という盤も出てきました(ですので、バルボーザの記事の時より評価が下がってる盤もあります)。あくまで個人的な主観の感想ということで参考にして頂ければ幸いです。☆◎○△×の5段階で簡単なコメントを書きます。聞き直した盤などは随時更新していきたいと思います(2012/6/26初出)。


3番(122種)
ポリーニ:△ これまた教科書的。曲のせいか2番より歌のセンスの無さが際立つ
アルゲリッチ:△ キレがあるがヒステリックでテンポが激しく揺れ曲想とマッチせず
アムラン:○ 2番より彼向きで終楽章の粒の揃いなど素晴らしいがやはり歌がイマイチ
デミジェンコ(hyperion盤):○ 孤高の詩人だが少し考えすぎのポエムになってる
ドミトリエフ:◎ 極めて詩情溢れるがテクがイマイチ。音場が狭く息苦しい
ボジャノフ(2010年エリコン):△ 悪くない。ツボは押さえてるが光るものが欲しい
Alex・スロボヂャニク:△ アレクサンドルjr。終楽章をpで始めるなど内向的
オールソン(ショパコンライヴ):△ まずまず悪くないが音が悪い
オールソン(アラベスク盤):○ 録音が残響多めでよくないがテクはかなりいい
キーシン:○ テクが冴え力強く明晰だが歌が微妙
佐藤卓史(自主制作盤):○ 端正でサッパリ真面目。詩情があれば良いのだが
アンスネス:◎ 2番同様万人に薦められる。バランスの良い名演
ダン・タイソン(CD):△ 音色が素晴らしく綺麗だがタメが多く勿体付け過ぎ
エーデルマン(RCA盤):◎ 細部まで丁寧でしかも十二分にロマンチック
エーデルマン(Exton盤):△ 哀しいことに老いによる技巧の衰えは隠せない
内田光子:◎ 読みが深い。終楽章はスタッカート気味が好みでないがテク良し
メルレ:○ 某ネットshopのイチオシで抒情性があり悪くないが終楽章がキレ不足
グールド:◎ ある意味変態的な解釈で万人に推せないが面白い。終楽章が手に汗握る
ゲルナー:○ 中庸の極み。全科目平均点以上で強いて言えば力強さが欲しい
ヴンダー:△ かなりテンポが遅い。その分ロマンチックだが解釈・表現は普通
ブレハッチ(ショパコン):○ 美音かつセンスに溢れるが終楽章がタメすぎ
フリッター(ショパコン): 表現意欲があり手慣れた感じだが弾き飛ばすような粗さもで実に音楽的
ブーニン(ショパコン):△ タッチが非常に力強い反面やや一本調子。ややミスも
ブーニン:※ ショパン名曲100という6枚組CDに収録されてるのはティエンポの演奏
ティエンポ:△ 技のキレはあるがアゴーギクが相当に自由気ままでアルゲリッチ的
ルービンシュタイン:◎ 改めて聴いてもやはり素晴らしいとしか言いようがない
フレイレ:△ 細部まで丁寧だがフォルテが弱く演奏に覇気がない。録音もイマイチ
ラン・ラン:△ 意外に軽め。爆演を期待すると拍子抜けする。実演も同様だった
小山実稚恵:○ 技術的に整っていて力強く音も輝かしい。表現の深さをもう一押し
トゥルーリ:○ 2番より合っており歌い方もスッと入ってくる。テクではやや物足りず
シフラ:△ 歌心はまずまずだが終楽章がボロボロ。つなぎ目?を感じる箇所も
横山幸雄:○ 急速部分が流麗。歌もまずまず。いかにも技巧派の日本人的演奏
松本和将:○ 2番より彼向きだがやはりスタジオ録音で完成度を高めて欲しかった
トリフォノフ:○ テクに詩情や表現力もあるが説得力はいまひとつ。まだ青い
ヤブウォンスキ:◎ 技の精緻さでは1・2を争う。整い過ぎて歌が硬めだが好盤
ユンディ・リ:△ 2番同様テクは精密だが歌がダメ。終楽章冒頭はpで違和感
ゲキチ:○ テンポ遅めで抒情的。ナヨッとしてるが部分的に異常なキレ。不思議な演奏
ドンヒョク:○ 模範的解釈でテクもあるがまだ若い。実演の方が活き活きしてた
ペライア:○ 細部までカッチリ弾いてるがややテンポが遅くもう少し推進力が欲しい
プレトニョフ:○ 細部へのコダワリでは1・2を争う。しかし反面イマイチ流れが悪い
カツァリス:2番同様素晴らしい。抜群のキレで内声の強調の仕方に新たな発見が
アルゲリッチ(65年EMI):○ エンジニアが「後年のDGのよりも我々の方が良い」
カペル:△ 指回りが良く勢いがある。全体的に悪くないがヒステリック。録音も悪い
マガロフ:△ 2番と同様の印象だが細かい音型が多い分キレの無さが余計に目立つ
園田高弘:○ 2番より彼向きで折り目正しい。キレはあまり無いがFinaleは5分切り
ペルルミュテール:△ 2番よりはテクもまずまず。歌は変わらず良いがやはり惜しい
ルガンスキー:△ どこまでも冴えない。昔のキレはどこへ?タメ多くやはり歌もヘタ
ワイセンベルク('72):× キレは凄いが弾き飛ばしが多くはっきり言って無茶苦茶
デミジェンコ:△ 詩情に溺れすぎて幾らなんでも沈滞しすぎだが、叙情性は5指かも
ヴォロディン:△ スマートでテク歌もある。やや音ギレが悪い。終楽章のタメが×
ボジャノフ:△ テクはまずまず。特長がないがみずみずしいタッチは買える
ポゴレリチ(FKM):○ 終楽章は凄まじいキレだがあざとくタメ有。歌がモタレ気味
リパッティ:△ 上品で筋が良くテクも歌も良いが録音の悪さを覆せてはいない
及川浩治:○ 勢いがあり語り口が非常に好み。反面音色の変化が少なく表情に乏しい
ワイセンベルク(EMI):△ キレあるが遅すぎたり速すぎたり乱暴。編集の繋ぎ目も?
メジューエワ:△ 技術的に少し見劣りしタルく爽快感に欠ける。解釈も歌もやや平凡
ピリス:○ 第1楽章が特に素晴らしい。後半はキレ不足。綿でくるんだような録音が×
ヴァーシャリ(Hungaroton):○ テクに解釈未だ衰えず。終楽章も150km直球
ラフォレ:○ 自然な歌い方と安定した技巧で安心して聴けるが2番の名演ほどでない
エキエル:△ 情感はこもっているがキレに乏しい。全体的にインテンポなのは好感
ノヴァエス:△ LP盤起こし。手練手管で聴かせるが期待ほどでない。指回りはなかなか
ネボルシン:△ 速めのテンポで清潔感溢れる。終楽章はテンポが遅く爽快感×
ヴラダー:○ 流麗なテクで終楽章は4:43だが残響ジャブで歌が聴こえてこない
ツィメルマン('76):○ 後年の緊張感溢れる演奏の片鱗が伺えるがまだ若干青い
シェリー:◎ 模範の極み。自然な語り口で叙情性に浸れる草食系のショパン
フランソワ:△ 2番同様語り口は良いが噛み締めるようなテンポが遅すぎる
チェルカスキー:△ 歌が上手い。特に第1楽章が秀逸。やはりテクが苦しい
スルタノフ(チャイコン):○ 指回りは最強の部類。タメはあるが歌も悪くない
ユンディ・リ(ショパコン):○ DG盤より勢いと熱気があって断然良い
カッチェン:△ 語り口はまずまずだが弾き飛ばすようないい加減さが。
辻井:△ テクがあり特に右手がスゴい。表情を付けようとしてるがいまひとつ
ロルティ:○ 期待通りの磨き抜かれた美音で十分に歌うが技巧の衰えは心配以上
ヤブウォンスキ(新):◎ 旧盤から20年近く経つがキレは未だ十二分。甲乙付け難い
佐藤卓史:○ 自主制作盤より勢いが減った。2番同様ストレートかつ残響ジャブ過ぎ
フリッター:◎ 優美さと力強さを兼ね備え、テクも十分。ショパン的演奏と呼ぶに相応しいがテンポ遅すぎ
コラール:○ 硬音質で速めのテンポで古典派を聴いてるかのよう。情感もバッチリ
ヘーレンリーダー:△ 音がまるでレッスン室の隠し撮り。すべて台無し
バレンボイム:○ 3楽章など緩徐部分は出色の出来。硬めの音で単色系になのが惜しい
ウーセ:◎ 極めて力強くド直球で音色も輝かしい。後はショパンらしい陰影があれば
ヴァーシャーリ(DG):○ 2番より断然良い。優等生的だが曲にハマってる。キレが欲しい
アシュケナージ('76):◎ 解釈技巧録音どれをとってもベストオブ模範的
アシュケナージ('92):○ 演奏は上とほぼ同じだが残響多めで部分的にテンポが遅い
アニエヴァス:◎ バルボーザに激似。録音のせいか骨太過ぎてラフマニノフ的
ポミエ:○ 柔らかな語り口がショパン的。ミクロでは歌上手だがマクロで繋ぎが微妙
ピサロ:○ 能ある鷹はラストで爪を出す。所々でのタメが残念
バドゥラ=スコラ:△ 園田盤と同系統の教科書的演奏。さすがコンクール審査員
フォーク:△ 丁寧かつ緻密で整っている。終楽章で部分的に遅いのが技巧の限界か
ラヴァル:△ 力強く大いに歌う。終楽章のテクが弱いのが惜しい。ミニウーセ盤的
ビレット:△ 女版アシュケナージ。かなりテンポが変わる。最後は勿体付けすぎ
スレンチェンスカ:△ 女版ルービンシュタイン。ライヴゆえのミスが惜しい 
ランコヴァ:△ 大人しく微温的だが第3楽章で切々と歌い終楽章も中々盛り上げる
青柳:× 遅いところはより遅く、という解釈。奏者とシンクロ出来ず
ケイティン:△ 英国紳士の優雅すぎるショパン。さすがにキレ不足
ルケシーニ:○ 天才肌で自由奔放だが意外に聴ける。輝かしい音色が印象的
ソンバル:△ 録音のせいか音がモゴモゴ。技巧も物足りない。天は二物を与えず?
仲道郁代:○ 明晰なタッチと録音が◎。やや濃い目だが語り口が上手い
R-アムラン:◎ 能ある鷹は爪隠し過ぎの優等生。コンクールの方が断然良い
デ・マリア:◎ 非常に音楽的。特に音色の幅が尋常でない
デュシャーブル:○ 2番より彼向き。精緻で歌も上手い。薄めの音色が△
ペロッタ:○ 多彩で華やか。技の凄みは無いが明るくたっぷり歌って好印象
オボーリン:△ 演奏は素晴らしいが隣りの部屋から聞き耳立てて聴いたような音
ハフ:○ ショパンらしい表現に腐心。愉悦に傾き技巧に期待すると肩すかし
ギルハム:○ 内声の強調が独特で表現意欲に溢れるが音ギレの悪さが気になる
スルタノフ:◎ チャイコンより緊張感は減だが程よく抑制されバランス良し
ヴンダー(ショパンコン):○ 真っ当の極み。テクに歌も充実だが何かもう一つ
カーロイ:◎ サラッとしていながら歌のセンスが抜群。清流のような爽やかな後味
R-アムラン(ショパコン):☆ youtubeより音色の印象が良く華やかさがあり希代の名演
Chung:◎ やや速めのテンポながら精緻に突き進み情感もまずまず伴っていて良い
ポリーニ(LCB):△ スタジオ盤とほぼ同様で音の悪さも考えるとこの評価
シェフチェンコ:○ 清楚で清潔、果実のような爽やかさもある佳演
トリフォノフ(ショパコン):○ 完成度が高くライヴの熱さもありスタジオ盤より良い

LP
ダン・タイ・ソン(ショパコン):◎ 知情がありライヴの熱さもある。ややミスが多い
フー・ツォン:○ 小ホールで聴くような音。力強く骨太の歌い上手だが線が太すぎる
バルボーザ:☆ 最高の名演
ケルセンバウム:× 美人は三文の徳
ワイセンベルク(RCA):◎ ファンタジーは無いがザクザクのキレキレで爽快感抜群
清水和音:◎ 2番同様かなりのキレでタッチは明晰。しかしやはり歌が微妙
スワン:△ 上手いが無骨、歌がモタレ気味。デッドな録音でショパンらしくない
神谷郁代:○ テクは整っていて安定感抜群だが解釈が能面的で面白みに欠ける
田中修二:○ 日本人には珍しくスケールがでかい。豪快だが個性が欲しいところか
シェバノワ:○ ライヴの緊張感と品の良さが両立。精緻でミスも少ない
内田光子(EMI):◎ 若さとテクに溢れフレッシュな魅力十分で新盤を大きく上回る
Bonaventura: ○ 全体的に生真面目で終楽章がインテンポなのが好印象
ヴェレッド: ○ 濃いめの演奏だが不思議と品がありテクもまずまずで面白い

※以下は40種類ほどの当初に書いた記事です。下にどんどん追記を加えています。
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3番は以前書いたようにあまり気に入っている演奏がありません。その中ではバルボーザが個人的に孤高の名演。

今回、聴き直してみてまず良かったのはセルゲイ・エーデルマン(エデルマン)の若き日の旧録音です。細部まで表情が付いていて、それでいて精緻さも感じさせる指回り。やや優等生的というかもう少し見せつける面があっても良いかなと思いますが、それでもこれは佳演と言ってよいでしょう。再発されて入手しやすくなったこともあり、オススメです。

もうひとつは、大変入手しにくいですがクシシュトフ・ヤブウォンスキの『ショパン・リサイタルⅡ』というアルバムの第3番。彼は相当なテクニシャンで、どちらかと言えばポリーニ系のザッハリヒな演奏なのですが、第3番は元々がベトつきやすいロマンティックな曲ということで、これぐらい整っていても個人的には好ましく感じます。終楽章など5分を大きく切る4分41秒!(ちなみに手持ちの盤の最短がアルゲリッチの4分22秒、次がバルボーザの4分32秒、カペル4分34秒、オールソン4分38秒)で、サクサク進むのが小気味良いです。彼は2008年に第3番を再録音していますが、未聴です。入手次第感想を書きたいと思います。

ちなみに『ショパン・リサイタルⅠ』の方では、24の前奏曲と練習曲Op.10のみを録音しており(のち1998年にエチュード全曲をBeArTonで再録音)、技巧的にはトップクラスのキレキレの清冽な演奏で、10-5などは再録音を上回る1分31秒(!)の速さで、これは手持ちの盤の中で最速の凄まじさです。このCDも同じく現在入手困難なのが残念。1985年のショパン・コンクールは第1位がブーニン、第2位マルク・ラフォレ、第3位がこのヤブウォンスキ、第4位小山実稚恵、第5位ジャン=マルク・ルイサダということで、当たり年?


また、ブーニンの項で書きましたが、ショパン名曲100という6枚組CDに収められている3番は、表記はブーニンとなっていますがティエンポが1990年に録音した演奏と同一です(演奏時間も同じ。ティエンポのショパンソナタ2番・3番と聴き比べるとわかる)。このCDは2番がティエンポ、3番がブーニンという不自然な採用なので不思議に思ってたのですが、何度聴いてもこれはティエンポの超個性的な演奏です(個人的にはアゴーギクが激しくテンポが揺れまくりで苦手)。レーベルは同じビクターで、ティエンポのアイドル性とブーニンの知名度を両取りしたのかと変に勘ぐってしまいます(ブーニンは1985年の来日時に福島での3番の演奏をやはりビクターで録音してますが、その演奏とも違う)。


※2012/7/22追記
園田高弘氏の3番を聴きました。何度か再発されてはいるのですが、元々がマイナーレーベルなのであまり見かけないCDでしたが運よくget。89年の録音ですでに60歳を超えているせいか技のキレは感じられませんが、彼らしく生真面目な演奏で好感を持ちました。終楽章も4:55でかなりインテンポ感があって好みです。ちなみに家人はスラーの取り方が細かすぎて(フレーズごとの呼吸が細かすぎるということ)もっと大きくうねるように弾いてるのが好みだと言ってましたが、私はそれほど気になりませんでした。


※2012/8/1追記
ペルルミュテールの3番を聴きました。音楽性のある演奏で2番よりは良い演奏だと思います。


※2012/8/4追記
ルガンスキー盤:期待の高さからすると相当にガッカリな演奏です。若き日のキレは何処へ、という感じで、音楽性を重視しているのかもしれませんが、全体的にタメが多く終楽章などではそこいらのピアニストのテクニックと大差ない印象です。演奏の淡白さはアムランと似ている感じですが、アムラン盤はまだ彼の良さ(時折見せる技巧の高さなど)が出ていたのに対し、ルガンスキー盤はただ足取りが重いだけの演奏になってしまっています。残念・・・。

ワイセンベルク盤:1972年シュヴェツィンゲン音楽祭。ライヴのようですが拍手や会場ノイズなどは入っておらず、録音も比較的悪くありません。しかし、演奏はよくない。例によって終楽章などではかなりの超絶技巧なのですが、67年盤(LP)のようにタッチやテンポがコントロールされておらず、フレーズ内でテンポがコロコロ変わる上にミスが多いです。そのミスも弾き損じならまだしも、弾き飛ばしていくようないい加減な感じの音抜けが目立ち、レコードで言うところの針飛びのように聴こえてしまいます。聴いていてこれはちょっと我慢ならない感じで残念。ちなみに終楽章のタイム、4:12となっていて最初は「マジかよ」と思ったのですが、これは間違いです。さらに裏ジャケには4:34とありますが、実際の演奏時間表示は4:43です(弾き終わりの時間は4:35くらいですが)。というわけで、ジャケも中身も印象がよくありません(苦笑)


※2012/8/7追記
デミジェンコの新しい録音を聴きました。彼は私の最も好きなピアニストの1人ですが、この演奏はちょっとモタレすぎにもほどがあって頂けないです。特に終楽章は頻繁にブレーキがかかること甚だしく、90年代前半にキレキレのテクニックを見せていた彼も衰えたのかと思わざるを得ません。ただし、叙情性というか語り口の説得力は素晴らしく、第3楽章は白眉と言えるでしょう(彼の旧録音もそうでしたが)。ある意味、別な曲として割り切って聴けばより楽しめるのではないかと思います。


※2012/9/23追記
アレクセイ・ヴォロディン、エフゲニー・ホジャイノフボジャノフによる3番を追加しました。
ヴォロディンはテクニックになかなかキレがあってスマート。もう一度聴いてみたいなと思わせる佳演と言えますが、例によって終楽章のタメが目立ち、これさえなければ結構推せるのに残念。彼のベートーヴェンの後期ソナタも聴いてみて、ロシア系にしたは珍しい?端整なタイプの演奏で好感を持ちました。
ホジャイノフボジャノフは期待の若手で話題になっていますが、あまり特長が感じられず、悪くはないものの数多の競合盤の中ではオシが弱いかなという印象です。←※2012/10/26追記こちらはボジャノフのエリザベート・コンクールでの3番に続く2回目の録音についての感想です。コメント欄にも書きましたが、ホジャイノフはまだ3番を録音していません。大変失礼致しました。ちなみに、ボジャノフは2008年リヒテル・コンクール優勝、2010年エリザベート王妃コンクール第2位、同年ショパン国際コンクール第4位という逸材で、私はエリザベートのライヴCDで彼を知りました。同CDには彼の弾くモーツァルトのピアノ協奏曲第17番が収録されており、これを聴く限り古典にも非常にセンスを感じる好演です(実際、子どもにもよく聴かせています(笑)尚、クライバーン国際コンクール予選のCDでもショパンのソナタ3番の演奏を聴けるようですが、私は未聴です(なんと、3種類目の録音!)。



※2012/10/31追記
ポゴレリチの83年録音のFKM盤を追加しました。このような盤を紹介するのは気が引けたのですが、今年6月に再発されて入手しやすくなったこともあり、すでにラフ3でグレーゾーンなソコロフ盤を紹介していたので(苦笑)書いてみました。ややピアノの音像が遠目ですが、音質は明晰でポゴレリチの呼吸音なども拾っており、この種の録音としては驚異的に良いのではないかと思います。彼はこの曲の正規録音を残していないわけですが、良いです。第3楽章などでの遅めの語り口が好みではないものの説得力はありますし、何より技のキレが凄まじい。終楽章の局所的なスピードは手持ちの中でもベストの1枚でしょう。しかしながら、要所要所でかなり大きくタメを入れるなど、やはりバルボーザにはかないません(3番で惜しい録音を聴くとよく耳直しにバルボーザ盤を聴きます)。



※2012/11/7追記
iTunesを整理していたら3番のリパッティ盤を持ってることに気付いたので追加します(汗)。気品のあるタッチでスマートな印象。特に終楽章は快速テンポ(4:52)で指回りも良く勢いに溢れており、私の好きなバルボーザ盤に似ているのですが、ややフレーズとフレーズの間が空くのが気になります。何より音質が悪く、手が伸びにくいです。LPで聴くとまた雰囲気が違うのかも。



※2012/11/14追記
及川浩治の3番。ラフ3のところでちょっと書きましたが、この人の演奏は基本的にダイナミックでメリハリを上手く付けてるのが結構好きで、このショパンの3番の演奏も自分と波長が合う感じ。とにかく勢いがあり、ノリの良さも抜群。ただし上にも書いたのですが、タッチの変化が少ないです。キツいことを言うと fmf しかないのかという感じ。それでもあまり不満に感じないので、私は単純な演奏が好きなのかも(笑)◎にしようかと思いましたが、終楽章でタメが目立つのもあり、○にしました。彼のソナタ2番も是非聴いてみたいのですが、オフィシャルHPによるとなぜか葬送行進曲しか録音していないようです(この楽章だけ好んで聴く人なんているのでしょうか?)。


※2012/11/26追記
ワイセンベルク盤(EMI)を追加しました。彼のショパンで最もポピュラーな録音だと思いますが、世評がイマイチなので長いこと保留してました。今回、亡くなった後に出たリマスタリングした(?)と思われる録音を聴いてみました。3番、67年盤のLPのように技巧が(良い意味で)直線的にコントロールされておらず、私の苦手のタイプな演奏。第1楽章は出だしから激っ速で、楽章が進むにつれて遅くなる感じ。気のせいか随所で編集の繋ぎ目があるような・・・。終楽章もキレはスゴいですが、72年のライヴ盤同様音抜けというか弾き飛ばしてる印象も受けます。


※2012/11/27追記
3番にメジューエワ盤を追加。2番は同曲では貴重な歌いまくり系の演奏だったので期待したのですが、こちらはちょっと平凡な出来。ミクロで細かくアゴーギクをつけて歌ってますが、そのせいで全体としてはギクシャクしてます(楽想がコロコロと変わるこの曲の罠?にハマってる感じ)。また、技術的な問題なのかここぞというところでのたたみ掛けや急速部分でのスピードが物足りず、ナヨナヨしてます。良く言えば上品というか気が優しいというか。余談ですが、知人がメジューエワさんのリサイタルで譜めくりを担当するなど親交があるそうなのですが、「CDのジャケットで見られるままの気さくで素敵な方」だと言ってました。


※2012/11/30追記
3番にマリア・ジョアン・ピレシュ(ピリス)盤を追加。第1楽章が素晴らしく歌ってます。リピートしててもダレる感じが一切なく、聴き惚れます。後半になるにつれて技のキレが欲しくなる感じ。終楽章もタメが多め。何より音抜けが悪くモヤッとした録音が不満。NHK教育「スーパーピアノレッスン」では生徒を厳しく叱る怖い人というイメージがありましたが、演奏は非常に親和性があって、ショパンらしい印象です。

※2012/12/24追記
3番にタマーシュ・ヴァーシャーリ盤(Hungaroton)を追加。これは素晴らしい。音に輝きがあり、テクもまだまだイケてます(ややメカ的に苦しい箇所があるものの)終楽章は5分を切る4:45でしかもかなりのインテンポ!良い御歳のはずなのにあっぱれです。HMVでこの盤を絶賛レビューされている方に心から賛同します(ちなみにDG盤は数年前にうっかりデータを取り込まずに手放してしまい、よく覚えてません・‥。そのうち再サルベージしたいと思います)。

※2013/1/18追記
ラフォレの3番の中古盤を海外アマゾンで安く見つけたのでget。商品は3.6ユーロで送料14ユーロ(苦笑)2番を聴くと期待せずにはいられなかったのですが、その高い期待には応えられていない出来です。テクもそれほど刮目するほどでなく、表現も自然でスッと聴けますが2番ほどでなく、音ギレの悪いところがあったり、ダイナミクスも小さめだったり、ひょっとしたら曲があまり手の内に入っていないのかなと思います。録音のせいなのか、多彩なタッチが聴けず無色透明な印象です。終楽章もタメはそれほど気になりませんがテンポが全体的に遅め(弾き終わりのタイムは5:12)。ちなみに併録の前奏曲はそう言った欠点があまり気にならず(1曲1曲が短いせい?)、ひょっとしたら手持ちで上位に入るかも。※追記と思って聴き直したら、やっぱり前奏曲もイマイチでした。

※2013/1/26追記
ギュオマール・ノヴァエスによる3番を追加しました。2番での非常に好みな演奏を聴いて(冷静に聴き直すと力強さに欠けるところとかもある)大変期待したので、すぐに注文。ところが、日本Amazonでは頼んだのに1週間後に在庫無しでキャンセル扱いになり、仕方なくマーケットプレイスで新品を頼んだところ、海外の業者だったので届くまでに2週間かかり、しかも開けてビックリ、2枚組のCDなのですがまさかのDisc2が2枚(!)入ってました。
novaes
すぐに文句のメールを出したところ、「英語で書いてくれてありがとう。すぐに正しいものを発送します」という旨の返事があり、ようやくソナタが収録されているDisc1(のみ)をget。実に入手まで1ヶ月以上を要しました(まあ注文したのは新品なのでこの業者には罪はないのですが。誠実に対応してもらえてラッキーでした)。そんなわけで、苦労した分期待も大きかったのですが、結果としては少し残念なものでした。まず音が悪い。URANIAと書かれていたので盤起こしかもとは思っていたのですが案の定で、どうやら再生に使ったLPのコンディションは悪くなさそうなものの、変な残響が乗っている上にコモり気味でヌケの悪い音。肝心の演奏も、悪くはないのですが一発取りに近いのかミスタッチ気味だったり思い切りに欠けるところが散見されます。どちらかと言えば第1楽章から色々工夫を凝らした「聴かせる」タイプの演奏で、そうすると見通しが悪くなる危険があるわけなんですが、そこは上手く聴かせてます。3楽章とトラックが結合されている終楽章も5分前後で、技のキレや凄みはありませんが、指回りはなかなか。かなりインテンポなのは好みなのですが、ちょっとテンポが中庸かな。というわけで、無理にCDで買いましたが、LPを探してみようと思います。※追記本当の本当に情けないことですが、ソナタ2・3番のLPを所有してました(恥)ボロボロのジャケでレコードのコンディションも悪く、きっとセールか何かで他のLPと抱き合わせで買ったと思うのですが、1度も聴いておらず、棚で眠ってました。反省・‥。洗浄して聴いてみましたが、音ヌケはCDより若干良くなった気がするものの、盤質が悪く、残念。



※2013/3/12追記
清水和音盤(RCA・LP)を追加。昨日、2番のところでも書きましたが、こちらもかなりのテクニックです。スケルツォは極めて明晰なタッチで、終楽章の演奏タイムは4分50秒ほど。デ・ワールのリスト集と同様録音も大変良いです。やっぱり音楽性が疑問なところも同様。彼の演奏はどうしてもセンスだけで弾いてる感じを受けるというか、アドリブ的なアゴーギクになってるというか、技のキレが凄いだけに残念です。別な曲で例えると、以前紹介したアルゲリッチのショパコン1番の演奏のように、感情の赴くままにタッチをコントロールすることで音色の変化をもっと表出できれば、彼の演奏は本当に凄いものになると思います(アルゲリッチは、そのアドリブ的と言ってもよいほどのフレーズ内での微妙なタッチの変化が魅力となっていました)。
※2014/12/4追記久々に聴き直して驚嘆。この技巧のキレは凄いです。上で書いたときは違和感を覚えましたが、実は歌もそれほど悪くありませんでした。終楽章はところどころでほんの少しタメが入り、重厚なタッチと相まって若干足取りが重く感じますが、それでもインテンポで突き進む様が圧巻。これはCD化して欲しいです。


※2013/5/23追記
エルダー・ネボルシン盤を追加。Deccaというメジャーレーベルながら廃盤で、なかなか見かけませんでしたがなぜか300円で入手。筋は悪くないのですが、残響多めの録音で音が軽いのが惜しいです。テクもいまひとつ。

※2013/6/8追記
シュテファン・ヴラダー盤を追加。1989年録音。一聴して風呂場のような残響が萎えます(ウィーン・ムジークフェライン・ライヴ)。例えとしては悪いですが、ちょっとした海賊盤のような音。テクニックはしっかりしていて、月光ソナタの終楽章もインテンポで突き進んだりソナタ3番終楽章もかなりの出来なのですが、とにかくジャブジャブした残響で、細かなタッチのニュアンスが聴こえてこず、心に響いてきません(実際に歌えないピアニストなのかもしれませんが)。CD初期の盤のせいか?ほとんど見かけず廃盤の模様です。

※2013/8/17追記
クリスティアン・ツィマーマン(ツィメルマン)盤を追加(1976年ライヴ。CD-R)。※2013/9/18追記ショパン・コンクール制覇の翌年のライヴ録音。比較的近年出された音源のようです。野暮ったく太めで音の奥行きが狭いですが、比較的明晰にピアノの音色を捉えていてこの時期の海賊盤としてはまずまず。若いだけあって、指回りは水準以上なもののミスが若干気になります。後年の演奏のように、聴く者に緊張感を強いるような崇高さというか格調の高さが若いながらもすでに垣間見られるのは、やはり只者ではなかったというところでしょうか。しかし、盤の性格としても内容としても、コレクターズアイテムという評価にしておいたほうが良さそうです。


※2013/9/18追記
ハワード・シェリー盤を追加。彼によるラフマニノフ3番のレビューのところでも書いた通り、この曲の演奏も極めて自然な歌い方で模範的。無個性だという向きもあろうかと思いますが、個人的には好ましく思いました。シャンドスの残響多めの録音によく合うまろやかな音色です。シェリーは多産なピアニストなので雑な演奏をしそうなイメージがあったのですが、丁寧で心のこもった演奏に感じました。ラフ3に続いて、大変好印象です(ちょっと評価が甘い?)。


※2013/9/23追記
サンソン・フランソワ盤、シューラ・チェルカスキー盤を追加。


※2013/11/20追記
ジェフリー・スワン盤(LP)を追加。

swann

1970年ショパン・コンクールライヴで、ジャケ写真が同じで赤字と黄色字の2種類があり、赤字の本盤にソナタ3番が含まれています。ネットの情報によると、事前の予想では(優勝した)オールソンとスワンの一騎打ちと見られながら、スワンが3次予選で敗退という結果になり、抗議のビラがまかれたとのことです。さて、レコードの録音状態は大変デッドで明晰、グールドのゴルトベルク81年盤を聴いている感じで、バキバキ弾き進めますが腰が重く、流麗というにはほど遠い印象。第1楽章は苦手なモタレるタイプ。第2楽章もキレがあるというほどでなく、第3楽章の歌も微妙。期待した終楽章は4:40の高速テンポでガッチリ弾いてて爽快感は薄め。全体的にタッチが無骨なのが気になる演奏で、メカニカルには上手いですが巧くはない、といった演奏です。


※2014/1/2追記
アレクセイ・スルタノフ盤を追加。1998年チャイコフスキー・コンクールライヴ。彼やマツーエフのような爆演系テクニシャンは(レオニード・クズミンを除いて)好みではないので避けてきたのですが、格安だったので入手。聴いてみた感想はというと、予想外に良い!とにかく技巧面でのメカニックが凄い。ヤブウォンスキやポリーニのカッチリ系とは正反対で、アルゲリッチやポゴレリチなどの流麗ヒステリック(?)系で、指回りの鮮やかさは間違いなくポゴレリチのFKM盤と1、2を争います。切迫感に溢れたままどこまでも疾走していく様が凄い(拍手抜きで4:32くらい)。演奏タイムはスルタノフのほうが若干長いですが、タメはむしろポゴレリチのほうが多いかも。この壮絶な指回りを聴くと他盤が物足りなくなる危険に溢れています。気になる解釈のほうも、止まりそうなルバートもあるにはありますが、ショパンコンクールで落とされて学んだのか十分に許容範囲内。期待していなかっただけに、これは嬉しい誤算です。惜しい人を亡くしました。

ユンディ・リ盤を追加。2000年ショパンコンクールライヴで、なぜか日本のマクセルレーベルから出ており、かなり入手が難しくなっていましたが運良く入手。2001年のDG盤のほうはテクニックの片鱗は見せたものの歌心に欠けていたのが残念ですが、こちらはコンクールライヴということもあって、自然な勢いと熱気が演奏に漂い、そこまで悪い印象はありません。個人的に注目していたのは終楽章で、演奏時間が5:07ということは、拍手入りだろうから実際には4分台半ばの高速テンポでバキバキ弾いてくれてるのではないかという予想していたのですが、7割方アタリでした。予想よりは遅めでしたが、インテンポを保つカッチリとしたヤブウォンスキ系で、弾き終わりは4:42ほど。DG盤は5分を超えていたので、これは大きな違いです。彼のピアノが好きな人は入手する価値があるでしょう。 


※2014/2/25追記
ジュリアス・カッチェン盤を追加。


※2014/3/16追記
辻井伸行盤(ショパンコンクールライヴ)を追加。iTunesを見ると8年ほど前に聴いていたものの忘れていました(汗)出だしでちょっとミスがある他はほぼ万全。実演でソナタ3番を2度ほど聴いたことがありますが、急速音型などはメチャウマ。特に右手は疲れを知らないサイボーグ並みでした。ここでもそんな感じがあります。終楽章は整ってますが弾き終わりが5分ほどでもう少しテンポupが欲しかったかも。ちなみに、聴きに行ったコンサートでは彼の自作曲やオリジナルカデンツァのハン狂2番を聴きましたが、、、昔の作曲家の作品は歳月という最も強力なフィルタを通っただけあって、やはりスゴイと思ったのを覚えています。

※2014/8/4追記
我が5指に入るお気に入りピアニストのルイ・ロルティが、2番に続いてついにマイフェイヴァリットである3番を録音。あまりに予想通りの出来映えだったので思わず苦笑。出だしのアルペジオからして元気が無い。和音を美しく響かせようと腐心していることは伝わってくるものの、人によっては覇気が感じられないと言うかも。路線はショパンの旋律を前面に押し出して優美に歌う演奏ですから、これで悪いわけはないのですが、正直なところ全盛時のロルティの技巧を知る者にとっては寂しいです。。。終楽章が5分半ばでタメも多く、スピード感に欠けます・・・。しかしながら、この語り口の美しさは比類が無く、同路線で思いつくままに挙げると、ピリス、シェリー、マガロフ、デミジェンコ(新盤)ら以上の感銘を与えてくれます。特に第3楽章はベストの1枚と言えるでしょう。ロルティもすでに55歳。30年、いや、せめて15年早く録音しておいてくれたらと思わずにはいられません(その頃のライヴ動画がyoutubeに出てこないかな)。若い頃から卓越した技巧だけでなく音楽性とのバランスを兼ね備えていた彼なら、バルボーザを上回る名演を残してくれたはずと夢想しつつ・・・。
※2014/12/11追記久々に聴き直しましたが、シャンドスの残響多めの録音がいやに鼻についたのと、歌に力強さがないこと、終楽章のテンポの揺れが我慢できなくなってしまっていたので、評価を○に変更しました。


※2014/8/9追記
クシシュトフ・ヤブウォンスキの新録音を追加。旧盤は私の大のお気に入り盤ですが、それに劣らぬ素晴らしい演奏です。以前同様ショパンらしい繊細さや流麗さ、しみじみとした歌は感じられませんし(苦笑)、急速部分でごくわずかにタメやタッチの不安定さを感じる場面もあるものの、終楽章などでのグイグイと推進力溢れるピアノの切迫感や表現力は、非常にデッドな近接録音と相まって逆にスゴ味を増しています(弾き終わりのタイムは5秒ほど遅くなってる程度)。ショパンらしさはありませんが、ベートーヴェンなどのリズムの力強さが好きな方には絶好の盤だと思います。新旧聴き比べまくっても本当に甲乙付けがたいので、旧盤が入手困難ですから、この新盤は大変オススメです。


※2014/12/4追記
佐藤卓史盤を追加。2005年のショパンコンクール参加前にCD−Rで出された自主制作盤よりも完成度は高いですが、覇気というか勢いが薄めになってしまい、残響過多の録音とも相まってそれほど印象はよろしくありません。折り目正しくストレートな演奏を好む方にはよいかもしれません。

イングリット・フリッター盤を追加。久々の大ヒット。ショパコンのライヴでは表現力はあるものの弾き飛ばす粗さがあったのでそれほど期待していなかったのですが、これは凄いです。第1楽章はピリス盤のように柔らかな語り口が巧みで、第2楽章も力強く指回りもなかなか優秀、第3楽章はややテンポ遅めなのが好みではありませんが、「ショパン的」な気品と優美さに満ちています。何よりピアノの音色が非常に美しい(ピリス盤と違って録音が良い)。ついにバルボーザに匹敵する演奏が現れたかと思わず身を乗り出して聴いてしまいました。さすがに終楽章は随所でタメ(というか解釈?のようなテンポの揺れ)があるのが惜しいですが、それでもテクニックは水準以上。ここ数年で聴いた中ではシェリー、ロルティ盤が個人的最上位に食い込んでいますが、今のところはそれを上回るかも。久々に感動しました。ちょっと甘いですが、2つ目の☆です!
※2014/12/6追記・・・と思ったのですが、5回ほど聴き直すとやはり第3楽章でのテンポの遅さが気になり、☆はあげられないかなと。それでも終楽章の盛り上げ方や切迫感は非常に上手いです。


※2014/12/7追記
ジャン・フィリップ・コラール盤を追加。一体どうしたことか、これも☆を付けたくなりました。ラフ3の演奏を聴いていて結構な技巧派だと知っていたので実は期待してましたが、それ以上の出来。フランス流らしく、硬めでやや金属的な響きの音色に乗せて速めのテンポで第1・2楽章は少し素っ気ないかなと思うくらいにサクサク進むのですが、第3楽章はじっくりと情感をこめて歌うなどメリハリも付いています。期待の終楽章は4:51ほどですが、テンポのキープ感が素晴らしく、それ以上に速く感じます。ラフ3同様右手の高音部が左手に負けてる気もするので、やはり左利き?一番近い演奏はヤブウォンスキ新旧ですが、彼以上に歌が巧く、カッチリというよりは流麗な感じ。それにしても、2枚続けて大当たりとは、、ちょっと自分の耳が不安になってきました。何を聴いても良く感じてしまっているのか、それともただの偶然か。ちょいと時間をかけて自分のリファレンス盤の各種方面を聴き直して比較してみます(歌のドミトリエフ、ライト、デミジェンコ、ルービンシュタイン、ピリス(行方不明)、テクのポゴレリチ、スルタノフ、ヤブウォンスキ、総合力のシェリー、ロルティ、内田、エーデルマン、アンスネス、バルボーザ)。大幅な評価変更があるかも。

※2014/12/11追記
マルガリータ・ヘーレンリーダー盤を追加。私のフェイヴァリット指揮者であるルイジと一緒にモーツァルトを出しているピアニストなので、聴いてみました。終楽章の演奏時間は5分切りで全体的にテクも筋もまずまず。ところが、現代の録音とは思えないほど音質が悪く、まるで我が家の防音室でカセットデッキで録音したかのような音場の狭さ、息苦しさ。個人宅でのプライヴェートな演奏を蔵出ししたと言われても信じてしまいそうです。

他にはとりあえずドミトリエフ、シェリー、ロルティ、ヤブウォンスキ(旧)、フリッター、コラールを聴き直しました。kyushimaさんが書かれているようにドミトリエフの第1楽章の素晴らしさに改めて開眼。録音が上下に狭く感じるのが本当に惜しい。ロルティには少しガッカリ。ヨレすぎ。シェリーとヤブウォンスキの印象はそれほど変わらず。特にシェリーは、男性ピアニストの中での語り口の上手さは3指に入るのではないかと思うほど。フリッターはやはりいい線行ってるもののもうヒトオシ欲しい。コラールは終楽章がタメ頻発で、最初の印象はどこへやら。ヤブウォンスキのほうが断然安定感があります(情感は勝ってますが)。


※2014/12/14追記
ダニエル・バレンボイム盤を追加。大御所ながら正直まともに聴いたことのなかったのですが、これは良い(最近こんなのばっかり・・・笑)。タッチが野太いというか、ピアノの音がいかにもEMIという潤いがなくのっぺりと硬めの金属板を叩いているような感じでかなり損をしていますが、第3楽章などは非常に良い出来でベストを争うのではないかというほど。テンポが遅めですが、音楽センスがあって飽きさせません(ルービンシュタイン系と言えます。再現部で弾き損じではないものの若干の音抜け?のような違和感もありますが)。終楽章も盛り上げ方が上手い。ただ、テクにキレがあるという感じではなく急速部分では流麗さがなくフレーズに繋ぎ目を感じる上、録音のせいでフォルテが耳にキツいのが残念。一応○にしておきますが、これは聴き込み次第で◎になりそう。

セシル・ウーセ盤を追加。うーんこれもスゴくいい。どうなっているんだ私の耳は。ドストレートでキャッチャーミットのド真ん中に嬉々として投げ込んできてます。おそらく得意曲なんでしょう、曲が完全に手の内に入っている感じで、第1楽章は前のめりにグイグイと聴き手を引っ張っていく推進力がスゴい(最近聴き直したドミトリエフ盤に似てます)。それでいて内声を強調する余裕もあります。スケルツォも確信の音運びで安定感バツグン。第3楽章も良いのですが、直前で一気に横綱に躍り出たバレンボイムの前では関脇かなという感じ(それでもスゴいけど)。フィナーレは健康的でゴマカシのない指回り。気持ちが前面に出すぎて両手が鳴りっぱなしなので、もう少し精妙な動きを聴かせて欲しいというか、響きを整理して欲しいところ(ちなみにタイムは5分切り)。あと足りない物は、潤いのある録音(これもEMI)とショパンらしい陰影、でしょうか。それでも掛け値無しに完成度の高い演奏です。

※2015/1/4追記
新年最初の更新はタマーシュ・ヴァーシャーリのDG盤。持ってたのに手放したと思って再度購入したのですが、全然記憶にないので、あれはラフマニノフのピアノ協奏曲全集だったのかも。2番のところでも書きましたが、1963年の録音ながら音に凛とした張りと艶と適度な残響があって素晴らしい音質です。Hungarotonから出した再録音もストレートに投げきった男臭い演奏でしたが、その40年近く前のこちらは2番同様貴公子感漂う美しい演奏です。第3楽章はちょっとモタレ過ぎだし、終楽章は再録音に見られる気迫など微塵も感じられないのが残念ですが、気品はあります。録音の良さに少しおまけして○。※2015/1/10追記聴き直すと、やっぱり優等生過ぎです。

※2015/1/11追記
ウラディミール・アシュケナージ盤(英デッカ、1976年録音)を追加。与太話は2番の項をご参照ください。で、この3番。やっぱりスゴくいいと思うんです。まずタッチが精妙。スケルツォの音の粒の揃いや、終楽章の流麗でゴマカシのない急速部分は聴いていて気持ちが良い。それでいて録音が素晴らしい。ややピアノが遠目で音の線が細くなる向きはありますが、音色が美しい。第3楽章も正統的かつ格調高く歌っており、その意味でシェリー盤よりもリファレンスと呼ぶにふさわしい。無色透明無味無臭と言う人がいるかもしれませんが、それでこれだけ聴かせるアシュケナージは、やはりスゴい。2番・3番両方弾いてるピアニストの中では群を抜いた完成度です。全然関係ないのですが、知り合いの先生にアシュケナージそっくりの方がいるんです。(まだ生きてるけど)生まれ変わりと思うほど。ネットに写真を見つけたので、今度ご本人の許可が得られたら(勿論名前は伏せますが)期間限定で皆さんの審判を仰ぎたいと思います。ちなみにコントラバスです。アシュケナージのソナタは他にも出ているようなので、ちょっと集めたくなってきました。

続けてアシュケナージのLONDON再録音盤を追加。1992年、54歳の時の演奏ですが、上の76年盤と比べてもそれほど技巧の衰えは感じさせません。部分的にテンポが遅めというか、多少ユルくなっているところがあるのと、残響が多すぎるので評価は下がります。ただし、ピアノの音色自体は美しく録られているのは流石という感じです。


※2015/1/19追記
アウグスティン・アニエヴァス盤を追加。聴いてビックリ、バルボーザ盤にかなりソックリ。出だしのアルペジオで音価を長く取ったり、速めのインテンポで押し通したり、終楽章であまり聴かない内声を強調させたりと個性的な表現が見られますが(そしてそれは残念ながら私の趣味ではないのですが)、手持ちの中でもバルボーザの名演にかなり近いと言えます。近すぎるがゆえに細部の違いが明らかとなって◎印ですが、十分に良い演奏で、特に終楽章はスピード感に溢れ、ビロード的なタッチも見せるバルボーザとは違ってバキバキとした硬めのタッチはむしろ先日のセシル・ウーセ盤のようで、勢いとノリはバツグン。演奏時間は4:35!という凄まじさ。やや鍵盤を雑に叩いて騒々しい印象もありますが、少し骨太で低音が膨らみがちなガッチリとした音色はリスト的ではなく、どこかラフマニノフ的なのがこのショパンのソナタ3番では珍しくて面白い。そこでついでにウーセ盤も何度か聴き直したところ、これもやっぱりスゴいと再確認。両盤とも軽やかさに欠けてショパン的でないという一面はあるものの、力強さと身を乗り出して聴いてしまう推進力は随一です。オススメ。


※2015/1/21追記
ジャン=ベルナール・ポミエ盤を追加。録音が非常に良く、ピアノの音像が近めで大理石のようにクリアーな音色を捉えています。このところ体育会系?の力でグイグイ押すタイプの盤が続いたせいか、自然で柔らかな歌い方にホッとできる感じ。ポミエというと真面目で堅いベートーヴェン弾きというイメージが強かったのですが、これぞショパン的と呼べる見事な語り口です。ところが繰り返し聴くと、曲全体を通したときにいまひとつテンポの一貫性がないために、演奏している方は自分に酔いしれてますが聴いている方も思わず酔ってしまいそうなうつろいやすさを感じてしまいます。モチーフの多いこの曲の罠にハマっている感じです。特に終楽章はテンポの揺れが多く、残念。


※2015/1/24追記
アルトゥール・ピサロ盤を追加。ラフ3を録音しているのでテクに期待してましたが、前半は目立つ特徴もなく、解釈もテクも良い具合な感じ。テンポが遅めな上にリピートを行っていて全体で30分超えなのがちょっと疲れる印象でしょうか。ところが、終楽章になると人が変わったように強靱なテクを見せ、凄まじいスピードで急速部分を駆け抜けていきます。手持ちの中でもベストテンに入る指回りでしょう。しかーし、ところどころで「なぜ?」と思うくらいのタメを入れているのが玉にキズ。これがなければかなりの演奏なのですが、惜しい。。

パウル・バドゥラ=スコラ盤を追加。ウィーン三羽ガラスの重鎮で、エリザベート国際などの審査委員を務めただけあって、ごく自然な解釈です。テクも普通ですがテンポが遅め。録音が若干モヤッとしており、正直物足りない感じです。

フィリップ・フォーク盤を追加。整っていて真面目、和音の響きにも神経を使ってる丁寧で緻密な演奏です。演奏としてはそれほど悪くありませんが、分かりやすい個性には欠けるかも。終楽章では、インテンポを保とうとしているのですが、ところどころでテンポが落ちるのが残念。おそらく技巧的な問題だと思います。己を知っていて無理をしないのには好感が持てます。

イディル・ビレット盤を追加。多録音女王だけに、雑かと思いきやそんなことはなく、アシュケナージを思い起こさせるテク歌揃った王道の演奏です。ポミエ盤のように部分部分でテンポが揺れるのが気になりますが、録音が意外に(失礼)良い!終楽章も勢いがあるものの、最後の最後でかつてないほど勿体付けてタメを入れるので、聴いていた家人が「何コレ?!」と憤っておりました。残念。

※2015/1/26追記
100種目前なことに気がついたので、一気に大台に載せてしまおうと毎日必死に聴いてます。というわけで、ちょっとこのところソナタ3番は食傷気味。評価が辛めになってしまってるかも?

ルース・スレンチェンスカ盤を追加。大ベテランピアニストの59歳の時のライヴです。ピアノの音が近めで録られており、好みの音質。咳払いなどのオーディエンスノイズはやや多め。演奏はどちらかと言うとストレートな解釈で、比較的速めのテンポでサクサク進みますが、素っ気ないようでいて味わい深く、ルービンシュタイン盤に通じるものがあります。あちらの盤と違うのは、ライヴならではの躍動感があることでしょうか。ただ、ライヴということもあり、ところどころでミスがあります。特に終楽章は年齢の割には頑張って持ちこたえているのですが、他盤と比較するとさすがに不利。繰り返し聴くにはアピールが弱い感じです。

イリーナ・ランコヴァ盤を追加。第1楽章はおそるおそる弾いているような、大人しい印象です。第2楽章はフォルテを気持ち良く鳴らして欲しいところ。これはどうなのかなと思ってた所、第3楽章がそのままの路線ながら非常に美しく奏でられており、驚きました。この盤のいちばんの聴き所でしょう。終楽章は(ピサロ盤ほどではありませんが)、それまでとは違いかなり力強く盛り上げます。ただ、やはり部分部分で大きくテンポを揺らすのが惜しい。ジャケットは相当な美人の横顔で一末の不安を覚えたのですが、演奏を聴くとビジュアルで売り出されたわけではないようです。他の盤としてはスクリャービンやシューベルトなどを出しているようで、なんとなく彼女のキャラクターに合っているかも。

青柳晋盤を追加。ライヴ録音。出だしは明晰かつ力強く始まり、和音が深々と響きます。反面、緩徐部分はこれでもかとゆったり歌い、第1楽章は14分以上もかかってます。グールドほどとは言いませんが、テンポの統一感があったほうが好きです。タッチももう少し柔らかいものを織り交ぜて欲しい感じ。第3楽章も私の好みと比較するととにかく遅すぎ。終楽章はゴマカシがなく明晰な打鍵を活かしてストレートに盛り上げて完成度も高いのですが、音色の変化が少なく一本調子なのが残念。ライヴ会場で聴いてるなら全然印象は違うと思うのですが、冷静に自宅で聴くとなると・・・残念ながら奏者の演奏に共鳴することができませんでした。

ピーター・ケイティン盤を追加。極めて優雅かつまろやかなタッチで弾かれており、無造作に出した音は1つも無い感じです。美しく音を鳴らすことにかけては相当腐心しているのが伝わってきます。第3楽章は11分もかかってますが飽きさせません。57歳の時の演奏ということで、さすがに終楽章はキレが欲しいところですが、センスの良いネクタイを喉もとまでキチッと締めた姿が見えてくるような折り目正しい演奏。

アンドレア・ルケシーニ盤を追加。1984年、19歳の時の演奏ですが、音色は輝かしく、歌い方もスッと入ってきてすでに完成されているピアニストだと感じます。こちらの記事を読むといかにも天才肌のピアニストという感じですが(というかプロのピアニストはほとんどが天才だと私は思いますが)、演奏もそんな感じ。練り上げられた解釈というよりは、自発的で伸び伸びとした印象。第1楽章は、イタリア系らしく大いに歌います(ミケランジェリ、ポリーニの後継者などと言われてますが、タイプが全然違います)。後半になるにつれて、少しアツくなってくるのかテンポが遅くなるのが残念。第2楽章も急速部分が終わると途端にテンポを落としますが、つなぎ目が自然で、演奏の「呼吸」が巧み。第3楽章はケイティン盤よりもさらに遅く、11分半かけててデミジェンコらを上回る最も遅い演奏ではないでしょうか。これほど遅いのは勿論好みではないのですが、静かに水面で揺られてる小舟のごとき心地良さが漂います。19歳でこんな演奏ができるとは、恐るべきセンス。終楽章は劇的に始まり、やはりどこもかしこもテンポは揺らしまくりな感じですが、時折左手の重低音を効かせるのがビートを刻んでる効果を上手く演出してます。しかし、全体的にやはり奔放に過ぎるかなぁという印象です。

エリザベス・ソンバル(Sombart、1958-)盤を追加。記念すべき100種目は女優並み?の美人ピアニストによる演奏です(日本初発売時は話題になったらしい)。録音のせいなのか、音が団子状というか分離がよくありません。よぉーく聴くと所々でごくわずかに録音会場での雑音が入ってます。あと、気のせいかもしれませんが第1楽章終わり近くの9:39辺りで編集があるような気がします。第2楽章は明らかにたどたどしい。音が出きってないのがホコリっぽい感じ。第3楽章は優しく静かに歌う感じで悪くありません。優美な女優というよりは、親しみのある保育士さん、という感じ(何だそれ)。終楽章は1:30辺りの右手が動き回るところで左手で内声を強調していますが、そこだけ音圧が薄くなりちょっとヘン。全体的に技巧が物足りない感じ。


☆100種到達の御礼☆
おかげ様で、ソナタ3番は録音数が100種類を超えました。自分のための備忘録的に始めた聴き比べで、正直ここまで続けられるとは思いもしませんでしたが、拙い内容にも関わらずコメントや感想をお寄せ下さった読者の皆様のおかげでなんとか続けることができました。改めて感謝申し挙げます。メモ程度の文字数で感想を記すのは逆に頭を使ったかもしれません。2番の方もこのまま順調に行けば年内には100種を超えられると思いますので(私は3番のほうが好きなのですが、今は流石に飽きてきて2番に飢えています)、それでは今後ともよろしくお願いします。


※2015/2/4追記
仲道郁代盤を追加。つい先日、NHKのクラシック番組でショパンの練習曲を2曲(10-3,10-12)を弾いていました。想像していたより相当小柄な方でしたが、この演奏はかなり良いです。出だしのアルペジオからウム?と引っかかる箇所はあるものの、第1楽章は全体的に非常に充実した語り口を聴かせてます。日本人では珍しいかも。第2楽章も抜群の録音に乗せて爽快。第3楽章、オーソドックスながらスッと胸に届く自然な歌いっぷり。第4楽章はさすがにテンポが遅めで(5:41)、再現部などはモタレすぎなのが残念なものの、クリスタルのような音色で格調高い仕上がりになってます。エリザベート国際第5位はダテではありませんでした。余談ですが、オフィシャルHPを見ると大変にマメな方で頻繁にブログを更新されているようです。


※2015/3/27追記
神谷郁代盤(LP)を追加。

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名前が同じなので仲道郁代さんとあまり区別ができてませんでしたが、こちらの方が17歳くらい上の大ベテラン。来年70歳だそうです。そんなわけで、初めて聴いたのですが、さすが日本人初のエリザベート国際入賞(第6位)だけのことはある、技術がしっかりしていて、力強くて、それでいてちょっと薄味で、笑ってるのそれとも泣いてるの?と若干わかりにくい能面なところも感じられる演奏です。終楽章は4:55となかなかのテンポですが、フレーズとフレーズの間を少し取るのが惜しい。このレコードはギターの山下盤などと同じくCD化されていない時期のRCAの録音のようで、今回初めて店頭で見つけました。けっこうレアなのかもしれません。録音は1973年、エリザベート入賞翌年のレコーディングで、これが2枚目のアルバムのようです。全然関係ないのですが、帯の煽り文句が「異常な才能」って・・・もっと他に言い方なかったのでしょうか。

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他の2曲、モーツァルトのロンドイ短調、スクリャービンのピアノソナタ第5番も、このショパン同様に技は達者ですが工夫とか独自の解釈とかが見られず、面白みに欠ける感じです。


※2015/9/7追記
田中修二盤を追加。第3回日本国際コンクール第3次予選のライヴ録音LP(おそらく未CD化)。このときは日本人最高位となる第3位。現在、神戸女学院大学教授(学科長)とのことです。ご本人のウェブサイトもありますが、なかなかの出来です。演奏は故園田高弘氏に師事しただけあって、同様路線のカッチリと生真面目な印象。若干の弾きこぼしもあるものの、日本人には珍しい深々とした和音と確信に満ちたタッチのあいまった豪快さがあり、技巧にも余裕を感じます。終楽章は4:52くらいで師匠よりわずかに速いでしょうか。B面のリストのソナタは同じ傾向の演奏で、最近レコードで聴いた小川さんのよりもより無色透明でオーソドックス。面白みには欠けるかも。ラフマニノフが向いてそうと思ったら、どうやら録音があるようです。

田中


※最近はユニオンでめぼしいCDも見つからなく、専ら未CD化と思われるレコードを中心にあさっているのですが、試聴するとどれもイマイチで、コレクターでない私は金欠もあって二の足を踏んでおり、おそらく10枚くらいはスルーしています。ブログの更新ネタがなくてスミマセン。


※2015/10/10追記
タチアナ・シェバノワ盤を追加。1980年ショパンコンクールライヴLP。ダン・タイ・ソンが優勝し、イーヴォ・ポゴレリチがファイナルに進めずアルゲリッチが怒って審査員を辞めて物議をかもした回の準優勝者です。

shebanova.jpg

彼女の演奏はメロディア時代からレコードが幾つか残されていますが、相当な美貌の割には日本であまり評判になっていないピアニストだと思います。このMUZA盤も、準優勝者でありながらCD化されていないのではないでしょうか(ダン・タイ・ソンの同コンクール演奏もCDになっていませんが)。ヤロスワフ・ジェヴィエツキと結婚して、生まれた息子もピアニストだそうです(ジェヴィエツキはキャニオンから出てるショパン・エチュードを持ってた気が)。

このレコードはユニオン新宿のクラシック館に半年以上?売れずに残っていて、ヘッドホンで試聴したところいまいちピンとこなかったのでずっと保留していたのですが、カツァリスの件でステレオで聴くと全然違うかも、と思い直して買ったものです。さて、演奏ですが、優勝者・準優勝者の演奏を差し置いてCD化されているポゴレリチ盤で聴かれるようなデッドな録音に乗せて、ストレートな解釈のもと冷静かつ精緻で緊張感のある引き締まった演奏です(ポゴレリチほど息苦しくないので、あれはやはりCD化の仕方の問題なのかも。むしろ、これは個人的に好録音です)。所々ややタッチにひ弱さを感じるところがなきにしもあらずですが、指回りは想像以上に健闘していて、かつライヴながらミスも少ない。全体的に叙情性は薄めなものの、品の良さと格調の高さを備えており、さすがは2位といった感じ。終楽章はジャスト5分で、切迫感や完成度が素晴らしい。ちなみに、私より厳しい嫁によると「75点」。彼女の演奏を聴いたのは恥ずかしながら初めてなのですが、2008年にレコーディングされた10枚組のショパン独奏曲集も興味が出てきました(指回りが少し心配なのと、全集は価格がちょっとアレですが・・・)。彼女は2011年に58歳の若さで亡くなっています。惜しい人を亡くしました。

※2015/12/23追記
シャルル・リシャール=アムラン(Chales Richard-Hamelin)盤を追加。いつものように中古で落ちてくるまで待てず、収録曲も少なめだし、いいやと思いiTunesでソナタ3番だけ600円で購入。残念ながら、危惧していた通りコンクールと比べて優等生的演奏になってしまっています。コンクールの時の、元気ハツラツ健康的な打鍵では勿論なく、第1楽章は慈しむような柔らかな歌心が見られ、ショパン度はup。第2楽章は精密なタッチを存分に披露しながらも、生真面目さを外さない演奏。第3楽章も10分近くかけて非常に丁寧。いや丁寧すぎるかな。バルボーザのようにせき込んだり、じらしたり、くすぐるようなアゴーギクがあれば飽きさせないのですが、ここに歌心の限界が見えているかも。全体的に拍をきっちりと守る傾向があります。期待の最終楽章はダウンロードして取り込んだ時点で5分超えで、やっぱりか〜とガッカリ。実際には4:57で、精緻かつビートをきちんと刻み(タメがありインテンポというわけでない)、コンクール同様に劇的な盛り上げが見事なために演奏タイムはそれほど遅く感じませんが。そんなわけでちょっと辛口になりましたが、レベルの高い演奏には違いなく、コンクールが☆に近い◎だとしたら、これは○に近い◎でしょうか。コンクールライヴのCDがyoutubeよりも録音が良いことを期待したいと思います(チョ・ソンジンはすでにDGから出ているようですが・・・)。

※2016/6/7追記
内田光子盤(東芝EMILP)を追加。

※2016/6/11追記
ピエトロ・デ・マリア盤を追加。音の強弱や音色の種類など、あらゆる音が緻密にコントロールされており、ピアノを操る能力では手持ちでNo.1かも。それでいて細部への凝りすぎがやりすぎにならず、豊かな音楽性も持ち合わせています。優美になりすぎる一歩手前でキリッと引き締めるシリアスな面も見せ、約12分もかけてる第3楽章も飽きません。同路線のドミトリエフ盤よりテクニックも録音も上。終楽章は5分半で、頻出する急速下降音型もなんとなくフレーズの切れ目がわかる感じなのですが、「あえて」やってる感があり、それがまたなぜだか不思議と良い(速弾きの中で表情を付けているように錯覚?して聴こえてるのかも)。そんなわけで、フリッター(スタジオ)盤以来に☆を付けようかと迷う盤でした。聴き込むと評価が変わるかもしれませんが。


※2016/7/09追記
フランソワ=ルネ・デュシャーブル盤を追加。2番に比べて整っている曲想の3番は彼向きで、語り口にもしみじみとした良さが感じられます。第1楽章の出だしで音ギレの悪い感じがあるのが惜しい。そこ以外は歌も上手く、流麗かつ精緻な演奏でかなり良い!整っていてショパンらしさが薄いのがもったいない。スケルツォなどもヤブウォンスキ系の、組み立ててるプラモデルのパーツ一つ一つが見えてくるような整地された演奏。終楽章も4:52ですが、時折間が空くためかタイム以上に速く感じます。ベストワンにはならないですが、佳演です。この盤は意外に中古でユニオンに落ちてこず、かなり探してました。話は変わりますが、ショパンのコンチェルトを500種類以上聴いているというスゴい方がいて、その方によると協奏曲第1番のベストがデュシャーブルということなのです。私も聴きましたが、このソナタの印象と同じく、佳演の域を出ないかなという感想で、毎度ながら人の印象というのは千差万別だなと改めて感じた次第です。


※2016/8/6追記
マリア・ペロッタ盤を追加。何度かご紹介している加藤さんのホームページでペロッタのゴルトベルクが賞賛されており、気になっていたピアニストでした。さて聴いてみると、遅めのテンポながらセンス良くピアノが奏でられており、流石ロマンティスト率の高いイタリア人ピアニストという感じがします。贅沢言うと、もう少し技のスゴみが欲しいところ。


※2016/11/20追記
レフ・オボーリン盤を追加。1950年代初めの演奏で、録音が滅茶苦茶モヤモヤボヤボヤしています。まるで隣りの部屋から聴いてるかのようです。しかし演奏は素晴らしく、自然な呼吸のアゴーギクの第1楽章、サクサクと小気味良いテンポのスケルツォ、ベタベタしすぎない第3楽章、そして4分台前半の終楽章など、確かなテクニックとセンスを感じさせます。流石はショパンコンクール第1位です。


※2016/12/30追記
スティーヴン・ハフ盤を追加。ハフの芸風から言って、個人的に「70点」くらいの演奏だろうなと思い手を出してませんでしたが、後期ショパン集ということで併録に幻ポロが入っているし、こんな大物なのに未だ聴いてないのはどうかと思い、買ってみました。予想通りなかなか良い演奏でしたが、ショパンらしさの表現に傾いた演奏で、彼らしい技巧のキレを期待すると少々ガッカリするかも。終楽章も5:11と、まさにPresto non tantoで、最後の難所も「ホントはもっと速く弾けるんだけど、non tantoだからね」という余裕を感じさせるのは流石。アムランと似ていますが、彼よりも正統的な感じです。ちなみに、幻想ポロネーズは悪くはないものの、ややモタれ気味の歌い方が私にはそれほど合いませんでした。


※2017/1/3追記
あけましておめでとうございます。ジェイソン・ギルハム盤を追加。上品で優等生的ですが随所で音楽センスを感じるというか、歌重視の演奏。テクもさほど悪くありません(終楽章は5分ジャスト位)。不思議な内声を強調したり面白いのですが、それに関しては個人的にあまり成功してるとは言い難いかも。芸風が似てるかなと思った(私の好きな)シェリー盤と続けて聴き比べましたが、それよりは力強く、これから評価を上げそうな演奏です。


※2017/1/17追記
アレクセイ・スルタノフ盤(1996年日本ライヴ)を追加※ さすがに長くなって見づらくなってきましたので、今回から別ページにリンクを飛ばすようにしました。


※2017/5/19追記
インゴルフ・ヴンダー盤(2010年ショパンコンクール)を追加。


※2017/6/17追記
ユリアン・フォン・カーロイ盤を追加。


※2017/12/16追記
リシャール-アムラン盤(ショパンコンクール2015ライヴ)を追加。


※2017/12/21追記
Sang Mi Chung盤を追加。あまり見かけないCentaurレーベルで、他の曲の演奏も面白いので後ほど別項で書く予定。とりあえず先に一言、素晴らしい。
※アルバム全体の感想を追加


※2018/1/6追記
Anthony di Bonaventura盤を追加。


※2018/1/7追記
ポリーニ盤(LIVE CLASSICS 100)を追加

※2018/5/20追記
イレーナ・ヴェレッド盤を追加。

※2018/6/23追記
シェフチェンコ盤、トリフォノフ盤(ショパンコンクールライヴ)を追加


※評価は時とともに変わる可能性があります。
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最近聴いている音楽 vol.78~ショパンのピアノソナタ第3番2種~
2018-05-21-Mon  CATEGORY: 雑多な話題
この数カ月更新が止まっていたので、感想が未記入の盤が溜まっている。徐々に出していこうと思う。


まずは、飽きもせずショパンのピアノソナタ第3番。

シェフ&トリフォ

1枚目、画像で左と真ん中のCDが、マルガリータ・シェフチェンコ(b.1967)という旧ソビエト出身の女流ピアニストのもの。録音は1990年で、23歳になったばかりの時の演奏である。これが極めて模範的で、スタジオ録音ながらライヴのような演奏の生っぽいフレッシュさに溢れている(ライナーには、「あまりテイクを多くとることもなく、ほとんどライヴのように」演奏していたとある)。第1楽章は取り立てて特徴が見当たらないほどスタンダードだが、随所で丁寧で清楚に心を込めて歌う姿勢が感じられてよい。第2楽章も(ヴェレッドよりも)指回りはスムーズ。第3楽章が白眉で、実に自然で違和感なく音楽に浸れる。終楽章、テンポはやや遅めだが、カチッと強弱を付けており、演奏時間5:25という長さをそれほどは感じない。なお、この1990年のショパン・コンクールで彼女は第4位に入賞しているので、実力はホンモノである(ちなみに1位なし、2位がケヴィン・ケナー、3位が横山幸雄、4位が彼女とCorrado Rollero。ウィキによると本選には及川浩治、フィリップ・ジュジアーノ、田部京子、有森博が残ったようで、日本人大活躍の回であったようだ)。演奏の傾向としては、タチアナ・シェバノワのような印象だが、彼女よりももっと女性的で柔らかい感じ。今のところを付けられる。ユニオンでは、この15年くらいで数回しか見かけた記憶が無いレア?なCDだが、買って良かった(余談だが、彼女はこの後1994年の第2回浜松国際で奨励賞を受賞している。ハイライトCDにはスカルラッティのソナタとショパンの舟歌が収録されている)。


さてさてもう1枚はダニール・トリフォノフのショパコンライヴ。コンクール後の活躍はご存知の通りだが、スタジオ録音がイマイチだったのでコンクールのライヴは入手を後回しにしていた。第1楽章はこちらも模範的。第2楽章はこれも非常に整った演奏だが、中間部のノクターン的な箇所が音色の変化という点でやや物足りないか。第3楽章は以前聴いたスタジオ録音よりもライヴということもあるのか気持ちがこもっている感じで悪くない。演奏時間は9:04だが、実際にはそれ以上に遅く感じる。終楽章、4:50ということなので「拍手入りでこの時間なら相当期待できる!」と思ってこのCDを買ったわけなのだが、実際に4:50だったのが惜しい。それでも、スタジオ録音より断然良く、急速部分の正確さが凄い。欲を言うと、最後のラスト1分間で拍が飛ぶというかリズムがヨレる感じがあって、勿体ない。トータルでちょっと甘いがこれも


2種類良い盤が続くと自分の基準がブレているのではないかと思って不安になる。そういう時は何回か聴き込んだ直後に、マイベストの☆印盤を聴いて補正するのがいい。バルボーザは耳タコなので、R-アムランのショパコンライヴを聴く。うーんやはり120種余りの中でただ2つの「☆」評価を与えた私の判断は間違っていないようだ。単にテクニックが優秀なだけでなく、和音の響かせ方、歌いどころでの絶妙なアゴーギク、デュナーミクがグッとくるものがある。第4楽章のタメはやはり気になるが、コンクールライヴのみなぎる緊張感の中、このテンポは天晴れとしか言いようがない。申し訳ないが、先の2種より2段階くらい上にしたくなる。まあとりあえず両方○印にひとつ下げておこう。
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最近聴いている音楽 vol.77~イレーナ・ヴェレッドのショパン集(LP)~
2018-05-20-Sun  CATEGORY: 雑多な話題
イレーナ・ヴェレッド(Ilana Vered、1943-?)という女流ピアニストを知ったのは学生の頃、例のラフマニノフのコンチェルト2番の「門田本」からであった。


当時住んでいた調布市の中央図書館は、なぜだか今は絶版なこのレア本や、数学の貴重な専門書が揃っており、私は足しげく通ったものだ(残念ながら、CDの品揃えは文京区に比べるとそれほど良くない)。ともかく、門田本では(もう詳細は忘れてしまったが)ラフ2の中でも最低ランクの評価で、酷評されていたのを覚えている。実際に入手したラフ2でも、門田氏の言う通りヒステリックなおばちゃんがやりたい放題のトンデモ系な演奏だった記憶があって「こりゃダメだ」と思い、それ以来忘れてしまっていたピアニストだった。


それが、紀伊国屋書店の上に移転してアクセスしづらくなってしまったユニオン新宿クラ館(紀伊国屋のエレベーターは絶望的に混みすぎる)で見かけたのがこのレコード。


vered
(コーティングジャケットで室内で反射して見づらいのはご勘弁を)

曲はショパン、ピアノソナタ第3番、バラード第4番、軍隊ポロネーズ、それにワルツとノクターンが1曲ずつ、マズルカが2曲という、比較的王道な内容である。どうやらCD化されていないらしく、ユニオンでもそこそこの値段(忘れてしまったが1000~2000円位?)が付いていたが、ソナタ3番ではラフ2で聴けた個性的演奏でどう料理されるのかが面白そうだったので買ってみる。


これがまずまず面白い。


とにかく録音が良い。ピアノの音色が美しい。レーベルはDECCA、1974年頃の録音だがさすがという感じである。そして演奏も、「そこでタメます?」とか、「スーパーの安売りに行くのかい?」的に駆け出す箇所はあるのだが、十分に許容範囲で(というかむしろ面白い)、第2楽章での指回りで、なんちゃってピアニスト系より頼もしさがある。おまけに第3楽章では品の良さまで感じるのにチョット驚く。相当にモタレ気味なのが個人的な趣味から大きく外れるが、情感の込め方は悪くない。意外だ。そしてお待ちかねの終楽章。出だしは消え入りそうな音量だがすぐに歯をむき出しにして駆け出す。まるで昼ドラで主婦が夫の不倫相手を後ろから追いかけるような迫力だ。タメが多いのが惜しい。急速部分もスピード感はあるが、粒の揃いがやや悪い感がある。終盤は明らかにテンポが落ち、打鍵も弱まるのが残念。それでもタイムは4:38ほどで相当速い。トータルでちょっと甘いが〇、という感じか。


ノクターンは予想通り重いが、感傷には浸れる黄昏れな雰囲気はある。バラード4番も激重。それでもマジ勘弁、というほどではなく、なんだか聴いてしまう。アナログの魔力か。ユニゾンやストレッタ前は大いに盛り上げる。和音連打部分もかなりの迫力。続く弱音はやはり聴こえないほどだが、ラストは力強く夫の胸にナイフを突き立てる。ワルツ、これもねちっこく色目を使ってるような演奏。指回りはなかなかなので「できる女でしょう」と言い寄られている感じだ。軍隊ポロネーズ、力強く始まるが、躍動感に少し欠け、堅い感じがする。それでも、重めの演奏が続いた中では良いアクセントになっている(あまり好きな曲ではないのでコメントは薄目)。終わりのマズルカ2曲、これがソナタ3番で見せた品の良さを感じさせる演奏で聴かせる。特にOp.7-1は「私にもいじらしいところがあるでしょ?」みたいな可愛げのある表情さえ見せる。一筋縄ではいかない御仁のようだ。


イレーナ・ヴェレッド、以前はオフィシャルサイトがあったようだが消えてしまった。拙文で興味を持った方は、ジュスマルダホスさんの記事も読まれてみるとよいだろう。
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