音楽好きの世迷い言
The melody at night, with you
KURT ROSENWINKEL'S CAIPI BAND @Motion Blue YOKOHAMA (2017/4/16)
2017-04-22-Sat  CATEGORY: 音源聴き比べ
新年度最初のレビューはコンサートの感想を兼ねた音源聴き比べである。


以前書いた通り、モーションブルー・ヨコハマにカート・ローゼンウィンケルの日本ツアー最終日に行ってきた。


店の受付前には、カートにギターを提供している渋谷のウォーキンのブランド、Westvilleのギターが飾ってあった。見るからにクオリティの高そうなギターで、私は涎をガマンしながら脇を通り抜けた。ウォーキンオーナーの西村さん(West Ville)の姿も見えた。お店のFBではツアーの貴重なオフショットが見られる。客席はジャズギターマニアと思しき青年・中年で溢れていた。中には、私の一番好きなジャズギターライターの石沢功治さんの姿もあった気がする(紙面で拝見しただけでお会いしたことがないので不確かだけど)。

比較的早めに予約したせいか前から数列目が取れ、カートがほぼ目の前に見える位置で観ることができた。現代ジャズギターの皇帝ことカートの注目のライヴなのですでに多くの人がライヴレポートを書いているが、私がひと言で感想を言うなら、最高だった

バンドメンバーはカートとドラムのビル・キャンベルを除いて皆若く、20代か30代に見える。Voのペドロ・マルティンズはやや小柄で童顔、少年のように若いがどこかロックスター然とした佇まいで、ルームウェアのようなボトムズにRADIOHEADの『OK Computer』のトムの顔が載ってるTシャツを着ていた。ガムを噛みながら、歌にギターにキーボードに(AppleのラップトップもSEか何かで使っていた模様)大活躍だった。ピアノのオリヴィアは相当な美人で歌も上手く、しかも非常にリリカルなソロを弾いていた。カートやペドロが大汗をかいているのに、まさしく汗一つかかずにベースのフレデリコは淡々とリズムを刻んでいた。パーカッションのアントニオはあまり目立たない。

カートのメインギターWestville Vanguard Plus DC
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(ギターシンセ的なサウンドが多かった気がする。照明のせいで赤く見えるが、実際にはワイン色っぽい茶色)


カートの使用エフェクター
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(これを見て私は『JOEMEEK』というエフェクターメーカーがあることを知った。そのものズバリ人名を付けるとは)


ペドロのギター
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(よく見るとfホールをテープでふさいである)


メンバー
Kurt Rosenwinkel (g,vo)カート・ローゼンウィンケル(ギター、ヴォイス)
Pedro Martins(g,key,vo) ペドロ・マルティンズ(ギター、キーボード、ヴォイス)
Olivia Trummer(p,key,vo) オリヴィア・トルンマー(ピアノ、キーボード、ヴォイス)
Frederico Heliodoro(b,vo) フレデリコ・エリオドロ(ベース、ヴォイス)
Antonio Loureiro(per,vo) アントニオ・ロウレイロ(パーカッション、ヴォイス)
Bill Campbell(ds) ビル・キャンベル(ドラムス)

セットリスト
1.Caipi
2.Kama
3.Casio Vanguard
4.Time Machine (新曲)
5.No the Answer (新曲)
6.Chromatic B
7.Interscape
8.Ezra
9.Recognized (新曲)
10.Hold On
(Encore)
11.Little b

(漏れや間違いの可能性もあるのでご容赦を)

カートが1人で練り上げた宅録サウンドを、生身のバンドメンバーで再現するとこうも変わるのかと思うほど印象は異なっていた。勿論、ラウドなベースやタイトなドラムのスネアは恐ろしくアルバムのままなのだが(ベースがビリつくところまで同じ!)、音やリズムの揺らぎ、空気感が全然違う。やはりライヴはいい。私の記憶が確かなら、新曲を3曲やっていた。よりスタンダードなPOPソング寄りというか、ロック調ですらあった。曲の終わりはドラムがドコドコ叩いて終わるし、カートもロックギタリスト的な弾き終わりを見せるなど、ギター小僧だった私には感涙モノである。時にはエレクトロニカ風なアレンジもあり、ドラムのつっかえたようなリズムは、ペドロのTシャツのままに時折レディオヘッド的ですらあった。「ブラジリアン・プログレッシヴロック・ジャズ」とでも形容できそうな感じだ。

カートのギターはもはやデビューの頃とは大きく変貌を遂げている。独特のリズム感と浮遊するメロディは健在だが、バリバリ弾きまくる。歴史的名盤『The Remedy』以降、明らかにカートのテクニック(クラシック的に言うとメカニックの部分)が向上している。純粋に速弾きの割合が増え、音数が増加しているのもそうだし、ある意味HR/HM的なスウィープなども増えた(今回のライヴでもランフレーズで頻繁に用いていた。ヴォイシングが複雑で私には分からなかったが笑)。現代のジャズギタリストでここまで明らかな進化(というと偉そうだが)を感じさせるのは彼ぐらいではないか(まあメセニーもそんな感じだけど。逆にAdam Rogersのように「もう上手くなりようがない程に上手い」タイプもいる)。兎も角、ソロは彼らしい唯一無二のフレージングで、ライヴならではの聴衆を熱狂の渦に惹き込むような盛り上がりを感じさせるラインだった。ささやかながらギターを嗜む人間として、これまで色々なギタリストの演奏を見たが、あらゆる意味でここまで自在に楽器を操るギタリストを私は他に知らない。本当に感動的だった。彼のヴォーカルは流石にペドロの美しい歌声と比べるとかなりイマイチだったが、ギターを弾きながら歌う姿はロックミュージシャンかのようで、ロック好きの私には嬉しかった。

残念ながらM.B.Y.の音響バランスはイマイチで、カートやペドロは曲中に何度もマイクの音量を上げるようジェスチャーしていたし、曲の良いところでハウることもあった。まあこれはデカめのベースを指示したバンド側にも責任があるかもしれないが。ともかく、これまでに見たライヴの中でも特に素晴らしいものだったと思う。


終演後、他の客がレジとは違う行列を作っているので何事かと思っていると、なんとサイン会があるという。おまけに受付にはLPが売られていたのだ!レコードが販売されていたとは、全く気付いてなかった。嬉々として並ぶこと20分、メンバー全員が現れ、1人1人にサインをしてくれた。カートに握手をしてもらったが、温かく大きな手だった。ペドロに「私もOKコンピューターが好きだ。いいTシャツを着てるね」というと、そんなことを言う客は他にいなかったのか驚いていた。皇帝はにこやかにそして気さくにファンの1人1人と話をしていた。こんなに小さなライヴ会場で、座って酒を飲みながら目の前でアーティストを見ることが出来、おまけに握手とサインと会話付きなんて、ロックの世界ではおよそ考えられないことだ。こんなところにもジャズというジャンルの良さがある。


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①ハイレゾ(flac 96kHz/24bit)
以前書いた通り、音の色鮮やかさはこれまでに聴いたどのアーティストの作品よりも素晴らしい。過剰とも言えるほどキメ細かに煮詰められたアレンジはハイレゾにピッタリである。情報量が多過ぎるので何度聴いても楽しめる。しかし、イヤホンで聴くと聴き疲れ感がハンパない。


②レコード
LPには9曲しか入っていない。ハイレゾは日本独自のボーナストラック『Song for our Sea』があって全12曲なのに比べるとかなり損な感じだ。ちなみにLPに入れられることなく落ちた2曲は『Ezra』『Interscape』である。

これまでこの"音源比較"コーナーで書いたように、アナログは音の一体感、塊り具合が特徴である。ハイレゾの、驚異的な音の分離と明晰さとは別次元だ(別表現と言ったほうがよいかもしれないが)。残念ながらハイレゾのようなカラフルさはかなり後退してしまっている。


毎回同じことを書くようだが、音楽に求めるもので良し悪しは変わってくるというのが率直なところである。通勤時はハイレゾを聴きまくったが、職場に着いた時の耳の疲労感というものはかなりある。リビングでハイレゾを流すとその緻密な表現に驚かされる。続けてレコードを聴くとまったく違う音像だ。正直、ギターも引っ込んでるし、SEなどの効果音の雰囲気もそれほど出ていない。ただし、心地良さはレコードが上回る。(9曲だし)あっという間にアルバムを聴き終えてしまう。


総合的にはハイレゾが上回るだろう。しかし、発売元のソングエクス・ジャズでの購入限定のようだが、このLPにはハイレゾのダウンロードコードが封入されている。私がM.B.Y.で買った輸入盤にはついてなかった(ウォーキンの好意でCaipiのジャケを模したピックは貰えた)ので、ハイレゾもレコードもそれぞれ買ってしまった私はなんだか哀しいというかなんというか・・・。

ちなみに同行してくれた友人は通常のCDを買っていた(音質的には一番損をしてる?)。
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最近聴いている音楽 vol.52〜SokolovのGoldberg〜
2017-03-23-Thu  CATEGORY: 雑多な話題
先日書いたグリゴリー・ソコロフのラフ3、「音がおかしい疑惑」について。



「あれと同じようなピアノの音をどこかで聴いたんだよな・・・なんだったっけな?」と考えること1週間。答えはすぐそばにあった。


soko2.jpeg


そう、まさかのソコロフによるバッハ・ゴルトベルク変奏曲である。iPodでSokolovのアルバムを眺めていて「アッ」と思い出したのだ。


長い間、このメロディア盤レコードはCD化されず、LPの価格はebayで1万overだったので見送ってきた。CD化されて飛び付いたが、出だしのアリアからクシャミのしぶきまで見えるようなデリカシーの無い観客ノイズの連発に神経質な私は嫌気が差して、ろくに聴きもせず棚の肥やしとなっていた。ちなみに演奏自体、律儀に繰り返しを行うなど生真面目で硬くてあまり好きではない。ライヴということもあり、ミスが無いわけではないのも手が伸びない要因になっている。おまけに録音も遠めでホール内のザワザワを(ラフ3と同様に拾っていて!!)イマイチだ。


話を戻そう。とにかく第何変奏か忘れたが、突然ピアノの音色が変わるのだ。出だしは普通の音色なのに、途中からエフェクターでコーラスをかけたかのように、ピアノの音が突如おかしくなる。今日、送別会で新宿に向かう電車の中で聴いていたが、やはり気が付かぬうちにいつの間にかこの気持ちの悪いピアノの音になっていた(ラフ3ほど常に変な音になっているわけでない)。何かの録音マイクの不調なのだろうか?よくあるピアノ上のトラブルなのだろうか?違うレコード会社、同じピアニスト。これは一体、何の符合なのだろう?あるいは、ソコロフがこの音が好きなのだろうか?本当に私の耳はおかしくなってしまったのだろうか?それとも、私の再生機器が悪いのか?プレーヤー、iPod、スピーカーにイヤホン、すべてが同じようにおかしな音を出すということはありえるのか?



どなたか、ソコロフのこのゴルトベルクかラフマニノフの3番を聴かれた方はコメント頂けないだろうか。もし、世間でこんな音が「良い」とされるなら、私はクラシックから撤退するしかないと思っている。


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DREAM THEATER 『METROPOLIS PT.2:SCENES FROM A MEMORY』音源聴き比べ
2017-03-22-Wed  CATEGORY: 音源聴き比べ
ブログのアドレスでずっと気になっておられた方がいるかもしれないので10年目の告白をすると、私はドリームシアターが大好きである。



青春の何年かを、彼らに捧げたと言っても過言ではない。

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ジョン・ペトルーシは私のヒーローだった。スコアやヤングギターを買い揃え、来る日も来る日も彼のフレーズをコピーした(ジャズのセッションでもたまにペトルッチ的なトライアドフレーズを弾いてしまうことがある笑)。

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彼らの作品の中で最も好きなアルバムがこの第6作目の「メトロポリス・パート2 シーンズ・フロム・ア・メモリー」である(勿論、I&MやAwakeも捨て難いが)。このアルバム発表後に来日した2000年5月の東京近郊の全4公演は全て観に行った。横浜ベイホールではスタンディングで暴れ回り、数メートル先のステージ上のペトルーシと目が合ったときは死んでもいいとさえ思った。私も若かった。

このアルバムについては多くの人が様々なところで書いているので、内容については割愛させて頂く。超絶技巧のジョーダン・ルーデスの加入でクラシカルなフレージングを増したアレンジが、コンセプト・アルバムとなった本作にはピッタリだと思う。ギターの話をすると、私の記憶が確かならこの頃ペトルーシのギターは、アイバニーズの自身のシグネチャーモデル「ピカソ」からミュージックマン(アーニーボール)の現行のモデルへと移行する過渡期にあったはずだ。このアルバムはピカソで録音されたと記憶しているが(ヤングギター10年分は就職したときに捨ててしまった)、ピカソギターはアイバニーズらしいソリッドで音抜けの良いサウンドに仕上がっている。この後はよりハイエンド??なミュージックマンに変わるので、ギターの中域が良く伸びて艶のある音色に変化するが、個人的にはやや音の身が詰まり過ぎに感じる(別に所有しているからピカソの肩を持っているわけではない笑)。


というわけで、音源聴き比べである。

今回は通常CD、SHM-CD、LPの3種類を聴き比べる。平日昼間に休みを取ると、ちょうど嫁と息子は幼稚園仲間とウルトラマンを観に新宿へ出かけるという奇跡のような半日があったので、遠慮なく大音量で聴き比べた。時間の都合で、(ほぼ)通して聴いたのはSHM-CDで、通常CDとLPは前半5曲後半3曲とさせて頂いた。アマゾンをはじめとするネット上では賛否両論、SHM-CDの音はスゴい、いや通常盤が最高だ、などと色々書かれているが、さて。


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①通常CD
これを買ったのは某MKGJという塾でアルバイトをしていたときだ。発売日に買ってバイト後22時過ぎに帰り、疲れのあまり聴きながら途中で寝落ちしたのを覚えている。それ以来、何百回も聴いた。ともかく20世紀最後の年はこのアルバムとクラムボンの『まちわび まちさび』をひたすら聴いていた。音質だが、大音量で流すとあの時の思い出が鮮やかに蘇る。自分にとって聴き慣れた音で、安心して聴けるバランス。特に不満などあるわけもない。


②SHM-CD
メタルの世界にも、と言ってはなんだが、音質向上ムーヴメントの波はやってきた。このSHM盤は2009年、デビュー20周年記念SHM-CDコレクションでデジタル・リマスターということで発売された。ちなみに比較的発売から日が浅いにも関わらず、大人気2nd『Images and Words』のSHMはユニオンで5000円over、3rd『Awake』も3000円overという状況である。ちなみにこの『SFAM』のSHM盤はユニオンで1600円だった(いつか他盤の聴き比べも書きたい)。

聴いてみると、MAGMAの時のような明らかな違いは感じないものの、SHM-CDらしく、各パートの音の分離が明瞭でヌケの良いサウンドである。特にヴォーカルが前面に出てきているように感じられる。さらに音量を上げて3、4曲目のみ①と聴き比べると、①は密な空気感の中で音が渾然一体となって感じるのに対し、この②は分離した各楽器各パートの隣り合う音の狭間まで見て取れるような感じ(現代の録音のせいか、MAGMAの時のようなスカスカ感をSHM-CDに感じない)。音が非常にクリアで明瞭。しかし、通常CDと目の覚めるような違いがあるわけではない。少なくとも、私の愚耳ではそこまで聴き分けられるものではない。


③LP
数年前に池袋のユニオンで6000円弱ほどで入手。近年の再発盤ではなく、これは2011年のUSオリジナルでシリアルナンバーはNo.2309。結構後ろの方のプレスになる。状態はEXとあったが、まずまずか。

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聴いてみると、例によってアナログらしく、耳馴染みが良いというか、耳に優しい。当然だが、CD2種と全く違う。ヴォーカルとギターが気持ち遠めで、音の輪郭がボヤケ気味、各パートがモチャっとしていると感じる人がいるかもしれない。レコードに聴き慣れていない人は「アレレ」と思うかも。しかし、聴き続けても疲れることがない。素晴らしいのはD面で、曲調がレコードの特性にマッチしているのか、ラブリエの歌がグッと胸に迫ってくる。終曲のペトルーシのギターの音も柔らかくて絶品である(ただし、C面ラストの『One Last Time』はさすがに内周ギリギリまで収録されているためノイズが酷くなってくる)。以上はレコード原理主義者の私の感想なので半分は聞き流して頂きたい。


レコードの後に再びSHM-CDを流すと、そのリアルさ、明瞭さ、ピッチの安定感に愕然とする。けれども、聴き続けてくると幾分高音部のシャリシャリ感が気になってくるというか、聴き疲れをする(通常CDではそこまで感じない。単に聴き慣れているからかもしれないが)。正直、一長一短で、いつものように点数化するほどの違いには感じられなかった。通勤のイヤホンでは通常CD、車ではSHM-CD、家で独りならLPと使い分けるかもしれない。



というわけで、玉虫色の結論で大変申し訳ないが「どちらかのCDを持っている人は改めて別種を買い直す必要は無い。ただし、レコード好きな方はD面のためだけにLPを買う価値有り」と書かせて頂きたい。他にも、別マスタリングや再発LPも出ているようなので、気が向いたら購入して追加予定。ともあれ、青春の1ページを紐解いた感があり、恥ずかしいやら懐かしいやら。


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ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番op.30聴き比べ~評価一覧編改訂版(2017/3/22)~
2017-03-22-Wed  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
アムラン盤を追加(3/22)
ブニアティシヴィリ盤を追加(3/20)
ソコロフ盤(DG)を追加(3/18)
エレシュコ盤(Ponkin,LP)を追加(2/6) 
ヴォンドラチェク盤を追加(1/22)
評価一覧が随分古くなったので改訂しました(2017/1/10)




私が持っている音源の数では最も多いラフマニノフのピアノ協奏曲第3番について、所有している録音を挙げて簡単にレビューしてみます。

とりあえず4つ星を最高として自分のお気に入りを書きましたが、ピアニストのランク付けや優劣では勿論ありません。テンポが速いか遅いかなどの客観的な感想部分を読んで、お好みの録音探しの参考にして頂ければ幸いです。評価・ピアニスト/指揮者/オケ(録音年・第一楽章のカデンツァの種類)の順です。メモが面倒臭くて書いてないものもあります。オケの名称表記は適当です。


時と場合によって評価を突然変えることがありますので予めご了承ください(聴き直す度に変えるかも)。また、評価が下に行くほど&レビューが短いほどあまり聴き込んでいない盤ですので、それほどあてにされませんようお願いします。

評価未記入盤:ラ・サール

レビュー未記入盤:ラ・サール、ラフマニノフ、アニエヴァス、コスタ、キム・ヒョスン、シグフリッドソン、ケルダー、ラシュコフスキー、舘野泉、ホロヴィッツ(&メータ)、クリダ、ジェッター、マッサ、オルティス


予め私の好みの演奏や聴く上でのポイントを書いておくと、

第1楽章:演奏時間が16分台前半以下(ossia)で速めのテンポであること
①展開部前の難所である両手交差部分のクリアさ
②展開部の和音連打のスピードと迫力
③カデンツァは断然ossiaが好みで後半の和音部分での劇的さ
④再現部前の抒情性(ここは意外にセンスが出る)

第2楽章:音色が豊かで抒情的であること
⑤ピアノが入ってきてすぐの緩徐部分の歌い方
⑥中盤以降の細かい急速音型のクリアさ
⑦アタッカで最終楽章に突入するときのオケとの一体感と迫力

第3楽章:演奏時間が13分台前半以下で速めのテンポであること
⑧冒頭の同音連打のスピードと粒の揃い
⑨後半部分の急速部分のクリアさ(重音上がりのossiaでなくても可)
⑩エンディングの下降音型がノーマルな2拍3連であること

さらに全体を通しては、

⑪カットが無いこと
⑫多少のミスや会場ノイズがあってもライヴの熱気や観客の高揚感を重視

となります。特に重視しているのが②③⑤⑦⑧⑫です。

以下の評価では、4つ星の盤のみ気に入っている順に並べています(3つ星以下の評価は順不同です)。

現在147種(2017/3/22)

☆☆☆☆☆ヴォンドラチェク/Marin Alsop/National Orchestra of Belgium/ossia/Live
☆☆☆☆ サモシュコ/Soustrot/Orchestre National de Belgique/99年/ossia/Live
☆☆☆☆ ブロンフマン/ラトル/BPO/09年/Live/Blu-ray ※DVDは買ってはいけない
☆☆☆☆ ヴォロドス/レヴァイン/ベルリン・フィル/99年/ossia/Live/SACD ※CDはやや評価が落ちる
☆☆☆☆ ハフ/リットン/ダラス響/04年/original/Live
☆☆☆☆ 横山幸雄/小泉和裕/東京都交響楽団/12年/Live/Hybrid SACD
☆☆☆☆ ガヴリーロフ/ラザレフ/モスクワ・フィル/76年/ossia/LP
☆☆☆☆ ロドリゲス/P.A.MacRae/Lake Forest Symphony/94年/Live
☆☆☆☆ プラッツ/バティス/メキシコシティ・フィルハーモニック/89年/ossia
☆☆☆☆ カツァリス/ R.Defssez/Orchestre National de Belgiue /72年/ossia/Live/CD ※LPは☆☆☆
☆☆☆☆ アンスネス(旧)//オスロ・フィル/95年/ossia/Live
☆☆☆☆ アルゲリッチ/シャイー/コンセルトヘボウ/82年/Live
☆☆☆☆ ブニアティシヴィリ/P.ヤルヴィ/チェコ・フィル/16年/ossia
☆☆☆☆ アンスネス(再)/パッパーノ/BPO
☆☆☆  エレシュコ/ポンキン/レニングラードフィル/83年/ossia/LP
☆☆☆  ドノホー/フェドセーエフ/Moscow Radio Symphony Orchestra/82年/ossia/Live/LP&DVD
☆☆☆  ボレット/フィッシャー/ロンドンフィル/82年/original
☆☆☆  アムラン/ユロフスキ/ロンドンフィル/16年/original
☆☆☆  オールソン/
☆☆☆  ラシュコフスキー/2007年エリザベート王妃国際ピアノコンクールLive/ossia
☆☆☆  シェリー/original
☆☆☆  ペナリオ/サスキンド/フィルハーモニア管弦楽団/61年
☆☆☆  ワイルド/ホーレンシュタイン/original
☆☆☆  モーク/ミルトン/ラインラント=プファルツ州立フィル/original/11年
☆☆☆  アルフィディ/R.Defssez/Orchestre National de Belgiue/72年/ossia/Live/LP
☆☆☆  清水和音/アシュケナージ/2007年/ossia
☆☆☆  及川浩治/広上純一/新日本フィル/05年/ossia
☆☆☆  レーゼル/ザンデルリンク/78年/ossia
☆☆☆  カツァリス/Neumann//78年/ossia
☆☆☆  ジャニス/ドラティ/ロンドン・フィル/61年
☆☆☆  スコウマル/スワロフスキー/プラハ室内交響楽団/2002年/original
☆☆☆  ブロンフマン/サロネン/ossia
☆☆☆  グレムザー/ヴィット/ossia/
☆☆☆  ソコロフ/ossia/Live ※海賊盤的音質
☆☆☆  サモシュコ(再)/ossia/Live/DVD
☆☆☆  トルプチェスキ/
☆☆☆  ガヴリーロフ/ムーティ/フィラデルフィア・フィル・86年/ossia
☆☆☆  アシュケナージ/フィストゥラーリ//63年/
☆☆☆  ルガンスキー/オラモ/03年/orginal
☆☆☆  ギレリス/コンドラシン/USSR state orchestra/49年/Live
☆☆☆  スグロス/シモノフ/ベルリン・フィル/84年/ossia
☆☆☆  クライバーン/コンドラシン/モスクワ・フィル/58年/ossia/Live
☆☆☆  ベルマン/アバド/ロンドン・フィル・76年/ossia
☆☆☆  スルヤディ/Miguel Gomez Martinez/ロンドンフィル/
☆☆☆  フェルツマン/メータ/イスラエル・フィル/88年
☆☆☆  リシッツァ/
☆☆☆  Y.ワン/ドゥダメル/シモン・ボリバル響/original/
☆☆☆  小山美稚恵/フェドセーエフ/
☆☆☆  及川浩治/広上淳一/新日本フィル/2008年/Live
☆☆☆  コミナティ/96年シドニー国際ピアノコンクール/Live
☆☆☆  L .ラン/テミルカーノフ/サンクトペテルブルグ・フィル/01年/ossia/Live
☆☆☆  ホロヴィッツ/ライナー/ /Live
☆☆☆  フェルツマン/プレトニョフ/ロシア・ナショナル管/original/92年
☆☆☆  マツーエフ/サッカーニ/ブダペストフィル/ossia/Live
☆☆☆  マツーエフ/ゲルギエフ/マリインスキー劇場管/ossia/09年
☆☆☆  ニコルスキー/ossia/Live
☆☆☆  ライヴリー/
☆☆☆  J.ナカマツ/シーマン/ロチェスター・フィル/ 00年
☆☆☆  ピサロ/ossia
☆☆☆  クレショフ/ヤブロンスキ/The Russian State Orchestra/original/01年
☆☆☆  ルディ/ヤンソンス/サンクトペテルブルクフィル/original/92年
☆☆☆  アシュケナージ/プレヴィン/LSO・70&71年/ossia
☆☆☆  ベレゾフスキー(旧)/ossia
☆☆☆  若林顕//Orchestre National de Belgiue/Live
☆☆☆  クライバーン/コンドラシン/Symphony of the Air/58年/ossia/Live
☆☆☆  ボレット/Charele Webb/インディアナ州立大学オーケストラ/69年/Live
☆☆☆  グレムザー(旧)/Maksymiuk/92年/ossia
☆☆☆  ヴァーシャーリ/77年/ossia
☆☆☆  マッサ/ossia
☆☆☆  ラプラント/
☆☆☆  ギルトブルク/12年/Live
☆☆☆  オルティス/mixed version cadenza
☆☆☆  グティエレス/マゼール/ピッツバーグ交響楽団/91年
☆☆☆  キーシン/小澤/ボストン交響楽団//ossia/Live
☆☆☆  K.パイク/
☆☆☆  クライバーン/コンドラシン/モスクワ・フィル/58年/ossia/LP ※DVDで発売(音はLPの方が良い)
☆☆☆  モギレフスキー/コンドラシン/Symphony of the air・64年/ossia
☆☆☆  ホロヴィッツ/バルビローリ/ニューヨークフィル・41年//Live
☆☆☆  シチェルバコフ/SACD
☆☆☆  ワイセンベルク/プレートル/シカゴ交響楽団/68年
☆☆☆  ティボーデ/アシュケナージ/クリーヴランド・オーケストラ/94年/ossia
☆☆☆  ゲルナー/シナイスキ/BBCフィル/02年/Live
☆☆☆  ベレゾフスキー/リス/Orchestre Philharmonique de l’Oural/ossia
☆☆☆  モギレフスキー/Sternefeld/Symphony Orchestra of the RTB/64年/ossia/Live
☆☆☆  ラシュコフスキー/ヴァルガ/ベルギー国立管弦楽団/07年/ossia/Live
☆☆☆  エレスコ/プロヴァトフ/USSR響/84年/ossia
☆☆☆  ベルマン/バーンスタイン/NY・フィル/ossia/Live
☆☆☆  シェパード/プリチャード/ロンドン・フィル/76年/ossia/LP
☆☆☆  ジャルドン/
☆☆☆  マルシェフ/
☆☆☆  ジョン・チェン/
☆☆☆  小川典子/
☆☆   ソコロフ/Yan Pascal Tortelier/BBCフィル/95年/ossia/Live ※音がおかしい
☆☆   イェゴン/
☆☆   ビレット/
☆☆   クリダ/78年/original
☆☆   ロドリゲス/
☆☆   オールソン/Caracciolo/RAI di Milano/64年/original/Live
☆☆   シグフリッドソン/
☆☆   ギレリス/アーノンクール/Live
☆☆   コスタ/
☆☆   舘野泉/
☆☆   Ukhanov/チヴジェリ/シドニー交響楽団/original/Live
☆☆   シェン/ヴァルガ/Orchestre National de Belgiue/03年/ossia/Live
☆☆   アシュケナージ(4)/ハイティンク/ossia
☆☆   ピサレフ/フリードマン/98年
☆☆   ワイセンベルク/バーンスタイン/79年/
☆☆   園田高弘/original/67年
☆☆   グティエレス/ロジェストヴェンスキ/Moscow Radio Symphony Orchestra/70年/Live/LP
☆☆   ジャニス/ミュンシュ/ボストン交響楽団/57年
☆☆   ヴィノグレード/パーマー/98年/original/Live
☆☆   コラール/プラッソン/77年/
☆☆   バルト/エッシェンバッハ/ロンドン・フィル/ossia
☆☆   ラローチャ/プレヴィン/ロンドン交響楽団/
☆☆   リル/尾高忠明/ ossia
☆☆   アニエヴァス/
☆☆   ケルダー/
☆☆   キム・ヒョスン/
☆☆   サイモン/
☆☆   ジェッター/ossia
☆☆   ワッツ/小澤/ニューヨーク・フィル/69年/mixed version cadenza
☆☆   ラフマニノフ/
☆☆   ルガンスキー(旧)//95年/
☆☆   ジルベルシュテイン/アバド/
☆☆   アシュケナージ/オーマンディ/75年
☆☆   中村紘子/スヴェトラーノフ/
☆☆   コチシュ/デ・ワールト/
☆☆   プレトニョフ/ロストロポーヴィチ/ossia
☆☆   Ts’vereli/Kakhidze/Tbilisi Symphony Orchestra//ossia
☆☆   ポコルナ/ピンカス/ブルノ国立フィル/76年/ LP ※CD化された
☆☆   チェルカスキー(新)/テミルカーノフ/94年/
☆☆   ペトゥコフ/シモノフ/モスクワ・フィル/ossia
☆☆   カペル/マクミラン/トロント・シンフォニー48年/
☆☆   バッカウアー/不明/original/LP ※CD化された模様?
☆     メルジャーノフ/
☆     ホロヴィッツ/メータ/DVD
☆     ホロヴィッツ/オーマンディ/Live
☆     Orlovetsky/Titov/
☆     マルクジンスキ/クレツキ/フィルハーモニア49年/
☆     チェルカスキー(旧)/
☆     K.Leimer/Zsolt Deaky/Nurnberger Symphoniker/?/LP
☆     リンパニー/コリンズ/ニュー・シンフォニー/52年/
☆     ホロヴィッツ/コウセヴィツキー/41年/Live
☆     ポストニコワ/ロジェストベンスキ/91年/ossia/Live
☆     ホロヴィッツ/コーツ/30年/ Live
☆     ヘルフゴッド/Horvat/コペンハーゲン・フィル/95年/ossia/Live
☆     ギーゼキング/メンゲルベルク/コンセルトヘボウ/40年/ossia/Live


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HamelinのMedtnerとRachmaninov
2017-03-22-Wed  CATEGORY: ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番聴き比べ
どんじりに控えしはマルク=アンドレ・アムランのラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番である(実は今回の3人の中で最初に聴いたのはアムランだったのだけれど)。


アムランのラフ3は10年以上前のエアチェックを持っている。そこでの演奏は何度か書いているように「飄々としているが薄味でミスが多くあまり感興をそそられない」ものであった。何より、カデンツァがoriginalなのがちょっと残念だった(ハフのようにブッ飛んだスピードで突っ走ってくれれば別だが)。指揮はウラディミール・ユロフスキ、オケはロンドンフィルハーモニック。恒例の演奏タイムによる先入観、17:24/11:06/14:39となっており、この分だとカデンツァはossia、第3楽章は残念ながらかなり遅めの演奏が予想出来た。


第1楽章、出だしの主題はノロい。住宅街の細い路地を車で慎重に運転しているかのようでかったるい。その後はスピードを上げ、細かな音が実にクリアで打鍵に余裕を感じる。ところが緩徐部分になると、主題同様とにかく遅い。ネット黎明期のダイアルアップ接続で画像を読み込んでるかのようだ。両手交差部分は実に鮮やか。展開部はまずまず標準的な速さ(少し残念)。お待ちかねのカデンツァはなんとoriginal。。。これにはガッカリ、この演奏時間でそりゃないぜアムラン。17分を大きく超えているのにoriginalとは、、フィギュアスケートで言えば4回転ジャンプ失敗くらいのショックだ。冒頭の主題が戻ってくるとやはりテンポを大きく落とす。腰の重さは否めない。第2楽章、歌う部分は良い。時々奇をてらった解釈を見せるアムランだが、ここではスタンダードな解釈で重厚に弾き上げる。後半の細かい音が連続する部分はアムランらしいキレがある。第3楽章、出だしは思ったよりは速い。だが8割の力でサラリと弾いている印象を受ける(これが彼の芸風だろう)。ただ、ドキッとするほどではないが、フレーズとフレーズの間に微妙な間があるのが気になる(kyushimaさんもアムランのショパンのソナタ第2番旧盤のレビューで同じように書かれている。曲が完全に手の内に入っていないということなのだろうか・・・ちなみにこれは併録のメトネルの方でも感じる)。和音の響きは深々としていて、それでいてエンディング前の強打する部分でもクリアで音に充実感がある。


全体として、カデンツァの違いもそうだが私の好みから外れるテンポが多く、完成度は高いものの個人的にはちょっとガッカリな演奏であったが、「最近のアムランからすると・・・」という予期がなかったと言えば嘘になる。けれども、このCDには特筆すべき点が一つある。それは驚異的に音が良いということだ。私が聴いたこの曲の録音の中で、記憶に有る限り最上の音質である。明晰で美しいピアノの音色、オケとの距離、バランス、残響。ほとんど完璧に近い。スピーカーで鳴らすとやや残響が強めにピアノに被ってくる感じがあるのが惜しいが、イヤホンでは文句の付けようがない。ただし、オケが象さん的なパオーンとわななく感じがあるのと、アムランの音色にあまり変化が見られないのとでモノクロームな印象はある。また、全体的に重心の低い音質である。よって、音質共々演奏を総合的に勘案すると3つ星☆☆☆ということになるかと思う。アムランに多くを期待するピアノファンからすると物足りないことこの上ないが、これが歳を重ねて辿り着いた彼の芸風なのだろう。


さて、併録のメトネルのピアノ協奏曲第2番。こちらはアムランが日本初演ということだが、私は聴き逃しているので楽しみにしていた。こちらはラフ3よりもずっと良い演奏に感じられる(とは言っても、デミジェンコ、シチェルバコフ盤くらいしか持っていないのだが・・・オススメがあったら教えて下さい)。デミジェンコが激甚なフォルテを聴かせるカデンツァの迫力にはかなわないが、このアムラン盤は前述した超非現実的なまでに完璧な録音に乗せて、どこまでも明晰かつ端正に弾き抜いている。やや踏み込みが足りないようにも感じるが、曲の美しさがある意味冷静に伝わってくるとも言える。デミジェンコ盤と相補的にスタンダードとなりうる名演だ。



というわけで、ラフ3には過度な期待はされずに、メトネルの2番を目当てに買われるくらいの気持ちで聴いて頂けるとよいかと思う。


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