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The melody at night, with you

音楽好きの世迷い言

ラーメン食べ歩き記録(2020/6/23)

醤油ラーメンについて追記()2020/6/11)
頻度を削除し、何店か追加(2020/4/10)


ラーメンが好きだ。

週に1度は必ずどこかで食べる。今までに食べたラーメン屋を、一覧にしてまとめようと思い立った。全く、暇というのは人間にあらぬ行動を思い立たせるものだ。ラーメンの種類か、店名順か、それとも場所で分類するか、悩んだがとりあえず適当に並べてみる。ネットで閉店が確認できたものはその旨を記載した。長いこと行っていない店もある。自分の為の備忘録的な一覧である。

満足度:100点満点で適当に付けた。
95点:その店に出かけるために用事を作りたくなる
90点:いつ食べても大満足できる
80点:いつ食べてもほぼ満足できる
75点:食べて満足するか後悔するかの分岐点
70点:いつ食べても若干の不満が残る
69点以下:基本的に2度と行かない

<青葉>
中華そば青葉中野本店:84点
中華そば青葉池袋サンシャイン点:83点
中華そば青葉新宿店:83点
中華そば青葉北千住丸井店:85点(閉店)※ラーメンにハマるきっかけを作った店
中華そば青葉吉祥寺店:83点

<大勝軒>
東池袋大勝軒本店:72点 ※例の閉店ギリギリに初めて食べる。1時間半並んだ
大勝軒足立区役所前店:67点(閉店)
東池袋大勝軒 新化家(調布):59点

<ラーメン二郎>
二郎池袋東口店:70点
二郎新宿歌舞伎町店:69点
二郎小滝橋通り店:77点
二郎目黒店:72点
二郎神田神保町店:78点
二郎桜台駅前店:90点
二郎新小金井街道店:87点
二郎府中店:89点
二郎立川店(休業中)85点
二郎ひばりヶ丘店:88点
二郎西台駅前店:91

<二郎系インスパイア>
ラーメン富士丸神谷本店(王子神谷):77点
ラーメン富士丸西新井大師前店:79点
ラーメン富士丸板橋南町店:75点(閉店)
麺や あかつき(駒込):77点
ラーメン英二(北府中):76点
郎郎郎(調布):72点
蓮爾登戸店:68点

<麺屋武蔵>
麺屋武蔵池袋店:83点
麺屋武蔵渋谷店:82点
麺屋武蔵新宿本店:78点
麺屋武蔵高田馬場店:85点
麺屋武蔵吉祥寺店:83点 ※メニューと味が結構変わる

<中本ほか辛い系>
蒙古タンメン中本新宿西口店:76点
蒙古タンメン中本上板橋店:76点
旨辛ラーメン表裏水道橋店:82点
麺創研 紅 府中店:95点、80点(鬼紅)
麺創研 紅 国分寺店:92点

<東京都東部~西部>
麺屋吉左右(木場):96点
田中商店(六町):76点 ※ 店の最寄りが梅島駅だった頃はよく行った
武藤製麺所(竹ノ塚):85点
中華そば 椿(西新井):94点(閉店)
中華そば 椿(池袋):92点(閉店)
中華そば 椿(王子):90点(閉店)
中華そば屋 伊藤(王子):80点
The Outsiders(大崎):76点
一蘭 渋谷店:72点
ラーメンむてっぽう西池袋店:74点
俺の空 池袋店:73点
俺の空 高田馬場店:72点
つけ麺屋やすべえ池袋店:79点
つけ麺屋やすべえ水道橋店:77点
めん徳二代目つじ田 御茶ノ水店:95点
TOKYO UNDER GROUND RAMEN 頑者(池袋):92点
麺屋優創(新大久保):93点(魚介味噌)、92点(豚骨和出汁)
俺の麺 春道(新宿):86点
くじら軒 新宿店:76点(閉店)
桂花ラーメン 新宿 東口駅前店:72点
つけ麺 五ノ神製作所(新宿):80点
つけ麺えん寺吉祥寺総本店:82点
めん処 本田(東十条):95点
燦燦斗(東十条):85点
中華めん処 道頓堀(成増):78点
味噌一 常盤台店:70点
morris(大山):90点
らーめん一番(小竹向原):79点
丸長 沼袋店:70点(閉店)
無鉄砲中野店:72点 ※ 沼袋が最寄り
つけ麺花みずき(野方):82点 ※ 峰竜太さんが1人でいらっしゃっていて後日アド街で「食べた」と発言されていた(偉い)
たいほう(武蔵関):75点
麺処 井の庄(石神井公園):80点
幸来(上井草):76点
奨苑(上石神井):70点
一圓(上石神井):69点
丸源ラーメン 練馬関町店:73点
荻窪中華そば春木屋:75点
麺屋さくら井(三鷹):90点
中華そば しば田(仙川):82点
らーめん HAGGY(柴崎):84点
熊王(国領):73点
和屋(国領):80点(閉店)
横浜ラーメン 武蔵家(国領):74点
中華そば いしかわや(国領):74点
八王子ラーメン 如拙(国領):65点
つけめんTETSU 調布店:87点
たけちゃんにぼしらーめん(調布):80点
喜多方ラーメン坂内調布店:73点
横浜家系 助格屋(調布):70点
たから家(調布):70点
たつみ(調布):71点
江川亭小金井本店:72点
らーめん愉悦処 鏡花(立川):84点
楽観(立川):74点
麺処 井の庄(立川):79点
立川中華そば ととホンテン:72点
味麺おがわ屋(八王子):74点

<東京都以外>
味の三平(札幌):69点
和醸良麺 すがり(京都烏丸):91点
麺匠 たか松(京都四条):82点




この中で最近最もお気に入りなのが府中の『麺創研 紅』の紅ラーメン。

紅

アラフォーになるにつれて辛いものが好きになり、ラーメンも例外ではなかった。有名な中本は蒙古タンメンを何度も食べ、いよいよ北極に挑戦しようと思いココイチで4辛を食べるなど事前に練習してチャレンジしたが、それでも辛過ぎて味を楽しめなかった。水道橋の表裏は中本に不足していた「ガッツリ感」と「肉感」を、特製麺と特大の唐揚げで見事に充足してくれたが、スープの旨味と深みのある辛さが物足りなかった。

そこに登場したのがである。コクのある豚骨に熟成味噌を加えたスープは辛さに負けない存在感があり、何より太さが不均一な自家製乱切り麺がモチモチした生パスタというか山梨のほうとうのようで最高に旨い!そして、中本に不足していた肉を喰らう満足感も大量の豚のバラ肉で満たしてくれる。極めて完成度の高い一品。以前は北口すぐの線路沿いにあったが、今は南口すぐの商業施設1Fに移った。そこでも大行列である。国分寺にも同様の店舗がある。

※追記:同店で最も辛い鬼紅ラーメン(バラ肉増し)を初めて注文。

鬼紅

辛さは中本北極ほどでなく食べやすいが、大量に増えたラー油??でスープ表面に油の層ができてしまい、ヌメヌメと油っぽく味が薄く感じられてイマイチ。80点。




私はスタンダードな中華そば・醤油ラーメンをあまり好んで食べないが、コロナ自粛前と最近の宣言解除後にたまたまラーメンデータベースで醤油ラーメンランキング3位麺屋さくら井(三鷹)と11位の中華そば しば田(仙川)を食べたのでちょっとだけコメントを。

上のレビューを見ればわかる通り、私が都内で食べた(それほど多くはないが)中華そば・醤油ラーメン系で最も好きなのは、大山駅近くのmorrisである。言葉は悪いが、本当にスタンダードなラーメン。しかし、無化調で優しい味ながらも物足りなさを感じさせない滋味深いバランスの素晴らしい味なのだ。私が通っていた時は行列などできる気配もなくて心配したが徳島に新店を出されるなど順調なようだ。職場が変わって以来、久しく行っていないので、また訪れたい。お近くに行かれる際は是非。

※ ラーメンとは全然関係ないが、大山にあるビストロ クレール(Bistro Clair)というフレンチも大変オススメである。ご夫婦は嫁の友人であり(たまに給仕を手伝っていたらしい)、さらに奥様は私の高校の先輩でもある。いかに飲食店の経営が大変で、どれほど人生を懸けて日々料理を提供されているかを聞いているので、この状況下にあってささやかながら応援したく、紹介した次第。




新規来訪や再訪の度に更新する予定・・・(その度に上げると鬱陶しいかな)


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ラーメン二郎 西台駅前店

もはや元が何のブログか分からなくなってきたが、私が書きたいことを好き勝手に書き散らしていきたい。


コロナで外出自粛、3ヶ月以上に渡り自宅でテレワークという引きこもり生活が明けて、まず叶えたい欲求は恥ずかしながら「二郎が食べたい」ということだった。年のせいか、最近は年に2回も食べれば十分かなと思っていたが、その「1回目」を叶えに行ってきた。


都内ラーメン店を点数付けした記事をご覧頂ければ分かるが、私はジロリアンと呼ばれるには些か不勉強である。しかし、平均的なラーメン好きの方よりは二郎とそのインスパイアを食べ歩いてるだろう。点数も幅広くつけているので、特に二郎を一番好むというタイプではないことを前提に読んで頂きたい。


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とあるド平日の午前、たまたま仕事で板橋区に用があり、まだ未踏の二郎で尚且つ高評価の西台駅前店が高島平方面にあったことを思い出し、開店前10分に並ぶ。すでに行列ができており、程なく20人近くが並んだ(恐ろしい・・・)。店主が外で並んでいる者にマイクで細かく指示を出したり、メニューに細かく分量や麺のグラム数が書いてあるなど、親切この上なくて普通の二郎っぽくない(失礼)。店内もかなり小綺麗である。客の回転が良く、並び始めて35分で着丼。


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美味い。一口食べてすぐ、これは私的過去最高の二郎だと悟った。私の好きな二郎は濃厚で力強い味の桜台と極太麺の府中だが、この西台駅前は王道の二郎の味である。私好みの太麺が非乳化のスープに負けておらず、バランスが良い。カエシの出汁感もいい。野菜はキャベツでなくもやしメインだが茹で具合が絶妙。そして何より豚が旨い。味が濃く、デフォルトでも十分すぎるボリューム量!(豚増ししなくて助かった・・・)。強いて言えば、もう少し麺が固ければ最高だ。


ちなみに麺の量は小・少なめ・半分・大とあり、最初は二郎の他店のように小にしようと思ったのだが、「一般的なラーメンの2杯分以上」と張り紙にあり、怖気付いて少なめ(2杯分くらい)にして正解だった。次行くなら半分にすると思う。


というわけで、ラーメンデータベースで都内二郎直系店で最高点のひばりヶ丘駅前店よりも私は気に入った(あそこのご主人もすごく感じの方だが)。お客は全員男性、強面でゴツい方もいたが、みな顧問の先生を慕って部活に集まった生徒のように行儀良く味わって食べていたのが印象的だった。とても気持ちの良い店である。難点は自宅から遠いこと。おそらく、次の訪問は数年後になってしまうだろう。
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エッカードシュタインというピアニスト (一部工事中)

ブログを整理していて、今から8年前に書きかけて下書きのまま保存されていた記事を見つけた(飽きっぽいのでそういう記事がたくさん眠っている)。ブラウザの不具合で書いては消え書いては消えを繰り返した記憶があり、イヤになってずっと放置していたのだと思う(汗)。今とは言葉遣いもノリも違うが、今後棚やHDDから音源をサルベージして追記していきたい。




今日ご紹介したいピアニストはセヴェリン・フォン・エッカードシュタイン(Severin fon Eckardstein、1978年ドイツのデュッセルドルフ生まれ、エッカルトシュタインとも) です。


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彼は数々の国際コンクールで入賞歴があり、中でも2003年に行われたエリザベート国際では見事第1位を受賞(松本和将氏が第5位)。そのコンクールの審査員だった故園田高弘氏が、生前ご自身のホームページでベートーヴェンのソナタ第27番を聴いて「彼こそ今回の優勝者である」と書かれていたのを思い出します。亡くなられた今では、そのページもう見ることができなくなりました(ちなみに園田氏は「松本氏は2位に相応しかった」と書いていた記憶があります)。

私は例によってそのエリザベートコンのライヴCDで彼を知ったのですが、彼のその哲学者のような知性溢れる風貌の通り、格調高い演奏解釈と緻密な技巧を兼ね備えたピアニストという印象を個人的に持っています。その反面、ややもすると重苦しく深刻すぎるというか、チャーミングさ・愉悦感に欠ける面もあると感じています。本日はそんな彼のアルバムをご紹介したいと思います(全てを網羅していません)。


デビュー盤はMDGから出したメシアン、ヤナーチェク、プロコフィエフ集。難曲プロコのソナタ8番の終楽章は彼の技巧の高さを示しています。

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続いて2003年のエリザベート国際コンクールの実況CD。流石は優勝者だけあって、どの曲も質が高い。コンチェルトはプロコの2番。ライヴながら完成度は高いが、特に素晴らしいのがベートーヴェンのソナタ第27番。

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お次がスクリャービン集。前奏曲Op.11とソナタ第3・8番という内容。私がエリザベートに続いて聴いたのもこれでした。ソナタ第3番はスタティックな印象で残響多めの録音。ソナタ第3番はとんでもなく詩情的で感傷的な演奏。残響が多い録音がちょっと好みでないのが惜しい(彼は残響が好きなタイプの模様)。

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2006年のルール・ピアノフェスティバルのVol.13(2枚組)。

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同フェスティバルVol.14は3枚組で、その中でモーツァルトのピアノ協奏曲第26番の室内楽版(Nummel編曲)を弾いてます。技巧のキレが素晴らしい。

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グラズノフのピアノ協奏曲第1番。

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2007年にMDGから出た驚きのメトネル集。まさかの『Night Wind』収録(末尾で追記)。

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2010年のシューベルトのピアノソナタ第15番・20番。レリーク・ソナタは少し神経質なところもあるものの、リリシズム溢れる演奏。

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2012年にK&Kレーベルから出したライヴ・リサイタル集。

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これが特に素晴らしい。最後の第14番は、kyushimaさんの影響で「ベートーヴェン的なシューベルト」を弾くポール・ルイスの新録音が好みだったのですが、このエッカードシュタインの演奏は「シューベルト的なシューべルト」路線としては最上級。終楽章は5:33(弾き終わりは5:06)ですが、メリハリの付け方がルイスよりも大胆というかロマン的でその語り口がまた巧い!ライヒェルトの演奏が「やりすぎでちょっとイマイチ」と以前書いたのですが、エッカードシュタインはそこまで感情の起伏が極端ではなく、タッチに気品があるというか格調高い印象。

そして、手持ちの彼のアルバム中で個人的にベストの名演だと思っているのがメトネル『Night Wind』。ライヴということもあってかMDG盤より熱っぽく男性的な演奏。技巧の冴えが素晴らしく、アムランの流麗さに引けを取らず、音楽性のメリハリや切迫感では上回る。この演奏で感銘を受けない人は、きっとメトネルを聴く必要の無い人である。


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2枚出ているDVDの2枚目の方。VAIレーベルから出てるマイアミ国際ピアノフェスティバルの2009年のコンサートライヴ映像である(ガヴリリュクも出してたのと同じシリーズと思われる)。演奏曲はショパンのノクターンにワルツ、スクリャービンのソナタ第4番(!!)、メシアンの幼な子イエスにそそぐ20の眼差しの第20番、そしてリストのピアノソナタ(!)、さらにグリーグ、プロコフィエフ、おまけに自作曲まで、大変興味深いプログラム。なお、DVDの1枚目はベートーヴェンのワルトシュタインソナタが含まれていて魅力的だったので、そのうち購入したい。





他にもドビュッシーの映像第1集や、フーズム城音楽祭ライヴにも頻繁に出演して、マイナー曲で質の高い演奏を残している。

今日は、上掲の作品群の中から、MDGから2007年に出たメトネル集を紹介したい。

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収録曲は以下。
Tr.1 忘れられた調べ第2集(ピアノソナタ第11番)Op.39より第4曲朝の歌
Tr.2 第5曲悲劇的なソナタ
Tr.3 3つの小品Op.49より第1曲
Tr.4 4つのおとぎ話Op.26より第1曲
Tr.5 2つのおとぎ話Op.14より第2曲
Tr.6 フモレスケ(作品番号なし、1896,Vivace)
Tr.7 4つのおとぎ話Op.26より第3曲
Tr.8 8つの情景画Op.1より第5曲(1901/02)
Tr.9 4つのおとぎ話Op.35より第4曲、
Tr.10 小品第1番(作品番号なし)
Tr.11 アルバムの綴り(作品番号なし、1900)
Tr.12 ピアノソナタ第7番Op.25,2「夜の風」第1楽章
Tr.13 第2楽章
(曲目はアムランの日本語解説書、ウィキペディア、ネット、グーグル翻訳から私が適当に付けた。また、ピアノソナタはWikiにしたがって番号を振った)

一聴してピアノの音がどことなく柔らかい。そしてやはり残響が多めの録音(彼が好きなのだろう)。ライナーによると使用したピアノは1901年生のスタインウェイとのことである。曲は作品番号のない小品も録音しており、(メトネルもだいぶ人工に膾炙してきたかと思ったが)フーズム城で秘曲を演奏しているコダワリを感じる。

このアルバムこそ、私の中で長いことデミジェンコが保持していた「ベスト・メトネルアルバム」の座を奪い取った1枚なのだ(デミジェンコのメトネルのコンチェルトやアムランのピアノソナタ全集はどうするんだとか言う声が聞こえてきそうだが、前者の2番はピアノ独奏ではないので除き、後者は4枚組なのでちょっと置いておく)。

前述したように、多めの残響のせいか、全体的に夢見るような、たゆたうようなメロディックな演奏である。どの曲も素晴らしいが、残念ながら「夜の風」だけはK&Kのライヴ盤に敵わない。



以後、もう少し整理して追記して更新の予定。
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ベルリン・フィル デジタル・コンサートホール

コロナは我々の生活を大きく変えてしまった。


この2カ月間、出勤したのは片手に収まる程度。書斎など設けられない狭い我が家なので、ロフトに小さい机と椅子を上げて無理やり仕事場を作り、子どもの襲来と天井裏に籠る熱気との闘いを続けている。うっかり忘れて立ち上がると頭を強打をする。家人はピアノレッスンがオンラインになり、私のZoom会議もあるせいで毎日Wi-Fi電波の取り合いである。うちはひかり回線でなく、おまけに防音室は壁が厚く電波が悪い。仕事優先のためにリビングにあるモデムをそちらに移設して有線で遅延を防ぎ安定性を稼ぐことにしたが、やはりひかりでないと遅延が酷い。ZoomにLINEにSkype、Meet、色々試したがそもそものインフラで決まってしまい、どれも大して変わらない(まあ一番マシなのがZoomだったが)。そんな諸々のストレスからかこのところ体調が悪く、通院と服薬を続けている。


勿論、レコード屋にも行けず、ストレス発散などできなかったのだが、6月1日にようやくディスクユニオンに出かけることができた。レコードとCDを数枚ずつ買ってようやく留飲を下げたが(こんなに音盤を漁れなかったのは人生で初めてだろう)、思ったほど「フィジカルソフト」に楽しむことができなかった。


それはあまりにもサブスクリプションが充実しているせいだと気づいた。


1月頃、「ベルリンフィルの首席に就任したキリル・ペトレンコの記念第9公演のCD」が、1年間のデジタルコンサートホールに加入する特典としてプレゼントされるとのことで、1万円強払って契約してみた。残念ながらそのCDの演奏自体は「フツー」過ぎて感激できなかったので、ガッカリしてデジタルコンサートのことはしばらく忘れていた。が、このコロナ禍の中で音楽ソフトの枯渇に困り、思い出してデジタルコンサートを聴いてみたのだが驚いた。アーカイブとして、主に2010年代以降の演奏を中心に大量に閲覧することができる。指揮者別やジャンル別、作曲家別、ソリスト別など、複数の方法で検索ができ、数多いコンテンツを楽める。何と言っても、そのすべてがベルリンフィル、なのである。ソフト販売されていない音源の方が多く、私からすると垂涎の演奏ばかりだ。

すでに数十のコンテンツを視聴したのだが、その中でも特に感激したのは、

①2010年のA・ワイラースタインによるエルガーのチェロ協奏曲
②2012年のY・ブロンフマンによるブラームスのピアノ協奏曲第2番
③2015年のI・ファウストによるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲
④2015年のK・ツィマーマンによるブラームスのピアノ協奏曲第1番
⑤2015年のT・フェルナーによるモーツァルトのピアノ協奏曲第25番
⑥2017年のB・ハイティンクによるマーラーの交響曲第9番
⑦2018年のY・ワンによるプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番
⑧2019年のD・トリフォノフのピアノリサイタル

辺り。その中でも、⑦ユジャ・ワンの人間を超えた凄まじい技巧のキレを見せつけた熱演では第1楽章の後に思わず観客の拍手が入ったし、⑧のトリフォノフの実に豊かな音楽性と確実な技巧の高さは、これまでの私の彼に対する印象を大きく変えるものであった。逆に、音源が販売されていないマツーエフ&ゲルギエフ&ベルリンフィルという【ほぼ最強のメンツ】によるラフ3はイマイチであった。なぜか分からないがこのコンビの演奏は、CDとして出てるマリインスキー劇場管の方と同様に感銘を受けなかったので、私と相性が悪いのだろう。

何から何までベルリンフィルが最高とは言わないが、これだけ良質な音楽が、1年間という期間に1万数千円で聴けるのは本当にお買い得だと思う。ここからは余談。私は家に海外からCDが届くと嫁に怒られるので例によって職場で受け取ったのだが、その際にログインIDとパスワードを職場のデスクに置き忘れてしまったのだ(注意欠陥)。ダメ元でベルリンフィルにメールを出したら、翌日すぐに返事が来てIDとPassを教えてくれた。なんという手厚いサポート。

けれども、これら「トップブランドのサブスクビジネス」によって、弱小のオケや、新しい音楽ソフトの販売そのものはどんどん衰退していくだろう。テレワークが可能な基礎体力のある大企業がこの非常事態にあっても強いに決まっているし、弱い企業はどんどん淘汰されるに違いない。そして少なくとも音楽に関して言えば、市場の縮小と寡占化、芸術の衰退の、さらなる加速化が進むのではないかと容易に想像される。コロナで音楽家の苦境が伝えられているが、私は音楽を愛好する1人として、なんとか音楽文化の維持・発展に協力したいと思っている。先日、うちの子どものピアノ検定もZoomによるオンラインで実施された。ピアノの音色やタッチもなにもないだろうと思ったのだが、審査員の先生方に普段の発表会場では貰えない直接の声かけによるアドバイスを貰えて、思いのほか良い機会になった。「コロナ後」の新しい生活様式に対応すべく、たくましく変化していこうとする音楽業界を最大限応援できる行動を選択したい。それがサブスクかどうかは、まだ分からないのだが。
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Dejan LazicのLiszt集

デヤン・ラツィックのリスト・リサイタルを聴いてみた。

録音は2016年。
曲は、
tr.1 ハンガリー狂詩曲第18番嬰ヘ短調
tr.2 2つのチャルダーシュ
tr.3 巡礼の年第3年より『エステ荘の噴水』
tr.4 ヴェルディの『リゴレット』による演奏会用パラフレーズ
tr.5~7 巡礼の年第2年の補遺『ヴェネツィアとナポリ』
tr.8 シューベルトの『ウィーンの夜会』(ヴァルス・カプリース第6番)
tr.9 シューベルトの『魔王』
tr.10 モーツァルトの『レクィエム』からのコンフィタトゥスとラクリモサ
tr.11 愛の夢 第3番
tr.12 ワーグナーの『イゾルデの愛の死』
tr.13 ワーグナーの『リエンツィ、最後の護民官』からの主題による幻想曲
という内容。

全体的に明るく華やかな曲目が多いアルバムと言える。ラツィックと言えば、なんと言っても2000年に出したショパンのソナタ第2番の印象が強い。その後、『リエゾンス』シリーズやブラームスやベートーヴェンのコンチェルトを聴いて、私の中では「ムストネンほど個性的表現はないけれどもテクも音楽性も優秀なピアニスト」という位置付けでいたのだが、今ひとつ個人的に聴く曲のメインストリームを外されていた感じもあった(これは彼に限らないけれども)。

そんなわけで、この有名どころの多いリスト集はけっこう期待して聴いてみた。

結論から言うと、相当良い。「素晴らしく良い」の一歩手前で、80点台の後半は十分に付けられそう。録音はやや明晰さというか締まりに欠けて音色に鋭さがなくフワッとした印象があるが、ゆえに華やかでメランコリックな雰囲気が出ている。テクニックについてはショパンのソナタの頃のような凄みはないけれども、どの曲も語り口が自然で心地良く聴ける。技巧的には例えばタランテラは比較的近年の録音ではガヴリリュクやグロヴナーを思い出すが、彼らほどのキレはないものの十分に満足できる(ちなみに演奏時間は8:49)。ウィーンの夜会がこれまた抒情的で美しい。

シューベルトやモーツァルト、ワーグナーなどの編曲モノも実に「根明」な演奏。「魔王」はもう少し劇的さというか、彼らしくスタッカートを多用したエキセントリックな解釈が聴けるかと期待したのだが、他曲の演奏同様に歌路線な感じ。「ラクリモサ」はドラマを見ているような多彩な音色とダイナミクスによる情景変化が秀逸。間に挟まる愛の夢第3番は、数多く聴いたこの曲の演奏の中では5指に入りそう。トリを飾る「イゾルデの愛の死」も音にガッツが欲しいところはあるが好演。

というわけで、大満足の1枚である。ただ、彼に期待していた「ムストネン的なスタッカートを多用した刺激的な解釈とキレのある技巧」が影を潜めていたのは事実。むしろ彼のこの「抒情路線」は、ピアニストの歳の重ね方として他よりも上手だとは思う。フツーな解釈で歌っている点が気に入らない、というのは私の「ないものねだり」だろう。オススメである。
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